Weekend Mathematics情報/「ロボット入門」の授業(2005年)


「ロボット入門」の授業(2005年)

「ロボット入門」の指導計画


第12回・AIBOによる実習

AIBO実習

* AIBOを制御する *

AIBOを2台、さらにそれを制御するためのソフトウエア「AIBOマスタースタジオ」を購入してもらうことができましたので、これを用いたプログラミング実習を行いました。 PC上で作ったプログラムをメモリースティックに保存し、それをAIBOのお腹に入れて再起動をかけます と、そのプログラムが実行されます。
コンピュータ教室のPCでは、メモリースティックの読み書きはできませんので、 ノートパソコンにリーダー/ライターを接続しました。(2セット) 生徒はPCで作成したプログラムを一端、FDに保存し、それをこのノートパソコンで開き直してから メモリースティックに保存をします。ここがわずらわしいところですが、AIBOは2台しかありませんので、 まあ仕方がないかなというところです。 メモリースティックも専用のものしか使えないということで、数枚購入しました。

AIBO実習

* クイックビヘイビアアレンジャー *

これには、「順次実行タイプ」と「イベント実行タイプ」があります。 前者は、「立つ、歩く、座る」というように指示した順番にプログラムが実行されていきます。 後者は、頭を下げると歩く、「アイボ」と声をかけると立ち上がるというように、 刺激に反応するようなものです。 どちらも、命令を選択していくことで、簡単にプログラミングができるものです。

* 条件分岐のあるプログラム *

「ビヘイビアアレンジャー」を用いたプログラミングに時間をかけました。 (「AIBOマスタースタジオ」のチュートリアルにある題材を参考にさせていただきました。) 新規作成をすると、「スタート」と「エンド」がでてきて、その間に、 命令を指示するアクションボックス、条件分岐をするためのブランチボックスなどを配置し、 その内容を細かく指示していきます。そしてそれらを線でつないでできあがりです。 最初に実習したのは、「立ち上がったら、10cm歩いておじぎをする」というものです。 出来上がったらAIBOで試してみるわけですが、確かにプログラミングされた通りにAIBOが動くと、 うーん、納得という感じでしょうか。
次はブランチボックスを使って、「まず立ち上がり、頭を押されたら歩いておじぎをする」というものを作りました。ブランチボックスの中で「if else」を用いた条件分岐を記述していきます。また、センサー(この場合は頭)で情報を受け取ることから、センサーを初期化するという手続きについても学びました。
この後は、予め用意されている動作「キックする」「旋回する」「伏せる」などを組み合わせて自由にプログラムをしてもらい、AIBOで実行してみました。頭を左右にふるためのパラメーター、プラスの数値が右なのか左なのか、マニュアルを見なくてもやってみればわかります。(プラスは左でした。)

AIBO実習

* サブプログラム *

次に取り組んだのは、音声認識を用いて、条件による3分岐です。「立ち上がる、かけられた声によって違うアクションをする。『AIBO』と言われたら前進しておじぎ、『こんにちは』と言われたら 挨拶をする、それ以外のことばの場合は怒る」というものです。 プログラムが複雑になってきた場合、その構造をすっきりさせるため、一部をサブプログラムとして独立させるとよい、更に独立させることで別な場面でも再利用ができるようになる、ということで、このソフトウエアでは「グループ」と呼ばれますがそれを作成しました。かけられた音声を識別するという部分を独立させたわけです。更に条件による3分岐ですから、ブランチボックスを用いた分岐を2重に用いることになります。
また、「AIBOマスタースタジオ」では、「アクションライブラリ」にアクション(AIBOの短い動き) が予め用意されていて利用することができるのですが、その情報をメモリースティックに保存 して利用することから、メモリースティックが直接つながっていない今回の環境では、利用することができません。ですから「キックする」ことで怒った様子を表したりといった工夫をしていきます。

* 複数のプログラムを同時実行 *

「立ち上がって前進、障害物を関知したら後進する」というプログラムを作成してもらいました。 「障害物を関知する」という命令文を教えれば、後は今までのものを組み合わせて作ることができます。
次に、「前進しながら障害物を探す」、また後進するときも 「バックしながら首を振る」など複数の命令を同時に実行するプログラムを作成しました。 単に並列させるだけなら、「wait」というコマンドを入れずに命令を並べていけばいいのですが、 「前進しながら障害物を探す」のだけれど、「見つかった時点で後進する」という方は、条件分岐が入ってきますので、やや複雑です。条件分岐とループを組み合わせて作成していきます。


AIBO実習

* サッカーするAIBO *
最後は、予め用意されているプログラムを解析しました。 今日、初めて体験していますから、1日でサッカープログラムを作成するところまでは、 厳しいということです。 もっとやってみたいという場合は、個人的に挑戦してみてもいいし、 3年次にある課題研究で、AIBOを使った研究をするということもあるかなということを話しました。 プログラムの方は、グループが3重になっていてかなり複雑です。 ピンクボールを探し、見つかったらそれを追跡、追いついたところでボールが停止しているのを確認 してキックする、そしてまたボールを探して追いかけるというものです。

* アクションの作成 *
生徒たちのPCからはアクションライブラリを使えないので、私の操作を プロジェクターを通して、見るだけになってしまいましたが、 アクション(短い動き)がどのようにしてできているかというのを見てもらいました。 時系列に、AIBOのモーション(手足の動き)が キーフレームのところで設定されていて、その間はスムーズな動きになるように補完されています。 またこれに合わせて音声出力や、LEDの点灯も設定できるようになっています。 もちろん編集も可能で、音を追加したり、LEDを点灯させてみたり、また頭の動きを変えてみたりしました。本当は、生徒がそれぞれ体験できると良かったのですが・・・。
来年に向けて、AIBO本体は高価なのでこれ以上は無理としても、 生徒一人1台のリーダー/ライターとメモリースティックが用意できれば このアクションの編集などはできるのでしょうが・・・。

AIBOが撮影した写真

* 成長するAIBO *

既存のソフトウエアに「チャッティライフ」というものがあります。 これは、AIBOを成長させていくものです。これも購入しました。 夏休みに入って、私が育て始め(?)、少年期を迎えたAIBOと遊びました。 電源を入れると、のびをして起きあがります。名前を呼ぶと答えたり、 かまってやると喜んだりします。ピンクボールが大好きで、放っておくと1人(匹?)で ボールを追いかけて遊んでいます。 「写真撮って」というと、写真を撮ってくれます。 これは、AIBOが撮ってくれた写真です。



* NHKプロジェクトX「復活の日 ロボット犬にかける」を見て *

AIBOの開発の話がNHKのプロジェクトXで取り上げられています。そのDVDを鑑賞しました。生徒たちの感想を紹介します。





第13回・ロボットに関するレポート発表

* 夏休みの課題 *

夏休みに以下のような課題を出しました。

課題:ロボットに関するレポート提出
テーマ:以下の中から選ぶ
   (1)ロボットに関する書物を読んで
   (2)ロボットに関する映画を見て
   (3)愛知地球博、日本科学未来館など、ロボットに関する展示を見て
    パンフレットなど参考資料があれば添付すること
評価の観点:ロボットの歴史、ロボットと社会との関わりについて興味を持ち、調べたことや考えたことを表現できる。それらを通して、ロボットが社会に果たす役割や意義を理解する。

レポート発表

* ロボットに関するレポート発表 *

レポートを提出すると共に、それを発表してもらいました。 テーマについては、ほとんどの生徒が映画を取り上げていました。 「アイ・ロボット」「アンドリュー」「A.I.」「ロボッツ」「スターウォーズ」などです。 映画のストーリーを紹介し、そこでロボットがどのように表現されているか、それについてどう感じたか、 そしてロボットと共存する社会についてどう展望するか、などを中心に発表をしてもらいました。
どうしてもストーリーを追ってしまって、映画を製作した側の意図まで読み取るのはむずかしいようでした。
また、たまたまインターンシップで海洋研究開発機構に行った生徒が、無人の海洋探査機「うらしま」について、報告をしてくれました。「うらしま」が海洋研究に多いに貢献していることや、今後の展望、課題は山積みであることなどを発表しました。

最後に私の方で簡単なまとめをしました。 よく言われることですが、欧米ではキリスト教の思想も背景にあって、ヒューマノイド(人間型ロボット)への恐怖心のようなものがあり、ロボットがいずれ人間に反逆するといった描かれ方をすることが多い。それに対して日本では「アトム」に代表されるように、ロボットに対しては友好的な感情を持っている。そういったこともロボット研究に影響を与えている。 また、単なる機械が思考を始めた時に、どういうことになるのかというのがよくテーマになるが、映画や小説などで描かれているのは、あくまでも人間から見た視点である。 ただ、技術開発に携わる人は、それが人間社会にどういう影響を与えるかということを常に考えてほしいと思うわけです。新しい技術は必ずしも人間にいいことばかりではないということですね。

* 生徒の感想 *

発表をきいての生徒の感想です。

* 活躍するロボット *

様々な分野で活躍しているロボットをメンバーで分担して調べ、報告をしてもらうということで、 その分担を確認し、調べる作業を開始しました。 今日のところはまずインターネットを使いましたが、 この後残った夏休みの期間、図書館なども利用して、新聞、雑誌、書籍など資料収集をしておくように指示をしました。



第14回・ライントレーサの製作実習(1)

今年も夏休みの3日間、 県立磯子工業高校にお世話になりました。電気科の先生方(佐々木先生、梶本先生、栗田先生、内田先生)のご指導のもと、ライントレーサの製作です。
県立磯子工業高校の山下校長から、「工業高校ならではの授業を是非体験していってください。」と挨拶を受けて授業が始まりました。

*プリント基板加工(穴あけ) *

ボール盤を使って、プリント基板の穴あけ作業です。あける穴の数はおよそ100個、集中して作業をしますので、目がかなり疲れます。

 

*アルミ(シャーシ)加工 *

アルミ板にけがき針でけがき(アルミ板に図面を書き写す)をします。

そして、センターポンチで位置を定めた後、ボール盤で穴をあけていきます。

これは、切断したアルミの板を折り曲げているところです。

*ギアボックスの組み立て *

今度は、ギアボックスの組み立てからです。昔作ったプラモデルの要領を思い出しながら・・・。

*プリント基板加工(はんだ付け) *

午後からはんだ付け作業に入ります。はんだ付けのコツを教えてもらい練習をした後、メイン基板のはんだ付けです。

場所や部品の向きを間違えないように、慎重に作業をしていきます。

 

* 生徒の感想 *

 1日目の実習を終えての生徒の感想です。




第15回・ライントレーサの製作実習(2)

*2日目の授業 *

2日目、県立横浜清陵総合高校の石川校長から、「この3日間、皆さんは素晴らしい経験ができていると感じています。磯子工業高校の先生方に深く感謝するとともに、この授業で学んだことを次へとつなげていってほしいと思います。」を挨拶がありました。

 

*シャーシ等の組み立て *

メイン基板とセンサー基板をケーブルでつないでいきます。基板と電池ボックス、モーターなどをつなぎます。そして、シャーシ(本体)に、キアボックス、基板などを取り付けていきます。最後に、センサー、ICを取り付け、電池をつなぎ完成です。

*動作確認 *

組み立てが終わると、1人1人動作確認をしてもらいます。すんなりいく場合の方が少なく、うまくいかないとその原因を追及し、修正をしなければなりません。

 

*テスト走行 *

本体が完成しました。テスト用のプログラムで、コースを走らせてみます。きちんとトレースできたかな?

*プログラミング *

午後からは、プログラミングです。ICの各ポート番号と接続回路についての説明を受けています。入力と出力のポート番号、そして2進数を理解しなければなりません。

*コンパイル&転送 *

最初は、ledを点灯させるという簡単なものからトライします。メモ帳を使ってコードを入力しています。(C言語)最初は3つあるledを順次点滅させる、次はモーターを動かす、そしてセンサーの白黒判定に応じてモーターを動かす・・・とどんどん課題がむずかしくなっていきます。

うまくコンパイルできたら、それをマシンに転送します。そして、白黒判定の実験です。

 

* 生徒の感想 *

 2日目の実習を終えての生徒の感想です。

第16回・ライントレーサの製作実習(3)

 

*電気工事実習を見学 *

電気工事の競技会を控え、熱心に練習に取り組んでいる様子を見学させていただきました。

*電気実験 *

また、電気実習室では、高電圧の電気実験を見せていただきました。絶縁体であるガラス板に数万ボルトの電圧をかけたり、10万ボルトの電気を一気に放電して雷を起こしたりと、迫力のある実験でした。

 

*プログラミング *

3日目は、朝からコンピュータ教室にて、ライントレースのプログラム作りです。どうしたら、きれいにしかも速く走れるかを考えます。

コンパイルして転送、エラーがでると修正、うまくいけばマシンで実験、その繰り返しです。

 

いろいろと試行錯誤しているうちに、マシンの不具合もでてきます。はんだづけを確認したり、タイヤをつけ直したり、ギアボックスを組み立て直したり・・・、そして実験です。カーブはうまくいくんだけどなあ・・・。

大きなコースで試しています。カーブはきれいにトレースしていきますが、90度の角で苦労しているようです。センサの位置をずらしたり、プログラムを変更したりして調整をしていきます。

そして、いよいよタイムトライアル! 1台ずつコースを走ります。皆が見守る中、コースアウトしてしまうとため息が・・・。そして完走すると拍手が起こります。

県立磯子工業高校の山中教頭から、「今回学んだことを、次のステップに生かしてください。また、両校の人と人とのつながりも是非大切にしてほしいと思います。」ということばをいただきました。

3日間の講習、磯子工業高校電気科の先生方には本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。

* 生徒の感想 *

 3日目の実習を終えての生徒の感想です。

 全体を通しての感想です。

第17回・県立産業技術短期大学を見学

*県立産業技術短期大学を見学 *

県立産業技術短期大学を見学させていただきました。

 

*県立産業技術短期大学の学科紹介 *

5科あるうちのロボットに関連の深い、生産技術科、制御技術科、電子技術科の紹介をしていただきました。どの学科に入学したとしても、学ぶ内容の重さ加減が多少違うにしても、ロボットへのアプローチはできるということでした。また、就職率100%という進路先にはどんなものがあるかということも説明していただきました。

 

*ライントレーサの話*

前日まで磯子工業高校でライントレースの製作実習をしてきたということで、ライントレーサの電子回路について、また加工作業においては、いかに精度の高い加工をするかが重要であるというようなお話をいただきました。

 

*旋盤*

学生さんが、旋盤作業をするところを見せていただきました。大きな機械にびっくりです。

加工実習室は、体育館のように広い部屋で、こういった工作機械がたくさんおいてありました。

 

*フライス盤*

金属の表面を削ったり、溝を加工したり、穴をあけたりするための機械です。これも学生さんが操作するところを見せていただきました。

 

 

*操作フライス盤(NCフライス盤)*

コンピュータ制御のフライス盤、設計図の通りに機械が自動で金属を加工していきます。高そうな機械だなあ・・・。

*卒業研究作品の見学*

学生さんたちが作った卒業研究作品を見せていただきました。 この部屋には、電子技術科の卒業研究作品がおいてあります。

 

*ロボット*

内山先生の研究室で取り組んでいるロボットを見せていただきました。相撲ロボットの素早い動きにはびっくり。この2足歩行ロボットは、肩がしなやかに動き、華麗なダンスを見せてくれました。

 

*マイクロマウス*

マイクロマウスロボットも見せていただきました。迷路の中を最短経路を探して進みます。1回めは、迷路全体を探索しますが、何回かすると、最短であっという間にゴールまで行きます。

*見学を通して*

この見学を通して、自分たちが今学んでいるロボットの先にどんな世界が広がっているのかが、わかったのではないかと思います。内山先生、岩崎先生、どうもありがとうございました。

* 生徒の感想 *

見学を終えて、生徒の感想です。


第18回・活躍するロボット

* 活躍するロボット *

夏休みの続きということで、様々な分野で活躍しているロボットを分担して調べました。 最終発表のために、プレゼンテーションソフトの使い方を簡単に説明した後、 各自資料収集と、プレゼン用のスライドの作成に取り組みました。

分担した分野は以下の通りです。







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