Weekend Mathematics/コロキウム室/1999.4〜6/NO.51
NO.426 '99 4/1 水の流れ ゼーター関数物語(48)
ゼーター関数ζ(2)物語第15夜の始まり、始まり。
最後の夜ですから、ちゃんと眠らないで読んでください。
第14夜に4つの宿題をだしましたね。
これらは、見事にNO.423に解かれています。
(4)を見て下さい。
この値はNO.387にある
リーマン・ゼーター関数ζ(2)の逆数そのものです。
もう一度この素晴らしい公式を書きます。
となります。
こんなシンプルな問題の中に、偉大なオイラーの功績が隠されていよう
とは思いも寄りませんでしたし、17世紀後半から、
ヨハン・ヤコブのベルヌーイ兄弟の必死の研究経過も含まれていました。
このきっかけをくださったコロキウム室の多くのco-workerさんに、
このネット上で感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
また、一番参考にし、多くの引用をさせて頂いた
【数学の知性(W.ダンハム著/中村由子訳):現代数学社】の関係者の皆さんには
厚くお礼申し上げます。
これをもちましてゼーター関数ζ(2)物語の幕を下ろさせて頂きます。
明日はちょうど満月に当たります。
仕事をしたーという充実感に満足しつつ、
満天の夜空に輝く1つ1つの星と数学の至高の美を眺めることにします。
また、何かの折りにお会いできることを楽しみにしつつ、Good night!
NO.427 '99 4/1 水の流れ 「素数の話」(2)
三つ子素数は、差が2のものは「3、5、7」以外ないですね。
考えてみれば、3K、3K+2、3K+4
3K+1、3K+3,3K+5
3K+2、3K+4、3K+6
のどのパターンも場合も、どこかに3の概数があります。
ただ、例外が上の場合だけです。
だから、自分で、三つ子素数を定義しなさいと言われています。
1つに、2つの素数の差が2,次の2つの素数の差が4
<例:11,13,17>
2つの素数の差が4,次の2つの素数の差が2
<例:5,7,11>
と定義しましょう。勿論、無数にあります。証明は知りませんが。
NO.428 '99 4/2 水の流れ 折り曲げた台形の面積(1)
太郎さんのお子さんは折り紙が好きです。
ここに、正方形の折り紙ABCDがあります。
下の図のように、この折り紙のD点をAB上のどこかに
重ねるように折り曲げます。
このとき、折れ曲がった部分の面積を(赤い部分)
をなるべく少なくするには、AB上のどこにD点を重ねればよいでしょうか?
太郎さんも童心にかえって、いろいろと折り曲げて考えることにしました。
皆さんも、考えてください。
NO.429 '99 4/3 月の光 ゼーター関数物語(49)
NO.430 '99 4/3 Junko 折り曲げた台形の面積(2)
(一部修正+追加 4/4,0:30)
長方形の縦横の長さを、a,bとします。
(問題を勘違いして長方形だとして考えてしまいました。
a=b とすれば正方形ですからいいですよね)
右図のように、AE=x、AG=yとすると、EG=GD=b-y。
△AGEに三平方の定理を適用し、
x2+y2=(b-y)2
これより、y=(b2-x2)/(2b)
△AGEと△BEHは相似なので、y:(b-y)=(a-x):z
z=(b2+x2)(a-x)/(b2-x2)
更に、△BEHと△IFHは相似なので、x:y=(a-z):w
w=(1/2b)(-2ax+b2+x2)
赤い部分の面積をSとすると、
S=(1/2)EI(EG+IF) =(1/2)a{(b-y)+w} =(a/2b)(x2-ax+b2) =(a/2b){(x-a/2)2-a2/4+b2}従って、x=a/2のときが面積最小となり、最小値S=(a/2b)(-a2/4+b2)
NO.431 '99 4/5 水の流れ 春の全国高校野球(1)
春の全国高校野球は沖縄尚学高校が沖縄県として、初めての優勝
おめでとうございます。
さて、高校野球は先取点の入ったテームが勝つとよく言われます。
今回を例にして、分析しました。
また、ファンにとって、逆転につぐ逆転の試合は忘れられない感動を与えます。
(1)先取点が入って、同点にされてもそのまま終わった試合を@
(2)先取点が入って、逆転して(同点になっても)終わった試合をA
(3)先取点が入って、逆転されても再逆転して終わった試合をB
以下、この逆転の回数で、C、D、Eと分類していきます。
だから、丸数字が奇数の場合は先取点の入ったテームが勝ち。
丸数字が偶数の場合は先取点の入ったテームの負け。
となります。当然、丸数字の多い方が面白い試合で楽しむことができたことになります。
決勝戦までの31試合をこのように分析しました。その結果、
@は14試合
Aは5試合
Bは6試合
Cは3試合
Dは2試合
Eは1試合 でした。
そこで、丸数字の奇数は14+6+2=22
これを31で割ると22/31=0.71・・・ で高い確率で勝っています。
これで、ジンクスは確かだ言えます。
また、この丸数字の決まったイニングは1回から3回で15試合
このうち@のチームが12テームあります。
4回から6回で3試合、7回から9回で6試合、延長戦の場合が7試合でした。
一言で言うと、早いイニングで先取点が入ると高い確率で勝ち易いと言えます。
ここで、逆転につぐ逆転だったEの分類のスコアを書きます。
皆さんは、どんな試合が一番印象に残っていますか?
1 2 3 4 5 6 7 8 9 横浜 1 0 2 0 0 2 0 0 0 PL 2 1 1 1 0 0 0 1 ×@は1回表
NO.432 '99 4/3 ヴァ− 折り曲げた台形の面積(3)
正方形の一辺の長さは2であるとして話をすすめていきます。
これは別に何でも構わないのですが、話のしやすさから2にします。
まず、折り曲げた部分の四角形EGFH(赤)は四角形DGFC(黄色)と合同な図形です。
なぜなら、この2つの四角形は直線GFについて線対称の関係にあるからです。
そのため、ここでは四角形DGFCの面積を考えて行きます。
四角形DGFCは角D=角C=90°の台形です。
だから、四角形DGFCの面積は次のように求めることができます。
四角形DGFCの面積 = ( DG + CF ) × DC ÷ 2
そのため、DG、CF、DCの長さが分かれば、四角形DGFCの面積も分かります。
まず、DCは正方形の1辺なので、DC = 2 です。
次に、DGを考えますが、DGの長さは折り曲げ方によって変わって来るので、その点に気をつけます。
まず、DEとGFの交点をIとします。
そして、AD、BCの中点をそれぞれJ、Kとします。
AJ = DJ および EI = DI
であることから、IはJK上にあることが分かります。
ここで、DG = DJ + JG = 1 + JG であるので、JGの長さを求めたいです。
すると、三角形DAE(水色) と 三角形IJG(緑色) は相似であるので、
AE:AD = JG:JI
つまり、JG = AE×JI/AD = 2JI × JI / 2 = JI2 になります。
よって、DG = 1 + JG = 1+JI2
です。
JI=xとおけば、DG = 1 + x2 です。
続いて、CFですが、CF = CK - KF = 1 - KF なので、KFの長さを求めたいです。
すると、三角形IJG(紫色) と 三角形IKF(水色)は相似なので、
IJ:JG = IK:KF
つまり、KF = JG×IK/IJ = x2×( 2-x ) /
x = x (2-x) になります。
よって、CF = 1 - KF = 1 - x (2-x)です。
したがって、
四角形DGFCの面積 = ( DG + CF ) × DC ÷ 2
に、DG、CF、DCを代入してくちゃくちゃ計算をすると、
四角形DGFCの面積 = 2( x2 - x + 1 ) になります。
ここで、x = JI は 0から1の間を動く実数と考えて、
つまり、0 ≦ x ≦ 1 における
2( x2 - x + 1 ) の最小値を求めればよいことになります。
ここで、
2( x2 - x + 1 ) = 2 ( x - 1/2 )2 + 3/2
であるので、
四角形DGFCの面積はJI=1/2 のときに最小値3/2をとることが分かります。
JI=1/2 というのは、つまり、EがABの中点に来るとき最小になるということです。
グラフは、
y = 2( x2 - x + 1 )
の図示です。
NO.433 '99 4/3 ヴァ− 折り曲げた台形の面積(4)
No.428 「折り曲げた台形の面積の問題」について、正方形の中で折り曲げられる可能性のある部分を色づけしてみました。
ここで問題です。
上の図で色がつけられている部分の面積はどれだけでしょう。
正方形の1辺の長さをaとして答えて下さい。
NO.434 '99 4/5 水の流れ オイラーの「無限解析入門(1)」
(一部修正 4/5,22:30)
(最後の式表記ミス訂正 Junko 4/7)
オイラー(1707年4月15日〜1783年9月17日)の数学と言うと
夜空に輝く北極星☆が思い浮かびます。
自然に流れるようなオイラーの数学は、その手書き文字にもよく表れているように、
明るく楽しい、とりわけ、250年前に出版されたオイラーの代表作「無限解析入門(1)」
(1748年刊)は、実に分かりやすく、表記法について曖昧さなど微塵もなく、
根本的な概念を示せるように工夫されています。
全体は18章からなり、大きく分けて、次の(イ)〜(ニ)に分類できます。
(イ)第1章〜第5章:多項式、有理関数、代数関数
(ロ)第6章、第7章:指数関数、対数関数
(ハ)第8章、第9章、第11章、第14章:三角関数
第10章、第15章:ゼーター関数論
(この名前はオイラーの約100年後のリーマンが付けた関数)
(ニ)第12章:部分分数展開
第13章:有理関数のべき級数展開
第16章:分割数
第17章:代数方程式の根の近似計算法
第18章:連分数
「無限解析入門(1)」は、没後216年すぎて、全集が100巻に近付きつつあるが、
まだ出版が続いている現状です。
なお、「無限解析入門(2)」もあり、そこでは、一転して、
曲線や曲面の解析幾何学が扱われています。
先日、ゼーター関数ζ(2)物語で書きましたように、
オイラーは1735年(発表は1734年)に、ζ(2),ζ(4),・・・
を求めましたが、その後、研究は当然続いていました。
1749年に、ζ(0),ζ(−1),ζ(−2),・・・,
ζ(s)とζ(1−s)の関係を発見しています。
さらに、1772年には、ζ(3)の表示を書いています。
「無限解析入門(1)」の第15章によると、
と表示してあります。
決して、ゼーター関数ζ(s)のsが奇数の場合についても、諦めていませんでした。
<誰かこの計算式の値を求めてください!!>
第10章では、次のような和も求めています。
<注:最初の式は1400年頃、南インドのマーダヴァが発見したものであり、
1670年代にヨーロッパにおいて、グレゴリーやライプニッツが再発見している。
オイラーの興味のきっかけを与えたものであったし、
最後の式はニートンが1676年に発見していました。>
ここで、あげた等式は約90年後の1837年にディリクレによって、
”ディリクレのL関数”の特殊値として定式化さてれいます。
第10章の終わりでは、
が得られています。
皆さん! a→0のとき右辺が一体どんな値に近づくか考えてください。
本当に、驚きの連続です。オイラーは驚嘆すべき偉大な人間でした。
改めて、思い知りました。オイラーに再敬服します。
この原稿を書くにあたり、「数学のたのしみ4月号」:日本評論社
の中にある<数学書を探る:オイラーの数学>黒川信重著
を引用し、参考にしました。
NO.435 '99 4/7 月の光 ゼーター関数物語(50)