Weekend Mathematics/コロキウム室/NO.122
NO.1036 | 2001.9.15. | 水の流れ | 最大雨量(1) |
太郎さんは、8月20・21日に行われた「県教育課程講習会」に出席してきましたが、
県教委の方が次のような身近な問題を出され、解説されました。紹介します。
問題:幅aの細長い鉄板を折り曲げて、といを作ります。
対称に2カ所で同じ角度に折り曲げて、切り口を等脚台形にします。(下の図)
どこでどのように折り曲げたら、雨を最も多量に流すことができるでしょうか。
NO.1037 | 2001.9.16. | yokodon | 動く正三角形(4) |
問題の提案者として、NO.1026,
NO.1031に補足させて下さい。浜田さん、DDT
さん、ご協力有り難うございました。
答は正しく √3/3 ですし、領域の境界が線分と放物線であることも正しいのです
が、その途中を一応きちんと示しておきたいと思います。いくつかやり方は考えられ
ますが、2通りだけ示します。
とりあえず、右図-1の様に座標系をとります。Oを原点とし、
点Oを通り、直線ABに平行な直線を x 軸、点Oを通り、それに直交する直線を y
軸とし、[AB] の向きを x 軸の正方向とします。このとき、2点A,Bは、以下の
ように取れます。
A (-1 , √3) B (1 , √3)
=その1;ベクトルを使う方法=
点Q、Rを以下のようにとります。
、 、0 ≦ q, r ≦ 1
三角形PQRが正三角形であることから、点Pの位置ベクトルは、回転行列を用い
て以下のように表せます。
但し、R(π/3) は角度 π/3 の回転行列(反時計回りを正方向とする)です。
これを、成分で表すと、以下です。
点Pが、線分AB上にあるための条件は、P (p1, p2) として、以下です。
-1 ≦ p1 ≦ 1 、p2 =√3
第2の等式より、q = r を得ます。第1の不等式は、このもとで自動的に成立し
ます。
これで、NO.1031 の議論は正当化されますね。
さて、線分QR上の任意点を ( X , Y ) とおくと、パラメータ l (0 ≦ l ≦ 1
)を用いて、以下のように表せます。
これを、成分で表すと、以下のようです。
0 ≦ l, q ≦ 1 のもとで l 及び q が動くときの ( X , Y ) の存在範囲を求めれ
ば、題意の領域になります。
上式を整理すると、以下を得ます。
l + q = X +1 、lq = 1/2・(Y/√3 + X)
従って、以下の2次方程式が 0 ≦ u ≦ 1 に(重解を含めて)2実解を持つため
の必要十分条件を求めれば、領域の式が出てきます。
u2 - (X +1) u +1/2・(Y/√3 + X) = 0
上の2次方程式の左辺を f(u) として、その条件は以下です。
f(0) ≧ 0 、f(1) ≧ 0 、0 ≦(軸) ≦ 1 、 (判別式)≧0
これを、X 及び Y の式に書き直すと、以下のように線分と放物線で囲まれた領域
を表すものになります。
Y + √3・X ≧ 0 、Y - √3・X ≧ 0 、
-1 ≦ X ≦ 1 、Y ≦ √3/2・(X2 + 1)
図示すると、右図-2の様になります。逆を辿る議論は、省略さ
せていただきます(が、良い練習問題になると思います)。
=その2:初等幾何を使う方法=
右図-1 の様な点配置のもとで、△APR≡△BQP≡△ORQであることを示します。
まず、
∠APR+∠ARP= 2π/3、∠APR+∠BPQ= 2π/3
であることから、以下を得ます。
∠ARP=∠BPQ
これと同様の議論を繰り返して、結局以下を得ます。
∠ARP=∠BPQ=∠OQR、
∠APR=∠BQP=∠ORQ
△PQRが正三角形であることから、上記の合同が成立します。
よって、AR=BP=OQ 等を得ます。
あとは適当にパラメータを定めで、上記“その1”と同様の議論で目的の領域を得
ることが出来ます。
他に、点Pの座標で点Q及び点Rの座標を表し、直線QRの掃過する領域を2直線
OA、OBで切り取ってやるという方針もあるでしょう。
“その1”の点の回転は、
複素平面において exp(2πi/3) を適当な複素数にかけ算することでも実現しますね。
或いは、単純にPQ=QR=RPでやっても手間はあまり変わらないのでは?
一応、最後まで言っておきましょう。
右図-2 の座標及び曲線表示のもとで、求める
面積Sは、以下のように求まります。
NO.1038 | 2001.9.20. | 渡部 勝 | 工夫力(1) |
「工夫力」
誰しもが同じ解答をする時に、違った角度からこの課題を見つめていて
別な解答をする力。と私は考えています。
さて、計算しても解けない課題です、工夫してください。
[横4 縦3の長方形があります。 対角線の長さは√{(4×4)+(3×3)}=√25と示されますが それでは√(4×3)=√12はどの長さとして示されるでしょうか?]
NO.1039 | 2001.9.20. | DDT | 最大雨量(2) |
問題:幅aの細長い鉄板を折り曲げて、といを作ります。対称に2カ所で同じ角度に折り曲げて、 切り口を等脚台形にします。 (図-1)どこでどのように折り曲げたら、雨を最も多量に流すことができるでしょうか。
2b+c=a
端の折り曲げ幅 b
折り曲げ角度 θ
といの面積 S
[方針]
単純にといの面積最大問題と考えます。bとθについての極大値を求める。
[bの範囲]
2b+c=a(=const.)よりc=a−2bで、0≦c<aだから、
0<b≦a/2 (1)
[θの範囲]
一定のbに対してθが90°を超えると、図-1より、といの面積は減るので、
0<θ≦π/2 (2)
[といの面積S]
両端の三角形とまんなかの長方形の面積を足せば、
S=b2cosθsinθ+bc・sinθ
です。2b+c=a(=const.)なので、
S(θ,b)=b2cosθsinθ+b(a−2b)・sinθ
[∂S/∂θ]
∂S/∂θ=2b2cos2θ+b(a−2b)cosθ−b2 (3)
(3)の右辺をf(cosθ)とおくと、cosθに関する2次関数で、(2)より0≦cosθ<1。
f(0)=−b2<0 ((1)より)
f(1)=b2+b(a−2b)>0((1)より)
なので、f(cosθ)=0は0<cosθ<1に必ず一つ実解を持ち、
cosθ=1の側でf(cosθ)>0,cosθ=0の側でf(cosθ)<0。
(2)よりθ=0 → π/2と動くとき、cosθ=1 → 0と動くので、
f(cosθ)=∂S/∂θ=0を満たすθは、S(θ,b)のθに関する最大値になる。
[∂S/∂b]
∂S/∂b=(−2b(2−cosθ)+a)・sinθ (4)
∂S/∂b=0とおくと、(2)よりsinθ>0だから、
b=a/2/(2−cosθ) (5)
0≦cosθ<1だったから、
0<a/4≦a/2/(2−cosθ)<a/2
となり、b=a/2/(2−cosθ)は(1)を満たす。
(4)のbの係数−2(2−cosθ)は必ず負かつ、sinθ>0なので、
∂S/∂b=0を満たすbは、S(θ,b)のbに関する最大値になる。
[S最大を与える(θ,b)]
(3),(4)より、
2b2cos2θ+b(a−2b)cosθ−b2=0 @
−2b(2−cosθ)+a=0 A
であれば良い。Aをbについて解いて(5)を得、それを@に代入すれば、
2cosθ−1=0
を得る。よってcosθ=1/2,θ=60°。
この時b=a/2/(2−cosθ)=a/3。この時のSは、
S(π/3,a/3) | =b2cosθsinθ+b(a−2b)・sinθ |
=a2/9・1/2・31/2/2+a/3・a/3・31/2/2 | |
= |
答え.といの両端から1/3を60°に折り曲げたときが流量最大。
NO.1040 | 2001.9.23. | Junko | 工夫力(2) |
下の図の長方形ABCDにおいて、AD=3、AB=4とします。
AとD、BとCが重なるように半分に折り目をつけます。
この折り目とCが重なるように、Bを起点に折り目をつけて広げます。
三角形BCEにおいて、∠EBC=30°、∠BEC=60°から、
CE:EB:BC=1:2:√3
従って、EB=2√3=√12
いろいろと思いめぐらす中で、
NO.1034 正方形の折り紙(5)がヒントになりました。
「あっ、そうか!」って思う瞬間、今までなんで悩んでいたんだろうと思います。
これはもっと一般化して、2辺の長さがa,bの長方形から、√abを作りだせそうですね?
NO.1041 | 2001.9.24. | 渡部 勝 | 工夫力(3) |
この課題はもっと一般化できるような気がしています・・・ということですが、
その前に横5 縦3の長方形から√15は如何でしょうか?
NO.1042 | 2001.9.25. | yokodon | 素数の逆数の和が1未満? |
模試シリーズ4
n を自然数とする。
数列{an}の各項は、以下の条件に従って定まるものとする。
(i) a1 = 2
(ii) 各 ak(k = 1,2,...,n)に対し、 x に関する以下の不等式を満たす最小の自
然数を an+1 とする。
(1)次の等式が成り立つことを示せ。
(2)異なる自然数 k, l に対し、ak と al は互いに素であることを示せ。
NO.1043 | 2001.9.27. | Junko | 工夫力(4) |
NO.1040 工夫力(2)と同様にして、CE=√3を得ます。
下の図のようにこれを2倍して、CF=2√3、横に移すことでGC=√3
従って、GF=√15
NO.1044 | 2001.9.27. | yokodon | 動く正三角形(5) |
NO.1037 動く正三角形(4)で、
問題の領域の境界の一部が放物線であることを確認しましたが、
その焦点と準線は一体どこにあるのでしょう?というのを、おまけとして考えてみたい
と思います。
といっても結論は簡単で、△OABと△PQRの重心は一致し、これをGとおくと
、Gが焦点になっています。また線分OGの中点をHとすると、Hを通り辺ABに平
行な直線 m が準線になっています。
実際、NO.1037 動く正三角形(4)の図-1の座標系のもとで、
G(0, 2√3/3) 、H(0, √3/3) なの
で、点N (X, Y) の軌跡を GN=NT(但し、点TはNから直線 m に下ろした垂線
の足)を満たすように取ると、件の放物線の式が出てきます。このとき、放物線上の
点Nを(勿論、△OABの内部において)一つ固定しそこで接線を引くと、Nが線分
QRの中点であって且つ△PQRが正三角形になるような3点P、Q、Rを辺AB、
BO、OA上に取ることが出来ます(PはNにおける放物線の法線と辺ABの交点と
して求めることが出来ます)。
逆に、(座標軸や各辺の長さの情報を取っ払っても以下は成り立つはずです)、G
から線分QRに下ろした垂線の足をNとすると、Nは線分QRの中点であり、さらに
直線 m にNから下ろした垂線の足をTとすると、GN=NTが成り立つことを示す
ことが出来ます。以上は、ベクトルや初等幾何の知識を使って証明できるはずなので
、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
NO.1045 | 2001.9.27. | 浜田 明巳 | 最大雨量(3) |
GRAPESによる解答を投稿します.
くいABの長さを1,折り曲げる部分の長さ(AC,BD)をa,
角(∠ACE,∠BDF)をb(0<a≦1/2,0<b≦π/2)とします.
このくいの断面である等脚台形の面積sが最大になるように,a,bを選べばよい.
0.001≦a≦1/2,0.001°≦b≦90°
の範囲で,a,bのきざみ値k,@を,それぞれ範囲の1/10きざみで面積sを計算していき,
最大になる場合のa,bを求めます.それらをそれぞれu,vとします.
さらに,
u−k≦a≦u+k,v−@≦b≦v+@
とし,きざみ値k,@を1/10倍し,新たに最大となるa,bを求めます.
この計算を合計6回繰り返し,最大となるa,bを求めます.
このスクリプトにより,sが最大となるのは,
a=0.33333,b=60°(s=0.14434)
の場合であることが分かります.
ただし,このスクリプトは計算し終わるのに,だいぶ時間がかかってしまいます.
その都度,計算結果を表示するようにしているので,それなりに暇つぶしにはなるでしょうが,
気が短い人にはきついかも知れません.
A(0,0),B(1,0),
C(a,0),D(1−a,0),
E(a−acosb,asinb),F(1−Ex,Ey)
# file://Clickで計算開始 # m:=0 # u:=0 # v:=0 # for d:=1 to 6 # if d=1 then # Hx:=.001 # Hy:=1/2 # k:=(Hy-Hx)/10 # Ix:=.001 # Iy:=90 # @:=(Iy-Ix)/10 # else # Hx:=u-k # Hy:=u+k # k:=k/10 # Ix:=v-@ # Iy:=v+@ # @:=@/10 # endif # for a:=Hx to Hy step k # for b:=Ix to Iy step @ # s:=(len(C,D)+len(E,F))*Ey/2 # if m<s then # m:=s # u:=a # v:=b # endif # draw # next # next # next # a:=u # b:=v # draw # ---