Colloquium

NO.247
Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.247

NO.1807    ラマヌジャンの無限積、その証明(2)   2009.9.28.  スモークマン

NO.1804ラマヌジャンの無限積、その証明 は...わたしは以下のように考えました...
これらの式は...ζ(8) とζ(4) がわかれば出せますよね...^^
http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page031.htm より

ζ(n)の具体的数値
ζ(n)の値を感覚的に把握してもらうために、具体的数値を示しておきましょう。
 定義式 ζ(s)=1+1/2s+1/3s+1/4s+1/5s+・・・・・より、

 ζ(2)=1+1/22+1/32+1/42+・・・・ =π2/6=1.64493・・
 ζ(4)=1+1/24+1/34+1/44+・・・・ =π4/90=1.08232・・
 ζ(6)=1+1/26+1/36+1/46+・・・・ =π6/945=1.01734・・
 ζ(8)=1+1/28+1/38+1/48+・・・・ =π8/9450=1.00481・・
上の事実を使えば... ラマヌジャンの最初の公式 (a) は...

   1/ζ(8)=(a)*1/ζ(4)
   (a)=ζ(4)/ζ(8)=(π4/90)*(9450/π8)=105/π4

と出せますね♪

あとの公式 (b) も上と同様に...

   ζ(2)/ζ(4)=(π2/6)/(π4/90)=15/π2
   (b)=(15/π2)*(π2/6)=5/2

NO.1806     累乗和の求め方   2009.9.24.  水の流れ

第230回数学的な応募問題


先日、「大学への数学8月号」を読んでいたところ、累乗和の求め方の記事があり、 今までと違った方法でしたので、紹介を兼ねて出題します。



注:この記事に関する投稿の掲載は、2009年10月12日以降とします。

NO.1805    開票経過(2)  2009.9.24.  夜ふかしのつらいおじさん

問題1
Aが5個、Bが3個あるときの同じ物がある場合の順列を考えて、

   

問題2
A候補の得票が終始B候補の得票を上回る事象の余事象は、B候補が開票途中でA候補と同数かA候補を上回ることです。 そうなる場合を考えると、
(1)1票目がBの場合
残り、A5票、B2票の順列を考えて、

   
(2)2票目までがABの場合
残り、A4票、B2票の順列を考えて、

   
(3)4票目までがAABBの場合
残り、A3票、B1票の順列を考えて

   
(4)6票目までがAAABBB,AABABBの場合
残り、A2票の順列を考えて
   2×1=2通り
ゆえに、

   

問題3
Aがa個、Bがb個あるときの同じものがある場合の順列を考えて、

   

問題4
具体的にいくつか考えます。
(1)A2票、B1票の場合は、AABの場合しかないので、

   
(2)A3票、B1票の場合は、AAAB,AABAの2通りしかないので、

   
(3)A5票、B3票の場合は、問題1、問題2より、

   
・・・

以上から、 と推測されます。
さて、Aがa票,Bがb票の場合、Aの得票が常にBの得票より多い確率を と仮定します。
合計が1票増える場合を考えます。
考え方の要点は、最後の票がAでもBでもその手前の(a+b)票目までと様子が変わらないことです。

(1)Aが1票増える場合
a)最後がAの場合
このときは、Aがa票、Bがb票の場合を考えます。
Aが常にリードする場合の数は、

   
b)最後がBの場合
このときは、Aが(a+1)票、Bが(b−1)票の場合を考えます。
Aが常にリードする場合の数は、

   
ゆえに求める確率は、

   

(2)Bが1票増える場合
a)最後がAの場合
このときは、Aが(a−1)票、Bが(b+1)票の場合を考えます。
Aが常にリードする場合の数は、

   
b)最後がBの場合
このときは、Aa票、Bb票の場合を考えます。
Aが常にリードする場合の数は、

   
ゆえに求める確率は、

   
以上より成立するといえます。

考察
 ずっとA候補者の得票がB候補者の得票を上回る開票経過は、

   


NO.1804    ラマヌジャンの無限積、その証明    2009.9.15.  K.F.

NO.1798ラマヌジャンの連分数には、手も 足も出ませんでしたが、NO.1803 (5)、(6)は、証明できました。以下、証明を述べます。

 1.    (pは素数)の証明

(方針)Riemann のζ関数とその Euler 積としての表現(1)を利用する。

  

(1)の証明

  

より(1)が成り立つ。

注)  

他の式は、等比級数の和の公式(s>0、p>1より、0<p−s<1)から、

  

が成り立つから正しい。具体的には、

  

他の素数(3,5,7・・・)に対しても、上記のことが同様に成り立つ。

(証明終わり)



(1)から、

  

となる。したがって、

  

となるから、

  

となる。一方、

  p2s−1=(p−1)(p+1) ←→ p2s=1+(p−1)(p+1)・・・(4)

が成り立つので、(4)を(3)に代入すると、

  

となる。(5)を変形すると、

  

を得る。sが任意の正の偶数のときのζ(s)の値は、

  

で表されることがわかっている(ここで、Bは、Bernoulli 数)から、 (7)にn=2、n=4を代入すると、

  

だから、

  

を得る。得られたζ(4)、ζ(8)の値を(6)に代入すると、

  

となる。

(証明終わり)



 2.    (pは素数)の証明

(2)と(6)より、

  

と、

  

が得られる。これらの式を掛け合わせると、

  

となる。(8)を変形すると、

  

を得る。(9)にs=2を代入すると、

  

となる。

(証明終わり)



このように証明してみると、今まで不思議だったp(素数)とπとの関係が 当然のように思えてきます。

NO.1803    eとπとp(素数)、それらの間の密接で不思議な関係    2009.9.1.  K.F.

eとπとp(prime number:素数)との間には、密接で不思議な関係があります。 一つ一つ確かめていきましょう。

1.eとπ
これら二つの数、数学の中で古くから知られている特別でしかも 重要な定数ネイピア数(自然対数の底)e と円周率πに深い関係が あることは、理工系の大学生なら知っています。例として、

  

  

などがあげられます。
(1)は、オイラーの等式、(2)はガウス積分として知られています。 どちらも証明は簡単です。 ただ、(2)は二重積分を解かなければならないので少し厄介です。

2.eとp
eと、数学的に見てもっとも興味ある数のグループであるp(素数)にも 密接で不思議な関係があります。
π(x)は、x以下の素数の個数を表す関数として、 「素数の個数関数」といわれていますが、次の式が成り立つことが知られています。

  

ここで、「〜」は、漸近的に等しいという意味で、式で書けば、

  

となります。
(3)、(4)は、「素数定理」と言われています。 ガウスが初めて予想してから約100年かかって証明されました。 このことだけでも、この定理の証明が難しいことがわかると思います。 理工系の数学が好きな大学生なら知っていますが、いざ証明するとなると 非常に難しく、複素関数論を学び直し、ζ関数理論とDirichletのL関数理論を勉強して、 やっと証明が理解できました。 証明は、『数論T』(岩波書店、2005年)などに載っています。 数論を愛する方は、ぜひチャレンジしてみてください。

3.πとp
eは、「自然」対数の底なので、eとpに密接な関係があることに 納得された方も、πとpに密接な関係があるといわれると驚かれるのではないでしょうか。 それがあるのです。 大学院の図書館で見たラマヌジャンの全集に、 その好例が載っていました。

  

です。ラマヌジャンは他にも、πとは直接関係ありませんが、次のような無限積も残しています。

  

4.以上のことから、e、π、p相互の間に深くて、密接で不思議な関係が あることがわかりました。すなわち、

  

このようなことを知ると、数学がますますおもしろくなると思います。


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