Weekend Mathematicsコロキウム室1998.7〜12/NO.21

 

コロキウム室

NO.158     10/10   水の流れ     数学のノーベル賞(1)

世界中の数学者にとって。 もっともほこらしい賞が「フィールズ賞」です。 これは、国際数学者会議の開会式の場において、 世界的に活躍した数学者にあたえられるならわしになっています。 これまで日本人では、小平邦彦先生(1954年受賞)、 広中平祐先生(1970年受賞)、森重文(1990年受賞)の3人が 受賞しています。

ノーベル賞には、数学部門がありません。 これが、フィールズ賞が「数学のノーベル賞」と呼ばれるゆえんです。 ノーベル賞とは違って、フィールズ賞は4年に1度しかあたえられません。 また、フィールズ賞には「受賞者は40歳未満の若い数学者とする」 という約束があって、年齢が高いと、いくら素晴らしい業績をあげてももらえません。

私が学生の時、広中平祐先生が受賞されて、思い出があります。 一度は挑戦してみようと、淡い夢を持って、学問に励んだ記憶があり、 「数学的帰納法」に対して、「数学的弁証法」と名つけて 本を読んで、理論づけをしようと研究しました。 その夢の実現先が今の私になっています。 

未だ見ぬ偉大な数学者へ、この場を利用して、エールを送ります。
    水の流れ  から



NO.159     10/11   マサボー     じゅうたんの問題・その後(3)

科学(数学を含めて)にとって重要なものは、 発想力(思いつき、inspiration)と それを証明するための知識(地道な努力、perspiration)だと思います。 シャープ氏は持っている数学的知識により証明しましたが、 タック氏はほぼ思いつきにより答えを得ました (この思いつきは数学的に証明可能ですが、 多分あの段階ではタック氏はほとんど直感で答えを得たのでしょう)。 科学者にとって重要なことは、なにか物事を考えるときに、 タック氏のように既成事実にとらわれることなく (いきなり過去の定理に当てはめるのでなく)、 自由な発想でものごとを考えることだと思います。 勿論、最終的には証明しなければな りませんから、シャープ氏ような理路整然な知識は必要ですが。 暫くの間シャープ氏の考えしか浮かばなかった私にとって、 なかなか痛いところを突かれた問題でした。



NO.160     10/12   Junko     数学のノーベル賞(2)

ノ−ベル賞には6つの授賞部門 <文学、化学、物理学、医学・生理学、平和、経済学>があります。 ノ−ベル賞に数学の部門がないというのは、知る人ぞ知る話しです。 なぜ、数学の部門がないかという理由についてはうわさがいろいろあるようです。
発明家ノ−ベルは数学が大の苦手であった、 純粋数学の価値がよくわかっていなかった、 物理学に含めて考えていた、 当時のスウェ−デン数学界の大御所Mittag-Lefflerとの仲が悪かった、etc。 本当のところはよくわからないようです。

フィ−ルズ賞の父、J.C.Fields教授(1863-1932,カナダ)は、 1924年にカナダのトロント大学において開催された第7回国際数学者会議 を円滑に運営したことで高い評価を受けています。 当時、国際数学連合は第一次世界大戦で負けたドイツ派と国際数学連合派と の大きく2つのグル−プに分かれていて、 国際数学連合自体、分解寸前の状態でした。 そんな中、何とか無事に第7回国際数学者会議を終了させた裏には、 Fields教授の活躍があったのです。
その後、Fields教授は病に倒れますが、この時の資金の残りの有効な使い道を 考えていました。 これが後になってfields賞基金となります。 また、ノ−ベルと同様、一生独身ですごしたFields教授にも子供がいませんでした。 彼の遺産もまたこの基金に繰り入れられています。



NO.161     10/14   水の流れ     数理パズル(1)

  1. 以下の数列で?の場所にはどんな数字が入るでしょう。 ちょっとしたトラップがあります。気がついてください。
       
       63 39 36 28 21
       ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
     45→18→21→?→13→7
    
  2. 1から9までの異なる自然数を□に入れてください。
    •  
          □□□□□
         − □□□□
           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   
          33333
      
    • □□×□=□□×□=□□×□
  3. 次の数列の?にはどんな数字が入るでしょう。
     2,4,6,30,32,34,36,40,42,44,46,
     50.52,54,56.60,62,64,66,?、?、・・・
    
    ヒント:アルファベットに注意しましょう。
  4. 「339から39を引くと?」
    「300」 (ごめんなさい、このように訂正します。10/17)
    「よろしい。では339から19を引くと?」
    「320」
    「違います」
    「エッー」
    「普通に考えてはいけません。さあー、いくつ」




NO.162     10/15   Komatsu     円に関する微分(13)

コロキウム室のNO.130 を拝見しました。
斜回転体の体積の計算法については私は昔、参考書 (東京出版「大学への数学」の増刊「解法の探求II」) で見たことがあります。但しそのときは理解できず、 結局それっきり放置してしまいました。先日、上記の webページを拝見し、懐かしい思いがしました。

細かい事ですが、上記webページの説明の中で 「V=…」の右辺に誤りがあります。「d(OP)/dx」 と書いてあるところは、正しくは「d(OP)」または 「(d(OP)/dx)dx」です。

その下の行の「QP=h(x)」は、正しくは「QR=h(x)」です。

また、さらに細かいこと(というより好みの問題)ですが、 最後に得られた公式「V=…」の右辺にある「h(x)」は 「f(x) - x tanθ」に戻しておいた方が良いように思います。

私の指摘の方が間違っているかもしれませんが、 何かの参考になれば幸いです。



NO.163     10/17   Junko     日本シリ−ズ(6)

NO.151 の2.「この日本シリーズの試合数の期待値は?」という問に対する答えとして、 NO.157で「水の流れ」さんが過去のデ−タに基づいて 5.89583・・・と出してくださいました。
私は、横浜ベイスタ−ズと西部ライオンズの力が対等と仮定して計算してみます。
お互いに勝つ確率は(1/2)で、負ける確率も(1/2)です。 横浜ベイスタ−ズが優勝する場合と西部ライオンズが優勝する場合とがありますから、 それぞれ2倍します。

  1. 試合数4
    これは、「○○○○」しかありません。
    1通り。
    確率は(1/2)4×2=1/8
  2. 試合数5
    「□□□□○」となります。
    5試合目は必ず○で、4つの□の中に3個の○と1個の×が入ります。
    従って、41=4通り
    確率は(1/2)4×(1/2)×41×2=1/4
  3. 試合数6
    「□□□□□○」となります。
    6試合目は必ず○で、5つの□の中に3個の○と2個の×が入ります。
    従って、52=10通り
    確率は(1/2)4×(1/2)2×52×2=5/16
  4. 試合数7
    「□□□□□□○」となります。
    7試合目は必ず○で、6つの□の中に3個の○と3個の×が入ります。
    従って、63=20通り
    確率は(1/2)4×(1/2)3×63×2=5/16

従って期待値は、

 4×(1/8)+5×(1/4)+6×(5/16)+7×(5/16)
=4×(2/16)+5×(4/16)+6×(5/16)+7×(5/16)
=(1/16)×(8+20+30+35)
=(93/16)
=5.8125
となります。 不思議なことに過去のデ−タと一致していますね。



NO.164     10/17   水の流れ     サイコロ回転体(2)


回転体の体積を求める問題ですが、 一般に回転体を回転軸に垂直な平面でスライスすると、 その切り口は円板、または、円環(ドーナッツ)にしかならないから、 切り口の面積は比較的容易に求めることができます。
そこで、この問題では、回転軸OF上の点Pを通り、 OFに垂直な平面αで 立体OABC−DEFGをスライスした切り口を考えます。
すると、平面αによる立方体の切り口は、三角形または六角形となります。


ここで、図の対称性を考えて、三角形または六角形において、点Pから、 切り口の各頂点への距離は、すべて等しい。
これらの図形を回転軸のまわりで回転させたとき円板を作るが、 その円板の境界線を描くのは、回転から最も遠い点、 すなわち、これらの図形の頂点である。 この円板が、立体Tの切り口です。


次に、ここで得られた円板の面積を適切な変数を用いて関数として表します。 今述べたように、点Pから切り口に現れる正三角形 (または六角形)の各頂点までの距離は等しい。 ゆえに、頂点の1つのを点Qとすると、 点Qは立方体OABC−DEFGにおいては、 折れ線OAEF上にあるとして考えても一般性を失わない。


このように、点P、Qを定め、点Pの座標を(t、t、t)、 線分PQの長さをf(t)とすると、切り口の円板の面積S(t)は、
S(t)=πPQ=π{f(t)}で与えられる。

最後に、小立体の厚みの方向に対する注意が必要です。 切り口の面積を与える関数 f(t)の変数tの変化量凾狽ヘ、 x軸(または、y軸、z軸)方法への変化量であり、 小立体の厚みの方法(この場合は回転軸)とは異なる。


この問題では、変数tがx軸の正の方法に凾泊揄チするとき、 小立体の厚みが実際に 回転軸方法にどのくらいかを求めてみると、





NO.165     10/18   水の流れ     円に関する微分(14)

ご指摘ありがとうございました。
ただ、h(x)=|f(x)−xtanθ|と絶対値を入れておいてください。



NO.166     10/18   Junko     日本シリ−ズ(7)

いよいよ日本シリ−ズが始まりました。 第1戦は横浜ベイスタ−ズのマシンガン打線が爆発、9−4で勝ちました。 私は、特別べイスタ−ズファンというわけではありませんが、 やはり地元チ−ムの活躍はうれしいものです。
さて、今の状態(ベイスタ−ズが1勝)で、 この後の確率を計算してみました。
第2戦以降、横浜ベイスタ−ズと西部ライオンズの力が対等として計算します。
お互いに勝つ確率は(1/2)で、負ける確率も(1/2)です。

まずは横浜ベイスタ−ズが優勝する確率です。

  1. 試合数4
    ○○○」しかありません。
    確率は(1/2)3=1/8
  2. 試合数5
    □□□○」となります。
    5試合目は必ず○で、3つの□の中に2個の○と1個の×が入ります。
    確率は(1/2)3×(1/2)×32=3/16
  3. 試合数6
    □□□□○」となります。
    6試合目は必ず○で、4つの□の中に2個の○と2個の×が入ります。
    確率は(1/2)3×(1/2)2×42=3/16
  4. 試合数7
    □□□□□○」となります。
    7試合目は必ず○で、5つの□の中に2個の○と3個の×が入ります。
    確率は(1/2)3×(1/2)3×52=5/32

従って、横浜ベイスタ−ズが優勝する確率は、 (1/8)+(3/16)+(3/16)+(5/32)=(21/32)となります。
もちろん、(21/32)>(1/2)です。

次に西武ライオンズが優勝する確率を出してみます。

  1. 試合数4
    ありえません。
    確率は0
  2. 試合数5
    ×○○○○」となります。
    確率は(1/2)4=1/16
  3. 試合数6
    ×□□□□○」となります。
    6試合目は必ず○で、4つの□の中に3個の○と1個の×が入ります。
    確率は(1/2)4×(1/2)×41=1/8
  4. 試合数7
    ×□□□□□○」となります。
    7試合目は必ず○で、5つの□の中に3個の○と2個の×が入ります。
    確率は(1/2)4×(1/2)2×52=5/32

従って西武ライオンズが優勝する確率は、 0+(1/16)+(1/8)+(5/32)=(11/32)となります。
もちろん、ベイスタ−ズが優勝する確率(21/32)と ライオンズが優勝する確率(11/32)を足すと1になります。

次に残り総試合数の期待値を計算してみます。 横浜ベイスタ−ズが優勝する場合と西武ライオンズが優勝する場合とがありますから、 それぞれの確率を足して、試合数にかけて足していきます。

 4×(1/8+0)+5×(3/16+1/16)+6×(3/16+1/8)+7×(5/32+5/32)
=4×(1/8)+5×(1/4)+6×(5/16)+7×(5/16)
=(1/16)×(8+20+30+35)
=(93/16)
=5.8125
となります。
これは、試合前と変わらない数値です。当たり前ですね。 第1試合を消化すれば、必ずどちらかのチ−ムが勝ち、 どちらかのチ−ムが負けます。 でも、残り試合数には関係ありませんものね。



NO.167     10/19   Junko     日本シリ−ズ(8)

斉藤選手の大活躍でまたまたベイスタ−ズが勝ちました。4−0です。 やった−!
何と言っても38年ぶり、応援の気合いが違う!
さて、ベイスタ−ズが2勝です。 この後の確率を計算してみました。
第2戦以降、横浜ベイスタ−ズと西部ライオンズの力が対等として計算します。
お互いに勝つ確率は(1/2)で、負ける確率も(1/2)です。

横浜ベイスタ−ズが優勝する確率です。

  1. 試合数4
    ○○○○」しかありません。
    確率は(1/2)2=1/4
  2. 試合数5
    ○○□□○」となります。
    5試合目は必ず○で、2つの□の中に1個の○と1個の×が入ります。
    確率は(1/2)2×(1/2)×21=1/4
  3. 試合数6
    ○○□□□○」となります。
    6試合目は必ず○で、3つの□の中に1個の○と2個の×が入ります。
    確率は(1/2)2×(1/2)2×31=3/16
  4. 試合数7
    ○○□□□□○」となります。
    7試合目は必ず○で、4つの□の中に1個の○と3個の×が入ります。
    確率は(1/2)2×(1/2)3×41=1/8

従って、横浜ベイスタ−ズが優勝する確率は、 (1/4)+(1/4)+(3/16)+(1/8)=(13/16)となります。
(13/16)=0.81・・・ですから、ベイスタ−ズ断然有利です。

次に西武ライオンズが優勝する確率を出してみます。

  1. 試合数4
    ありえません。
    確率は0
  2. 試合数5
    ありえません。
    確率は0
  3. 試合数6
    ××○○○○」しかありません。
    確率は(1/2)4=1/16
  4. 試合数7
    ××□□□□○」となります。
    7試合目は必ず○で、4つの□の中に3個の○と1個の×が入ります。
    確率は(1/2)4×(1/2)×41=1/8

従って西武ライオンズが優勝する確率は、 0+0+(1/16)+(1/8)=(3/16)となります。
もちろん、ベイスタ−ズが優勝する確率(13/16)と ライオンズが優勝する確率(3/16)を足すと1になります。

次に総試合数の期待値を計算してみます。 横浜ベイスタ−ズが優勝する場合と西武ライオンズが優勝する場合とがありますから、 それぞれの確率を足して、試合数にかけて足していきます。

 4×(1/4+0)+5×(1/4+0)+6×(3/16+1/16)+7×(1/8+1/8)
=4×(1/4)+5×(1/4)+6×(1/4)+7×(1/4)
=(1/4)×(4+5+6+7)
=(11/2)
=5.5
となります。
一方のチ−ムが連勝すれば、総試合数の期待値は減るわけですね。
さて次は所沢球場です。







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