Weekend Mathematics問題/問題57



57.素数の問題・その2

  1. p、2p+1、4p+1 が素数のとき、pの値を求めよ。
  2. p、p2+2 がともに素数のとき、 p3+2 もまた素数であることを証明せよ。







問題の出典


数学のひろば

ドミトリ・フォミーン、セルゲイ・ゲンキン、イリヤ・イテンベルク著
志賀浩二、田中紀子訳
岩波書店






答えと解説





答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:Kernighan)

1.p、2p+1、4p+1 が素数のとき、pの値を求めよ。

p=2のとき4p+1=9は素数でない
p=3のときは(p,2p+1,4p+1)=(3,7,13)は素数。
p=5以上の素数のとき
p=2n+1(n≧2)とおくと
n≡0 or 2 (mod 3)となることに注意しておく。
実際 n≡1 (mod 3)とすると、n=3m+1(m≧1)とかけて
p=2n+1=2(3m+1)+1=3(2m+1)であるがm≧1よりpは素数でない。

(2p+1)(4p+1)
(2p+1)(p+1) (mod 3)
2n(n+1) (mod 3)なので

n≡0 or 2 (mod 3)ならば(2p+1)(4p+1)≡0 (mod 3)
となり、3は素数だから2p+1≡0 (mod 3) or 4p+1≡0 (mod 3)
つまり、2p+1 or 4p+1は素数とならない。
以上よりp,2p+1,4p+1が全て素数となるのはp=3の場合のみである。

2.p、p2+2 がともに素数のとき、 p3+2 もまた素数であることを証明せよ。

p,p2+2がともに素数となるのはp=3のみであることを示す。
p=2の場合はp2+2=6で素数でない。
p=5以上の素数のとき
p=2n+1(n≧2)とおくと
p2+2≡n(n+1) (mod 3)
以下は1.と同様。
従ってp=3のときに示せば十分であるが、 p2+2=11, p3+2=29 とともに素数である。



解答・その2

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん )

1 p=3 です。
p, 2p+1, 4p+1 が素数なので p>2 です。(P=2 なら4・p+1=9=3・3)
まず p は 3 以上の素奇数であることが分かります。
p=3 とすると 2p+1=2・3+1=7, 4p+1=4・3+1=13 となり適します。
ここで p=2k+1 とおきます。(p=3 は k=1 のとき)
k は自然数で p を素数とするものとなります。
しかし、実際には k=1 しか適当なものがないことを説明します。
k=2, つまり p=5 のときは 4p+1=21=3・7 となり適しません。
k を使うと 2p+1=2(2k+1)+1=4k+3, 4p+1=4(2k+1)+1=8k+5 となります。
p, 2p+1, 4p+1 のかわりに 2k+1, 4k+3, 8k+5 で考えます。
自然数 k を 3m, 3m+1, 3m+2 の 3 つに分類します。(ここで m は自然数です)
k=3m のときは 4k+3=4(3m)+3=3(4m+1)
k=3m+1 のときは 2k+1=2(3m+1)+1=6m+3=3(2m+1)
k=3m+2 のときは 8k+5=8(3m+2)+5=24m+21=3(8m+7)
のそれぞれが合成数です。
つまり 3 数を同時に素数にする k は 2 以上ではありません。
以上から p=3 以外にはありません。

2 p, p2+2 の 2 つが同時に素数であるときは p=3 のときしかありません。 またこのとき p3+2=29 は素数です。
p, p2+2 が素数なので p は 3 以上の素奇数です。(p=2 なら p2+2=6=2・3)
ここで p=2k+1 とおきます。
k=1 のときは p=3, p2+2=11 で共に素数です。
k=2 のときは p=5 は素数、 p2+2=27=3・3・3 は合成数です。
k=3 以上で p, p2+2 の 2 つが素数でないことを説明します。
k を使うと p2+2=(2k+1)2+2=4k2+4k+3 となります。
p, p2+2 のかわりに 2k+1, 4k2+4k+3 で考えます。
自然数 k を 3m, 3m+1, 3m+2 の 3 つに分類します。(ここで m は自然数です)
k=3m のときは 4k2+4k+3=4(3m)2+4(3m)+3=3(12m2+4m+1)
k=3m+1 のときは 2k+1=2(3m+1)+1=6m+3=3(2m+1)
k=3m+2 のときは 4k2+4k+3=4(3m+2)2+4(3m+2)+3 =36m2+60m+27=3(12m2+20m+9)
のそれぞれが合成数です。
以上から p, p2+2 の 2 つが素数になるときは p=3 以外にはありません。

※ 素数は無限にあることが分かっているので正面から問題を考えていくと途方に暮れます。

※ 「簡単に分かるもの以外にはないのではないか」という発想に立つと解決します。




解答・その3

(ペンネ−ム:水の流れ)

1.自然数pを3で割った剰余系で考えます。

  1. 余りが0のとき、pが素数ということより、p=3だけになる。
       このとき、2p+1=7,4p+1=13となり、いずれも素数です。
      よって、p=3は答えとなる。
  2. pが素数で余りが1のとき、p=3k+1とおく。
      2p+1=2(3k+1)+1=18k+12k+3となり、
      3の倍数となり、素数ではない。よって、このようなpはない。
  3. pが素数で余りが2のとき、p=3k+2とおく。
      2p+1=2(3k+2)+1=18k+24k+9となり、
      3の倍数となり、素数ではない。よって、このようなpはない。

以上より、p=3しかない(答え)

2.同じく 自然数pを3で割った剰余系で考えます。

  1. 余りが0のとき、pが素数ということより、p=3だけ。
      このとき、p+2=11より素数だから、仮定を満たす。
      ここで、p+2=29となり素数である。
     したがって、p=3のときは、与えられた命題は成り立つ。
  2. pが素数で余りが1のとき、p=3k+1とおく。
      仮定のp+2=(3k+1)+2
              =9k+6k+3となり、3の倍数となる。
      よって、p+2が素数となるpは存在しない。
     したがって、p+2が素数であろうともなかそうとも、  与えられた命題は真となり、成り立つ。
  3. pが素数で余りが2のとき、p=3k+2とおく。
      仮定のp+2=(3k+2)+2
              =9k+12k+6となり、3の倍数となる。

よって、p+2が素数となるpは存在しない。
 したがって、p+2が素数であろうともなかそうとも、  与えられた命題は真となり、成り立つ。
以上(1)、(2)、(3)のいずれの場合も、与えられた命題は真となり、成り立つ。

* 一般に(2)、(3)のように、仮定のp、p+2がともに素数である仮定が偽のとき、
 結論のp+2が素数であろうとも素数でなかろうとも、 与えられた命題は真と言える。
 例えば、命題A:「明日晴れる」ならばB:「山に行く」という問題を考える。

  1. Aが真で、Bが真のとき、AならばBは「晴れたので、山に行く」となり、これは真
  2. Aが真で、Bが偽のとき、AならばBは「晴れたが山に行かない」となり、これは偽
  3. Aが偽のとき、つまり、「晴れなかった」ときは、「山に行っても」、「山に行かなく」 ても、AならばBは真となる。
    なぜなら、AならばBは「晴れたら山に行く」という命題を表すもので、 「晴れなかった」場合は、何の規定もしていない。
    だから、Bが真であろうとも偽であろうと、それは関わりなくAならばBは真となる。





解答・その4

(ペンネ−ム:yokodon)

(1)p 、2p+1 、4p+1 が全て素数となるときの自然数 p の値を求める。
問題の素数が3しかないことを示す。
3以上の素数は、2以上の整数 k を用いて 3k+1 または 3k-1 と表せる。

p = 3k+1 のとき、
2p+1 = 6k+3 = 3・(2k+1)
4p+1 = 12k+5
となり、少なくとも前者は合成数(3の倍数)である。

p = 3k-1 のとき、
2p+1 = 6k+1
4p+1 = 12k-3 = 3・(4k-1)
となり、少なくとも後者は合成数(3の倍数)である。

また、2は明らかに条件を満たさない(∵ 4p+1 = 9)。
p = 3 のとき、2p+1 = 7 、4p+1 = 13 である。
以上より、求める素数 p は3…(答)

(2)p 、p2+2 が共に素数のとき、p3+2 も素数であることの証明。
与条件を満たす素数 p が、3しか存在しないことを示す。
3以外の素数は、自然数 k を用いて、3k±1 と表せる。
p = 3k±1 のとき、
p2+2 = 9k2±6k+3 = 3・(3k2±2k+1)
となり、この数は素数ではない。
さて、p = 3 のとき、p3+2 = 29 であり、この数は素数である。
以上より主張は成立する。



解答・その5

(ペンネ−ム:高橋 道広)

今回の問題は、MOD3で考えます。


P=1(mod3)のとき、2P+1=0(mod3) となり、P>1のときは合成数になり
P=2(mod3)のとき、4P+1=0(mod3) となり、P>1のときは合成数になる
よって、P=0(mod3) でP>1のとき、P=3 このとき2P+1=7 4P+1=13となり条件を満たす。
     答 3


P=1(mod3)のときP2+2=0(mod3) P>1のとき合成数になる
P=2(mod3)のときP2+2=0(mod3) P>1のとき合成数になる
よってP=0(mod3)より P=3
このとき、p2+2=11 P3+2=29が素数になっている。
よって、命題は成立する。



解答・その6

(ペンネ−ム:ねこ)

1.
pを3つに分類して考える。
(1)p=3n+1型のとき
2p+1=2(3n+1)+1=3(2n+1)となり、素数にならない。

(2)p=3n+2型のとき
4p+1=4(3n+2)+1=3(4n+3)となり、素数にならない。

(3)p=3n型のとき
p=3nが素数となるのはn=1のとき、すなわち、p=3。
このとき、2p+1=7、4p+1=13であり、条件が成り立つ。

答え p=3

2.
pを3つに分類して考える。
(1)p=3n+1型のとき
+2=9n+6n+1+2=3(3n+2n+1)となり、素数にならない。

(2)p=3n+2型のとき
+2=9n+12n+4+2=3(3n+4n+2)となり、素数にならない。

(3)p=3n型のとき
p=3nが素数となるのはn=1のとき、すなわち、p=3。
このとき、p+2=11で素数。
条件が成り立つpは3のみであり、このときp+2=29は素数である。




解答・その7

(ペンネ−ム:kiyo)


  1. pは奇素数でなければならない。
    p=2n+1 nは自然数。
    2p+1=4n+3==n (mod 3)
    1. n=3m+1 (整数 m>=0)
      p=2n+1=3*(2m+1)
      2p+1=12m+7
      4p+1=24m+13
      イ)m=0 p=3,2p+1=7,4p+1=13
      ロ)m>0
      不適。
    2. n=3m+2
      p=6m+5
      2p+1=12m+11
      4p+1=3(*8m+7)
      この場合は不適。

                           答え p=3


  2. pは奇素数でなければならない。
    p=2n+1
    1. n=3m
      p=6m+1
      p2+2=3*(12m2+4m+1)
      この場合は不適。
    2. n=3m+1
      p=6m+3
      p2+2=36m2+36+11
      イ) m=0 p=3,p2+2=11,p3+2=29
      これは、条件を満たす。
      ロ)m>0
      この場合は不適。
    3. n=3m+2
      p=6m+5
      p2+2=3*(12m2+20m+9)
      この場合は不適。


したがって、p=3,p2+2=11,p3+2=29
この場合に限る。




解答・その8

(ペンネ−ム:BossF)


まず、p=3 は、あきらかに題意を満たす
さて、任意の素数pは、p≡1,2(mod3)であり
p≡1(mod3)の時 2p+1≡3≡0(mod3)
また、p≡2(mod3)の時 4p+1≡9≡0(mod3)
以上より、題意を満たす pは3のみ…答


p=3 の時、明らかに題意は満たされる。
さて、p≠3 の時、p≡±1 (mod3)であり
このとき、p2+2≡1+2≡0 (mod3)だから
「p、p2+2 がともに素数」を満たすのは3のみ
よって題意は示された■




参考

(ペンネ−ム:浜田 明巳)

苦しまぎれのプログラムを投稿します.参加することに意義があると思っています.

Macro1は,2≦p≦1000000の範囲の整数の中で条件に合うpの値を求めるものです.
本当はエラーが出る限界までやりたかったのですが,時間もかかるし, 数学的にもそんなに意味がないので,ここら辺を限界にしました.
答は3のみです.

Macro2は,p,p2+2がともに素数になるpにおいて, p3+2が素数にならない場合を抽出するものです.
エラーが出る限界まで(2≦p≦46347)チェックしたのですが, そんなpは存在しませんでした.
いずれの場合も素数チェックを関数化しています.

Option Explicit
Sub Macro1()
    Dim p As Long
    Dim kotae As Integer
    Range("A1").Select
    kotae = 0
    For p = 2 To 1000000
      If sosuu(p) Then
        If sosuu(2 * p + 1) Then
          If sosuu(4 * p + 1) Then
            kotae = kotae + 1
            Cells(kotae, 1).Value = p
            Range("A" & kotae).Select
          End If
        End If
      End If
      Cells(1, 3).Value = p
      p = p + 1
    Next p
End Sub
Sub Macro2()
    On Error GoTo er
    Dim p As Long
    Dim deta As Integer
    Dim j As Integer
    Range("A1").Select
    For j = 1 To 3
      Cells(j, 1).Value = 0
    Next j
    deta = 0
    p = 2
    While deta = 0
      If sosuu(p) Then
        If sosuu(p * p + 2) Then
          If sosuu(p * p * p + 2) = 0 Then
            deta = 1
            Cells(1, 1).Value = p
            Cells(2, 1).Value = p * p + 2
            Cells(3, 1).Value = p * p * p + 2
          End If
        End If
      End If
      Cells(1, 3).Value = p
      p = p + 1
    Wend
'
er:
End Sub
Private Function sosuu(ByVal n As Long) As Integer
    Dim j As Long
    sosuu = 1
    j = 2
    While sosuu And j <= Sqr(n)
      sosuu = -(Int(n / j) * j < n)
      j = j + 1
    Wend
End Function





正解者

夜ふかしのつらいおじさんkiyo水の流れ
BossF高橋 道広yokodon
Kernighanねこ





まとめ

どちらの問題も条件を満たすのは、p=3の場合に限定されます。
2については、ものの言いようが仰々しいですかね?
こんな感想をいただきました。

本問で「面白いな!」と思ったのは、“素数という条件が、如何にも一般性 のありそうな整数論の命題を強く制限する”という現象が見られることです。これが 、問1の場合において、p 、3p+1 、6p+1 という組だとどうなのだろう?とか、いろ いろ遊べそうな気がします。
いつか、数学セミナーという雑誌で、平面上の区画を塗り分けるやり方に関する未 解決問題の解答を一般公募していたときに、あえて一般性のある定式化をしてうまく 解決に導いた例を見たことがあります。問題の詳細を忘れてしまったので、詳しくご 紹介できなくて申し訳ありませんが、その時のことを思い出しました。

素数を小さい方から2,3,5,7,・・・と探していくと、どうやらp=3以外には ないらしいということがわかります。
しかし素数は無限に存在しますから、どこまで確認してもそれで尽くされるわけではありません。
何らかの方法で、条件を満たすものがp=3に限定されるということを示さなければなりません。

皆さんから寄せられた解答のように、3の剰余類に分類するとすっきりと解決されます。
剰余類の分類によれば、場合わけが有限ですからね、これは結構問題解決に威力を発揮することが多々あります。
こんな問題はいかがでしょうか?

「自然数aとbをとるとき、a+b+4は ある自然数の3乗とはならないことを示しなさい。」

→ コロキウム室 NO.1058





E-mail 戻る top