Weekend Mathematics問題/問題34

34.三角形の問題


左の図のように△ABCの各辺を一定方向に延長して△A'B'C'を作る。
そして、AC:A'C=1:3、BC:BC'=1:2、AB:AB'=1:3です。
この時△A'B'C'の面積は△ABCの面積の何倍になるでしょう。





問題の出典


ピ−タ−・フランクルの算数名問題

ピ−タ−・フランクル

講談社






答えと解説












答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:海津北高校1年情報処理科)


△ABCの面積をSとおくと、
BC=CC’より△ACC’=S
AA’=2CAより△AA’C’=2S
AA’=2CAより△AA’B=2S
BB’=2ABより△A’B’B=4S
BB’=2ABより△BB’C=2S
BC=CC’より△B’CC’=2S
よって、△A’B’C’=14S
すなわち、14倍(答)




解答・その2

(ペンネ−ム:ちゃめ)


三角形ABC'で、BC:CC'=1:1だから、
三角形ABC:三角形ACC'=1;1 ・・・(1)
三角形A'CC'で、AC:A'A=1:2だから、
三角形ACC':三角形A'AC'=1:2 ・・・(2)
三角形A'BCで、AC:A'A=1:2だから、
三角形ACB:三角形A'AB=1:2 ・・・(3)
三角形A'B'Aで、AB:BB'=1:2だから、
三角形A'AB:三角形A'BB'=1:2 ・・・(4)
三角形AB'Cで、AB:BB'=1:2だから、
三角形ABC:三角形BB'C=1:2 ・・・(5)
三角形B'BC'で、BC:CC'=1:1だから、
三角形B'BC:三角形B'CC'=1:1 ・・・(6)
(1)より、
三角形ACC'=三角形ABC ・・・(7)
(2)、(7)より、
三角形A'AC=2×三角形ABC ・・・(8)
(3)より、
三角形A'AB=2×三角形ABC ・・・(9)
(4)、(9)より、
三角形A'BB'=4×三角形ABC ・・・(10)
(5)より、
三角形BB'C=2×三角形ABC ・・・(11)
(6)、(11)より、
三角形B'CC'=2×三角形ABC ・・・(12)

三角形A'B'C'=三角形ABC+三角形ACC'+三角形A'AC+三角形A'AB+三角形A'BB'+三 角形BB'C+三角形B'CC'
だから、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)より、 三角形A'B'C'=14×三角形ABC
よって三角形A'B'C'の面積は三角形ABCの面積の14倍 ・・・(答え)




解答・その3

(ペンネ−ム:sambaGREEN)


△ABCの面積をSとすると,
△AA’B=2S , △CA’B=3Sから △AA’B’=6S , △C’A’C=3S
また△CBB’=2Sから △C’BB’=4S
したがって,△A’B’C’=S+6S+3S+4S=14S
全部1:3なら,対称性から,S+6S×3=19Sで,もっと楽なのにね





解答・その4

(ペンネ−ム:小春)


AB:BB’=1:L、CA:AA’=1:M、BC:CC’=1:N、 三角形ABCの面積を1と、すると、
三角形ABCと三角形ABA’は、高さが同じで、底辺がの比が、1:Mになっているので、
三角形ABC:三角形ABA’=1:M より、三角形ABA’の面積はM
同じように、ABA’:BB’A’=1:L より、三角形BB’A’の面積はML
      ABC :ACC’ =1:N より、三角形ACC’の面積はN
      ABC’:BB’C’=1:L より、三角形BB’C’の面積はL(1+N)
      ACC’:AC’A’=1:M より、三角形AC’A’の面積はMN
以上から全ての面積を足すと、
1+M+ML+N+L(1+N)+MN = (L+1)(M+1)(N+1)ーLMN
ここで、L=2、M=2、N=1を代入すると、
三角形A’B’C’の面積は14となるので、 求める答えは三角形ABCの14倍に、なると思います。




解答・その5

(ペンネ−ム:少年H)


△ABCにおいて AB=c,BC=a,CA=b,∠CAB=A,∠ABC=B,∠BCA=Cとすると
△ABCの面積は



△AA'B'において、AA'=2b,B'A=3c,∠B'AA'=π−Aであるから
△AA'B'の面積は



同様に



よって△A'B'C'=△AA'B'+△BB'C'+△CC'A'+△ABC
=(6+4+3+1)△ABC
=14 △ABC

答え 14倍




解答・その6

(ペンネ−ム:浜田 明巳)

今回はVisual Basicで解答プログラムを作ってみました.
プログラムの内容は以下の通りです. 乱数を使い3点A,B,Cの座標を決定し,3点A',B',C'の座標を求め, ヘロンの公式を使い,△ABC,△A'B'C'の面積を計算し, 比△A'B'C'/△ABCを計算する. A,B,Cの座標を少しずつ動かし,それぞれの場合の比を計算する. この試行を全部で500回繰り返し,比の平均を求める.
このプログラムにより,答は14になる事が分かります.

Option Explicit
Sub Form_Load()
    Picture1.Scale (0, 0)-(1, 1)
End Sub
Sub Command1_Click()
    '三角形の問題
    Randomize Timer
    Dim j1, j2, j3, j4, j, jj, iro, iro0, iro1, iro2 As Integer
    iro0 = RGB(255, 255, 0): iro1 = RGB(0, 0, 255)
    iro2 = RGB(255, 0, 0)
    Dim shikoukaisuu, kaisuu, machijikan As Long
    shikoukaisuu = 500: kaisuu = 0: machijikan = 400000
    Dim x(1, 5), d(1, 2), hen(2), s, menseki(1), wa, hi As Double
    Dim s_genkai, d_genkai, hi_genkai As Double
    wa = 0: s_genkai = 0.2: d_genkai = 0.005: hi_genkai = 10 ^ (-12)
    Dim ten(5) As String
    ten(0) = "A": ten(1) = "B": ten(2) = "C"
    For j1 = 0 To 2: ten(j1 + 3) = ten(j1) + "'": Next
    Picture3.Cls: Picture4.Cls
    For j1 = 0 To shikoukaisuu
     For j2 = 0 To 2
      For j3 = 0 To 1
       If j1 = 0 Then
        x(j3, j2) = Rnd * s_genkai + 0.5
        d(j3, j2) = (Rnd * 2 - 1) * d_genkai
       Else
        d(j3, j2) = d(j3, j2) + (Rnd * 2 - 1) * d_genkai
        If Abs(d(j3, j2)) > d_genkai Then
         d(j3, j2) = -Sgn(d(j3, j2)) * d_genkai
        End If
        x(j3, j2) = x(j3, j2) + d(j3, j2)
        If Abs(x(j3, j2) - 0.5) > s_genkai Then
         x(j3, j2) = 0.5 + Sgn(x(j3, j2) - 0.5) * s_genkai
        End If
       End If
      Next
     Next
     For j2 = 0 To 2
      j = (j2 + 2) Mod 3: jj = -3 * (j2 < 2) - 2 * (j2 = 2)
      For j3 = 0 To 1
       x(j3, j2 + 3) = jj * x(j3, j2) - (jj - 1) * x(j3, j)
      Next
     Next
     For j2 = 0 To 1: s = 0
      For j3 = 0 To 2
       j = j3 + 3 * j2: jj = ((j3 + 1) Mod 3) + 3 * j2: hen(j3) = 0
       For j4 = 0 To 1
        hen(j3) = hen(j3) + (x(j4, j) - x(j4, jj)) * (x(j4, j) - x(j4, jj))
       Next
       hen(j3) = Sqr(hen(j3)): s = s + hen(j3)
      Next
      s = s * 0.5: menseki(j2) = s
      For j3 = 0 To 2
       menseki(j2) = menseki(j2) * (s - hen(j3))
      Next
     Next
     Picture1.Cls
     For j2 = 0 To 3 Step 3: iro = -iro2 * (j2 = 0) - iro1 * (j2 = 3)
      Picture1.PSet (x(0, j2), x(1, j2)), iro
      For j3 = 2 + j2 To j2 Step -1
       Picture1.Line -(x(0, j3), x(1, j3)), iro
      Next
     Next
     For j2 = 0 To 2
      Picture1.Line (x(0, j2), x(1, j2))-(x(0, j2 + 3), x(1, j2 + 3)), iro0
     Next
     For j2 = 0 To 5
      Picture1.CurrentX = x(0, j2): Picture1.CurrentY = x(1, j2)
      Picture1.Print ten(j2)
     Next
     Picture2.Cls: Picture2.Print j1; "回試行"
     If menseki(0) >= hi_genkai Then
      For j2 = 0 To 1: menseki(j2) = Sqr(menseki(j2)): Next
      hi = menseki(1) / menseki(0): wa = wa + hi: kaisuu = kaisuu + 1
      Picture3.Cls: Picture3.Print "△A'B'C'/△ABC="; hi
      Picture4.Cls: Picture4.Print "平均                ="; wa / kaisuu
     End If
     For j2 = 0 To machijikan: Next
    Next
    Beep
End Sub
Private Sub Command2_Click()
    End
End Sub




正解者

かに海津北高校1年情報処理科小春
浜田 明巳少年Hマサボ−
tokisambaGREENch3cooh
ちゃめうにうに





まとめ

三角形の面積Sを求めるための公式は、 S=(1/2)・(底辺)・(高さ)です。
ですから、底辺を同じにして高さをm倍すれば面積もm倍となります。
逆に高さを同じにして底辺をn倍すれば面積もn倍となります。
同時に高さをm倍、底辺をn倍すれば面積はmn倍となります。
三角形A'B'C'を適当に分割し、上述のことを用いれば答えはでるかなと思います。

解答・その4で「小春」さんが示してくださったように一般に、 AB:BB’=1:L、CA:AA’=1:M、BC:CC’=1:Nとすると、
面積は、(L+1)(M+1)(N+1)ーLMN 倍となります。
さらに解答・3で「sambaGREEN」がおっしゃっているようにすべて同じ比ならもっとsimpleになります。
L=M=Nですから面積は、(L+1)3ーL3 倍となります。


「ピ−タ−・フランクルの算数名問題」には、これの立体版が載っています。

左の図のように4面体ABCDの各辺を各々2倍に延長して4面体EFGHを作る。 このとき、EFGHの体積は、ABCDの体積の何倍になるでしょうか?
というものです。


これはむずかしい・・・!!
上記の本からかいつまんで解答を引用させてもらいます。
元の4面体ABCDの頂点から1点Aを選び、EFGHの各頂点と結びます。
すると、4面体EFGHを4つの4面体、A-EFG,A-EGH,A-FGH,A-EFHに分割することができます。
それぞれの体積が4面体ABCDの体積の何倍になるかを考えていきます。
4面体の体積は、S=(1/3)・(底面積)・(高さ)ですから、底面積・高さに比例します。

  1. 4面体A-EFG
    △BFGの面積は△BCDの4倍なので、4面体ABFGの体積は4面体ABCDの4倍。
    △AEGの面積は△ABGの2倍なので、4面体AEFGの体積は4面体ABFGの2倍、 つまり4面体ABCDの8倍。

  2. 4面体A-EGH
    △AGHを底面と考えると、高さはEA:BA=2:1より4面体ABGHの2倍。
    更に、5点H、G、A、C、Dは同一平面上にあり、この平面を見ると、 △AGHの面積と△ACDの面積は等しいことがわかる。
    従って、4面体AEGHの体積は、4面体ABCDの体積の2倍。

  3. 4面体A-FGH
    4面体AFGHも△AGHを底面だと考えると、高さはBC:CF=1:1より、 体積は4面体ABCDと同じ。

  4. 4面体A-EFH
    4面体AEFHについては、底面を△AEFと考えれば、この面積は△ABCの面積の4倍。
    高さについては、HA:AD=1:1なので1倍。
    つまり4面体AEFHの体積は4面体ABCDの4倍。

以上のことから、8+2+1+4=15 ということで15倍という結論になります。
しかしながら、図形に弱い(頭の中でイメ−ジできない)私としてはかなりつらい・・・。


もう1つ1次変換を使った別解も示されていました。
これならばっちり、ということでやってみます。
左図のように各点の名称を付け直します。


となります。 この行列の行列式は |A|=12+1-(-2)=15 となりますので、15倍というわけです。

これを一般化するのは簡単です。


となります。 この行列の行列式は
|A|=n2(2n-1)+(-n+1)2(n-1)-n(n-1)(-n+1)= 4n3-6n2+4n-1 となります。
従って、体積は(4n3-6n2+4n-1)倍となります。

複雑な立体図形を頭の中に描くことのできる人や、 素晴らしいアイディアがぱっと浮かぶような天才、秀才ならともかく、 凡人にとっては、こういう地道な計算で解答にたどり着けるというのはうれしいことです。
計算をばかにしてはいけません。しっかりと基礎力をつけておくのは大切なことです・・・。


さて、もう1つ発展問題です。
三角形ではなく四角形ではどうでしょう?
つまり左の図のように、四角形ABCDの各辺をそれぞれ1方方向に2倍に延長して 四角形EFGHを作ります。
この時、四角形EFGHの面積は、もとの四角形ABCDの面積の何倍になるでしょうか?
出典:「パズルよりおもしろい中学入試の算数」

是非解答をお寄せください。

→ コロキウム室 NO.646 、 NO.651 、  NO.655 、 NO.656




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