Colloquium

NO.252
Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.252

NO.1831     確率は面積比[3]  2010.1.26.  水の流れ

第236回数学的な応募問題


皆さん、場合の数が無数にある確率の問題を考えたことがありますか。ここで、問題です。

床一面に等間隔な平行線群がひかれています。いま、1本の針を任意に床上に落とすとき、 針が平行線の1つと交わる確率を求めよ。
ただし、平行線の間隔を4、針の長さを2とする。
  注:ビフォンの針という問題です。
  ヒント:針の中点から一番近い平行線と交わる条件を考えてみる。

注:この記事に関する投稿の掲載は、2010年2月15日以降とします。

NO.1830   確率は面積比[2](3)  2010.1.26.  DDT

No.1823ではやんちゃをやってしまったので、今度はちゃんと考えよう!。 「夜ふかしのつらいおじさん」「kohji」さんの良いとこ取りをしよう、と思いました。ところが・・・。
 まず、円周上の3点を角度θ1,θ2,θ3、 −π≦θ1,θ2,θ3<πで表す事にして、それぞれの一点にまぐれ当たりする確率は、規格化定数を1/2πとして、1/2π×dθ1,1/2π×dθ2,1/2π×dθ3
実際これらを領域D=[−π,π]×[−π,π]×[−π,π]で積分すれば([−π,π]は区間)、

  

になる(夜ふかしのつらいおじさん方式)。
 次に「kohji」さんのように、(θ1,θ2,θ3)に対する、 (1)直角三角形になる条件,(2)鋭角三角形になる条件,(3)鈍角三角形になる条件を書いてやって、その領域Rを定め、Rの各点に、重み1/2π×dθ1,1/2π×dθ2,1/2π×dθ3をかけて3重積分すれば、それがそのまま確率になる。これは体積比だが、面積比の親類という事で、水の流れ先生にも許してもらえるだろう。俺って何てハイセンス(←と自己満足)。

(1)直角三角形の場合
 円周上の三点を、

   (cosθ1,sinθ1),(cosθ2,sinθ2),(cosθ3,sinθ3)

とする。三角形は、どれか一つの頂点しか直角になれないから、それをθ1の点としよう。そして後で結果を3倍すれば良い。直角三角形の条件は余弦定理を使って、・・・エエト・・・余弦定理とユークリッド内積はいっしょだから・・・、

  (cosθ1−cosθ2) (cosθ1−cosθ3) +(sinθ1−sinθ2) (sinθ1−sinθ3) = 0

となる。・・・なんだ、三平方の定理といっしょじゃないか(←ちょっとがっかり)。  式は複雑そうだが、こちとら数値計算で食ってんだ!。こんなのExcelでもあれば、いくらでも計算できるぜ!(←と自己満足。でもこの考えがそもそも駄目)。
 ・・・待てよ、条件は単純化できる。今回は三角形の形さえ比較すれば良いんだから、3点のうち2点は水平に取ったって良いはずだ。とすれば、図-1を考えればよい。  図-1より、cosθ3=−cosθ1,sinθ3=sinθ1だから、

  2cosθ1(cosθ1−cosθ2) = 0

ただし左右対称性から、−π/2≦θ1≦π/2,−π≦θ2<πとなって、θ1方向の規格化定数はπ,θ2方向の規格化定数は2πで、領域Dは[−π/2,π/2]×[−π,π]だ。ほぉ〜ら、2次元の面積比になった!。そしてこんなの、Excelを持ち出すまでもないぜ!。

  θ1=±π/2

か、

  θ1=±θ2

に決まっとる!。

図-1

(2)ところが・・・
 (1)の条件を、領域Dに重ねると、図-2の太線になる。

図-2

 そうすると、領域Dに対する太線の面積比は、・・・面積比は・・・(  ・ _ ・  )ジー・・・、0?。  エッ、エ〜〜っ!。なんですと〜〜っ!!( ̄Д ̄;) ガーン。

 これは条件を間違ったか?。条件をちゃんと図にしてみよう。θ1=±π/2は、三角形が潰れる場合だから、θ1=θ2を図にすると、・・・(図-3作成中)・・・
 ・・・2点が直径に載る時だ。なんだ円周角の定理じゃないか(←要領の悪さに、再びがっかり)。だから条件は正しいと思える。しかし納得できない。図-3にように、3点を選ぶ事は現実に出来るじゃないか?。なのに確率0とはどうしてだ?。確率0とは、実現不可能という事じゃないのか?。
 だけどこれは、円周上に2点とって、それが直径になる確率を求めるのといっしょだ(図-4の左)。2点を水平に取って良いなら(良いと思える)、これは半円周から1点にまぐれ当りする確率と同じだ。という事は、線分上の1点にまぐれ当りする確率と同じ事になる(図-4の右)。No.1817に戻って考え直そう。





(3)考え直してみました
 No.1817で、長さbの線分上に、長さa以上になるように2点を選ぶ確率は(0≦a,b)、



だった。aがbを越える時は、長さbの線分上に長さa以上の2点は選べないから、確率は0になる。当然だ。 しかしa=bの時は?。この時も確率は0になるが、長さbの端点を現実に選ぶ事ができる。

  ・分布確率の場合の確率0とは、実現不可能な場合と、限りなく0に近いという、二通りの意味がある。

これが結論になりました。
なんとか面積比にする算段はしましたんで、やっぱり正解を教えて下さい・・・。

以下、一部修正(2/20)

(4) 鈍角三角形になる確率
 以上が正しいとして、鈍角三角形になる確率は、鈍角になれるのは1頂点だけなので、 それをAとすると図-2より、Aが鈍角になる確率は、



BだけもCだけも鈍角になれて、それらは独立試行なので、



が、鈍角三角形になる確率。

(5) 鋭角三角形になる確率
 三角形は、鈍角三角形でも直角三角形でもなければ、鋭角三角形なので、その確率は、



 ところで、(2)にいたって、やっと問題のヒントの意味がわかりました。 最初から円周角の定理を使えば良かったのですね・・・。

NO.1829   確率は面積比[2](2)  2010.1.26.  夜ふかしのつらいおじさん

(0)
考えやすいように円の半径を1とします。
円周の長さは2πです。
円周上に点をとるとき、どこを選ぶかに区別はありません。
確率分布p(x)は定数と考えられます。
円周にそってp(x)を積分すると1とならなければならないので、p(x)=1/2π となります。



(1)
最初の点Aはどこにとっても良いので右端にします。
2番目の点Bは適当に図2のようにとったとします。
△ABCが直角三角形になるにはCと(AかB)とを結んだときに直径にならなければなりません。
 (直径にたつ円周角は直角)
図2でC1にしてもC2にしても点なので円周の2πに対して長さの比の値は0と考えるのが適当です。
2番目の点BをABが直径となるようとったとすると(図3)、点Cはどこにとっても直角三角形になります。
しかし、点BはAに対しては1点しかないので、円周の2πに対して長さの比の値は0と考えるのが適当です。
以上から直角三角形になる確率は0です。



(2)
図2のように点A、Bをとったとします。
△ABCが鋭角三角形になるには、点CはC1とC2の間にあれば良いことになります。
∠AOBがπになるまでは鋭角三角形になる確率は角の大きさに比例します。
∠ABO=π/2 のとき、鋭角三角形になる確率は、1/4です。(図4)
以上から確率q(x)は図5のように考えられます。



よって鋭角三角形になる確率は、



(3)
(1)、(2)より鈍角三角形になる確率は、
  1−1/4=3/4です。


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