Weekend Mathematicsコロキウム室テーマ別/39.お祝い問題・多項式展開係数



コロキウム室(お祝い問題・多項式展開係数)


NO.885 2000.11.8.水の流れお祝い問題(1)

この度のドメイン取得により、新しいホームページのオープン 誠におめでとうございます。これからの貴ページの益々の発展と 管理者のご活躍を心から、お祈りします。 ここで、お祝いの印しに、問題を提供します。
(1+x+xの展開係数をを考えてください。



NO.887 2000.11.9.Junkoお祝い問題(2)

試しにいくつか展開してみました。

(1+x+x=x+2x+3x+2x+1

(1+x+x=x+3x+6x+7x+6x+3x+1

(1+x+x= x+4x+10x+16x+ 19x+16x+10x+4x+1

パスカルの三角形を連想しますよね?
同じように係数を並べてみました。

(1+x+xの係数
1016191610
・・・・・・

並べながら気づきました。 パスカルの三角形は、上2つを足していくことで形成されますが、 これは上3つの和で作っていけばいいのですね。 なーるほど。



NO.890 2000.11.11.水の流れ お祝い問題 (3)

「お祝いの問題」 で、下記のようなパスカルの三角形みたいのが得られました。 ここで、コロキウムの「コ」と水の流れの「ミ」をとって、コミカルな三角形と呼びましょう。

(1+x+xの係数
1016191610
・・・・・・P(n、r)


この数字をP(n、r)で表すことにします。 ただし、n=0,1,2,3,・・・・、0≦r≦2n とする。
また、P(n、0)=1、P(n、1)=n、P(n、2nー1)=n、P(n、2n)=1 とする。 すると、このコミカルの三角形は
P(n+1,r)= P(n,r−2)+P(n,r−1)+P(n,r) という性質を持っています。
これは、上の段の3つの和として、順に得られますので、トリボナッチ数列にもなります。



NO.891 2000.11.13.水の流れ多項式展開係数(1)

第63回数学的な応募問題

太郎さんは、先日生徒から「ニュートンの2項定理って、何ですか。」と聞かれました。 すぐには答えられませんでしたが、 パスカル(フランス:1623〜1662)の三角形が出てくる2項係数を思い出して、 (a+b)の2項定理を言いました。ただし、このnは正の整数です。
しかし、ニュートン(イギリス:1642〜1727)と名前が出ているので、 2項定理の発見者はニュートンかしらと疑問に思っていました。そこで、文献で調べてみました。

文学、物理学、気象学の分野で多彩な業績を残したパスカルは、数学においても、 数多くの成果をあげています。転がる円盤の一点が描くサイクロイドの研究はや、 フェルマー(フランス:1601〜1665)と共同で行った確率の研究は、特に優れたものです。 パスカルは確率の研究から、2項式の展開(a+b)において、 係数の規則性を発見しました。 これが、これがいわゆるパスカルの三角形と言われる魔法の三角形です。 多くの人は、ものご存じですので、割愛します。1654年に発案しました。

実はこの三角形は中国で古くから知られていました。 朱世傑の著書で1303年頃書かれた「四元玉鑑」を見ると、 すでに2項展開したときの係数が書かれています。 これは、高次方程式を解くにあたって使用されていました。 また、ヨーロッパでも16世紀の数学者、カルダノ(イタリア:1501〜1576)らが知っていて、 3次行程式や4次方程式の解法に使ったいました。

弱冠23歳のニューートンが、1665年の初めに、 パスカルの発見した「2項定理」の指数nを拡張して、 正の整数から、負の整数、分数まで拡げ、無限級数にまで発展させている。 αが任意の実数のとき、(1+x)αをベキ級数に展開できる公式を 「ニュートンの2項定理」と言います。 この係数は組み合わせの記号C(n、r)と書きますが、 nが正整数でないと組み合わせの意味がなくなりますが、 n=α,r=nとして、2項係数は、
α(α-1)(α-2)(α-3)・・・(α-n+1)/n!={α,n}と表します。
例えば、α=−1のとき、1+x+x+x+x+・・・+x+・・・=1/(1−x)
となることです。

で、いろいろと文献を見て、次のような問題を考えてみました。 まず、3項式(1+x+xの展開係数を見て下さい。
n=0,1,2,3,4,5,・・・と展開すると、パスカルの三角形は2項式(1+x)の展開係数ですが、 似たような奇妙な数列がでてきます。一度見て下さい。 (この三角形をコミカルな三角形と呼びましょう。)

(1+x+xの係数
1016191610
15304551453015
・・・・・・P(n、r)


この数字をP(n、r)で表すことにします。 ただし、n=0,1,2,3,・・・・、0≦r≦2n とする。
また、P(n、0)=1、P(n、1)=n、P(n、2nー1)=n、P(n、2n)=1 とする。
すると、このコミカルの三角形は

P(n+1,r)= P(n,r−2)+P(n,r−1)+P(n,r)

という性質を持っています。

これは、上の段の3つの和として、順に得られますので、トリボナッチ数列にもなります。

ここからが、今回の問題です。次の初項から第k項までの和をkで表してください。

問題1:T=1+1+1+・・・+T  (ただし、T=1とする)

問題2:T=1+2+3+4+・・・+T

問題3:T=1+3+6+10+・・・+T

問題4:T=1+4+10+20+・・・+T

問題5:T=1+5+15+35+・・・+T

問題6:一般に、

(n=1,2,3,・・・、ただし、T=1とする)

さて、最後に問題7: この展開を拡張して、多項式(1+x+x+x+x+・・・) の展開係数を考えてください。



NO.893 2000.11.23.Junko多項式展開係数(2)

この数列は2変数数列(そんな言葉があるのかなあ?)としてとらえなければいけないのかなと思います。
つまり、

問題1:T(1,k) =T(0,1)+T(0,2)+・・・+T(0,k) =1+1+1+・・・+T(0,k) 

        (ただし、任意のkについて、T(0,k)=1とする)

問題2:T(2,k) =T(1,1)+T(1,2)+・・・+T(1,k) =1+2+3+4+・・・+T(1,k)

問題3:T(3,k) =T(2,1)+T(2,2)+・・・+T(2,k) =1+3+6+10+・・・+T(2,k)

問題4:T(4,k) =T(3,1)+T(3,2)+・・・+T(3,k) =1+4+10+20+・・・+T(3,k)

問題5:T(5,k) =T(4,1)+T(4,2)+・・・+T(4,k) =1+5+15+35+・・・+T(4,k)

問題6:一般に、





さて改めて、

問題1:T(1,k) =T(0,1)+T(0,2)+・・・+T(0,k)
=1+1+1+・・・+T(0,k)
=k


問題2:




問題3:




問題4:




以上のことから、一般に



となることが予想されます。




NO.894 2000.11.23.ねこ多項式展開係数(3)

以下では、T=T(k)のように書く。

問題1.

(k)=1+1+1+1+・・・+1=k

問題2.



問題3.



ここで、問題6の解答として次の予想が立つ。

(1)が成り立つのを証明する。初めに次の補題を示す。

証明.帰納法で示す。

i)k=1のとき



より成立。

ii)k→k+1



となり成立。

補題1を用いて(1)を証明する。

証明.帰納法で示す。

i)n=1のときは問題1より成立

ii)n→n+1



となり、成立。

以上の考察より、以下の解を得る。



問題7.

証明.帰納法で示す。

i)n=1のとき



より成立。

ii)n→n+1



となり、成立。



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