Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.166

コロキウム室



NO.1387 2003.4.14.おいたん鏡の問題(1)

某ホームページにおいて、「鏡では上下は反対にならないのに、左右は反対になるのはなぜか。それをわかりやすく説明せよ」というトピックがたっており、沢山の投稿が寄せられています。

しかし、私個人としては、そもそも命題が間違っているような気がするのです。本当に上下はそのままで左右だけが逆になっているのでしょうか。個人的には、これは座標軸のとり方の問題のような気がします。上下は、重力の関係で絶対的に決まってしまいますが、左右は相対的な座標です。左右を、たとえば「東西」というような絶対的な座標軸を使えば、鏡の像でも東のものはやはり東に、西のものはやはり西に写っているので、像が反対になっているということはありません。

鏡で反対になるのは、「前後」のような気がするのですが。前後をより絶対的な座標、たとえば「南北」に置き換えても、やはり逆になっていますね。これは、鏡は鏡面に垂直方向の光の向きを逆転させるものだからでしょうか。

ですから、正解は「鏡では上下左右は反対にはならないが、前後は反対になる」ということではないでしょうか。また、これを数学的に厳密に証明することはできますでしょうか。皆さんのご意見をお待ちしております。



NO.1388 2003.4.20.kyukyuちゃん鏡の問題(2)

それでは右手に東と書いて、鏡に向かうとどうなるかと考えました。

                             (元の像と同一視)   (鏡の像と同一視)    
                 おなか          おなか
(左)-せなか-(右東)   (左)-せなか-(右東)  (右東)-せなか-(左)
    おなか
 
鏡---------------
    
    おなか
(左)−せなか-(右東)

で、鏡の像を元の像と同一視すると左右反対、鏡の像を同一視しないとすると前後が反対のようなきがいたします。



NO.1389 2003.4.20.物理君光干渉計の実験

こんにちは。コロキウム室、大変参考になり拝見させてもらっています。以前にも 質問をしたことがあるんですが、今回も投稿の方、よろしくお願いします。

質問1 レーザー光を発振した直後から時間が経過すると光の出力が安定するのはな ぜか?レーザーの構造から考察せよ。

質問2 干渉計では相対的な測定が可能であるが、光干渉計を用いて絶対測定が可能 か考察せよ。

質問3 光干渉計の物理計測上への応用について説明せよ。



NO.1390 2003.4.20.三角定規鏡の問題(3)

識者の間ではもはやほとんど問題にならない、定説が確立されている問題です。
鏡で反対になるのは「光線の進行方向」だけです。
われわれは鏡を鏡面に垂直にのぞき込むことが多いので、おいたんさんが指摘されているように、「鏡で反対になるのは『前後』だ」といっても同じことです。『左右が反対』と思うのは、「鏡の中にいる自分から見ているから」に他なりません。
または、「左右の定義の問題」ということもできます。「ぼくが箸を持つ方が右」と定義すれば、「鏡の中だって箸を持っている方が右」ですから、『左右は逆転していない』ことになります。これも、おいたんさんがいう「座標軸のとり方の問題」と同じことです。
以上は、『詭弁論理学』野崎昭弘・著(中公新書448)の付録の受け売りです。大昔の本(1976年)ですいません。

ところで、物理学者は、単なる「左右の逆転」にとどまらず、「物理法則の対称生」を問題にします。

『鏡の中の物理学』−自然法則の対称生− 朝永振一郎.著
 朝永振一郎著作集9
   「マクロの世界からミクロの世界へ」所収
がたいへん優れた読み物なのですが、全集の中の一編なので、図書館にでも行かないとお目にかかれないのが残念です。これまた昔の本ですいません。



NO.1391 2003.4.20.水の流れピラミッド問題+4

第118回数学的な応募問題

太郎さんは、最近、「中尾」さんから、次のような問題をもらいました。皆さん!考えてください。
<中尾さんのコメント>次のような問題を解きました。面白いでしょうか?
<出典: Michael A. Bennett, "Lucas' square pyramid Problem revisited">

「問題1」
同じ大きさの球をピラミッド形に(月見だんごのように、最上部に1個、次の段に4個、3段目に9個というように)積み上げたものを、平面上に並べ直すと正方形になった。球は全部で何個あるか?

<水の流れ>さて、今回の問題の平面バージョンが下記にあります。参考してくだされば幸いです。
    http://www2.ocn.ne.jp/~mizuryu/kadai/kadai22.html

または、次の問題を考えても良いです。

「問題2」次の数列の第n項を、nの式で表せ。

  (1)0,−1,0,−1,0,−1、0,−1,・・・

  (2)1,1,3,3,5,5、7,7,・・・

  (3)0,−1,−2,0,−1,−2,0,−1,−2,・・・・

  (4)1,1,1,4,4,4,7,7,7,10,10,10,・・・





NO.1392 2003.4.21.Idaho Potato鏡の問題(4)

おいたんさんと三角定規さんの「鏡で反対になるのは『前後』である」という説明は、純粋に空間幾何の問題として捉えれば、全くもって正しいと思います。
しかし、私は「その答えは正しいが、ナンセンスである」という立場から、あえて「非数学的な」考察を試みます。

正しいのに「ナンセンス」とはどういうことか?
それは、その答えが、「なぜ人は鏡の像を『左右が反転している』と思うのか?」という、さらに本質的な問いに対して、何ら示唆を与えていないからです。
この問いに答えるためには、人間の空間認識能力について考えなければなりません。

私は、多くの人が「鏡の像は左右が反転している」と認識する理由は、次の2点にあると考えます。

  1. (直立した)人間の体の外見は、左右方向に最も対称性が高い
  2. 人間の空間認識において、左右方向が最も「自由度」が高い

前者は、直立して鏡に正対したときに、鏡に映った自分の像をどう見るかという問題です。
まず、鏡に向かった人は、その像は「人間の形をしている」と認識します。 なぜなら、人間の形は左右方向にほぼ対称であるために、鏡に映った像もやはり人間としての外見を持っているからです。
そして、人間は上下方向と前後方向には全く非対称なので、像を「人間」と思った時点で、その像を空間的に認識するための「上下」と「前後」は固定されてしまうのです。 そうすると、像と自分自身の関係を把握するときに、考え得るのは「左右」の関係のみです。

後者の理由における「自由度」という言葉は、ちょっと説明が難しいですが、「人間が自分を中心として認識する『空間』の対称性」と言い換えることもできると思います。
人間が自分を中心として空間を認識するとき、「上下」は重力によって、そして「前後」は自分の視線の方向によって、強く規定されてしまいます。 しかし、「左右」に関しては、きわめて高い「自由度」あるいは「対称性」が残されています。
また、「左右」は人間が意識の世界において最も「自由に操りうる」方向でもあります。 それは、次に示すような人間の特性と大いに関係があると考えられます。

このような理由によって、人間の意識の世界において、最も容易な対称変換が「左右の反転」であることは、想像に難くありません。 そうすると、一般の(左右以外の)対称変換は、回転と左右反転の合成として捉えるのが最も合理的です。
鏡に映った自分の像と自分自身との関係を把握するときに、自分自身の「前後反転像」を思い描くのはきわめて困難です。 しかし、回転してから左右を反転するのであれば、比較的容易に想像できます。 だから、人は鏡に映った自分自身の像を見て、それを「前後反転像」でなく「左右反転像」と認識するのです。
これは、鏡に映ったものが人間でなく、紙に書いた文字や絵、あるいはもっと一般の物体でも同じことです。

そういうわけで、「人間の空間認識能力」という視点で考えると、「鏡の像はやはり『左右が反対』と思うのが自然である」という、常識的な結論に落ち着くのです。
「鏡で反対になるのは前後である」「座標軸の取り方の問題である」などという答えは、単に「幾何的に正しい」というだけであって、そこで思考停止してしまうのは好ましい態度ではないと思います。 それらの答えは、「人間の意識と一致していない」という意味で、やはり「ナンセンス」と言わざるを得ないと思うからです。





NO.1393 2003.4.27.T.A.多項式展開係数(4)

2項定理をちょっと調べていて小島さんのページに来ました。  多項式について歴史的なものも書いてあり面白かったです。 そして、一つちょっと注意が必要なのが目についたのですが、 コロキウム室・テーマ別(多項式展開係数) の多項式の展開ですが、無限和をとってらっしゃいますが、 これはご存知のように絶対値が1以上では和が意味をなしませ ん。







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