Weekend Mathematics/コロキウム室/テーマ別/40.正三角形の内部を動く線分
NO.1066 | 2001.10.17. | yokodon | 正三角形の内部を動く線分(1) |
a は √3< a < 2 を満たす定数とする。
一辺の長さが2の正三角形ABCの辺AB、辺AC上(但し、端点を除く)にそれ
ぞれ点P、点Qがあり、PQ= a を満たしながら動くものとする。
三角形APQの面積の取りうる値の範囲を、a を用いて表せ。
NO.1067 | 2001.10.18. | BossF | 正三角形の内部を動く線分(2) |
AP=p , AQ=q とおく、
まず余弦定理より
a2=p2+q2-2pq・cos60°=p2+q2-pq
∴(p-q)2+pq=a2, i.e. pq=a2-(p-q)2
したがって pq≦a2
また p or q →0 で pq→0 はあきらか
よって 0<pq≦a2
さて
△APQ=pq・sin60°x1/2=(√3/4)pqだから
△APQ≦(√3/4)a2 (等号はAP=AQの時)…答
NO.1071 | 2001.10.22. | 浜田 明巳 | 正三角形の内部を動く線分(3) |
AP=x,AQ=yとする.
△APQにおいて,余弦定理から,
PQ2=AP2+AQ2−2・AP・AQ・cos∠PAQ
∴a2=x2+y2−xy………(1)
この方程式で表されるグラフを,原点を中心にしてθ回転させる.
この回転を表す式は,
x'=xcosθ−ysinθ,y'=xsinθ+ycosθ
であるから,
x=x'cosθ+y'sinθ,y=−x'sinθ+y'cosθ
となる.
(1)に代入すると,
a2=(x'cosθ+y'sinθ)2+(−x'sinθ+y'cosθ)2−(x'cosθ+y'sinθ)(−x'sinθ+y'cosθ)
∴x'2(1+sin2θ/2)+y'2(1−sin2θ/2)−x'y'cos2θ=a2
cos2θ=0とする為には,θ=π/4とすればよい.
このとき,
3x'2/2+y'2/2=a2
∴x'2/(2a2/3)+y'2/(2a2)=1
(x',y')を(x,y)にかえると,
x2/(2a2/3)+y2/(2a2)=1………(2)
これを表すグラフは図1である.
図1
つまり(1)の表すグラフは,図1のグラフを原点を中心にして−π/4回転したものの,
x>0,y>0の部分である.つまり図2となる.
図2
ここで,
△APQ=1/2・AP・AQ・sin∠PAQ=√3/4・xy
つまりxyの値の√3/4倍が△APQの面積であるので,xyの値の範囲を求めればよい.
xy=k(>0)とすると,これはx軸,y軸を漸近線とする直角双曲線である.
図2から,xy=kが最大となるのは,この双曲線が点(a,a)を通る(接する)ときであるので,
このとき,
k=a2
つまり,kの値の範囲は,
0<k≦a2
であるので,求める答は,
0<△APQ≦√3/4・a2
である.
NO.1073 | 2001.10.24. | yokodon | 正三角形の内部を動く線分(4) |
No.1067 の解答ですが、
余弦定理から p , q の条件式を出すところまでは良いのですが、問題はその後です。
ここでは簡単のため、点P、Qが辺の両端も含めて動くものとしましょう(題意と
は違いますが)。
このもとで、p, q は共に 0 ≦ p,q ≦ 2 の範囲を動きますが、0 と 2 のあいだ
の全ての実数をとれるかどうかは自明ではありません。
実際、本問の場合、√3 < a< 2 の仮定があるので、
p , q は 0 ≦ p,q ≦ 2 の範囲を連続に動けません。
このことを、図で考えてみましょう。
考え得る状況は、以下の3つです。
(i) 0 ≦ p,q ≦ 1
(ii) 0 ≦ p ≦ 1 < q ≦ 2 、又は 0 ≦ q ≦ 1 < p ≦ 2
(iii) 1 < p,q ≦ 2
(i)の場合は、a の条件から不可能です。
(ii)の二つの場合は、辺BCの中線に関して対称移動すれば本質的に同じ状況を
表すので、前者で考えます。
三角形ABCの辺AB、辺ACの中点をそれぞれM、Nとします。このとき、点P
は線分AM上、点Qは線分NC上にあります。点Pが点Aと一致するとき、CQ=2
- a ですね。ここで、点Pを点Bの方向に動かしてみると、点Aが点Mに至らないう
ちに、点Qは点Cに到着してしまい、そこで線分PQはつっかえてしまいます。
(iii)の場合は、…コレが最も思いつきやすいと思われますが…、当初点Pが点
Bに一致していたとき、点Qは線分CQ上にありますね。そこから点Pを点Aの方向
に動かすと、あるところで線分PQは辺BCに平行になります。そこから更に動かす
と、あるところまで点Pが来たときに、点Qは点Cに一致してしまい、そこでつっか
えてしまいます。
例えば、a = 11/6 等として、実際に実験なさってみると、状況が分かりやすいと
思います。
NO.1074 | 2001.10.25. | 浜田 明巳 | 正三角形の内部を動く線分(5) |
計算による答が出そろったところなので(いつの話?),
ここでパソコンのプログラムによる解答を投稿します.
今回はGRAPESを利用して解いてみました.
A(1,√3),B(0,0),C(2,0),AP=p,AQ=q,
直線AB:y=f(x),直線AC:y=g(x)
とすると,
f(x)=√3x,g(x)=−√3(x−Ax)+Ay,
P(1−p/2,f(Px)),Q(1−q/2,g(Qx)),
またp2+q2−pq=a2,p>0,q>0であるから,
q=(q+√(4a2−3p2))/2
となる.
これらのことがらから,次のGRAPESのスクリプトを作成してみた.
# file://Clickで計算開始 # clraimg # k:=.01 # for a:=Sqrt(3)+k to 2-k step k # t:=0 # for p:=k to 2-k step k # m:=Ax-p*.5 # q:=(p+Sqrt(4*a*a-3*p*p))*.5 # n:=Ax+q*.5 # if n<2 then # s:=.5*p*q*sin(Pi/3) # if t< s then # t:=s # u:=m # v:=n # endif # draw # endif # next # c:=u # d:=v # draw # next # ---
NO.1075 | 2001.10.25. | BossF | 正三角形の内部を動く線分(6) |
(^^;;Yokodonさんのおっしゃる通り…
「また p or q →0 で pq→0 はあきらか」は違ってますね、以下訂正
「AP=p , AQ=q とおく、
まず余弦定理より
a2=p2+q2-2pq・cos60°=p2+q2-pq
∴(p-q)2+pq=a2, i.e. pq=a2-(p-q)2…@
したがって pq≦a2
ここで、pqの最小値を考える。
まず、p<qとしても一般性を失わず
@よりd=q-pが最大の時にpqは最小であることに注意する。
i) a≦√3のとき
pが与えられると一般にqは二通りあるが、その大きい方のqを考える。
あきらかに p →0 が可能で、そのとき d→Max
よって最小値なし
ii)a>√3 のとき
qが与えられると一般にpは二通りあるが、その小さい方のqを考える。
あきらかに q →2 が可能で、そのとき d→Max
よって最小値なし
以上より pq≦a2
さて
△APQ=pq・sin60°x1/2=(√3/4)pqだから
△APQ≦(√3/4)a2 (等号はAP=AQの時)…答」
NO.1076 | 2001.10.28. | 浜田 明巳 | 正三角形の内部を動く線分(7) |
条件から,
x2+y2−xy=a2………(1)
0<x<2,0<y<2,√3<a<2………(2)
において
xy=k
の値の範囲を求めればよいことが分かる.
x,yの対称性から,y≧xの範囲で考えればよい.
(1)において,y=2とすると,
x2+4−2x=a2
∴x2−2x+4−a2=0
∴x=1±√(a2−3)
(影の声:だからa>√3なんだ!)
つまり直線y=2と曲線(1)の交点の座標は,
(1±√(a2−3),2)
である.
グラフから
1−√(a2−3)≦x≦1+√(a2−3)
の範囲では,y≧2となり,yは存在しないことが分かる.
故にxyは,
2{1−√(a2−3)}から2{1+√(a2−3)}まで
の範囲の値をとらない.
グラフから,
0<xy<2{1−√(a2−3)},2{1+√(a2−3)}<xy≦a2
△APQ=√3/4・xyであるから,
0<△APQ<√3/2・{1−√(a2−3)},
√3/2・{1+√(a2−3)}<△APQ≦√3/4・a2
NO.1078 | 2001.11.2. | yokodon | 正三角形の内部を動く線分(8) |
No.1076 の浜田さんのお答えで正解です((^人^) パチパチ)。
ここでは、余弦定理から得た条件式の対称性を活用した別解をご紹介したいと思います。
なお、AP= p 、AQ= q とさせて下さい。
まず、
a2 = p2 + q2 - pq …[1]
ですね。
p , q は、いずれも0と2のあいだを動くので、
u = p + q 、v = pq
とおくと、p,q は以下の2次方程式の0〜2のあいだの実数解(重解を含む)となり
ます。
t2 - ut - v = 0
この左辺を f(t) とおいて、そのような p,q が存在するための条件は、
f(0) > 0 、f(2) > 0 、0 <(軸)< 2 、(判別式)≧ 0
です。これを、u 及び v の式に直すと、以下です。
v > 0 、4 - 2u + v > 0 、0 < u/2 < 2 、u2 - 4v ≧ 0 …[2]
[1]式を u , v の式に書き直すと、以下です。
a2 = u2 - 3v …[3]
[2] および [3] の両式から、まず u の値域を求めます。
両式から v を消去し、
a < 3 - √(a2-3) < 3 + √(a2-3) < 2a < 4
に注意して整理すると、その値域は以下です。
a < u < 3 - √(a2-3) 、 3 + √(a2-3) < u ≦ 2a …[4]
この [4] のもとで u の関数 v ( v = 1/3・(u2 - a2) )の取りうる値域は、
この両区間で v が u の関数として単調増加であることに注意して、
0 < v < 2・{1 - √(a2-3) 、
2・{1 + √(a2-3)} < v ≦ a2
となります。
三角形APQの面積をSとすると、S=√3/4・v ですから、最終的に以下の結果
を得ます。
0 < S < √3/2・{1 - √(a2-3)} 、
√3/2・{1 + √(a2-3)} < S ≦ √3/4・a2
以前の No.1020 『動く正三角形』と同様、
対称性に着目すると基本対称式の活用
で解決できる(cf. No.1037)という問題でした。