Weekend Mathematics/情報/「情報と表現」の授業(2005年)
はじめに
2・3年生を対象にした「情報と表現」という科目の授業の様子をお伝えします。 「情報A(またはB)」で学んだことを受けて、それをさらに 発展さた学習ができればとと考えています。 講座は月曜日(同時2講座)、水曜日の合計3講座で、計34名が受講します。 それぞれ午後の2時間連続で、担当は教員2人であたります。 教科書は、実教出版の「情報と表現」を使用します。
第1回・科目オリエンテーションと文書による表現技法
* 科目オリエンテーション *
第1回目の授業では、授業の概要を説明しました。 科目の目標、年間の授業内容、評価などについてです。
コンピュータ教室やインターネットへの接続に関する注意事項についても再確認をしました。
* 文書による表現技法 *
最も基本となる情報の表現方法は、文書によるものです。 文書によって情報をどう伝えたら効果的かという話をしました。 5W1H(When,Where,Who,What,Why,How)を意識すること、 またワープロなどを用いて情報発信する場合は、 フォント、大きさ、色、スタイルなどを工夫して、 最も伝えたい事項とそれほどではないもの強弱をつけて表現をしていこうという話をしました。
最初の課題は、A4一枚の紙に、「ワープロ検定の受検を案内するチラシ」を作成するというものです。日時、場所、受検料、テキスト代、申し込み方法、合格した際の単位認定など、盛り込む内容をこちらで提示し、それを1枚のチラシに仕立てます。評価の観点は、「伝えたい内容を正確に、かつ効果的に伝えるために適切な工夫がなされている。」としました。
1時間の間にほとんどの生徒が完成し、提出をして第1回目の授業は終わりになりました。
第2回・文書による表現技法・図解による表現技法
* 文書による表現技法 *
前回、提出してもらった作品を皆で鑑賞しながら、工夫してある点、改善の余地のあるところ などについて意見交換をしました。以下のようなものがあがってきました。
これらをふまえて、自分の作品の改善をする時間をとりました。 ワークシートには、どこをどう改善したかを書いてもらい、 それとともに作品を再提出してもらいました。
- 大事なところの色が変えてあって良かった。上の方に詰まりすぎている。表を使っていてみやすい。バックにシルエットがあってよい。
- 色わけしたりして、メリハリをつける。絵は邪魔にならないようにする。大事なところは強調する。
- 強調したいものがどれだかわからない。全体的に文字サイズが小さいと見ずらい。縦がそろっていないとみにくい。タイトルは大きめにする。級ごとに色を変えているのはわかりやすい。
- 強調したいところがわからない。改行の場所を工夫する必要がある。スペースの使い方
- 黒しか使っていないと単調。イラストがつぶれている。下のスペースがあまりすぎ
- 文字が小さいし、メリハリがない。
- 強弱をはっきりさせて伝えたいことを明確にする。表などを用いて見やすくしたり、背景画像などでワンポイントをつけるのもよい。漢字の間違いは問題外。
この作品は、もちろん実際にワープロ検定の受検を案内するものとして、 校内に掲示しました。
* 図解による表現技法 *
情報伝達をする際に、イラストや図、表やグラフなど視覚的に訴える方法を用いると効果的ですねという話をしました。実際に身近なところで使われている図として、案内表示(トイレや駅、非常口など)をあげましたが、ことばを用いる方法と比較してどんなメリットがあるか? という質問に対しては、言語に依存しないから外国からきて日本語を理解できない人や子供などにも伝えることができるという点を指摘してくれました。
案内表示以外にも例はないですか? と聞きましたら、道路標識、天気図、地図記号、アイコン、校章やマーク、ロゴなどがあがってきました。言葉を用いずに情報を伝えるための工夫が身のまわりにたくさんあるとことを確認しました。
視覚的に情報を伝えるという工夫の中で、主に数値データを伝えるためのものとしてグラフがあります。 グラフといっても、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフなどいくつか種類がありますが、 データの内容によって、使いわけをしましょうということで、それぞれの持つ特性について整理をしていきました。
第3回・図解による表現技法
* 図解による表現技法 *
前回、図解の中でも特にグラフを取り上げ、データの内容によって表すグラフの使いわけが必要ということを 学びました。今回は具体的にデータを4点ほど提示して、Excelを用いてそれぞれグラフ化してもらいました。
後半は、単にグラフにするだけでなく、そのデータから何を訴えたいかという点を強調しました。 グラフは元になる表の順番通りに並びますから、場合によってはデータの並び替えも必要かもしれません。 件数の大きい順にするとか、似通った項目を並べるとか・・・。デザイン的にも、単に色をつければいいということにはなりません。結局のところ、データをグラフにして視覚化することで、 何をいいたいのか、ということにつきると思います。 そんな話をした後、それぞれ改善をしてもらいました。
第4回・画像による表現技法
* 画像による表現技法 *
画像に関することを何点か、確認しました。光の3原色と色の3原色、ファイル形式と圧縮の話、 ディジタルデータへの変換の仕方などです。
今回の課題は、マニュアルと作るというものです。これについて説明をしました。
(1)南太田から清陵総合高校までの道順を示す。
(2)自分の持っている携帯電話にある機能を1つ選び、それを説明する
このいずれかの説明をする文書を作成する、文字だけでは伝えにくいものの、画像を適切に用いることで、 わかりやすく伝えることができるようになります。仕上がりはA4で1〜2枚、使用ソフトウエアは自由、デジタルカメラ、スキャナー、ペンタブレットなどは、貸し出しをしました。
今日は、どのルート、どの機能を取り上げるか、どのような画像を用いて、どのような構成にするかを計画し、 さっそく作業に入ってもらいました。
第5回・画像による表現技法
* 画像による表現技法(マニュアル製作) *
前回から今回の授業の間に、デジタルカメラを借りにくる生徒がいました。 南太田からの道順を取り上げている生徒たちです。
今日の授業では、それぞれの作業の続きをし、完成、提出です。 提出は、カラープリンタで印刷したものと、電子データです。 作品を紹介します。
作品1 作品2 作品3 作品4 作品5
作品を作り終えて、工夫したところ、感想などを書いてもらいました。
- ふきだしを使って文を補足したり、ポイントになる言葉は色を変えてそこに目がいくようにして見る人が迷わないように気をつけました。普段みている地図を自分で作るとその大変さがよくわかった。
- 地図を見て、今いるところの写真を載せ、迷わないように作った。写真に1人の特定の人を写して、その人のいる方に進むようにした。地図を描くのが難しかった。
- 全体図と細かく場所に分けて写真を載せたところを工夫しました。
- 詳しい地図を作って、それに説明を入れ、道の進行方向に矢印を入れました。
- 地図を手書きして、スキャナーで取り込みました。これからは、もっといろいろな昨日を使って、パソコンでも作れるようになりたいと思います。
- 各項目に小見出しをつけて見る人にわかりやすく、説明を省けるように工夫しました。自分が使えるものを何も知らない人に1から教えるのがこんなにむずかしいとは思いませんでした。
- 写真を使わずに、手書きの味を出しました。初めて携帯をさわった人にでも出来るようにしました。
第6回・プレゼンテーション
* プレゼンテーションとは *
プレゼンテーションとは、というところから話を始めました。 生徒たちは、1年次に事業所見学をテーマにしたプレゼンテーションに取り組んでいますので、その経験もふり返りながら話をしました。 限られた時間を有効に使い、いかに相手の理解を得るとともに、こちらの提案を受け入れてもらえるかということです。 具体例な場面、使うツールなどを挙げてもらいました。
また、プレゼンテーションの本番に至る流れ ”内容を検討し、資料収集、資料作成、リハーサル、そして必ずその評価と振り返りがあり、本番に至る”を確認し、準備がいかに重要であるかということを強調しました。
プレゼンテーションの際には、態度も重要で、ボディランゲージを活用し、アイコンタクトを欠かさず、服装にも留意し、熱意をいかに伝えるかが重要というような話をしました。
* 課題の説明 *
生徒たちの課す課題の説明をしました。 高校生活をテーマにしたもの、アンケートをとることや、外部の情報を取り入れることで内容を充実させ、 最終的にプレゼンテーションをするということになります。 スケジュール、評価の観点なども説明をしました。
*プレゼンテーションコンテスト*
昨年、全国プレゼンテーションコンテストに本校から参加したメンバーのプレゼンテーションを見たり、全国大会の様子などを話し、イメージを持ってもらいました。また、どのような点が工夫されているか、などを挙げてもらいました。
第7回・プレゼンテーション
* アンケートのとり方 *
アンケート用紙に盛り込む内容は、@依頼文、A質問事項、B回答者の特性(男女、年齢など) の3部構成にすること。 質問事項を並べる順番について、また必要以上にプライバシーに立ち入らない、 質問文は簡潔に、あいまいな言葉は使わないなどの注意事項について話をしていきました。 最後に、制服をテーマにしたアンケートを例示し、留意事項がきちんと活かされているかどうかなど、 検証をしてもらいました。
* デモンストレーション *
例示したアンケート用紙を元に、情報収集した結果を教員がデモンストレーションしました。 生徒たちに具体的なイメージを持ってもらいたかったからです。 その後、良かった点、悪かった点などを指摘してもらいました。 (わざと、良くない点を仕込んであります。) 文字数が多い、どこを強調したいのかわからない、結論が小さく書いてある、 スライドを表示する時間が短い、意味のないスライドがあるなどの指摘がありました。 良かった点としては、写真を効果的に活用している、 グラフがシンプルで見やすいなどの意見が出ました。
いよいよ次回からが具体的なテーマ設定に沿って、アンケートの作成、資料収集となります。
第8回・プレゼンテーションの準備(1)
* テーマ設定とアンケートの作成 *
今回は、アンケートの作成をしました。 とは言っても、テーマの絞りこみができて、プレゼンテーションの全体像が描かれていないと、 アンケートも作れません。ワークシートに記入する形で、そのあたりをイメージしていきます。
また、例えば全国の高校生、もしくはアメリカの高校生と清陵生を比較をするという場合、既にある アンケート項目に合わせていかないとむずかしい面があるので、先にデータの収集をしなければなりません。 また、アンケート項目に対しては、仮説を立てて予想をすることも重要で、選択肢にも反映されますし、 結果を考察するためにも必要だということを指摘しました。
2時間の授業の中で、アンケート用紙を作るという作業を通して、見通しがたったかな? できたものは、40枚ほど印刷をして、後日渡すので、自分の所属するクラスなどで、 きちんと趣旨を説明し、協力を依頼するように指示をしました。 また、アンケート結果については、次の授業までに集計をしてくることとしました。
第9回・プレゼンテーションの準備(2)
* アンケートの集計とデータのグラフ化 *
先週からの1週間で、ほとんどの生徒はアンケートを実施できましたので、 それをExcelで集計し、グラフ化していきます。 どんな集計表を作っていけばいいのか、苦労しているようでした。 第3回で学習した内容を思い出しながら、 何を伝えたいか、ということを意識してグラフ化していきます。
* 絵コンテの作成 *
プレゼンテーションする際に使用するスライドの絵コンテをかいていきます。 データ、グラフ、画像などをどのように活用して、 プレゼンテーションの流れを作っていくかをデザインしていくわけです。 ちょうど、できあがったスライドの配布資料を下書きするようなイメージです。
第10回・プレゼンテーションの準備(3)
* 絵コンテの作成 *
絵コンテが仕上がると、生徒たちはそれを見せに私のところにもってきます。 プレゼンテーションの流れと、スライドに盛り込む内容を確認します。 条件になっていた外部情報をどこに加えるか、結論としてはどういう主張をするのか、 曖昧なところを掘り下げていきます。私のところでOKが出ると、 次のステップ、スライドの作成に取りかかります。
* スライドの作成 *
絵コンテに従って、スライドを作成していきます。 本番の会場は、多目的ルーム、部屋の大きさや明るさなども考慮して、 スライドの背景や、文字の大きさ、色などにも注意を払うよう指導します。
* 実習記録 *
毎時間、作業の終わりに、本日の作業内容と感想を書いてもらいます。 スケジュール管理も自分でできるようにという目的です。 また、私の方で、生徒たちの進行管理をすることもできます。 私の方でも毎回目を通し、コメントを入れるようにしています。
第11回・プレゼンテーションの準備(4)
* スライドの作成 *
スライドはほぼできあがってきたかなというところです。 早い生徒は、原稿を書き始めています。
* リハーサルの確認 *
今日は、夏休み前の最後の1時間でした。 作業の進行が遅れている生徒は、夏休み中にその遅れを取り戻してほしい、 または、さらに発展させてほしいとしました。 9月の授業では、リハーサルから入るということを確認しました。
第12回・リハーサル
* リハーサル *
夏休み最初の授業では、プレゼンテーションのリハーサルを実施しました。 4人1組になって、順番にリハーサルをします。改善点を中心にお互い意見交換をします。
第13回・プレゼンテーション
* プレゼンテーション *
多目的ルームに会場を準備し、 一人ずつプレゼンテーションを行いました。 予め確認した評価の観点に従って、相互評価をしながら聞くことになります。
アニメーションを効果的に使うなど、 昨年1年次で行ったプレゼンテーションと比較すると、 それぞれレベルアップしています。
第14回・まとめ
* まとめ *
40分1コマの設定でした。 この単元のまとめとふり返りをしました。 また、後半は次の単元「バーチャルどんどん商店街」への取り組みについての 話をしたり、昨年の作品を鑑賞したりしました。