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問題120 三角形ができる確率
Weekend Mathematics問題/問題120

120.三角形ができる確率

10cmの針金があり、任意に2点をとって3本に切断する。 このとき3本の針金で三角形ができる確率はどれだけか。


問題の出典

判断力を高める推理パズル
鈴木清士 著
講談社ブルーバックス

答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:ますますタコさん)

解答: 1/4の(もしくは、1/4に限りなく近い)確率で三角形ができる。(でしょうか?)

過程: まず、法則を見つけるのに、1cm単位で切った場合を考えました。(すいません・・・私はちからわざで)
1−1−8、1−2−7、・・・、2−1−7、・・・、8−1−1 と、 任意の2点を切った場合に1cm単位の場合、36通り考えられます。 (この考え方でいいですよねえ?たとえば、 1−1−8、1−8−1、8−1−1は任意の2点は針金のどちらか一方の端から 1と2、1と9、8と9、cmの位置で切断するという考え方で・・・。)
で、「三角形」ができる条件を考えると、この問題の場合、 3本の切断した針金のうち、5cm以上の針金がないことになります。 (3辺のうち一番長い1辺の長さが残り2辺の長さの和より短いこと)言い換えると、 3本の針金がすべて5cm未満でないと三角形にはなり得ない、と言うことになります。 そこで、三角形ができる条件を1cm単位で考えた場合(3本とも5cm未満)は、 2−4−4、3−3−4、3−4−3、4−2−4、4−3−3、4−4−2の6通りです。 ですから、確率は 6/36=1/6 です。

次に、1mm単位で考えました。(すいません。これもちからわざです。)
1−1−98、1−2−97、・・・、2−1−97、2−2−96、・・・、 97−2−1、98−1−1 と、左の数字が 1 のとき98通り、 2 のとき97通り、3 のとき96通り、・・・、98 のとき1通り となり、 全部で 4851( =98(98+1)/2 )通りになります。
同様に3つの数字がすべて50未満を探すと、左の数字が 1 のとき0通り、2のとき1通り、 3 のとき2通り、4 のとき3通り、・・・、49 のとき48通り、 50 のとき0通り、51 のとき0通り、・・・、98 のとき0通り となり、 三角形になり得る場合は 1176( =48(48+1)/2 )通りになります。
三角形になる確率は 1176/4851=24/99=8/33 です。

ちょっと見えてきたようなきがします。 次に0.1mm単位で考えました。
今度は1000分割になります。上(100分割)と同様に考え、左の数字が  1 のとき998通り、2 のとき997通り、3 のとき996通り、・・・、で、 全部で 498501( =998(998+1)/2 )通りになります。
3つの数字がすべて500未満を探すと、左の数字が 1 のとき0通り、 2 のとき1通り、・・・、499 のとき498通り、500 のとき0通り、・・・、 998 のとき0通り となり、三角形になり得る場合は  124251( =498(498+1)/2 )通りになります。
三角形になる確率は 124251/498501=249/999=83/333 です。
さて、先では式を考えませんでしたが、10分割のときは全部で 36( =8(8+1)/2 )通りで、 三角形になり得る場合は 6( =3(3+1)/2 )通りです。 確率は上でも書いたように、6/36=1/6 です。
100分割、1000分割のときの様に、分母を「9」だけで表現すると、 10分割のときは 1.5/9 となる。

確率は、分割数を無限と考えると 1/4(に限りなく近い値)になると思います。
あくまで、予測の範囲です。


解答・その2

(ペンネ−ム:のっこん)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1)7等分点をとり、一番左の点を1、その隣りの点を2、・・・、一番右の点を6とする
三角形ができる点のとり方は
  1と4
  2と4、2と5
  3と4、3と5、3と6
全部で1+2+3=3・4/2 通り
任意の点のとり方は C=6・5/2 通り
確率は3・4/6・5

2)8等分点をとり、一番左の点を1、・・・・・・・・、一番右の点を7とする
三角形ができる点のとり方は
  2と5
  3と5、3と6
全部で1+2=3・2/2 通り
任意の点のとり方はC=6・7/2 通り
確率は3・2/6・7

3)9等分点をとり、・・・・・・・・
三角形ができる点のとり方は
  1と5
  2と5、2と6
  3と5、3と6、3と7
  4と5、4と6、4と7、4と8
全部で4・5/2 通り
任意の点のとり方はC=8・7/2 通り
確率は4・5/8・7

4)10等分点をとり、・・・・・・・
三角形ができる点のとり方は
  2と6
  3と6、3と7
  4と6、4と7、4と8
全部で4・3/2 通り
任意の点のとり方はC=8・9/2 通り
確率は4・3/8・9

5)11等分点をとり、・・・・・・・
三角形ができる点のとり方は
  1と6
  2と6、2と7
  3と6、3と7、3と8
  4と6、4と7、4と8、4と9
  5と6、5と7、5と8、5と9、5と10
全部で5・6/2 通り
任意の点のとり方は10C=10・9/2 通り
確率は5・6/10・9

6)12等分点をとり、・・・・・・・
三角形ができる点のとり方は
  2と7
  3と7、3と8
  4と7、4と8、4と9
  5と7,5と8,5と9,5と10
全部で5・4/2 通り
任意の点のとり方は11C=10・11/2 通り
確率は5・4/10・11

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まとめると(n≧2とする) (1)(2n-1)等分点をとった時の確率は (n-1)n/(2n-2)(2n-3)=(1/4)+{3/(8n-12)}
(2) 2n等分点をとった時の確率は (n-1)(n-2)/(2n-2)(2n-1)=(1/4)-{3/(8n-4)}
            ※この辺は証明が必要だと思うけれども。

いずれにせよ、nを十分に大きくすると確率は 1/4 となる


解答・その3

(ペンネ−ム:にしやん)

切り取った3辺の長さをそれぞれ、a、b、c とする。(単位はcm)
題意より

   a+b+c=10

各辺の長さは正なので、cを消去して整理するとa、bのとりうる範囲は以下となる。

   a>0、b>0、a+b<10

すなわち、a,bのとりうる範囲は、1辺が10cmの直角二等辺三角形の面積に等しい。

   10*10/2=50

このうちa,b,cで三角形を作るとすると、2辺の和は、残り1辺よりも大きくなければならないので

   a+b>c、b+c>a、c+a>b

上記より、cを消去して整理すると

   a<5、b<5、a+b>5

すなわち、a,bのとりうる範囲は、1辺が5cmの直角二等辺三角形の面積に等しい。

   5*5/2=12.5

従って求める確率は、

   12.5/50=1/4


解答・その4

(ペンネ−ム:Toru)

左端からx cm 右端からy cmで切断するとすると

   x+y<10, x>0, y>0

これをxy平面上に考えると、(0,0) (0,10) (10,0)を結んだ三角形の内部 この領域のどの点も同じ確率で起こると考える。 三角形ができる条件は、三辺が x, y, 10-x-yだから

   x+y>10-x-y, x+(10-x-y)>y, y+(10-x-y)>xより

   x+y>5, x<5, y<5

これは(0,5) (5,5) (5,0)を結んだ三角形の内部で、 前記の三角形の各辺の中点を結んだ三角形となっており、面積は1/4。
よって三角形のできる確率も1/4


解答・その5

(ペンネ−ム:杖のおじさん)

確率は 1/4 です。
10cm針金を任意の2点で切断します。そして三角形を作りますので次の式が成り立ちます。 任意の点で切断すると一辺をAcm、二辺目をBcm、とすると三辺目は10−(A+B)cmとなります。 三角形は二辺の合計は他辺より大きい条件があります。

   A+B>10−(A+B)
   A+(10−(A+B))>B → 10>2B → 5>B
   B+(10−(A+B))>A → 10>2A → 5>A

   A+B>5、5>A>0、5>B>0

上記条件で次の計算をします。
針金の切断ポイントは10×10/2=50です。
三角形にするための切断ポイントは5×5/2=12.5です。
確率は12.5÷50=0.25となり答えは1/4です。


解答・その6

(ペンネ−ム:teki)

答え  1/4
三角形の成立条件は1辺の長さが他の2辺の長さの合計より短いことです。 あとは、これを不等式であらわせば、グラフを描くことによって、直角二等辺 三角形の面積比から出てきます。(なんと、ここにも三角形が登場!)
詳しい解法は不等式とグラフを用いて淳子先生ご自身がコロキウム室 NO.454 に記載されてますので、省略します。


解答・その7

(ペンネ−ム:みけねこ)

棒を、x、y、10−x−y、の3本に切断したとする。 題意より

   0<x<10、0<y<10、0<10−x−y(<10)

がいえる。 これらが示す領域は下図の“緑”(外側の三角形の内部)である。 また、三角形が出来る条件は、

   (1):x+y>10−x−y
   (2):y+10−x−y>x
   (3):10−x−y+x>y

(1)、(2)、(3)を整理すると、

   y>5−x、x<5、y<5

であり、これらが示す領域は下図の“赤”(内側の三角形の内部、斜線部分)である。


全事象は上図の“緑”(外側の三角形の内部)の面積であり、 三角形が出来るのは上図の“赤”(内側の三角形の内部、斜線部分) の面積であるから求める確率は1/4となる。(終)


解答・その8

(ペンネ−ム:まーや)

(答え)1/4
切り取った1本の長さをx(cm)、もう1本をy(cm)とすると、 残りの1本は 10−x−y(cm)となる。 針金の長さは10cmなので、

   x+y<10・・・(1)

また、三角形ができるためには、 3辺すべてにおいて「1辺の長さ<他の2辺の合計」が満たされればよい。 よって、

   x<y+(10−x−y)・・・(2)
   y<x+(10−x−y)・・・(3)
   10−x−y<x+y・・・(4)

   (2)より x<5・・・(5)
   (3)より y<5・・・(6)
   (4)より x+y>5・・・(7)

(1)、(5)、(6)、(7)の範囲を図示すると、


三角形ができる確率は、グラフの△AOBに占める△DFCの面積の割合なので、 1/4 


解答・その9

(ペンネ−ム:巷の夢)

3本の針金の長さを各々、 とすると、針金の長さが10pであるから、

   0<a,b,c<10 ・・・(1)

ここで三角形が出来る条件より、

   c<a+b
   b<a+c  ・・・(2)
   a<b+c

が成立せねばならない。 ここで、3変数を2変数に絞り込むと、c=10−a−b であるから、

0<a+b<10・・・(3)

となる。 これら(1)、(2)及び(3)の条件から

   0<a<5
   0<b<5  ・・・(4)
   5<a+b

が成立する。以上の(1)〜(3)の条件下で(4)の成立範囲を考えると、 正にこれこそ三角形が成立する確率であるから、 これらを座標平面に表示すると下記のようになり、 大きな三角形の面積に対し中の黒い三角形部分の面積比が求めるものである。 即ち、 

   


解答・その10

(ペンネ−ム:蜘蛛の巣城)

針金をABとして、図1のP,Qが任意の切断点です。



としましょう。題意を勘案すれば

   0<x<10   (1)
   0<y<10   (2)
   x+y<10   (3)

です。(1)(2)(3)を同時に満たす条件を視覚化して、平面上に領域として図示すると図2の三角地帯の内部となります。



切断された3本の針金で三角形が成立する条件は、言わずと知れた「2辺の和は他の1辺より長い」で

   AP+BQ>PQ   (4)
   PQ+AP>BQ   (5)
   PQ+BQ>AP   (6)

(4)(5)(6)が同時に成立する必要があり、かつそれで十分です。 (4)(5)(6)を領域で表示できるようにすれば

   x+y>5    (7)
   y<5      (8)
   x<5      (9)

(7)(8)(9)を同時に満たす領域を図2に重ねて図示すると図3を得ます。色つきの領域の内部です。全体に占める面積の割合は25%です。 従って、切断された3本の針金で三角形を作ることができる確率は25%です。



ところで、真の意味でP,Qを「任意の」2点とすることは人間の手で切断する限り、難しいのではないでしょうか。 左右のバランス感覚が働いたりして、図2の三角地帯のすべての点が等しい 蓋然性をもって期待できるということはあり得ないでしょう。それを実現できるのは「神の手」ということでしょうか。


解答・その11

(ペンネ−ム:FausT)

題意より、切り取った3本の針金の長さを、 x、y、10−x−y とすれば、

   0<x<10、 0<y<10−x

が得られる。
また、三角形ができるための条件は、 任意の2辺の長さの和が、もう1辺の長さより長くなることであるから、

   x+y>10−x−y より y>5−x
   x+(10−x−y)>y より y<5
   y+(10−x−y)>x より x<5

が得られる。
ここで、3本に切り分けるだけの事象は、参考図において、 (0,0),(10,0),(0,10)の内部全てであり、 このうち、3本の針金が三角形をなすための事象は、 (5,0),(5,5),(0,5)の内部全てとなる。
∴ 求める確率は、面積比より
1/4 となる。 ・・・・・・【解】      ( 以 上 )




解答・その12

(ペンネ−ム:三角定規)

図のように,長さ10の線分 AA' を2点B,Cで折り曲げ三角形を作ることを考える。
AB=x,AC=y とすると 0<x<y<10 …(1) であり,3辺が三角形を作るのは,

   AB<BC+CA より,x<10−x  ∴ x<5 …(2)    CA<AB+BC より,10−y<y  ∴ y>5 …(3)    BC<CA+AB より,y−x<10−y+x ∴ y<x+5 …(4)   (1)は図の水色部分(面積50)で,(2)(3)(4)は青色部分(面積25/2)である。 よって,三角形となる確率は,(25/2)/50=1/4 [答] エクセルでシミュレーションをしてみたら,22/100,48/200,96/400,197/800 と概ね 1/4 になりました。



解答・その13

(ペンネ−ム:転位反応)

10pの針金を任意の二点で切断してできる三本の針金の長さを a,b,cとすると、

   0<a<10, 0<b<10, 0<c<10

である。  また、a+b+c=10 なので

   a+b=10−c <10

従って、変数a,bについて整理すると

   0<a<10, 0<b<10, 0<a+b<10 

a,bを座標軸にとってグラフに示すと、下記の通り。 つまり、針金の切断により、起こりうる全てのa,bの組合せは、 (0,0)、 (0,10)、 (10,0) を頂点とする直角二等辺三角形の 内側の点である。但し、境界線上の点は含まない。

一方、これら三本の針金で三角形が成立する必要十分条件は、

   a+b>c, b+c>a, c+a>b

を全て満たすことである。 c=10−a−b を用いて、a,bについて整理すると

   0<a<5, 0<b<5, 5<a+b<10

これらの条件を同時に満たす全てのa,bの組合せは、 (5,0) (0,5) (5,5)を頂点とする直角二等辺三角形の内側の 点である。但し、境界線上の点は含まない。

以上の結果から、起こりうる全ての点(a,b)の組合せに対して、 三角形が成立する場合の点(a,b)の組合せの数の割合は、 上記二つの直角二等辺三角形の面積比に等しいことになる。 これらの直角二等辺三角形の相似比は1:2であることから、 面積比は1:4である。よって、題意の確率は1/4となる。



解答・その14

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)

答えは、1/4です。
三角形の3辺には、次の関係があります。  (あ)どの2辺の和も他の1辺より長い
 (い)どの2辺の差も他の1辺より短い

実は(あ)と(い)は同じことです。 三角形の長さを3辺をa、b、cとします。

 a+b>c ・・・ (1)
 b+c>a ・・・ (2)
 c+a>b ・・・ (3)

(1)からb(a)を右辺に移項すると、a>c−b(b>c−a)
(2)からc(b)を右辺に移項すると、b>a−c(c>a−b)
(3)からa(c)を右辺に移項すると、c>b−a(a>b−c)

a、b、cの大小に関係なくこの6つの式を併せれば(い)がいえます。 だから(あ)の条件だけを考えます。 針金にとる2点をX、Yとします。(左の点をXとします) 左端からの点X、Yまでの距離をx、yとします。 すると針金の長さは、(a)x、(b)y−x、(c)10−yとなります。
●図1


1辺が10の正方形の中に、左からxのところ、下からyのところに点をとります。 左の点をXとしているので、y>x(図の左上)の部分の話ですが、右にXがくる場合は、 y=xに関して対称な部分になります。
●図2


三角形ができる場合を考えると、(x,y)は

 (A)左下の部分にはありません(cが5cmより長いので)
 (B)右上の部分にはありません(aが5cmより長いので)
 (C)左上の部分にはありません(bが5cmより長いので)

逆に残った部分に(x,y)があれば、どの2辺の和も他の1辺より長くなっています。
●図3


図の左の辺で、

   a+b>5>cより、a+b>c ・・・ (1)
   c+a>5>bより、c+a>b ・・・ (3)

図の上の辺で、

   b+c>5>aより、b+c>a ・・・ (2)

となります。 この1辺10の正方形の中の点がどれも同じようで区別がないとすると求める確率は面積の比になります。

【おまけ】
どの辺も5cmよりも短ければ三角形ができます。 最初に取った点をX(半分より左)とします。 三角形ができるためには、YはXからも右端からも5cm以内にあればよいことになります。
●図4


xの値に対してYをとったときに三角形ができる確率 (Yの範囲の長さ/10)をグラフにすると次のようになります。
●図5


正解者

teki みけねこ 転位反応
夜ふかしのつらいおじさん ますますタコさん まーや
Toru のっこん 杖のおじさん
巷の夢 にしやん 三角定規
蜘蛛の巣城 FausT

まとめ

毎月の問題も、これでNO.120ですから、10年ということになります。 長くおつき合いいただいている皆さんに心から感謝申し上げます。 引き続き、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回の問題ですが、実はこのテーマは、tekiさんのご指摘にもあるように、 以前、コロキウム室で取り上げたことがありました。
確率は、すべての事象の個数と、条件に合う事象の個数で比をとって、 求めますが、この問題にように連続的に変化する場合は、1個、2個と 個数で数えられません。 1次元なら長さの比、2次元なら面積の比で求めることになります。 そこが、この問題のおもしろいところかなと思います。
ますますタコさんのっこんさんの 解答は、分割を無限にしていって、その極限値として、 確率を定義づけるというおもしろい解法ですね。 微分の考え方に通じるものがあり、感心いたしました。


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