Weekend Mathematics情報/「ロボット入門」の授業(2004年)


「ロボット入門」の授業(2004年)

「ロボット入門」の指導計画


* はじめに *

昨年に引き続き、県立磯子工業高校電気科のご協力を得て、 「ロボット入門」という科目を開講することになりました。
自分の作ったロボットが動く感動を味わってもらいたい、 プログラミングすることで実体としてのロボットを制御することを体験してほしいということで この科目を計画し、昨年度は、大岡高校にて短期集中講座(1単位認定)という形で実現することができました。 今年は学校も「横浜清陵総合高校」として新たなスタートを切り、 この科目も今年度は2単位の科目(前期+夏期集中講座)として、更に充実したものにしていきたいと思っています。
前期9月までは、本校にてロボットを多角的に学んでいければと思っています。 夏休みには、県立磯子工業高校 へ出かけて行き、工業高校の本格的な施設をお借りしながらライントレーサの製作実習を ご指導いただきます。 本校は総合学科とはいうものの、前身が普通科であり、いろいろな意味で限界があります。 近隣の工業高校である磯子工業高校のお力をお借りすることで、この科目が実現できたことを心から感謝しております。

この科目は1〜3年生向けの選択科目として開講しました。 定員15名のところ、1年次生11名、2年生4名の内訳です。担当教員は2名です。




第1回・科目オリエンテーション

* 科目オリエンテーション *

最初の授業では、授業の概要を説明しました。

まずはこの科目の目標、めざす姿について話をしました。

アシモなど人型ロボットやペットロボットなどが話題になっていますが、 実は他にも様々なロボットが産業、医療、福祉、調査研究などの様々な分野で活躍しています。 人間とロボットとの関わりを考えながら、実際にロボットを組み立てて動かすという実習を通して、 コンピュータによるロボット制御の基本を学びます。

そして授業計画、評価の観点、評価の材料(出席、意欲、提出物、課題、筆記試験など)、 教材などについて説明しました。
次に、学校のネットワークへのログインの仕方を説明しました。 各自ユーザー名とパスワードを配布、確認してもらい、 実際にログインしてもらいました。 コンピュータ教室を使う上での注意点としては、 飲食厳禁、携帯電話等の原則使用禁止、メディアの持ち込み禁止などを注意しました。
個人用にこちらで用意したホームフォルダの使い方の説明をしました。 「マイドキュメント」に保存したものは、自動的にファイルサーバーに保存されること、 ここへのアクセス権は、本人と担当教員しか持っていないこと、 使いやすいように使っていいが、容量が無制限ではないので、 無茶な使い方はしないでほしいということなどを伝えました。 そして、ここに「ロボット入門」というフォルダを作成してもらい、 この科目でのファイルはすべてここに保存をするように指示をしました。
次にWordを起動し、そこに簡単な自己紹介を書いてもらいました。
そしてこのファイルを「先ほどの「ロボット入門」フォルダに保存し、提出してもらいました。 ファイル名は「****自己紹介」、ただし、****は学年、組、番号を表す4桁の数字になります。 個人を識別するために、必ず頭に数字4桁を入れるということなどを指示しました。
そして提出ですが、提出専用のフォルダを指示し、そのショートカットをデスクトップ上におき、 自己紹介のファイルを提出してもらいました。
さらに、私の方からファイルを配布するための配布用フォルダも同様にショートカットを作った後、使い方の 説明をしました。

最後に、アンケートに協力してもらいました。 質問項目は、なぜこの講座を選択したか、 他にどのような選択科目を取っているか、 他に学習したい分野は何かなどとともに、自宅でのコンピュータ環境、携帯電話等の所有について、 並びにそれらを利用してどのようなことを行っているか、などです。

* 私とロボットとの関わり *

この授業は、個人での活動もありますが、多くはグループワークであり、 たった15人しかいないということもあって、仲良くやっていきましょうという意味で、 後半は、生徒1人ずつ自己紹介をしてもらいました。その中で、ロボットとの関わりについても話をしてもらいました。
ロボットについては、もちろんさわったこともないし、全く何も知らないという生徒が半分くらい、 一方、中学校の総合的な学習の時間で、ロボットを作り、ロボットコンテストに参加したという生徒、 虫ロボットを作ったことがある生徒、ロボットとの関わりはないけれど将来はプログラマーになりたいという生徒なども いました。なかなか楽しみなメンバーです。
最後の次回のグループ分けをして、次回予告編ビデオをほんの少し見て終わりになりました。



第2回・からくり人形

* ロボコン出場ロボットのデモ *

昨年、中学校の総合的な学習の時間でロボットを製作し、ロボコンに出場したという生徒が2名いまして、 その生徒に頼んで、ロボットを持参してもらいデモンストレーションをしてもらいました。 寝かされた箱を立て、そこにピンポン球を入れていくというものです。鮮やかに操縦をしてピンポン球が ゴールに入ると拍手が起きました。操縦させてもらったりしながら、苦労した点、更に改良したい点など話を聞きました。

* からくり人形 *

日本におけるロボットの原点ということで、「からくり人形」を取り上げました。 NHKの番組「からくり人形」をみました。ここでは、弓曳童子、茶運び人形、段返り人形、山車のからくりなど、 江戸時代の日本で多くの人々に愛された「からくり人形」の素晴らしさを見ることができました。 生徒たちの感想を紹介します。


そして、自分たちも「からくり人形」の製作にチャレンジすることにしました。 4チームに分かれて、 学研・大人の科学の 大江戸からくり人形(茶運び人形)、弓曳童子の製作に取り組むことにしました。 今日は箱を開けて、部品を確認したところで時間切れでした。また続きは次回。





第3回・からくり人形制作

* からくり人形 *

本格的に、からくり人形の制作に取り組みました。 大江戸からくり人形(茶運び人形)が2チーム、弓曳童子が2チームです。



弓曳童子チームは、台座部分の動力部から取りかかります。 カムが複雑に組み合わさっています。



茶運び人形チームは足の部分ができたところです。



弓曳童子チームは、動力部ができて、人形部分にとりかかっています。 カムの動きを各部分に伝える糸を張っていきます。 これがなかなか大変。



茶運び人形チームは、動力部が完成し、 足の部分と合体させました。動きを確認です。 うまくいかずやり直し・・・。 動く距離と回転の具合を調整して、ばっちりです。 衣装はまだつけていませんが、ほぼ完成。





第4回・からくり人形制作

* からくり人形 *

前回に引き続き、からくり人形の制作です。



弓曳童子チームは、糸かけですが、とても細かい作業なので大変です。



茶運び人形チームは完成です。
進む距離と回転する角度を調整します。




矢立ての組み立てと糸かけも終わり、構造部がほぼ完成。 連携した動きを調整していきます。うまく矢が放たれると、拍手!・・・でした。





第5回・からくり人形制作

* からくり人形 *

予定の時間を超えてしまいましたが、今回も制作の続きをしました。 予想以上に「弓曳童子」制作が難航しています。

弓曳童子チームは、弓と的の位置を調整しますが、 衣装を着せると、また微妙に動きに影響が出たりして、 細かい調整が必要になります。

「これでも簡略化しているのでしょう? 江戸時代にこれだけのものを 作った人たちって本当にすごい! しかもあの時代にはプラスチックなんて ものはなかったのだから・・・」と、感想をもらす生徒がいました。



茶運び人形チームは既に先週の段階で完成していますので、 来週の発表に備えて、模造紙に調べたことなどをまとめています。






第6回・からくり人形制作のまとめ

* からくり人形制作のまとめ *

からくり人形のまとめの発表をしてもらいました。

1班は、茶運び人形のデモと、そのからくりについて説明をしました。

3班は、やはり茶運び人形のデモと、 江戸時代のからくり人形を作った人々について発表をしました。


2班は弓曳童子ですが、カムの微調整が完全にできておらず、 矢を飛ばすことはできませんでした。 糸かけに苦労したことや、カムの動きが糸によって各部所に伝わること などを説明しました。

4班の弓曳童子は、見事に4本の矢を続けて放ちました。 (ただし衣装を着せると微調整が狂うということで、衣装を着ていないのが残念!)



からくり人形の制作を終えての生徒たちの感想です。



* ロボットの歴史 *

ロボット開発の歴史について話をしました。
「ロボット」の語源がチェコ語の「robota(ロボータ)」であること、 文学や、アニメーション、映画にでてくるロボット、 ロボット三原則、からくり人形、産業ロボットについてなどです。






第7回・ロボットの歴史/活躍するロボット

* ロボットの歴史 *

前回に引き続き、アニメや映画に登場するロボット、 そして最近の話題では、ASIMOなどの2足歩行ロボットや、 エンターテイメントロボット、ペットロボット などについて話をしました。


* ロボフェスタ神奈川2001公式記録 *

ロボフェスタ神奈川2001公式記録のDVDをみました。ちょうど2年前に横浜をはじめ、横須賀、相模原、川崎の4会場で開催されたものです。2年前の映像ではありますが、様々な分野で活躍しているロボットの様子が映像でよくわかります。後で生徒に感想を聞いてみると、





* 活躍するロボット *

そして、2004年、様々な分野で活躍するロボットとその未来を展望していこうと思います。 15人のメンバーが以下にような分野をそれぞれ担当し、報告することにしました。 今日は、分野の割り振りをしました。

  1. 宇宙ロボット
  2. 海洋ロボット・航空ロボット
  3. 医療ロボット
  4. 災害救助ロボット
  5. 地雷除去ロボット
  6. マイクロロボット
  7. 産業ロボット
  8. エンターテイメントロボット
  9. ペットロボット
  10. コミュニケーションロボット
  11. 介護ロボット
  12. 警備ロボット
  13. ホームロボット
  14. 人型ロボット(ヒューマノイド)
  15. 競技用ロボット(ロボコン)




第8回・活躍するロボット・調べ

* ロボットの活躍ぶりを調べます *

最初に、プレゼンテーションで使うスライドの作り方(パワーポイントの使い方)を 説明しました。半数以上の生徒が初めて使うという状況でした。
書籍、雑誌、新聞、そしてインターネットなどを使って、 各自が担当している分野のロボットについて調べて、まとめていきます。
「マイクロロボットって何?」「ホームロボットってどういうものを指すの?」というところから 調べていきます。






第9回・ 活躍するロボット・発表(1)

* プレゼンテーション *


それぞれが調べた分野のロボットがどのような活躍を見せているのか、 将来はどのように活かされるのかなどを発表していきます。
マイクロロボットは、その技術を医療分野に応用できそうです。


介護ロボットは、これからの高齢化社会にはとても役立ちそうな分野です。
医療の分野では、手術支援ロボットなども実用化しています。

また、エンターテイメントやペットロボットなどは、 最近特に開発が進んでいます。人間の友達として、ますます 活躍を期待する声が多くありました。



災害救助ロボットの報告をしています。
「災害救助のあたる消防隊員たちは、 操作の練習をするのですか?」という質問も出ました。

地雷撤去ロボットについては、コストの問題が壁となって、 本当に必要とされる国は有効性がわかっていても、 ロボットを購入できないという現実があるという報告もありました。

競技用ロボットとしては、 ロボットの大きさやルールによって、各種の協議会があるということですが、 ロボカップサッカーのレポートがありました。 ロボットどうしが通信をしてコミュニケーションをとり、 サッカーをする、いずれ人間のサッカーチームと戦える日が来るのでしょうか?





第10回・ 活躍するロボット・発表(2)

* プレゼンテーション *

前回に引き続き、「活躍するロボット」のプレゼンテーション を行いました。
すべてが終わって、それぞれ感想を書いてもらいました。





第11回・ロボット開発に関わる人々(1)

* NHKスペシャル「疾走ロボットカー」を見て *

5月16に放送されたこの番組を見ました。


技術開発は決して止まることなく進むでしょう。 でもそれに関わる人は、その技術が私たち人類にとってどんな意味があるのかを 考える必要があると思います。





第12回・ロボット開発に関わる人々(2)

* NHKプロジェクトX「復活の日 ロボット犬にかける」を見て *







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