Weekend Mathematics/情報/「情報と表現」の授業
はじめに
今年度から、2・3年生を対象に専門教科情報の「情報と表現」という科目を開講します。 「情報A」で学んだことを受けて、それを発展させていきたいと考えています。 講座は月・木の2講座で合わせて50人が受講します。 それぞれ午後の2時間連続です。 担当は教員2人と授業補助者の3人であたります。 教科書は、実教出版の「情報と表現」を使用します。
第1回・科目オリエンテーションと図解による表現技法
* 科目オリエンテーション *
第1回目の授業では、まず授業の概要を説明しました。 科目の目標、年間の授業内容、評価などについてです。
情報処理室を使う上で注意する点(飲食厳禁、携帯電話等の使用禁止、FDの持ち込み禁止など)についても再確認をしました。
* 図解による表現技法 *
情報伝達をする際に、イラストや図、表やグラフなど視覚的に訴える方法を効果的に使いましょうということです。実際に身近なところで使われている図として、案内表示(トイレや駅、非常口など)、道路標識、PCで使うアイコン、各種のロゴなど、言葉を介さなくても情報を伝えるための工夫がたくさんあるということ、そのことによる利点などを確認しました。
また、表やグラフによる効果ということで、表計算ソフト(EXCEL)を使った演習をしました。 教科書にあるいくつかの表を見やすい形で作り、それをグラフ化するということです。 EXCELは1年生の授業で扱いましたので、それを思い出しながら、やってもらいました。 表について見やすい工夫をしてほしいということで、生徒たちはセンタリングや罫線の挿入をしていましたが、数値データについては桁をそろえる意味で必ず右寄せにしておくよう注意をしました。 グラフの作成については、まずデータの内容から適切なグラフの種類を選ぶことなどを注意して作業してもらいましたが、それぞれ妥当なものを選んでいました。 表の方に合計覧があると、それも含めて範囲指定をしてしまう生徒がいます。 それについても注意をしました。そのグラフを用いて何をどう伝えたいかということを考えて、細かい工夫をするよう指導をしました。
第2回・プレゼンテーション
*プレゼンテーションってなに?*
プレゼンテーションってなに? というところから話を始めました。 プレゼンテーションとは、限られた時間内に相手に情報をわかりやすく正確に伝えること。 そしてそれによって、相手の理解を得るとともに、こちらの提案を受け入れてもらうこと。 具体例として、自己紹介、研究発表会、説明会、会議、イベント、商品セールス、選挙演説、結婚式のスピーチ、面接試験などを挙げました。面接試験については、 特に3年生は近い将来、次の進路をめざして課題となるかもしれませんので、例として取り上げると生徒たちもイメージが描きやすいようです。
次にプレゼンテーションの本番に至る流れ、”内容を検討し、資料収集、資料作成、リハーサル、そして必ずその評価と振り返りがあり、本番に至る”を説明し、準備がいかに重要であるかということを強調しました。
効果的なプレゼンテーションをするためのツールとしては、黒板、図、OHP、ビデオ、実物・模型、PC・プレゼンテーションソフトなどを挙げました。実は生徒たちが日常的に受けている授業もプレゼンテーションの1つで、先生方は授業内容を効果的に伝えるためにいろいろ工夫をしているのだということにも触れました。
プレゼンテーションの際の態度については、ボディランゲージ、アイコンタクト、服装、熱意などの重要性について、商品セールスや面接試験を例に話し、特に服装や熱意を判断するのは自分ではなく、受け手の側であるということも強調しました。
ひととおりプレゼンテーションというものがわかったところで、生徒たちに課す課題(高校生活をテーマにアンケート結果などを活かし、プレゼンテーションをする。)の確認をし、 相方の先生に模範のプレゼンテーションをデモンストレーションをしてもらいました。 高校生と携帯電話との関係をテーマにした10分ほどのプレゼンテーションでしたが、終わると生徒から自然と拍手が出ました。これを受けて、私の方でよかった点を指摘していき、資料にメモをしてもらいました。指摘したのは以下のような点です。
- 内容がわかるタイトル
- 導入の仕方、テーマ設定の経緯など
- アンケートの対象を明確にする
- 自分の予想との比較
- グラフと表の利用
- 自分なりの分析
- アンケート以外の外部データとの比較
- 資料のでどころを明確にする
- インターネットだけでなく、様々なメディア(新聞など)を利用する
- まとめ、結論をのべる
- 最後のあいさつも忘れずに
*プレゼンテーションソフトの活用*
プレゼンテーションソフトの活用の仕方を実習しました。 中学生を対象にした学校説明会で大岡高校を 紹介するプレゼンテーションをするという想定で、スライド6枚のプレゼン資料を作りました。
- タイトルページ(背景の設定など)
- 大岡高校の写真(画像の挿入・テキストの挿入など)
- 大岡高校の特徴(箇条書き・フォントの変更など)
- 卒業生の進路状況(グラフの作成と貼り付けなど)
- まとめ(テキストの挿入・フォントの変更など)
- おわりのページ
最後にスライドショーを実行し、雰囲気をわかってもらいました。
第3回・プレゼンテーションの準備1
*アニメーション*
前回作ったプレゼンファイルの補足をしました。 具体的には、卒業生の進路状況のグラフの作り方についてで、データ内容とグラフの種類との関係についてです。 データ項目が1つで、全体の割合を示したければ円グラフ、 データ項目が複数(男女別など)でその比較もしたければ、棒グラフが適当というようなことです。
更にアニメーションによる効果についての説明をし、箇条書きの部分に設定してもらいました。 効果音などもつけていろいろ試していましたが、 あまり過剰に設定するのは逆効果なので、よく吟味してポイントを絞って活用するようにと指導しました。
*下書き*
プレゼンテーションの構想を練るということで、テーマ、使うデータ、新たに収集するデータなどを確認し、パワーポイントの配布資料のような雰囲気で、下書きをしてもらいました。(紙に鉛筆で)
前回、教員のデモを見せた後配布資料を配り、そこにコメントをいろいろ書き込んでもらっています。生徒たちはそれをお手本に考えていました。
早い生徒は全体の構想ができて、この時間からプレゼン資料の作成に入っていました。
第4回・プレゼンテーションの準備2
*プレゼン資料作成*
今回は2時間かけて、プレゼンの資料作成をしてもらいました。 テーマ設定にまだ迷っている生徒、テーマは決まったけれど話をどう展開したらいいのか迷っている生徒などが若干います。最終的に結論をどういう形にもってくるか、それに向けてストーリーをどのように組み立てていくか、どういうデータをどう提示したらいいのか、個別に指導しながら、アイディアを引き出します。
第5回・プレゼンテーションの準備3
*プレゼン資料作成*
プレゼン資料を完成させることと同時に、ノートの部分に簡単なメモ や口頭で話す内容などを書いてもらいました。 印刷をして本人の原稿としました。
*リハーサル*
リハーサルができる場所(プロジェクター、スクリーン)を2箇所用意し、適宜やってもらいました。 嫌がるかなと思っていたのですが、案外多くの生徒が積極的に やっていました。教員の方でアドバイスをするということもありますが、 生徒同士お互いに評価しあう光景も見られました。
第6回・高校生活アンケートによるプレゼンテーション
いよいよプレゼンテーションの日です。 相互評価をするための評価シートを配布し、評価の観点を確認しました。 生徒たちは、それぞれ順番にプレゼンテーションをしながら相互評価をしていきますが、 教員はそれをどう評価するか?
ということを事前に生徒に伝えました。 発表の順番はトランプを切って決めました。
- プレゼンテーションそのものを評価する
- 聞く態度を評価する
- 他者のプレゼンテーションを適切に評価できるかどうかを評価する
いくつかの作品を紹介します。
生徒の感想です。
- プレゼンテーションに取り組んで見て、とても楽しかったし、もっとたくさん調べれば良かったです。 他の人のは、まとめがとてもわかりやすくて、見ているのも楽しかったし、色の使い方もうまくて良かった。 初めてだったので、緊張したけれど、またこうやって発表する機会があるかもしれないので、 今日の経験を次の機会で生かしたいです。
- 自分で作ったものより、他の人の方がうまかった。発表は恥ずかしかったけれどためになったと思う。 高校生の実態もわかったし、いい機会だったと思う、とても楽しかった。
- やってみて思ったこと、どうしてもあがってしまった。アイコンタクトがむずかしい、思ったことが言えなかった。 何回かやればうまくできそうな気もするけれど、何度もやりたいとは思わなかった。 思っていたよりむずかしいものだった。習ったもの全部を使うことができなかった。
- 1年生のときよりもみんな構成がよくなっていてびっくりしました。 声が小さい人がいて残念でした。特にむずかしいと思うのがアイコンタクトです。 自分も満足にできなかったのが残念です。
- まず自分でなにを結論づけるかというのがむずかしかった。アンケートの中で、何を言おうか、自分では何を調べたいかなど、考えながら進めていかなければならないので、いろいろなことを考えさせられた。
- みんなの発表をみて、プレゼンテーションが上手い人、上手くない人いろいろいることがわかった。上手な人はものすごく工夫されていてわかりやすかった。自分はあまり上手くできなかったけれど、いろいろな人のプレゼンテーションを見ることができて楽しかった。
- 情報の授業でプレゼンテーションをするのは2回目で、1回目ほど緊張をしなかった。プレゼンテーションの内容も1回目と比べて良くなっていると思う。見る立場でいろいろとチェックするのは結構むずかしいということを感じた。またプレゼンテーションをする機会があると思うので、次はもっといいプレゼンテーションをしたいです。
評価について
この単元について、観点別の評価規準と具体的な評価方法をまとめてみました。
関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解 評
価
規
準
・積極的に課題を見いだし、解決に向けて取り組もうとする。
・効果的なプレゼンテーションを行うための工夫をはかろうとする。
・自分や他者を評価し、改善につとめようとする。
・課題解決をはかるためにはどのような手法があるかを考え、適切に使うことができる。
・効果的なプレゼンテーションを行うための様々な方法を理解し、適切に用いることができる。
・他者のプレゼンテーションのいいところを見いだし、評価することができる。
・課題解決のための情報収集、加工、表現などが適切にできる。
・伝えたい内容をプレゼンテーションソフトウエアなどを使って効果的に表現できる。
・人前にたって、伝えたい内容を効果的にプレゼンテーションできる。
・自ら課題を見いだし課題解決をはかることの意義を理解し、 具体的に解決をはかるための手法についての知識を身に付けている。
・効果的なプレゼンテーションの意義を理解し、 そのための様々な工夫についての技法を身に付けている。
評
価
方
法
等
出席状況
観察
評価シート
感想文 など
プレゼン絵コンテ
プレゼンテーションファイル
評価シート など
プレゼンテーションファイル
プレゼンテーション(発表) など
プレゼンテーションファイル
プレゼンテーション(発表) など