Weekend Mathematics/コロキウム室/テーマ別/35.無限級数の和
NO.748 | 2000.2.18. | 水の流れ | 無限級数の和(1) |
太郎さんは、数式ソフト「Mathematica Versin4」をWOLFRAM社から、
先月購入しました。
分からないままに、時間をみながら、使っていましたところ、
次のような無限級数の和を瞬時に求めてくれましたが、
いつも通り、答えに至るまでの過程が全然わかりません。皆さん、教えてください。
問題:
12+22+32/2!+42/3!+52/4!+・・・
NO.750 | 2000.2.20. | Junko | 無限級数の和(2) |
私も「mathematica」で計算してみましたら、5eになりました。
こんなにすっきりした値になるには理由がありそうですよね?・・・と考えて・・・わかりました。
まず、exの級数展開を考えます。
これを使って、問題の級数の値を求めます。
NO.752 | 2000.2.21. | Junko | 無限級数の和(3) |
前の結果を使いながら、NO.750 無限級数の和(2)でやったのと同じ要領でやっていけば、
順に次数を上げていくことができそうです。
まずは3次式
次は4次式
この調子でいくと、n次式について一般形も導けそうですね。
NO.753 | 2000.2.22. | 水の流れ | 無限級数の和(4) |
「Mathematica」で分子の次数を上げていきました。
14次まで上げましたが、10次までの分を載せます。
NO.754 | 2000.2.22. | 水の流れ | 無限級数の和(5) |
NO.755 | 2000.2.24. | 水の流れ | 無限級数の和(6) |
(ただし、n=0,1,2,3,・・・で、A0=eなる)
f0(x)=exとおくと、f’0(x)=ex で
f’0(1)=e
f1(x)=x f’0(x)=xexとおくと、
f’1(x)=(1+x)ex で f’1(1)=2e
f2(x)=x f’1(x)=(x+x2)exとおくと、
f’2(x)=(1+3x+x2)ex で f’2(1)=5e
f3(x)=x f’2(x)=(x+3x2+x3)exとおくと、
f’3(x)=(1+7x+6x2+x3)ex で f’3(1)=15e
f4(x)=x f’3(x)=(x+7x2+6x3+x4)exとおくと、
f’4(x)=(1+15x+25x2+10x3+x4)ex で f’4(1)=52e
・・・・・ これを同じように繰り返していきますと、
fn+1(x)=x f’n(x)となり、
求める極限値は An+1=f’n+1(1) として表される。
さらに、f’n(x)の係数を表にします。
J/M | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 1 | 1 | ||||||
1 | 1 | 1 | 2 | |||||
2 | 1 | 3 | 1 | 5 | ||||
3 | 1 | 7 | 6 | 1 | 15 | |||
4 | 1 | 15 | 25 | 10 | 1 | 52 | ||
5 | 1 | 31 | 90 | 65 | 15 | 1 | 203 | |
6 | 1 | 63 | 301 | 350 | 140 | 21 | 1 | 877 |
NO.756 | 2000.2.24. | 水の流れ | 無限級数の和(7) |
n個の異なる要素を持つ集合を空でないk個の部分集合に分ける方法は何通りありますか
NO.757 | 2000.2.25. | Junko | 無限級数の和(8) |
NO.752 無限級数の和(3)の続きです。
A0=e、A1=2e、A2=5e、
A3=15e、A4=52eをふまえて、
これに沿って、A6を求めてみます。
A6 | =A5+6A4+15A3 +20A2+15A1+6A0+A−1 |
=203+6×52+15×15+20×5+15×2+6+1 | |
=877 |
調子にのって、もう1つ
A7 | =A6+7A5+21A4+35A3 +35A2+21A1+7A0+A−1 |
=877+7×203+21×52+35×15+35×5+21×2+7+1 | |
=4140 |
二項展開のような感じで計算できます。
これは、NO.753 無限級数の和(4)で
「水の流れ」さんが計算してくださった結果と一致しています。
NO.761 | 2000.2.26. | kiyo | 無限級数の和(9) |
表を作りました。
N/K | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | ||||||
2 | 1 | 2 | 3 | |||||
3 | 3 | 3 | 1 | 7 | ||||
4 | 4 | 6 | 4 | 1 | 15 | |||
5 | 5 | 10 | 10 | 5 | 1 | 31 | ||
6 | 6 | 15 | 20 | 15 | 6 | 1 | 63 | |
7 | 7 | 21 | 35 | 35 | 21 | 7 | 1 | 127 |
A(n)=SUM{C(n,k)}=2n-1
「水の流れ」さんの問題の趣旨は、
指数関数に関係していると同時に、
階差数列が循環しながら(再帰的に)現れるという点でしょうか?
1 2 3 4 5 6 7 1 1 1 1 1 1 ........................... 1 3 6 10 15 21 2 3 4 5 6 1 4 10 20 35 3 6 10 15 1 5 15 35 4 10 20 1 6 21 5 15 1 7 6
NO.764 | 2000.2.26. | kiyo | 無限級数の和(10) |
NO.756 無限級数の和(7)の
「n個の異なる要素を持つ集合を空でないk個の部分集合に分ける方法は何通りあり
ますか」
K個の部分集合の意味を取り違えていました。K個の要素を持つと勘違いしていました。
これで問題の趣旨が理解出来ました。
同値の問題ですね。
表
N/K | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | ||||||
2 | 1 | 1 | 2 | |||||
3 | 1 | 3 | 1 | 5 | ||||
4 | 1 | 7 | 6 | 1 | 15 | |||
5 | 1 | 15 | 25 | 10 | 1 | 52 | ||
6 | 1 | 31 | 90 | 65 | 15 | 1 | 203 | |
7 | 1 | 63 | 301 | 350 | 140 | 21 | 1 | 877 |
NO.766 | 2000.2.27. | kiyo | 無限級数の和(11) |
表のなかに秘められた美しい規則性について。
表
N/K | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | ||||||
2 | 1 | 1 | 2 | |||||
3 | 1 | 3 | 1 | 5 | ||||
4 | 1 | 7 | 6 | 1 | 15 | |||
5 | 1 | 15 | 25 | 10 | 1 | 52 | ||
6 | 1 | 31 | 90 | 65 | 15 | 1 | 203 | |
7 | 1 | 63 | 301 | 350 | 140 | 21 | 1 | 877 |
k | ||||||
2 | 1, | 3=1*2+1, | 7=3*2+1, | 15=7*2+1, | 31=15*2+1, | 63=31*2+1 |
3 | 1, | 6=1*3+3, | 25=6*3+7, | 90=25*3+15, | 301=90*3+31 | |
4 | 1, | 10=1*4+6, | 65=10*4+25, | 350=65*4+90 | ||
5 | 1, | 15=1*5+10, | 140=15*5+65 | |||
6 | 1, | 21=1*6+15 |
上記の規則性をアピールされたかったのだと思います。
NO.776 | 2000.3.8. | ヴァ− | 無限級数の和(12) |
最近 Weekend Mathematics から遠ざかっていたのですけど,
久しぶりに覗いてみると「無限級数の和」という興味深いテーマがあって
楽しんでしまいました.
よく考えると,以前(といってもすごーく前ですが)
私が投稿した
NO.106 プレゼントの問題(15)
の h(m) が Junko先生の
NO.757 無限級数の和(8)における
Am-1に相当していますね.
「プレゼントの問題」
と「無限級数の和」の一連のお話は
何か関係があるのかもしれませんね.
NO.777 | 2000.3.9. | 水の流れ | 無限級数の和(13) |
午後、勤務先で「コロキウム室」の
NO.776 無限級数の和(12)
の投稿を読んで、大変興味が湧いてきました。
実は”あの第2種スターリング数”の一般項を見つけるもう1つの方法が、
指数型母関数(積率母関数)の登場なのです。
そして、k次の中心積率(モーメント)を定義します。この値をH(k)とします。
さらに、特別な原点のまわりのk次の積率を出し、この値をh(k)とします。
すると、h(1)=期待値E(X)=1、H(2)=分散V(X)=1となります。
そして、h(k)が何とビル指数となっています。指数型母関数(積率母関数)の定義から導けます。
ここで、確率変数Xの指数型母関数(積率母関数)とは、M(t)=関数etxの
期待値が−h<t<h(hは正の定数)を満たす原点近傍のすべての実数tに対して存在するとき、
M(t)=E[etx](平均)を言います。
以上は、「新数学辞典」(大阪書籍)から答えています。
さらに、このことは、
となる予定です。
これが無限級数の和の発展になっていたのです。でも、自信がないです。
の係数がh(k)になっているか確かめていません。これも勉強します。
午後、この示唆をくださったとき、当然太郎さんの胸に熱いもの湧いてきたのは当然でした。
頭の片隅にはこのk次のモーメントの言葉がかすかに残っていました。
心のゆとりが欲しい! ありがとう!ヴァーさん
NO.787 | 2000.3.18. | 水の流れ | 無限級数の和(14) |
皆さん!確率密度関数という用語をご存知ですか。
今日は、この話をします。
確率と密度というのは、それほど似かよったものなのでしょうか。
また、確率が密度だとするならば、平均とか分散というのは、
一体にどんな物理量に対応しているのでしょうか。
位置がxでの密度がp(x)であるような質量1の棒を考えてください。
すると、
これは(全確率)=1に相当します。
数学の確率分布とは物理では密度分布といいます。
p(x)は数学ではxに対応するy座標、物理では位置xに対応する密度です。
このとき、定積分
とすると、mは数学では平均、物理では、棒の重心の位置を表しています。
すなわち、数学では平均、物理では重心のことです。
また、
とすると、
σ2は重心を軸に棒を回転したときの「回転質量=慣性モーメント」を表します。
数学では分散、物理では慣性モーメント=2次のモーメントです。
詳しく言うと、軸を中心に回転させると、同じ質量の点でも遠くのものの方が、
「重く」感じられる。
正確には軸からの距離の2乗だけ「重く」なるので、各点ごとのこの「重さ」を寄せ集めたものが、
全体の「慣性モーメント」なのです。
例えば、位置xの密度がp(x)であるコマを考えてください。
分散が小さく、平均からのバラツキが小さいコマは慣性モーメントが小さいので、
フラフラ動きやすく、コマは不安定です。
それに対して、分散が大きく、平均からのバラツキが大きいコマは慣性モーメントが大きいので、
ドッシリト動きにくく、コマは安定しています。
したがって、
NO.776 無限級数の和(12)
の解決に参考になればと思いまして。