Weekend Mathematics/コロキウム室/1999.7〜9/NO.70
NO.605 | '99 9/1 | Junko | 源氏香(2) |
香の種類に関係なく形の違いだけを数え上げていけばいいということなので、
以下のように場合分けします。
同じ種類の香がいくつあるかで場合わけです。
香の形 | 場合の数 |
---|---|
5 | 1 |
4−1 | 5C1=5 |
3−2 | 5C2=10 |
3−1−1 | 5C3=10 |
2−2−1 | 5C2×3C2/2!=15 |
2−1−1−1 | 5C2=10 |
1−1−1−1−1 | 1 |
合計 | 52 |
NO.606 | '99 9/2 | 水の流れ | ジャンケン(1) |
西欧には、何かを決めるときコインでの表・裏を当てて決めています。
それに対して、日本では順番や鬼を決めるとき、ジャンケンで決めています。
2人でやったとき、アイコ(同じ、グー、チョキ、パーを出したとき)でない限り、
すぐに勝負がつきます。
3人でやったとき、全員同じもの出したり、3人が異なるものを出したりすると、
アイコでなかなか勝負がつかないことがあります。
そこで、問題です。何人かでジャンケンをした場合1回で勝負がつく平均回数を求めてください。
2人、3人、4人、5人、6人、・・・、10人のときまで、調べてください。
一般のN人のときは、どうなるのでしょう。私はまだ、求めていません。」
NO.607 | '99 9/4 | 浜田 明巳 | ジャンケン(2) |
N人でジャンケンをした場合,次の3つの場合,1回で勝負がつきます.
1人がグー,(N−1)人がチョキ
1人がチョキ,(N−1)人がパー
1人がパー,(N−1)人がグー
グーを0,チョキを1,パーを2で表し,パソコンの乱数を使って,
平均値を求めるプログラム(エクセル・マクロ)を作りましたので,紹介します.
このプログラムによると,試行回数1000000回で,
N | 平均 |
---|---|
2 | 0.667106 |
3 | 0.334096 |
4 | 0.148154 |
5 | 0.061988 |
6 | 0.024455 |
7 | 0.009632 |
8 | 0.003711 |
9 | 0.001371 |
10 | 0.000487 |
11 | 0.000188 |
12 | 0.00006 |
13 | 0.000019 |
14 | 0.000011 |
15 | 0.000004 |
16 | 0.000002 |
17 | 0 |
18 | 0 |
19 | 0 |
20 | 0 |
Sub janken() '何人かでジャンケンをした場合1回で勝負がつく平均回数を求めよ. Dim j, n, n_max, katta As Integer: n_max = 20 Dim shikoukaisuu, shikoukaisuu_max, kaisuu(20) As Long shikoukaisuu_max = 1000000 For n = 2 To n_max: kaisuu(n) = 0: Next Dim a(20), b(2) As Integer Randomize Timer Range("B1").Select ActiveCell.FormulaR1C1 = "計算中" For n = 2 To n_max Range("A1").Select ActiveCell.FormulaR1C1 = "N=" + Str$(n) For shikoukaisuu = 1 To shikoukaisuu_max For j = 0 To 2: b(j) = 0: Next For j = 1 To n: a(j) = Int(Rnd * 3): b(a(j)) = b(a(j)) + 1: Next katta = 0 For j = 0 To 2 katta = katta - (b(j) = 1 And b((j + 1) Mod 3) = n - 1) Next kaisuu(n) = kaisuu(n) + katta Next Next Range("A3").Select ActiveCell.FormulaR1C1 = "N" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "回数" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "試行回数" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "平均" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "N/3^(N-1)" For n = 2 To n_max SendKeys "{down}", True For j = 1 To 4: SendKeys "{left}", True: Next ActiveCell.FormulaR1C1 = n SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = kaisuu(n) SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = shikoukaisuu_max SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = kaisuu(n) / shikoukaisuu_max SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = n / 3 ^ (n - 1) Next Range("A3").Select End Sub
NO.608 | '99 9/5 | Junko | ジャンケン(3) |
N人で1回だけジャンケンをしてそれがアイコになる確率をPNとしてこれを求めますす。
まずN人でジャンケンをするとそれぞれが独立に3通りの手の出し方があり全部で3N通りになります。
逆にアイコにならない場合を考えます。
N人の手の出し方が、グ−、チョキ、パ−のうちただ2つの手しか出ない場合です。
これが3通りです。
たとえばグ−とチョキだとします。
N人それぞれがグ−とチョキのどちらかを出すわけですから、全部で2N通り。
ただし、全員がグ−を出す場合と全員がチョキを出す場合の2通りについてはまずいので、これを排除します。
以上のことにより、
N人でジャンケンをして何回目で勝負がつくか、いいかえれば何回目でアイコが途切れるかを
f(N)とします。
その期待値は以下のような無限級数になります。
(*)について
0<r<1に対して、
Sn | =1+2r+3r2+4r3+ ・・・ +nrn−1 ・・・(1) |
rSn | = r+2r2+3r3+4r4+・・・+(n−1)rn−1+nrn ・・・(2) |
NO.607で、浜田 明巳さんはただ1人の勝者がでる場合としていますが、
私はアイコ以外(つまり何人かの勝者と何人かの敗者に分かれる)こととしました。
ジャンケンについては「IDAHO POTATE」さんが、
気まぐれ数学談話室の中で話題にしていらっしゃいます。
なかなか興味深い提案もありますので、是非のぞいてみてください。
NO.609 | '99 9/8 | 浜田 明巳 | ジャンケン(4) |
前回,私の解答に誤りがあったようなので,訂正します.申し訳有りませんでした.
N人でジャンケンをした場合,出た目が2種類のみの場合,1回で勝負がつきます.
グーを0,チョキを1,パーを2で表し,パソコンの乱数を使って,平均値を求めるプログラム
(エクセル・マクロ)を作りましたので,紹介します.
このプログラムによると,試行回数1000000回で,
N | 平均 |
---|---|
2 | 0.666726 |
3 | 0.666953 |
4 | 0.51869 |
5 | 0.369903 |
6 | 0.255203 |
7 | 0.172508 |
8 | 0.117154 |
9 | 0.077759 |
10 | 0.051915 |
11 | 0.034605 |
12 | 0.023291 |
13 | 0.015396 |
14 | 0.010256 |
15 | 0.007055 |
16 | 0.004571 |
17 | 0.003048 |
18 | 0.002031 |
19 | 0.001405 |
20 | 0.000898 |
Sub janken2() '何人かでジャンケンをした場合1回で勝負がつく平均回数を求めよ. Dim j, n, n_max As Integer: n_max = 20 Dim shikoukaisuu, shikoukaisuu_max, kaisuu(20) As Long shikoukaisuu_max = 1000000 For n = 2 To n_max: kaisuu(n) = 0: Next Dim a(20), b(2) As Integer Randomize Timer Range("B1").Select ActiveCell.FormulaR1C1 = "計算中" For n = 2 To n_max Range("A1").Select ActiveCell.FormulaR1C1 = "N=" + Str$(n) For shikoukaisuu = 1 To shikoukaisuu_max For j = 0 To 2: a(j) = 0: Next For j = 1 To n: a(Int(Rnd * 3)) = 1: Next kaisuu(n) = kaisuu(n) - (a(0) + a(1) + a(2) = 2) Next Next Range("A3").Select ActiveCell.FormulaR1C1 = "N" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "回数" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "試行回数" SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = "平均" For n = 2 To n_max SendKeys "{down}", True For j = 1 To 3: SendKeys "{left}", True: Next ActiveCell.FormulaR1C1 = n SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = kaisuu(n) SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = shikoukaisuu_max SendKeys "{right}", True ActiveCell.FormulaR1C1 = kaisuu(n) / shikoukaisuu_max Next Range("A3").Select End Sub
NO.610 | '99 9/11 | 水の流れ | 三平方の定理 |
三平方の定理は、数学の中でも最も大切な定理の1つです。
この定理は直角三角形の3辺の長さの間に成り立つ単純で明快な関係を与えています。
その応用については、実際に起こりうるような身近な問題を今回は考えてみましょう。
問題1:
図のような正方形のチョコレートが3枚ある。
このチョコレートを次のように2組に分ける。
大1枚のチョコレートと中・小のチョコレート2枚
このとき、どちらの組のチョコレートの方が量が多いか、
3枚のチョコレートを配置するだけで調べてみることができる。
どのように配置すればよいか。ただし、チョコレートの厚さはすべて同じとする。
問題2:
図のような形の異なるドーナツ状のクッキー(どれも境界は同心円)が2個あります。
1本の糸を用いて、どちらのクッキーの量が多いか調べるには、
どうしたらよいでしょうか?ただし、クッキーの厚さはどちらも同じとする。
太郎さんは、授業で取り扱い、生徒にどちらを選ぶか考えさせたいと思っています。
<出典:作って試して納得数学:監修秋山仁(数研出版)>
NO.611 | '99 9/13 | 月の光 | オイラーの「無限解析入門(1)」(29) |
NO.540 オイラーの「無限解析入門(1)」(16)にある
を示せ、について
を用いて証明してください。
NO.612 | '99 9/14 | Idaho Potato | ハワイアン・イヤリング(1) |
今月の問題 円の問題
を見て、次のような円の面積に関する問題を思い出しましたので、
紹介します。
これは、私のオリジナルではなく、ある数学者(誰かは思い出せない)から
聞いて知ったものです。
直径1の円に、直径1/2, 1/4, 1/8, ..., 1/(2n), ... の(無限個の)円が
同一の点で内接している図形を、「ハワイアン・イヤリング」といいます。
この図形において、
直径1の円と直径1/2の円にはさまれた領域、
直径1/4の円と直径1/8の円にはさまれた領域、
... というように、外側から「1つおきに」領域に色をつけます。
このとき、色のついた領域の面積を求めてください。
まぁ、すべての円が1点で接していることは本質的ではなく、
同心円でも同じことですけどね。
(ハワイアン・イヤリングは、それ自体位相的に興味深い性質を
もっていることから、トポロジーの研究対象になっているのです。)
NO.613 | '99 9/19 | Junko | ハワイアン・イヤリング(2) |
ハワイのイヤリングはこういう形をしているのでしょうか? もちろん有限でしょうが・・・。
一番大きい円の半径を1とするとその面積はπです。
たとえば1番外側を赤、2番目を青と言う風に交互に色をつけていき、
赤の部分の面積をR、青の部分の面積をBとします。
両者を足せば一番大きい円の面積になりますから、R+B=π
赤の部分を1/4倍すると青の部分に一致しますので、(1/4)R=B
これより、R=4/5π、B=1/5πとなります。
円を内接させていくときに、直径を1/2ではなく、
一般にp(0<p<1)という比で作っていくとします。
先ほどと同様に、R+B=π
赤の部分をp2倍すると青の部分に一致しますので、p2R=B
これより、R=(1/1+p2)π、B=(p2/1+p2)πとなります。
NO.614 | '99 9/24 | 水の流れ | 試験の採点 |
太郎さんの学校では、24日から定期考査が始まります。
数学の試験において、20点満点の問題を5題出題しました。
各問題とも0点、5点、10点、15点、20点のいずれかで全部を採点するつもりです。
次の問に答えよ。
問題1.
可能な採点方法は何通りあるか。
問題2.
少なくとも3問が正解で、あとは部分点の場合の採点方法は何通りあるか。
問題3.
総得点が80点以上である採点方法は何通りあるか。
太郎さんは、採点を始める前に考えておきたいと思っています。
NO.615 | '99 9/27 | 水の流れ | オイラーの「無限解析入門(1)」(30) |
オイラーの無限解析入門(1)の第15夜の始まり、始まり。
皆さん!お久しぶりです。9月24日の中秋の名月を鑑賞されましたか。
いつ見ても、夜空に輝く美しい満月はいいですね。宇宙への夢を奏でてくれます。
さて、NO.542の第9夜の話をご存じですか。
もう一度、書きます。
オイラーは1740年の秋に、フランスの数学者フィリップ・ノードから、
「自然数を異なる自然数の和として表わす方法がいくるあるか?」という手紙を受け取りました。
これが、オイラーの興味を引きました。少し説明します。
例えば、n=6のとき、異なる自然数の和として、次の4通りがあります。
6,5+1、4+2,3+2+1 です。
6を構成している数字は1回だけしか使えません。
だから、異なっている数字なら、数字はいくつ使ってもよいです。
ここで、ある自然数nを異なる自然数の和で表わす方法をA(n)とします。
つまり、A(6)=4 です。
次に、6を構成している数字が奇数だけになっている方法を考えて見ます。
5+1,3+3,3+1+1+1,1+1+1+1+1+1
の4通りです。
奇数という制限はありますが、同じ数字を繰り返して使ってもよいです。
ある自然数を奇数の和で表す方法をB(n)とすれば、
B(6)=4となります。
皆さん、A(6)=4 、B(6)=4 が偶然でしょうか。
そして、NO.544の第10夜を見て下さい。
当然ある関数の係数として表れてきます。これが、母関数です。
そこで、皆さん、次の関数を展開してくださいね。
当然係数に注目ください。
そして、この係数がどうして、数列{A(n)}なのかも考えてください。
F(x) | =(1+x)(1+x2)(1+x3)(1+x4)・・・・・・ |
=1+x+x2+2x3+2x4+3x5 +4x6+5x7+6x8+8x9+10x10 +12x11+15x12+・・・・・・ |
1−xn はnが偶数のものは約分されて消えて、nが奇数のものだけが分母に残ります。
よって、
この式の持っている意味を説明します。
ここから、、「数学の宇宙」<現代数学社>のオイラーの91ページから引用します。
例えば、x5の係数は x5、x3・x2、x5から得られます。
だから、xnの項の数と、指数がすべて奇数ですから奇数の和として
x と書き方法は同じです。
言い換えればこのことは、異なる自然数の和で表わす方法をA(n)と
奇数の和で表す方法をB(n)は正確に等しいことを示しています。
これが、オイラーが見つけた証明です。
自然数を分解することについて、微妙で曖昧だった真実を明確にしたこの論証は、
まさに傑作といわねばなりません。
そしてこれは、次のようなオイラー数学の典型的な正確を表しています。
1.オイラーは抽象的な記号を用いた式の扱いが素晴らしく巧みでした。 その能力はこの証明にもはっきり現れています。 よって彼は”どんな場合にも、最も偉大な記号の使い手”という評判を得ています。
2.オイラーの最も実り豊かな数学的戦略の1つは、同じ式を二種類の方法で書き表すことで、 その二つの式を等式化することによって力強い結論を引き出していくものです。 これがまさにその通りです。 また、読者の皆さんは、既に、「ゼーター関数ζ(2)物語」のときにも、 どこまでも異なる二つの見地から1つの目標を見出していく美しい論証で、 を発見したことも良い例です。
3.彼の代数学に高度な操作や技術的に優れた技量を取ってみたとき、
そこに残るのは創意工夫の力です。これはもうただただ驚くほかありません。
この章の最後に、こんなことばが書いてありました。
『誰よりも洞察力にあふれ、 誰よりも影響力をもち、 誰よりも創造性豊かな数学者! それはスイスのレオナルド・オイラー!』