Weekend Mathematics/コロキウム室/テーマ別
/7.円に関する微分
NO.111 6/2 ぷー 円に関する微分(1)
1つ、とんでもないこと(?)をお聞きしても良いでしょうか?
円の面積πr2を微分すると
円周の2πrになり、
同じく球の体積4/3πr3を微分すると
表面積の4πr2になるのはなぜでしょうか?
NO.113 6/4 水の流れ 円に関する微分(2)
円の微分について、私の授業風景を紹介します。
平面上の面積について、区間[a,b]で、
f(x)≧0とする。
曲線 y=f(x) とx軸、および2直線x=a,x=b
で囲まれた部分の面積Sは
S=∫(x=a…x=b) f(x) dx で表されます。
実は、区間[a,b]で、任意のxの値に対して
このf(x)は一本の線分の長さを示していると考えてください。
この一本一本の直線を区間[a,b]まで寄せ集めてできたのが、
求める囲まれた部分の面積と考えます。
私の場合、この所の授業は下に垂れ下がった優雅な曲線を
描いた装飾用「すだれ」を教具にします。
想像できましたか。
(ないときは、画用紙をはさみで適当に切って、
即席の「すだれ」を作ります。)
さて、半径rの円について、その中に同心円を作ります。
中心を原点にとり、図のようにx軸を取ります。
ここで、この円を樹木の年輪のように表皮を一枚一枚はがしていきます。
(子供のバームクーヘンの食べ方を思い出してね。)
それを下に一本一本縦に並べてください。
すると、一番左の線の長さは2πrで
この横は半径のrです。
だから、円の面積は 2πr×r÷2=πr2
(半径rの円の円周が2πrであることは既知とします)
このことを先ほどの、積分で考えると、
区間[0,r]の任意のxに対して、
線分の長さ2πx を寄せ合わせると、
πr2=∫(x=0…x=r)2πx dx
<私はこのような方法で切って、積分することを渦巻き積分・
年輪積分と生徒には言っています。>
質問の答えとしては、円の面積を微分すると、
円周になると考えるのでなく、
円周の長さ2πx を0からrまで積分すると、
円の面積を表すのです。
次は、球の体積に移ります。
これも、授業ではタマネギの表皮を一枚一枚はがして、
生徒には説明します。
(臭いは相当なものがあります・・・すぐにかたずけること)
球の表面積が4πr2 であることは、
生徒にはみかんの皮で説明します。
(ないときは、紙風船を使います。
だから、ときどき薬局でもらう場合大切に保管してあります。
破って使うため二度と復元しません。)
半径rは測って知っておいてください。
なるべく丸いみかんを半分に切って皮をはがします。
適当な大きさにして、
半径2rの円の表面に張り付けてください。
一部誤差はありますが、一面に張り付けられます。
(先ほどの紙風船の場合は逆にのりしろの部分をはがしていけばよいのです。
はがし方に研究の余地があります。
最後は上手に円に張り付けてね。) 証明終わり
空間での体積の求め方は、x軸を考え、
それに垂直な平面による立体の切り口の面積をS(x)とする。
区間a≦x≦bの範囲にある立体の体積は
V=∫(x=a…x=b) S(x) dx で表されます。
体積の求め方はいかにして、立体を切っていくのか。
または、はがしていくのかです。
この単元での教具は、さつまいもかポテトと
市販されている筒のポテトチップスを準備します。
さつまいもかポテトをまな板の上で切ってスライスした
チップスを寄せ集めた立体の体積が上の公式になっています。
(私の場合別名スライス積分と言います。)
では、なるべく丸いタマネギの皮を一枚一枚むいて、
それを寄せ集めて、かぶせていきます。
(大きさの違う帽子を思い出して重ねてください。)
球が出来ます。
球の体積=(一枚一枚の表面積)×(厚み) = ∫(x=0…x=r)4πx2 dx(この命名は表皮積分、雪だるま積分、 コーン積分と言っています。)
さて、いろいろな名前の積分がでてきましたね。
他にバームクーヘン積分を伝えます。
回転体の体積を求めるのに利用します。
0≦a≦x≦b において、曲線y=f(x)≧0 と
X軸との領域をY軸の周りに回転してできる立体の体積をVとする。
(洋菓子のバ−ムク−ヘンを思い出してください。)
<Y軸の周りに回転した立体の体積です>
では、この立体の表皮を大根の桂むきようにはがします。
(教室には大根があり、私が包丁で皮をむいています。
おかげで、桂むきは得意になりそうです。)
a≦x≦b の任意のxに対して、
原点からxの距離にある一枚の表皮の半径はxだから、
円周は2πxで、高さがf(x)になります。
この表皮の面積は2πxf(x) となり、
V=∫(x=a…x=b)2πxf(x) dx という公式が生まれます。
NO.114 6/4 水の流れ 円に関する微分(3)
半径10pの2つの直円柱を直交させたとき、交わりの部分の体積を求めてください。
(どのようにスライスするかがポイントです。)
NO.115 6/4 水の流れ 円に関する微分(4)
曲線C:y=f(x)と直線m:y=xtanθ で囲まれた図形を、
直線 m を 軸として回転して得られる立体の体積Vを求めよ。
(勿論、囲まれた図形がある場合)
NO.116 6/4 Junko 円に関する微分(5)
私もこの事実を知ったとき、感動しました。
その理由を自分なりに納得できた時には、
微分法のすごさを実感したのを覚えています。
微積分は厳密にやろうとするととても大変なので、
(理科系の学生の多くは、
大学1年生でε−δ論法に悩まされるはめになります。)
感覚的な話をします。
本題に入る前に、まず面積の話をします。
高校2年生の授業で、関数を定積分すると面積が出るよというあれです。
関数y=f(x)のグラフ(この範囲ではy>0として考えます。)と、
直線y=a(aは定数)と直線x=x、
そしてx軸の4つで囲まれた部分の面積を考えると
これはxの関数になるので、S(x)とします。
S'(x)=f(x)、つまり面積の関数S(x)を微分するともとの関数f(x)になる。
だから面積を求めたい時は微分の逆、つまり積分をすればいいということになるわけです。
導関数の定義より、
S'(x)=lim(h→0){S(x+h)−S(x)}/h
ここで、S(x+h)−S(x)の図形的意味を考えると、
左の図の水色の部分になります。
この範囲、x〜x+hでのf(x)の最大値をM、最小値をmとするならば、
面積の関係から次の不等式が成り立ちます。
mh<S(x+h)−S(x)<Mh
これらをh>0でわると、
m<{S(x+h)−S(x)}/h<M となります。
h→0の極限を考えたときに、mもMも左端の値、
つまりf(x)に近づくことから、
S'(x)=lim(h→0){S(x+h)−S(x)}/h=f(x)
が言えるわけです。
実に感覚的な話をすると、微分というのは、
少し幅(h)を持たせておいて、
その幅を限りなく0に近づけた時にどうなるかという話です。
ですから、面積を微分すると上の図の赤いラインになるのです。
また、積分というのは連続的に足していくのだという感覚で話をするならば、
赤いラインを徐々に足していくと、面積になるというわけです。
(直線には幅がなく、それをいくら足しても面積は0だと言われそうですが、
そこはご勘弁。極めて感覚的に話をしていますので・・・。)
さて、円の話をしましょう。
半径rの円の面積をS(r)としましょう。
S(r)=πr2はよくご存じですよね。
これを微分すると、S'(r)=2πrとなり、これは外周の長さです。
先程と同じように考えると、
導関数の定義より、
S'(r)=lim(h→0){S(r+h)−S(r)}/h
ここで、S(r+h)−S(r)の図形的意味を考えると、
左の図の水色の部分になります。
このド−ナツ部分の面積は、
外側の外周の長さを1辺とし、
もう1辺をhとする長方形よりは小さいけれど、
内側の外周の長さを1辺とし、
もう1辺をhとする長方形よりは大きいわけです。
ですから、次の不等式が成り立ちます。
2πrh<S(r+h)−S(r)<2π(r+h)h
これらをh>0でわると、
2πr<{S(r+h)−S(r)}/h<2π(r+h)
h→0の極限を考えたときに、
外側の半径もrに近づくわけですから、
S'(r)=lim(h→0){S(r+h)−S(r)}/h=2πr
が言えるわけです。
先程と同じに感覚的な話をすると、 円の面積、rをほんの少し(h)増やして、 その幅(h)を限りなく0に近ずけると円周の長さになるのです。
積分でみれば、円の半径rを少しずつ増やしながら、
円周の長さを足していくと面積になるのです。
球の体積についても、同じように説明できると思います。
半径rの球の体積をV(r)とすると、
V(r)=(4/3)πr3
これを微分すると、
V'(r)=4πr2となり、
これは半径rの球の表面積を与える式となります。
微分で考えると、球の体積、rをほんの少し(h)増やして、 その幅(h)を限りなく0に近ずけると表面積になるのです。
積分で言えば、円の半径rを少しずつ増やしながら、
表面積を足していくと体積になるのです。
NO.117 6/5 ヴァー 円に関する微分(6)
「円に関する微分」に対する意見ですが、
この考え方はいろいろな図形に応用できますね。
ここでは例として、
(1)長方形
たて「a」横「b」の長方形の面積「S」は S=ab です。 右の図のように座標軸「a」「b」を取っておくと微分すると言う意味がわかりやすいと思います。 |
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このSを「aの関数」だと思って「aで微分」すると、 dS/da = b
となり、これは横の長さを表します。 |
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またSを「bの関数」だと思って「bで微分」すると、 dS/db = a
となり、これは縦の長さを表します。 |
底面の円の半径「r」、高さ「h」の円柱の体積「V」は V=πr2h です。 h軸とr軸は右の図のように取っておきましょう。 |
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この体積を「rの関数」だと思って「rで微分」すると、 dV/dr = 2πrh
となり、これは円柱の側面積を表します。 |
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またVを「hの関数」だと思って「hで微分」すると、 dV/dh = πr2
となり、これは円柱の底面積を表します。 |
底面積「S」、高さ「h」の円すいの体積「V」は V= Sh/3
です。 dV/dh = S/3
になります。 |
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NO.119 6/7 Junko 円に関する微分(7)
最初の例では、微分する変数と他の値が独立しています。
長方形の1辺と他の1辺、円柱では高さと底面の半径です。
ところが最後の円錐だけはだめです。
高さと底面積が独立変数ではないからです。
NO.120 6/9 ヴァー 円に関する微分(8)
その通りです。
つまり、底面積が高さの関数になっているということです。
S=S(h)ということです。
そのためV=Sh/3をhで微分すると、積の微分法を用いることで、
dV/dh = S/3 + (dS/dh)×(h/3)
になります。dV/dhが常にSであるためには、
dS/dh = 2S/h でなくてはなりません。
この式は常微分方程式で変数分離法で解けるものです。
実際に解いて見ると、S∝(hの2乗)になります。
これは相似比の2乗が面積比であるということを
意味しています。
NO.122 6/20 ぷー 円に関する微分(9)
微分の意味がよくわかってなかった、
とつくづく思いました。
定義を考えれば当然でした。
半径がrの円の面積を考える。
それと中心を同じくして半径がr+hの円を考える
その二つの円の面積の差は帯状の部分である。
f(r)=πr2とすると、
微分の定義は
lim(h→0) { f(r+h)-f(r)}/h はまさしく微分ですものね。
帯状の面積を考えて、hをかぎりなくちいさくすれば、
たしかにその面積の差は円周に近づいて行くんですよね。
だから円の面積を微分すると円周になる!
同じように球状の体積ではその体積の差は
表面積に近づいて行くんですね。
なんてすごいんでしょう。
微分万歳!!!
NO.126 6/26 Idaho Potato 円に関する微分(10)
高校数学だと、原始関数から積分を導入するので、 どうしても「定積分=区分求積法」の概念をとらえにくくなりますね。 (おまけに「微積分学の基本定理」のありがたみが分からなくなる。) 区分求積法の概念ができていれば、 「円周を積分→円の面積」「球の表面積を積分→球の体積」 が成り立つことは、すっきり理解できると思います。
塾でアルバイトをしていたときの話ですが、
高校生の生徒に、「積分の記法の成り立ち」を
次のように話したら、
それこそ「目から鱗」という表情で、驚いていました。
f(x) のグラフの下の領域の面積を求めたい。 そこで、その領域を短冊状に細かく切って、 短冊の面積を考えます。いかがでしょうか? こういう説明を受けると、 積分の後ろの「dx」がどういう意味か、 正しく理解できるようになるのではないでしょうか
まず、短冊の縦の長さは f(x) です。 横の長さは、x軸の「切れはし」のようなもの。 これを dx で表しましょう。 すると、1つの短冊の面積は f(x)dx となります。 それらの短冊の面積を「合計」したものが、求める面積です。 「合計」は英語で sum だから、頭文字の S をとって、 短冊の面積の「合計」を S f(x)dx で表しましょう。
そして、(ここからがちょっと苦しいのですが…) 真の面積に近づけるために、短冊の横幅を限りなく細くします。 そこで、「短冊の横幅を細くする」という気持ちを表すために、 先頭の S を「細く」書くと、∫f(x)dx となるのです!
NO.130 8/1 水の流れ 円に関する微分(11)
NO.115で提起した問題です。
曲線C:y=f(x)と直線m:y=xtanθ で囲まれた図形を、
直線 m を 軸として回転して得られる立体の体積Vを求めよ。 (勿論、囲まれた図形がある場合)
NO.131 8/1 水の流れ 円に関する微分(12)
NO.114で示した問題です。
半径10pの2つの直円柱を直交させたとき、 交わりの部分の体積を求めてください。
NO.162 10/15 Komatsu 円に関する微分(13) コロキウム室のNO.130
を拝見しました。
斜回転体の体積の計算法については私は昔、参考書
(東京出版「大学への数学」の増刊「解法の探求II」)
で見たことがあります。但しそのときは理解できず、
結局それっきり放置してしまいました。先日、上記の
webページを拝見し、懐かしい思いがしました。
細かい事ですが、上記webページの説明の中で
「V=…」の右辺に誤りがあります。「d(OP)/dx」
と書いてあるところは、正しくは「d(OP)」または
「(d(OP)/dx)dx」です。
その下の行の「QP=h(x)」は、正しくは「QR=h(x)」です。
また、さらに細かいこと(というより好みの問題)ですが、
最後に得られた公式「V=…」の右辺にある「h(x)」は
「f(x) - x tanθ」に戻しておいた方が良いように思います。
私の指摘の方が間違っているかもしれませんが、
何かの参考になれば幸いです。
NO.165 10/18 水の流れ 円に関する微分(14) ご指摘ありがとうございました。
ただ、h(x)=|f(x)−xtanθ|と絶対値を入れておいてください。