Weekend Mathematicsコロキウム室1999.7〜9/NO.65

コロキウム室



NO.554 '99 7/1水の流れオイラーの「無限解析入門(1)」(22)

オイラーの「無限解析入門(1)」第11夜の始まり、始まり。
今度は、ある自然数nを同じものを許す方法で、 自然数の和で表わす方法をC(n)とします。 これは、<水の流れ>にある第19回の応募問題のGの中にでてくる S(m)と同じ問題です。
そこで、この中にあるT(m、k)の表をm=10まで、 完成しておいてください。素敵な三角形の表になります。
前に、パスカルの三角形、モンモールの三角形と言いましたから、 オイラーの三角形としましょう。 次のようになります。
S(m)T(m、k)
  10
 1 1 
 2 2  
 3 3   
 4 5  
 5 7  
 611 
 715 
 822 
 930   
10421 


以上です。例の漸化式で増やしていきました。
ところが、オイラーは偉大でした。そこで、今夜の宿題です。
次の母関数を展開してください。
f(x)=(1+x+x+x+x+x+x+x+x+x+x10+・・・)
(1+x+x+x+x+x10+・・・) (1+x+x+x+・・・)
(1+x+x+・・・) (1+x+x10+・・・) (1+x+・・・)
(1+x+・・・) (1+x+・・・) (1+x+・・・) (1+x10+・・・)




 
NO.555 '99 7/1Junko高貴な未解決問題・その2(2)

NO.530で提起された問題 「完全数のすべての約数の逆数の和は2であることを証明してください。」
について考えてみました。

最初の完全数「6」についていえば、その約数の逆数の和は、 1+1/2+1/3+1/6=2であり確かに和は2になっています。
この式の全体を6倍すると、6+3+2+1=2・6=12となり、これはまさに完全数の定義です。

2番目の完全数28について逆に考えれば、完全数の定義から、1+2+4+7+14+28=2・28
この式の両辺を28でわることで、1/28+2/28+4/28+7/28+14/28+28/28=2
従って、1/28+1/14+1/7+1/4+1/2+1=2
ということで、約数の逆数の和が2になることがわかります。 約数の順番は入れ替わりますが、同じ面々が今度は逆数で並ぶことになります。

一般には完全数Nの約数を小さい順に、a1(=1)、a2、・・・、an(=N)とします。
完全数の定義より、a1+a2+・・・+an=2N
この式の両辺をNで割ることで、
a1/N+a2/N+・・・+an/N=2
a1・an=N、a2・an-1=N、・・・より、
1/an+1/an-1+・・・+1/a1=2
となり、約数の逆数の和が2になるわけです。



NO.556 '99 7/4数楽者特製のサイコロ(3)

特製のサイコロは面の数が偶数の場合に拡張できますね。 8面体の場合は解が複数あります。



NO.557 '99 7/5水の流れヘロンの三角形(1)

第21回数学的な応募問題

太郎さんは、高校で三角形の面積を求めるのに、 ヘロンの公式を教えています。 そこで、3辺の長さとその面積がともに整数となる三角形を ヘロンの三角形と言います。 だから、この性質を持つ三角形を知っていたいと、思っていました。 ここで、特に、3辺の長さが連続する3つの自然数の場合を考えます。

問題1:
=3y+1(一つのペル方程式) である、負でない整数解(x、y)を求めてください。 一部の特殊解でも良いですし、一般解でも良いです。

問題2:
3辺の長さが連続する3つの自然数で、 その面積も整数である三角形の例をいくつか、 考えてください。

太郎さんも童心にかえって、いろいろと数字を順に変えて、 考えていましたが、 なかなかうまくいきません。 皆さんも、考えてください。 



NO.558 '99 7/6kiyoヘロンの三角形(2)

  1. (X=2,Y=1), (X=7,Y=4),・・・

    一般には次の式で与えられます。



  2. 簡単なベーシックのプログラムを組んでいくつか例を出して数列サイトでカンニングしました。
     
      FOR I=1 TO 100000
         FOR J=I+1 TO I+1
            FOR K=J+1 TO J+1
               LET  S=(I+J+K)/2
               LET  S1=(S*(S-I)*(S-J)*(S-K))^0.5  ヘロンの公式
               LET  S2=INT(S1)
               LET  S3=S1-S2
               IF S3=0 THEN PRINT I;J;K;S1 条件を満たす3辺と面積
            NEXT K
         NEXT J
      NEXT I
    END
    


    辺 a辺 b辺 c面積
    13141584
    5152531170
    19319419516296
    723724725226974
    2701270227033161340
    10083100841008544031786
    376333763437635613283664


     1番短い辺をH(n)とする。 漸化式は、
    H(1)=3,H(2)=13
    H(n)=4×H(n−1)−H(n−2)+2 となっていました。
    H(3)=4×13−3+2=51
    H(4)=4×51−13+2=193




NO.559 '99 7/7ちゃめ使用ソフトについて(1)

Weekend Mathematics ではきれいな図や数式をふくむgifファイルが使われていま すが、 どのようなソフトで作成しているのでしょうか。よろしければ教えていただ けないで しょうか。 先月の多角形の問題で私のメールがきれいに書き直してもらっ てあって、感激しました。



NO.560 '99 7/7Junko使用ソフトについて(2)

数式をかくのには、「PLATeX」というソフトを使っています。 これは数学的記述を多く含んだ書籍の作成を意図して作られた組版システムで、 Donald E.Knuth という人が開発しました。 基本的には無償で配布されています。 大きな書店に行くと、関連の書籍が見つかるでしょう。 その中のいくつかには、インスト−ル用のCD−ROM がついていると思います。
このソフトを使うと数式を自由自在にかくことができます。 図もかけるのですが、勉強不足の私は、まだそこまでいっていません。

図は、windows付属の「ペイント」で書いています。

グラフなどは「mathematica」を使っています。 これがまたすぐれものです。 数学に関するあらゆることをやってくれます。 詳しくは、wolframのペ−ジ

いずれにせよ、できた画像はgifに変換し、周囲を透過して使っています。 その際には、「Gix Pro」というシェアウエアを使っています。 これは雑誌などの付録CD−ROMなどで手に入ります。 タスカホ−ムペ−ジからダウンロ−ドすることもできます。 シェアウエアですから継続して使用する場合は代金(\2310)を支払って、ユ−ザ−登録をしましょう。



NO.561 '99 7/7水の流れオイラーの「無限解析入門(1)」(23)

「オイラーの無限解析入門(1)」第12夜の始まり、始まり。
昨夜、オイラーの三角形を作ってみました。 意味のある数字が並んでいますね。 夜空に輝いている星のように、美しき並んでいます。 このS(m)の数列を並べてみましょう。
1,2,3,5,7,11,15,22,30,42,・・・
何とかして、漸化式みたいのがあれば、計算しやすいのにと、 流れ星の願を賭けていたとき、偶然にも、天使様から、 「理系の数学:5月号」(現代数学社:石谷茂)を読んでみなさいと お告げがありました。 これを参考しして、書きます。
前夜の母関数を展開した係数がS(m)ですが、 これでは大変な労力です。 そこで、無限等比等比数列の和の公式を用いて、f(x)を簡単にしましょう。

f(x)=1÷(1−x)(1−x)(1−x) (1−x)(1−x)(1−x) (1−x)(1−x)(1−x) (1−x10)・・・

この分母を

F(x)=(1−x)(1−x)(1−x) (1−x)(1−x)(1−x) (1−x)(1−x)(1−x) (1−x10)・・・

とおいて、 計算してみる方が易しくみえます。
そこで、今夜の宿題です。この計算をしてください。 美しく輝く天の川のように、オイラーの恒等式が見えてきますよ。 お休みなさい。



NO.562 '99 7/8Junkoヘロンの三角形(3)

三角形の三辺の長さをa,b,cとしたときに面積Sを与える次の式を、 へロンの公式と呼んでいます。



さてここで、三角形の3辺は連続した自然数ということですから、 b−1,b,b+1とします。



面積Sが整数となるためには、bは遇数である必要があります。 そこで、b=2kとおきます。(kは正の整数)



kはもちろん正の整数ですから、これで問題1の方程式x=3y+1に帰着されたわけです。
NO.558で、「kiyo」さんが求めてくださった解を2,3代入してみます。





NO.563 '99 7/8Junko特製のサイコロ(4)

正8面体のサイコロについて、特製サイコロを具体的に作ってみようと思います。

NO.551でやったのと同じように、
x+x+x+x +x+x+x+x の因数分解を考えます。

x+x+x+x +x+x+x+x =x(1+x)(1+x)(1+x
と因数分解できますので、x・(項数2)・(項数4)という変形が3通り考えられます。

x+x+x+x +x+x+x+x =x(1+x+x+x)(1+x)・・・(1)
=x(1+x+x+x)(1+x)・・・(2)
=x(1+x+x+x)(1+x)・・・(3)


これを組み替えて、(項数8)・(項数8)という形を=3通り作れると思います。
(1)、(2)の組み合わせで特製サイコロを作ってみます。
=(x+x+x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x+x+x
=x(1+x+x+x)(1+x)・ x(1+x+x+x)(1+x)
=x(1+x+x+x)(1+x)・ x(1+x+x+x)(1+x
=(x+2x+2x+2x+x)・ (x+x+2x+2x+x+x11
=(x+x+x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x+x+x11

というわけで2つのさいころを、「1,2,2,3,3,4,4,5」と「1,3,5,5,7,7,9,11」とすればいいということがわかります。
和を表にしたものを下に示します。 右に、普通の正8面体サイコロの表を並べておきます。

  11
1012
1113
1113
1010 1214
1010 1214
1111 1315
1111 1315
10 101212 1416
 
 
10
1011
10 1112
1011 1213
101112 1314
10 111213 1415
1011 121314 1516










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