コロキウム室 NO.2

Weekend Mathematicsコロキウム室1997/NO.2


コロキウム室


NO.13   7/1   Junko

今月からこの部屋を始めました。
コロキウム(Colloquium)とは、手元の辞書によれば、 @(専門家などの)会合、学会 A学究的セミナ− B非公式討論会 とあります。
大学生だった頃、大学のエレベ−タ−で数学科のある6Fまで上がると、 講義室や教授の研究室に並んでコロキウム室というのがありました。
ここだけは冷暖房完備で、ソファがおいてあって学生たちが自由に使っていいのです。 数学の話も少しはしましたけれど、女子大でしたからみんなでランチしたり、 おいしい物の話、ボ−イフレンドの話などおしゃべりに花を咲かせていました。
そんななつかしさもあって名付けました。
いろいろな話題のメ−ルをお待ちしています。





NO.14   7/6   I LOVE HOKKAIDO

今月の問題は6進数ですね。
これに関連した問題を出しましょう。簡単です。

各桁の総和が5の倍数の時、必ず5の倍数になるのはどれか。

出典は情報処理の問題集からです。




NO.15   7/10   Junko

答えは6進法かなと思ったのです。
ちょうど、10進法で9の倍数を探すのと同じかな と思ったので。
(これについては、 Weekend Mathematics 5 カ−ドの問題に 詳しくかいてあります。
ブラウザのBackボタンで戻ってきてね。)

でも、残念ながら選択肢の中に6進法がない。
そこで5の剰余が1のものなら同じだ、 と考えて答えは16進法。どうですか? 

一応、証明をしましょう。

証明を簡単にするために、7桁の数で証明します。

abcdefgと表記されているとします。
つまり、この数をxとすると、
x=a×16+b×16+c×16+d×16+e×16+f×16+g

x=a×16+b×16+c×16+d×16+e×16+f×16+g
 =a×(3×5+1)+b×(3×5+1)+c×(3×5+1)+d×(3×5+1)
   +e×(3×5+1)+f×(3×5+1)+g
 ≡a+b+c+d+e+f+g(mod5)

ここで、

(3×5+1)=Σ(k=0..k=n)(3×5)n−k(二項展開です。)
        =Σ(k=0..k=n-1)(3×5)n−k+1(ラストの1つだけなかまはずれ)
        ≡1(mod5)   (ラストの1つだけは5の因数を持たないからです。)

と、いうわけで10進数の場合については、 割れる数の判定法というのを以前話題にしましたが
Weekend Mathematics 5 カ−ドの問題 ブラウザのBackボタンで戻ってきてね。)
10進数以外のものについて 研究してみるとおもしろいかもしれません。
夏休みの自由研究にいかがですか?




NO.16   7/11   S.I. ( NO.9の発言を受けて )

はじめまして。アメリカ留学中の皮膚科医です。
面白そうなページですねえ。 数学なんて、う〜ん懐かしいなあ、という感じです それから最近の高校生はインターネットするんだ〜、 と今更ながら感心しています。

コロキウムで数学を学ぶ意味を問われていましたね。 医学では直接数学を使うことはほとんどないですが、 実際の診断のステップなどでは「数学的、 というか、論理的思考」が必要です。
ある患者を診て、いくつか疾患が考えられる。 ここから一つに絞っていくのは、 いろいろな検査所見で合わないものを除外していくわけです。 私は皮膚科医ですから、 まず皮疹を観察して、 その特徴を見ながら、合わないものを除外する。 もしくは、特徴をとらえて診断を絞る。 それで絞れない場合は組織診断をしていく。 場合によってはアルゴリズミックに 考えていかなければならないこともあります。 これはもう数学の考え方そのものです。 もっとも、アルゴリズミックに物事を考えなければならない、 というのは日常生活にもありそうですけど。
あとは学会発表や論文などで、 エレガントに、見通しよく、論理を展開する。 これにも数学を学んだ結果としての 、何かある思考が役立っているように思います。 数学でよく「エレガントな解法」という言い方がありましたが、 そういうエレガントさに対する感受性を鍛えるのも意味があると思います。

ただ高校生位の時に話を限れば、 数学を学ぶ意義をわかって勉強する、 なんてのは不可能に近いかもしれません。 何かをやっていて、そのときは無我夢中だったり、 または、いやいやだったりしながら、 何の意味があるのかわからなくて、 しかし、終わってみて、あれはこういう意味があったのかあ、とわかる。 こういうことは我々も今も経験することです。 人生そのものがそういうものかもしれない。
一方、いやいや始めたものがやっているうちに、 あるとき面白さを発見するなんてこともありますよね。 高校生もそれでいいんじゃないでしょうか? 試験があるから、受験で必要だから、いやいやでも始める。 やっているうちに、ありゃ、 これはおもろいじゃないか、という瞬間に出会う。 そういう瞬間を演出するのが 数学の先生の腕の見せ所ではないでしょうか? ただ問題を解いて見せるだけの凡庸な教師には無理でしょうが。 (もちろん、このような面白いページを作っている小島先生 は凡庸じゃありませんよ。)

次に、頭のよさという問題ですが、 私が考えているのは、「頭の使い方を知っているかどうか」 ではないかということです。 あまり良し悪しはないんじゃないでしょうか? つまり、Aという場面ではAという神経回路を、 Bという場面ではBという神経回路を、 と状況に応じた神経回路のスイッチ(思考法のスイッチ) ができることではないでしょうか? 高校生なら、数学の時間なのに、 国語用の回路をつないでいたり、してないかということですね。 頭の良さというのは難しいですね。 私の回りでも、受験エリートで来た人が、 記憶力は抜群なんだけど、 患者にそんなこと言ったら怒らせるぞ、とか、 あほみたいなことが計算できなかったりするんですよね。
それでは、さらなるページのご発展をお祈りします。




NO.17   7/12   Junko

貴重なご意見をありがとうございました。 現役のお医者さんがどういう風に診断しているか、 というのは素人にはわかりませんから興味深い話です。 数学で培われた感覚が役だっているというのも 実際に話を聞いてみるとうれしいです。
若いうちは、今やっていることの道筋が見えていなくて 当然かもしれません。 1つの目的を持って前進するのもいいでしょうが、 多くの高校生は自分の適性や個性などいろいろな要因に 悩んでいると思います。 だからこそ、目先の目的だけにとらわれず、 何にでも首をつっこむ余裕があってほしいと思います。
いつどこでどんな物に出会って、 それが人生を変えてしまうくらいの出会いに なってしまうかもしれませんからね。
世の中で、これは役に立つぞ、 何てものは逆に曲者かもしれませんね。 役に立ったと思うのは終わってみてわかることで、 夢中になって何かに取り組んでいるときは そんなこと考えていませんものね。




NO.18   6/14   MK142857

小島淳子 先生 こんにちは。
新作問題を考えましたので、送ります。

問題6
2、3、7、8の数字の書いてあるカードがそれぞれ3枚ずつ、 合わせて12枚のカードがあります。 これらの12枚のカードの中から何枚かのカードを選び、 それらを並べて自然数を作るとき、 この自然数は平方数でないことを証明して下さい。

問題7
1から12までの数字が書いてあるカードと、 星形の図形があります。 図のように1、3、5のカードを当てはめたとき、 残りの9枚のカードをうまく当てはめて、 一直線上に並んでいる 4つの数の和が6組とも等しくなるようにして下さい。

                 1  
          
      ○ ○ ○ ○

       ○   ○

           5 ○ ○ ○

                 3





NO.19   7/15  みかん

問題7について

4つの数値が直線状に並んでいる辺は6通り、 そこで一つの直線状の数値の合計を S とすると、 全ての辺の合計値の和は 6S となる。
一方、6辺の数値をすべて加えると 1から12までの数値を2回づつ加えたことになる。
即ち 2(1+2+…+12)となり、 この値は 6S であるから、
2(1+2+…12)=6Sとなり、
S=26 即ち、 各辺の合計値は 26である。

次に、 問題の数値(図)を 下のように設定する。

                     1
      
        a1    a2    a3   a4
           
          a5          a6
          
      5   a7    a8   a9
                    
           3
このように設定して、 各辺の和から連立方程式を作る。
3より a2+a5+6=26
ゆえに a2+a5=20 となり、
(a2,a5)は (12,8) (11,9) (8,12)(9,11) の4通りである。 ・・ 7

次に各辺を全て加えると 18+2(a1+a2+…+a9)=6*26
ゆえに a1+a2+…+a9=69 ・・ ・・ ・・ ・・ 8
そして、1 と 5 を各辺ごと加えると
a1+a2+a3+a4+5+a7+a8+a9=52 ・・ ・9
8より9を辺ごとに引くと
a5+a6=22 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 10

これより (a5,a6 ) は (12,10) (10,12) となる。
即ち,a5 は 10または12である。

7 と組み合わせると a5 は 12 のみとなる。
これより、 a2 =8、 a6=10 と一意的に決まる。
以下省略




NO.20   7/15   Junko

問題6について

と、いうわけで、末尾だけに注目すると平方数の末尾は 必ず、0、1、4、5、6、9のどれかになります。
従って、問題にあるように2、3、7、8のカ−ドを並べ替えてできた自然数は もちろん末尾もこの4つのうちのどれかですから、絶対に平方数にはならないわけです。
3枚ずつ合わせて12枚というのは余分な修飾のように思います。

問題7について

まず1列の和の値を求めました。
1つの数字はどれも皆2回ずつカウントされます。 直線は6本ありますから、
(1+2+・・・+12)×2÷6=26
となり、各列の和は26となります。
ですから、1から5に至るラインは残り2つの和が20となります。
12+8、ないし11+9のどちらかになります。
ここからは総あたりでいきました。 力ずくで下のような答えを見つけ(!)ました。 これ以外には適当な答えがないことも力ずくで確かめました。(!)

                 1  
          
      7 8 9 2

       12   10

           5 4 11 6

                 3
答えがでればいいのかもしれませんが、どうも力ずくというのはねえ・・・。
何かいい解法はないもんですかねえ?
答えの一意性についてもよくわかりません。 答えは必ず1つしかないとわかっていれば、見つけたもん勝ちなんですけれどね。
更に、この問題は1、3、5と3つ数字が予めあてはめられていますけれど、 まっさらの状態で形だけ(星形)しか定められていないとしても、 答えは1つなのでしょうか?(もちろん対称性は考慮して)わからな−い!





NO.21   7/16   山漁師の六太夫(やまりょうしのろくだゆう)

小学5年生の娘が、 学校の担任の教師に問題を出されたのですが、 家族一丸となっても出来ないので、 もし解き方が解ればおしえてくださいませんか?



この図形に、2本の直線を書き加えることによって、 10個の三角形を作りなさいといった問題です。 どうやっても、9つしか出来ません。
昔(いまでもあるのかな?)、 多胡輝の頭の体操って本が良くでていたと思いますが、 出典はそのあたりだと思います。
HPを見て、気に入ったので あなたに質問してみました。 ぶしつけではありますが、 なにぶんよろしくお願い申しあげます。




NO.22   7/16   Junko

朝、受け取ってそのまま星形をイメ−ジしながら通勤し、 答えを見いだせないまま1時間目の授業でこの話をしたら、 生徒があっさり答えを出してくれました。 (彼は一躍クラスのヒ−ロ−になってしまいました。)
きれいな星形が描けなかったのですが、 長さや角度はこの問題ではあまり意味がなく、 直線のつながり方だけが問題になりますよね。 (こういうのをトポロジ−といいます。) だから、許してください。
それにしても、皆でこういった問題に挑戦するなんて、 素敵なご家族ですね。







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