Weekend Mathematicsコロキウム室1999.7〜9/NO.69

コロキウム室



NO.595 '99 8/1Junkomathematica 4

昨日東京電機大学 で行われた、 「Mathematica 4 その優れたテクノロジー」と題する講演を聞いてきました。

Mathematica 4では、膨大な量の数データを処理する際の効率が高められています。 また、新たなアルゴリズム、言語、インタラクティブ機能などが盛り込まれています。 今回の講演は、この新しい機能のうち、数値計算のスピードと効率のアップ、 何十ものデータの直接のインポートやエキスポート、 グラフィックスやサウンドファイルのフォーマット、 HTMLとTeXの出力能力の向上、データと信号処理に関するサポートの向上、 特定の代数領域での計算サポートなど、特に技術科目を教えることに関連の あるものに焦点を絞って行なわれました。(以上、案内文からの引用)

私が使っている「mathematica」の機能はごくごく限られたものですけれど、 そんな私が注目したのは以下の3点です。

「mathematica」に関するsiteの紹介がありました。 興味のある方は覗いてみてください。
GRAPHICA
Artlandia
The Mathematica Journal
Mahematica in Education and Resarch
WOLFRAM






NO.596 '99 8/2ものものフェルマーの大定理(6)

NO.576 フェルマーの大定理(5)の反例がありました。
山崎愛一さんという方にお願いして、調べてもらいました。

958004+2175194+4145604=4224814

304+1204+2724+3154=3534

2404+3404+4304+5994=6514

275+845+1105+1335=1445

195+435+465+475+675=725

215+235+375+795+845=945





NO.597 '99 8/4水の流れIMO

先日、「創立50周年記念講演会」(神奈川県高等学校教科研究会数学部会主催)があり、 聞く機会がありました。 講師として、東海大学の秋山仁先生でしたが、その中で、 今年度のIMO(The International Mathematical Olympiad) での日本の結果を話されましたので、過去10年間まとめて紹介します。
選手は6人で、団体は6人の総得点です。

場所 何年 参加国数 日本順位 金メダル 銀メダル 銅メダル

31

北京

1990

54

20

32

スウエーデン

1991

55

12

33

モスクワ

1992

56

34

イスタンブール

1993

73

20

35

香港

1994

69

10

36

カナダ

1995

73

37

インド

1996

75

11

38

アルゼンチン

1997

82

12

39

台湾

1998

76

14

40

 

1999

81

13


<参考文献:数学オリンピック’93〜98(日本評論社)の付録Bから引用>



NO.598 '99 8/6ものものフェルマーの大定理(7)

A(1)n+A(2)n+・・・+A(m)n=A(m+1)n ( )は添字
(m、nは自然数、ただし、m=1は除く) ( A(1)A(2)・・・A(m+1)≠0 )





NO.599 '99 8/6水の流れアルハゼンの定理(1)

第25回数学的な応募問題

太郎さんには、中学校へ通っている子供がいます。 この夏休みの宿題に、次のような円に関する問題が出ていました。

問題1

2つの弦AB,CDが45゜で交わっている図のような円があります。 弧AB、弧CDの長さがそれぞれ2π、3πであるとき、 この円の面積を求めよ。

問題2

図のような円があって、∠CPD=48゜, 弧ABと弧CDの長さの比が1:3のとき、∠ADBの角度を求めよ。

問題3

図のような円があって、∠CAE=40゜,∠APD=30゜で、 弧ABの長さと弧CEの長さの和が半円周の長さであるとき、 ∠CBDの角度を求めよ。





NO.600 '99 8/11Junkoアルハゼンの定理(2)

1.同一の半径を持つ円の弧の長さと、その円周角は比例する (中心角はもちろん比例するし、円周角は中心角の半分ですから)ことから、
∠ADB:∠DAC=2:3
また三角形の2つの内角の和は、残る1角の外角に等しいことから、∠ADB+∠DAC=45゚
これより∠ADB=18゚、∠DAC=27゚
弧AB(2π)に対する円周角が18゚ということは、逆に円周角90゚に対する弧の長さが10πということになり、 これが円周の半分となる。
このことからこの円の半径は10であることがわかり、従って円の面積は100π

2.(1)と同様に、∠ADB:∠DAC=1:3
また、∠ADB+∠DAC=48゚
これより∠ADB=12゚

3.弧ABの長さと弧CEの長さの和が半円周の長さということから、 弧ABに対する円周角と弧CEに対する円周角の和が90゚ということになります。
従って、∠EAC+∠ADB=90゚
∠EAC=40゚より、∠ADB=50゚
△ADPに注目すると、∠EAD=20゚
従って、∠DAC=40゚−20゚=20゚
同一の弧に対する円周角はもちろん等しいので、 ∠DBC=∠DAC=20゚

ところで「アルハゼンの定理」というのはどういう定理なのでしょうか?



NO.601 '99 8/13水の流れアルハゼンの定理(3)

「アルハゼンの定理」とは一体どんな定理でしょう。
一般に、同一円周上において、円弧の長さとその弦のうえの円周角は当然、比例して、 さらに、中心角にも比例します。ただし、中心角は円周角の2倍です。 さて、これらのことを知っていて、参考図1を見て下さい。


∠BPD=(弧ACの円周角)+(弧BDの円周角)
=∠ABC+∠BCD  … (三角形BCPにおいて、1つの外角は他の2つの内角の和に等しい)
よって、p゜=a゜+b゜  <証明終わり>

次に、参考図2を見て下さい。
∠BPD=(弧ACの円周角)−(弧BDの円周角)
=∠ABC−∠BCD… (三角形BCPにおいて、1つの外角は他の2つの内角の和に等しい)
よって、p゜=a゜−b゜  <証明終わり>

以上、これが「アルハゼンの定理」です。 このような問題があったら、思い出してください。



NO.602 '99 8/15水の流れアルハゼンの定理(4)

第26回数学的な応募問題

 太郎さんには、中学校へ通っている子供がいます。 この夏休みの宿題に、次のような円に関する問題が出ていました。
前回の「アルハゼンの定理」の応用問題です。


問題1:
参考図1を見てください。 弧AMの長さと弧BMの長さが等しいとき、 赤い四角形PQRSは円に内接していることを証明してください。

問題2:
参考図2を見てください。 弧APの長さと弧ACの長さが等しく、 また、弧BPの長さと弧BDの長さが等しいとき、 赤い三角形PQRは2等辺三角形であることを証明してください。


問題3:
参考図3を見てください。 ∠DAE=60゜,∠ADE=45゜のとき、 ∠DFGの角度を求めてください。

問題4:
参考図4を見てください。 辺DF=8,辺EG=2のとき、 辺AFの長さを求めてください。



NO.603 '99 8/21Junkoアルハゼンの定理(5)


問題1:
図のように、SBとARを結びます。
∠ARM=α、∠ARS=βとおく。
∠ARM=∠MSB=α(同じ長さの弧にたつ円周角なので)
∠ARS=∠ABS=β(同じ弧にたつ円周角なので)
従って△PSBに注目すると、三角形の2つの内角の和は残り1つの外角に等しいことから、 ∠APS=α+β、
従って∠SPB=180゚−(α+β)
一方、∠SRM=α+βなので、∠SRM+∠SPB=180゚
向かいあう角の和が180゚であることから、四角形PQRSは円に内接する。


問題2:
図のように、APとBPを結びます。
∠BPD=α、∠APC=βとおく。
∠BPD=∠PAB=α(同じ長さの弧にたつ円周角なので)
∠APC=∠PBA=β(同じ長さの弧にたつ円周角なので)
従ってまず△PRBに注目すると、三角形の2つの内角の和は残り1つの外角に等しいことから、 ∠PRQ=α+β、
同様に△PQAに注目して∠PQR=α+β、
従って∠PRQ=∠PQRより△PQRは2等辺三角形である。


問題3:
図のように、AB、BEとBDを結びます。
∠ABC=αとおくと、
∠ABC=∠ADB=α(同じ長さの弧にたつ円周角なので)
一方、∠DBE=∠DAE=60゚(同じ弧にたつ円周角なので)
同様に∠EDA=∠EBA=45゚
従って、∠DBF=60゚+45゚−α
△DBFに注目すると、∠DBF+∠BDF=(60゚+45゚−α)+α=105゚
三角形の2つの内角の和は残り1つの外角に等しいことから、 ∠DFG=105゚


問題4:
問題2と同じ条件ですから、 ∠EAC=α、∠DAB=βとおくと、
∠EAC=∠ADE=α、∠DAB=∠AED=βとなります。
問題2の結果の通り、△AFGは2等辺三角形であり、AF=AG=xとします。
図の通り、△ADFと△EAGは2角が等しいことより相似となります。
相似比の関係から、8:x=x:2
これよりx=4





NO.604 '99 8/26水の流れ源氏香

第27回数学的な応募問題

太郎さんは、以前NHKの「日本の質問」という番組の中で、 この源氏香の話を聞いていました。
香をたいてその香りを鑑賞する遊びを香道と言います。 香道は平安時代、すなわち10世紀のころからすでに始まっています。 香道と呼ばれるようになったのは室町時代の15世紀後半で、 江戸時代に入ると芸道として形が整ってきました。
遊びの中で、二組にわかれて同じ種類のものの優劣を競い合う遊びを物合わせというが、 香合わせは物合わせの一つです。



5種類の香を、それぞれの種類ごとに5包ずつ作る。 すなわち、合計25袋作る。この25袋の中から5色を選んで。
これを順にたく。競技に参加した者は紙に縦の棒5本をたく。 すなわち、例1のように書いておく。
5包の香りを順にかいで(きいて)5種類とも同じなら例2のように横線で引く。
1番目と3番目が同じで、他が違うときは、例の3のようにする。
このように、5種類の香から重複を許して5包の香りを作り、 これをたいて、香りをききわけるとき、一体何通りの違った形を作ることができますか。
これが今回の問題です。できたら、この5本の縦線と横線の違った形を書いてください。
紫式部の「源氏物語」は54帖あり、この54帖の一部の題名にこのききわけた香りの記号の名前に あてています。これが源氏香の由来です。

<補足> この源氏香を数学の問題として取り扱ったのは松永良弼(1690頃から1744)である。 松永は関孝和(1640頃〜1708)の孫弟子である。 この源氏香についての解説は、稿本の「断連総術」(1726年)の中に含まれています。

<出典:数学100の問題;数学セミナー編集部(日本評論社)>








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