Weekend Mathematics問題/問題5

5.カ−ドの問題

下の4枚のカ−ドから3枚を取って1列に並べ、 3桁の整数を作ります。 この時、1とその数自身しか約数を持たない数(素数といいます。) をすべて求めよ。



問題の出典


慶応義塾中等部'92入試

「パズルより面白い中学入試の算数」

ピ−タ−・フランクル

講談社


答えと解説












答えと解説

5.カ−ドの問題

下の4枚のカ−ドから3枚を取って1列に並べ、 3桁の整数を作ります。 この時、1とその数自身しか約数を持たない数(素数といいます。) をすべて求めよ。





回答・その1

(ペンネ−ム:大地)

2、3、4、5の4枚のカ−ドを使ってできる3桁の数の中で、 1の位に2、4がくると2の倍数になってしまい、5だと5の倍数になってしまうので、 1の位は3でなければならない。

1の位が3の数は、243、253、423、453、523、543、 の6個。

その中で、各位の和が3の倍数だと3で割り切れてしまうので、 243、423、453、543はだめになるから、
253、523が残る。

253は11で割り切れるので、素数は523。

回答・その2

(ペンネ−ム:はなフムフム)

下1桁が2の時、2を約数にもつので、×
下1桁が4の時、2を約数にもつので、×
下1桁が5の時、5を約数にもつので、×
よって、下1桁は、3となる。

3桁の数をabcとおく。
abcの合計が3の倍数の時は、3の倍数なので、×
よって、abの組み合わせは、(25)、(52)の2つ。
(243、423、453、543は3の倍数)

また、abcがa+c=bの時は11の倍数なので×
したがって、253は2+3=5なので、×

よって、素数だと考えられる数字は523の1つ。

523に約数がないか、調べてみる。
13×11=143、 13×31=403
13×41=533、 17×19=323
17×29=493、 17×39=663

した1桁が3になる素数同志をかけてみたが、 523になるものはなかったので、523は素数。

回答・その2・コメント

523が素数であるという確認をしているところがいい!

正解者(ペンネ−ム)

Junji

Sin-ichi

ちゃんた

通りすがりの大学院生

BRAINMANIA

BABY MINNIE

サンジェルマン

石川ごえもん

コレクトコ−ルは106番!

くつ下

匿名希望

es

まとめ

次の数で割り切れるかどうかを判定する方法を示しましょう。

2・・・下1桁が偶数なら割れる
3・・・各桁の数字を足してみてそれが3で割り切れれば、割れる。
4・・・下2桁が4で割り切れれば割れる
5・・・下1桁が5か0なら割れる
6・・・2で割れて、3で割れれば、割れる
7・・・下から3桁ごとに区切り、奇数番目のものの和と、偶数番目のものの和の差が7の倍数なら割れる。
8・・・下3桁が8で割り切れれば割れる
9・・・各桁の数字を足してみてそれが9で割り切れれば、割れる。
10・・・下1桁が0なら割れる(我ながらつまらないことかいてるなあ・・・)
11・・・奇数桁の和と偶数桁の和の差が、11の倍数なら割れる
12・・・4で割れて、3で割れれば、割れる
13・・・下から3桁ごとに区切り、奇数番目のものの和と、偶数番目のものの和の差が13の倍数なら割れる。


これについての詳しい証明

以上をふまえると、2+3+4=9、3+4+5=12より、
[2][3][4]、[3][4][5]の」組み合わせはどう並べても 必ず3の倍数になるからダメ!

[2][4][5]の組み合わせは下1桁が5だと5で割れるし、 2か4なら2で割れるからやはりダメ!

残りは、[2][3][5]の組み合わせしかない。 下1桁は5と2はだめだから3。 253か523。
253は11で割れる。
523は割り切れる整数が見つからない。
よって素数は523ただ1つだけ。

寄せられたレポ−トでは、253=11×23に気づかず、 これも素数と答えた人が多かったです。

最後に残った1つが素数かどうかもきちんと確認せず、 答えているレポ−トもちょっと気になります。

もしかしたら、「該当なし」が正解かもしれませんからね。 きちんと確認しましょう。

それでは、ある数Nが素数かどうか? どうやって判定したらよいでしょうか。

詳しくはこちら

質問


しかし、大きな数が素数であることを確認する有効なチェック法はないのかなぁ?

お答えします


ありません。

たとえば、2以外の偶数は当然素数ではないわけだし、 何か1つでも素因数分解が見つかればそれは素数ではないことが判明します。

しかしながら、ある数が素数であることを示す方法は「これっ!」というものがありません。

「エラトステネスのふるい」にかけるしかないでしょうね。
これは2、3、5、7、11、13、17・・・と素数で順番に割っていってNの約数を探すのです。 まで探して見つからなければNは素数です。

なぜ、まで探せば充分なのでしょうか? 
約数は必ずペアがいるからです。もし、を越えたところに約数がみつかったなら 実はそのパ−トナ−がより前にいたはずですよね。 だからまでで充分なのです。

素数に関する話

1.素数は無限に存在する。

背理法(結論を否定して、矛盾を導き出す証明方法)による。
素数が有限個だとして、最大の素数をpとする。
すべての素数の積に1をたしたものをNとする。
N=2・3・5・・・・p+1とおく。
N>pより、Nは素数ではない。
ところがNはどんな素数で割っても割り切れない。(余りが1)
従って、Nは素数である。これは矛盾。
ゆえに、素数は無限に存在する。

2.双子素数は無限に存在するだろうか?

双子素数・・・3と5、101と103の様に差が2である素数のペア。
私の手元にある資料によれば、知られている最大のペアは76×3139−1と76×3139+1だそうです。
双子素数は無限に存在すると考えられてはいるが、まだ証明されてはいません。

3.すべての偶数(≧4)は、2つの素数の和として表せる。(ゴルドバッハの推測)

4=2+2
6=3+3
8=3+5
10=3+7=5+5
12=5+7
のように、33×10以下の偶数については実際の計算によって確認されています。 しかしながら、すべての偶数について証明されているわけではありません。

4.x以下の素数の個数をπ(x)とすると、xが十分大きいとき、 π(x)≒x/logx(素数定理)

すべての素数を与える公式は存在せず、その配置はきわめて不規則です。 にも関わらず、素数の大きな区画を調べてみると、 素数の平均的な配置はきわめて規則的だということです。 これはすごいことだと思いません?

19世紀初め、ガウスとラグランジェはπ(x)とx/logxの表をみて、大きいxに対して π(x)/(x/logx)の比がほぼ1に等しいとそれぞれ独立に考えたのだけれども、 証明はできませんでした。
1851年、ロシアの数学者チェビシェフは、極限値が存在するとすれば、 それは1であるということを証明したのだけれども、極限値の存在そのものは証明できませんでした。
最終的には1896年、J.HadamardとC.J.de la Vallee Poussinによってそれぞれ独立に しかもほとんど同時に証明されました。

それにしても、こんなところに対数logが登場するというのも不思議ですねえ! 数学の神秘を感じます。



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