Weekend Mathematicsコロキウム室2000.10〜12/NO.103

コロキウム室



NO.878 2000.11.1.山人約数の最大個数(5)

(一部訂正 11/1 15:00)

NO.873の36の正の約数で36と互いに素な整数の個数について,次のように考えてみました。
36=2×3(=4×9)ですから, 36以下の正の整数を4で割った余りおよび9で割った余りによって表に書いてみます。

 9で割った余り
012345678
4でわった余り0028201243224168
1912921135332517
21810230221463426
32719113312315735

この表は,縦横の枠を作り,中へ1から順に数字を入れていくと規則正しく入りますので, すぐ完成します。また,36の代わりに0を記入しました。
36と互いに素となる数は,黄色の部分に表れます。
これは,(4−4/2)×(9−9/3)=2×6=12と計算できますが
(4−4/2)×(9−9/3)=36(1−1/2)(1−1/3)です。
『数学読本6』(松坂和夫著,岩波書店)の1256ページおよび1342ページを参考にいたしました。




NO.879 2000.11.3.Taku整数問題(2)

  1. a=b のとき、a2+b2=2a2    ab=a2であるから
    a2+b2=2ab  すなわち  a2+b2はabでわりきれる。

  2. 「a2+b2はabでわりきれる。 → a=b」の対偶を示す。
    すなわち「a≠b → a2+b2はabでわりきれない。」・・・(*)を示す。
    a≠bのとき、b=a+k (k∈N)としてよく、
    a2+b2=a2+(a+K)2=2a2+2ak+k2 =2a(a+k)+k2であるから
    (*)を示すには、k2がa(a+k)で割り切れないことを示せばよい。
    これを背理法によって証明する。
    k2=na(a+k)を満たす自然数nの存在を仮定すると、
    k2ーnak-na2=0



    k,nはともに自然数であるので、



    従って、n2+4n=l2(l∈N)と書ける。
    n2+4nーl2=0から



    いま、n∈Nであるから



    従って、4+l2+m2(m∈N)と書ける。
    このとき、4=(m+l)(m-l)
    (m+l)>(m-l)で、(m+l)∈N、(m-l)∈Zであるから、
    {(m+l),(m-l)}={4,1}
    これを解くと、m=5/2,l=3/2で、m∈N、l∈Nを満たさず、不適当である。
    よって仮定は誤りであり、k2がa(a+k)で割り切れない

1.2.より問題は示された。




NO.880 2000.11.4.Takuオイラーの多面体の定理(2)

コロキウム室NO.34 オイラーの多面体の定理について質問があります。
「多面体の面が全て三角形分割されているとき(三角形の数)−(辺の数)+(頂点の数)=2」
というのは分かりましたが、この後どうやって
「多面体において(面の数)−(辺の数)+(頂点の数)=2」というのを示せばよいのでしょうか。
僕は、これは「n角形の内角の和は180(n−2)度」の証明と関係があるな、 と思ったのですが残念ながらこの定理も自分では証明することができませんでした。



NO.881 2000.11.5.Junkoオイラーの多面体の定理(3)

多面体の各面が三角形分割されていなかったとしたら、NO.34 オイラーの多面体の定理 で平面を三角形分割したのと同じようにすればできると思います。 つまり何本かの辺を加えることで、三角形分割にすることができます。 その際、加えた辺の数とそれによって増えた面の数が同じなので、オイラ−数はかわりません。

「n角形の内角の和は180(n−2)度」ですが、 n角形のある1点から、自分と両隣り以外の(n−3)ヶ所の頂点にむけて、 対角線をひくことで(n−2)個の三角形に分割できます。 三角形の内角の和は180度ですから、n角形の内角の和は180(n−2)度となります。 しかしこれは、凸n角形の場合です。

凸n角形でない場合を考えます。
左のような10角形を例に考えてみます。

頂点を1つ選んで端から三角形分割をしていきます。
必要に応じて、対角線をひく頂点を変えますが、その際引いた対角線の数がm個(左の場合は4個) とすると、残りがちょうど(n−m)角形になっています。

残りの(n−m)角形もどこか頂点を選んで対角線を引いていけば、いずれ凸多角形に帰着されます。
従ってすべてのn角形は、交差しない(n−3)本の対角線により(n−2)個の三角形に分割されることがわかります。




NO.882 2000.11.6.Kernighan整数問題(3)

2次形式なんで対角化できればわかりやすいかなと思ってやってみました。

NO.877
自然数a,b(a≧1,b≧1)に対して,ab|a2+b2⇔a=b

←は明らか


(a2+b2)/ab=n n:自然数 とおくと n=2⇔a=b より
(1) a2+b2-nab=0 が n≠2 のとき自然数解(a,b)をもたないことを示せばよい。
そこで、(1)が解(a,b)を持ったと仮定する。

x=(a+b)/2, y=(a-b)/2 とおくと、a=x+y,b=x-y これを(1)に代入すると
a2+b2-nab
=(x+y)2+(x-y)2-n(x+y)(x-y)
=(2-n)x2+(2+n)y2
より
(2) (2-n)x2+(2+n)y2=0を得る。

n=1の場合、 (2)の整数解は(0,0)のみで、(a,b)=(0,0)なので a≧1,b≧1に矛盾。
n≧3の場合、(2)は (n+2)y2-(n-2)x2=0 とかけて



n2-4はn≧3で平方数とならないので(3)の右辺は無理数。
一方左辺は有理数なので矛盾。



NO.883 2000.11.6.ねこペル方程式の最小解

ペル方程式について考えてみます。

    x2 − D y2 = ±1   (D は平方数でない正整数)

と表されるディオファントス方程式をペル方程式といいます。ペル方程式において、自明な解 x = 1,y = 0 以外の最も小さい正整数解を、そのペル方程式の最小解といいます。
そこで、いくつかの D について最小解を求めてみてください。簡単に見つかるでしょうか?




NO.884 2000.11.6.水の流れ国際数学オリンピック(IMO)

皆さん!国際数学オリンピック(International Mathematical Olympiad)をご存じですか。 毎年(7月)1回、高校生(以下)の学生を対象として行われる数学の問題解決を競う 国際大会のことです。
日本は1990年の第31回国際数学オリンピック(北京)大会において初参加を果たしました。 その大会の順位は世界54カ国の中で、 20位、銀メダル2人、銅メダル1人の結果でした。 今では、内容的にも規模的にも基盤の整った国際大会に発展しています。
IMO大会は1959年より毎年夏(7月中旬)、主催国を各国持ち回りとして、 実施されている。以下IMO大会の目的に則し、どのようにして行われるかについて、 いくつか紹介します。

  1. 大会の目的と意義

    IMOは、学校の教材に限らない数学の問題に、特に興味をもつ少年少女のための筆記試験による コンテストである。試験の答案を比較することによって、IMOでは個々の競争者が挑戦し励ましを 得て才能を見い出し、同時に高校レベルでの国際的交流を増進することを目的としています。 またこのIMOは、若人間の交友的関係の樹立の補助をし、 かくして各国間の協力と理解の増進を意図して行われる。

  2. 各国の参加条件

    開催国より招待を受けた各国が、団長並びに副団長、と6名のを越えない選手より成るチームを 開催国へ送ることが出来る。コンテストは、開催年の7月1日時点で18歳以下であり、 かつ高校(または中学)に在学している者でなければならない。

  3. 費用

    主催者が、団長並びに副団長と選手の開催地到着の日より帰国出発日までのチームの食事、 宿泊および滞在に要する費用すべてを負担する。 しかし、参加各国と開催国間の往復の交通費は各テームの負担となる。 オブザーバーやチームの同伴者は全費用を自己負担することが義務づけられ、 また、主催者側がチームの同伴者と人数を制限することがある。

  4. 大会日程

    1日目:午前団長到着、夜問題資料配付。
    2日目:問題選定会議(討議)に入る。
    3日目:午前午後、問題選定会議で最終的に6題を選定する。 夜、問題翻訳まず、英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語・スペイン語に正確に訳される。
    4日目:問題翻訳、各国団長が自国語に訳す。(選手等到着、問題漏洩を防ぐため、 試験終了まで団長と選手達の接触は禁じられる)。
    5日目:開会式 選手には国際親善のためのプログラムが組まれる。
    6日目・7日目:試験、各日4時間半3題、夜団長、副団長は自国の選手の採点をする。成績判定。
    8日目:午前・午後、団長・副団長成績判定、選手、国際親善活動、夜、最終陪審員会議。
    9日目:各国の団長・副団長 最終陪審員会議、選手、国際親善活動。
    10日目:閉会式。
    11日目:帰国。

  5. 問題の提出

    参加各国は、開催日の3,4ヶ月前の定められた期日までに3から 6題の問題を解答とともに各年のIMO委員会に提出する事が義務づけられる。 提出される問題は、初等数学の異なる分野から、難易に変化がある精選されたもので、 未公開なオリジナルのものとされる。 提出するのは、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語の4カ国語のいずれかの言語で 記述されたものとされる。

  6. 問題選定委員会

  7. 各国の団長到着後、国際陪審員会が2、3日にわたって開かれる。 最初に、各年の開催国委員会によって選択され、その年の候補となっている 数十題の問題資料(すべて英語記述)が渡され、 討議は英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語で行われ、 その年のIMO問題として、より質のよいものを選定する。

  8. 問題翻訳

  9. 6題の問題を選定後、まず英語の記述のものがドイツ語・フランス語・ロシア語・スペイン語に 翻訳される。次ぎに、各国の団長が自国語に翻訳する。 その後、正しくかつ公平に翻訳されたが互いに検閲する。

  10. 試験

    試験は2日間にわたり、各日、3題が出題に対して4時間半という形式で行われる。 通常、試験会場として開催地にある大学が使われる。 各国6人の生徒はどの2人も同室にならないように分散して受験し、 筆記用具と作図用具以外のものの使用は一切禁じられている。 開始30分以内に、問題に関する質問を筆記にて自国語で質問することができる。 多くの場合は、生徒の質問については回答しない。”No Answer”である。

  11. 採点と判定

    試験が終わると、各国の生徒の答案は、それぞれ各国の団長はならびに副団長に渡され、 彼らがこれを採点する。毎年、各問平等に7点の配点があり、1人分の満点は42点である。 採点後、団長、副団長は答案の要点を英語に整理して、 判定団(開催国の数学研究者達によって構成されるチームがこの役にあたる) 自分たちの評価(採点の妥当性)を判定してもらう。 判定会は1回30分で、1題の問題(計6人分)について判定する。

  12. 最終陪審員会

    判定員と各国団長との生徒の答案に対する評価の相違に裁定、 およびその年の各賞の配分について協議する。

  13. 各賞の選定

  14. 得点により、生徒の順位が定まり、優勝者には、金・銀・銅賞が与えられる。 金・銀・銅賞の総数は参加生徒総数の半分を超えないこと、 及び、金、銀、銅の割合は大体1:2:3であることが決められている。 また、金、銀、銅賞以外に、特に見事なオリジナルな解を出した者に、 特別賞が与えられる。閉会式で、受賞者には証書とメダルが授与されるが、 他の生徒にも、この大会参加の証書が与えられる。 なお、公式には国別順位なるものは競わないが、生徒6人分の総得点を算出し、 これを国別順位とするのが慣例になっている。

  15. 日本の成績状況

    場所何年参加国数 日本順位金メダル銀メダル銅メダル
    31北京19905420
    32スウエーデン19915512
    33モスクワ199256
    34イスタンプール19937320
    35香港19946910
    36カナダ199573
    37インド19967511
    38アルゼンチン19978212
    39台湾19987614
    40ルーマニア19998113
    41韓国20008215


なお、2003年の大会は日本で開催されることが決まっています。

参考文献:
@数学オリンピック’93〜98(日本評論社)の付録B 
A数学セミナー2000年11月号 
B新数学辞典:大阪書籍



NO.885 2000.11.8.水の流れお祝い問題(1)

この度のドメイン取得により、新しいホームページのオープン 誠におめでとうございます。これからの貴ページの益々の発展と 管理者のご活躍を心から、お祈りします。 ここで、お祝いの印しに、問題を提供します。
(1+x+xの展開係数をを考えてください。



NO.886 2000.11.8.月の光整数問題(4)

a2+b2=mab(mは自然数)とおく。
a,b一方が偶数でもう一方が奇数の場合、a2+b2=奇数、 ab=偶数となるので、両方とも奇数または偶数。
両方とも偶数、a=2A,b=2Bであれば4(A2+B2)=4mABとなり 結局もとの形に戻るのでa,bはともに奇数とする。
するとa2+b2=偶数、ab=奇数なのでm=2nとおける。
a2+b2=2nab
a2+b2-2nab=(a-nb)2+b2・(1-n2)=0
(a-nb)2=b2・(n2-1), |a-nb|=b
a-nbは自然数、は無理数なので
n=1,つまりa=bのとき a2+b2=2abとなる。



NO.887 2000.11.9.Junkoお祝い問題(2)

試しにいくつか展開してみました。

(1+x+x=x+2x+3x+2x+1

(1+x+x=x+3x+6x+7x+6x+3x+1

(1+x+x= x+4x+10x+16x+ 19x+16x+10x+4x+1

パスカルの三角形を連想しますよね?
同じように係数を並べてみました。

(1+x+xの係数
1016191610
・・・・・・

並べながら気づきました。 パスカルの三角形は、上2つを足していくことで形成されますが、 これは上3つの和で作っていけばいいのですね。 なーるほど。







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