Weekend Mathematics/コロキウム室/1998.1〜6/NO.13
NO.83 4/12 水の流れ プレゼントの問題(10)
f(n)の一般項です。
数列はf(n)漸化式
f(1)=0、f(n+1)=(n+1)f(n)+(−1)(n−1)
で定まります。
NO.82で、「MK142857」さんが示してくれています。(2)の式です。
これより、
f(n+1)−(n+1)f(n)=(−1)(n−1)
ここで、an=f(n)/n!とおくと、
an+1−an=f(n+1)/(n+1)!−f(n)/n! =1/(n+1)!×{f(n+1)−(n+1)×f(n)} =1/(n+1)!×(−1)(n−1)
an=a1+Σ(k=1..n-1)(−1)k−1×{1/(k+1)!} =Σ(k=1..n-1)(−1)k−1×{1/(k+1)!}(Σの書き方が不自然でごめんなさい・・・junko)
f(n)=n!×an =n!×Σ(k=1..n-1)(−1)k−1×{1/(k+1)!}というわけです。
次にnがだんだん大きくなると、f(n)が1/eに近づくことです。
an=f(n)/n! =Σ(k=1..n-1)(−1)k−1×{1/(k+1)!} =1/2!−1/3!+1/4!−1/5!+・・・+(−1)n×1/n!(訂正4/16)一方、exのマクロ−リン展開によれば、
ex=1+x+x2/2!+x3/3!+x4/4!+・・・+xn/n!+・・・なので、x=−1とすれば、
ex=1/2!−1/3!+1/4!−1/5!+・・・+(−1)n×1/n!+・・・(訂正4/16)(これは、大学の1年で勉強します。・・・junko注)
lim(n→∽)f(n)/n!=lim(n→∽){1/2!−1/3!+1/4!−1/5!+・・・+(−1)n×1/n!+・・・}(訂正4/16) =1/e
NO.84 4/12 Junko プレゼントの問題(11)
NO.82で、「MK142857」さんから出題された
問題について考えてみました。
高校生らしい現実的な問題ですね。
期待値で比較をします。
E2(n=5)=5×g(5,5)/120+4×g(5,4)/120+3×g(5,3)/120 +2×g(5,2)/120+1×g(5,1)/120+0×g(5,0)/120 =5×1/120+4×0/120+3×10/120+2×20/120+1×45/120+0×44/120 =(5+30+40+45)/120 =1
E2(n)=Σ(k=0..n)k×g(n,k)/n! =Σ(k=1..n)k×g(n,k)/n! =1が言えるのではないかと思い、その証明を試みました。
まず、NO.81で、「水の流れ」さんが作ってくださった、
モンモールの三角形の
一番右の合計をみてください。
これは結局n個のものの並べ方ですから、n!になっています。
つまり、
g(n,0)+g(n,1)+g(n,2)+・・・+g(n,n) =Σ(k=0..n)g(n,k) =Σ(k=0..n)nCkf(n−k) (NO.78のg(n,k)=nCkf(n−k)より) =n!・・・(3)ということです。これを証明で使います。
さて、
E2(n)=0×g(n,0)/n!+1×g(n,1)/n!+2×g(n,2)/n!+・・・+n×g(n,n)/n! =Σ(k=0..n)k×g(n,k)/n! =Σ(k=1..n)k×g(n,k)/n! =Σ(k=1..n)k×nCkf(n−k)/n! =Σ(k=1..n)k×n!/{k!×(n−k)!}×f(n−k)/n! =Σ(k=1..n)1/{(k−1)!×(n−k)!}×f(n−k) =Σ(k=1..n)(n−1)!/{(k−1)!×(n−k)!}×f(n−k)/(n−1)! =Σ(k=1..n)n−1Ck−1×f(n−k)/(n−1)! =1/(n−1)!×Σ(k=1..n)n−1Ck−1×f(n−k) ここで、Σの変数kを1つずらします。 =1/(n−1)!×Σ(k=0..n-1)n−1Ck×f(n−1−k) さらに、(3)の式 Σ(k=0..n)nCkf(n−k)=n! のnを(n−1)で置き換えると 、 Σ(k=0..n-1)n−1Ckf(n−1−k)=(n−1)! となるので、 =1/(n−1)!×(n−1)! =1となります。
NO.85 4/13 Junko プレゼントの問題(12)
NO.81で、
「水の流れ」さんが g(n,j)の表に関して、
「g(n,0)とg(n,1) との差が
常に1のように思います。
さらに、その大小が交互にきています。」
とかいていらっしゃいます。
これの裏付けをしました。
g(n,0)−g(n,1) =nC0×f(n)−nC1×f(n−1) =f(n)−n×f(n−1)ここで、NO.82で、 「MK142857」さんが示してくださった
g(n,0)−g(n,1) =(−1)(n−2) =(−1)nよって、nの偶奇により1または−1となるわけです。
NO.86 4/13 水の流れ 愛(?)のある問題(2)
iiの値はヒントとして、
複素数に関してのオイラーの定理から入ります。
オイラーの定理
eiθ=cosθ+isinθ
NO.87 4/14 みかん 愛(?)のある問題(3)
前段 オイラーの公式より
eiθ=cosθ+ isinθ
|eiθ|=root(eiθ×e−iθ)=1
(絶対値・・共役複素数の積)となるので、
eiθは複素平面上で単位円周上に
あることが分かる。
そこで、任意の整数kに対して、
ei2kπ=cos(2kπ)+isin(2kπ)=1がなりたつことがわかる。
つぎに、n を自然数とし
xk=ei2kπ/n おくと、
指数法則より
(xk)n=(ei2kπ/n)n=ei2kπ=1
となり、(xk)n−1=0 となる。
すなわち、1のn乗根は
xk=ei2kπ/n= cos(2kπ/n)+isin(2kπ/n)と解ける。
(k=0,1,2・・・,n−1)
解答
x4−1=0 の解を求める。
x0=e(i2×0×π/4)=cos(0)+isin(0)=1………………………1 x1=e(i2×1×π/4)=cos(2π/4)+isin(2π/4)=i……………2 x2=e(i2×2×π/4)=cos(4π/4)+isin(4π/4)=-1 …………3 x3=e(i2×3×π/4)=cos(6π/4)+isin(6π/4)=−i…………4となるので、2より eiπ/2=i
NO.88 4/14 水の流れ 平方の問題(1)
1桁の整数1,5,6を平方すると、
1,25,36となって下1桁は変わりません。
そこで、問題です。
★次ぎに、整数Nの桁数を5桁、6桁、・・・ とした場合、
このような整数は果たしてあるのでしょうか?
誰か考えて、教えてください。
NO.89 4/16 水の流れ 1998の問題
1より小さい正の分数があります。
分母と分子の公約数が1だけのとき(既約分数)、
分母が1998である分数は全部で何個ありますか。
また、これらをすべて加えるといくらになりますか。
NO.90 4/16 水の流れ 硬貨の問題
100円硬貨3枚、10円硬貨4枚、
1円硬貨5枚の全部または一部で支払うことのできる
金額の合計額はいくらか。
ある公式に気がつくと早いよ。
NO.91 4/16 影法師 愛(?)のある問題(4)
オイラーの公式
eiθ=cosθ+ isinθ において、
θ=πとおくと、
eiπ=cosπ+ isinπ=−1
この式の両辺を1/2乗、つまりル−トをとります。
(eiπ)1/2=(−1)1/2=√(−1)=i
従って、e1/2×πi=i
さらに、この式の両辺をi乗します。
(e1/2×πi)i=ii
ii=e1/2×πi×i=e−1/2×π
NO.92 4/17 Junko 平方の問題(2)
まず、合同式の書き方を確認しましょう。
たとえば、7≡17(mod 10)つまり、
10の剰余類で同じグル−プに属するということ、
もう少し平たく言うと10で割ったあまりが同じということ、
つまり1の位が同じということ。
4月1日≡4月8日(mod7) つまり、同じ曜日だということ。
0および下の桁に0が並ぶものは除外して考えました。
x=abと2桁で表記されていたとします。
つまりx=10a+b
x2=(10a+b)2 =100a2+20ab+b2 =(10a2+2ab)×10+b2まずこれの1の位とxの1の位が一致している必要があるので、 b2≡b(mod 10)
x2=(10a+1)2 =100a2+20a+1 =(10a2+2a)×10+1これの10の位とxの10の位が一致しているためには、
x2=(10a+5)2 =100a2+100a+25 =(10a2+10a+2)×10+5これの10の位とxの10の位が一致しているためには、
x2=(10a+6)2 =100a2+120a+36 =(10a2+12a+3)×10+6これの10の位とxの10の位が一致しているためには、
x2=(100a+25)2 =10000a2+5000a+625 =(100a2+50a+6)×100+25これの100の位とxの100の位が一致しているためには、
x2=(100a+76)2 =10000a2+15200a+5776 =(100a2+152a+57)×100+76これの100の位とxの100の位が一致しているためには、
x2=(1000a+625)2 =1000000a2+1250000a+390625 =(1000a2+1250a+390)×1000+625これの1000の位とxの1000の位が一致しているためには、
x2=(1000a+376)2 =1000000a2+752000a+141376 =(1000a2+752a+141)×1000+376これの1000の位とxの1000の位が一致しているためには、
a9376と5桁で表記できるもの
x=10000a+9376
x2=(10000a+9376)2 =100000000a2+187520000a+87909376 =(10000a2+18752a+8790)×10000+376これの10000の位とxの10000の位が一致しているためには、
NO.93 4/18 水の流れ 愛(?)のある問題(5)
ii=e−π/2 =0.20787958・・・
となります。
私にとって、ii=e−π/2は
今の数の美しさを象徴しているように思います。
π(円周率)、e(超越数)、i (虚数単位)の
3つの偉大な数が出現します。
数のロマンみたいなものを感じます。
オイラーの偉大な定理の美しさ鑑ます。
実は eπi=−1 も同じですが。
NO.94 4/21 水の流れ プレゼントの問題(13)
E2(n)=1の証明を書きます。
集合{1,2,3,・・・,n}(n≧1)上の置換を考えます。
ちょうどj(j=0,1,2,・・・,n)個の不動点を
もつものの個数をg(n,j)で表すことにする。
(注:集合{1,2,3,・・・,n}上の置換を
(a1,a2,・・・,an)とするとき、
ai=iを満たす要素iをその置換の
不動点と言う。)
このとき、Σ(j=0...j=n)j× g(n,j) =n! を証明します。
j× g(n,j) は、不動点の総数を表しています。
証明
集合{1,2,3,・・・,n}上の置換は全部でn!通りああります。
それらをf1,f2,f3、・・・、fn! とします。
写像 fk(i)で置換fk による
iの像を下記のように並べます。
例 n=3のとき 1列 2列 ・・・ n列 1,2,3 f1 :(a11 a12 ・・・ a1n) f1: (@,A,B) f2 :(a21 a22 ・・・ a2n) f2: (@,3,2,) ・ f3: (2,1,B) ・ f4: (2,3,1) ・ f5: (3,1,2) fn!:(an!1an!2 ・・・ an!n ) f6: (3,A,1) ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ (n-1)! (n-1)! ・・・ (n-1)! 2個2個2個
ここで、1列を考えると、像が@である個数は
1以外の(n−1)個を並べた個数、
すなわち、(n−1)!に等しい。
2列を考えると、像がAである個数は
2以外の(n−1)個を並べた個数、(n−1)!に等しい。
・・・・
n列を考えると、像がnであるのは
n以外の(n−1)個を並べた個数、(n−1)!に等しい。
よって、不動点の総数は、n×(n−1)!=n!
すなわち、 Σ(j=0...j=n)j× g(n,j) =n!
したがって、
E2(n)= Σ(j=0...j=n)j× g(n,j) /n! =1 証明終
*不動点の総数を今までは、横で数えていましたが、
この証明は縦方向で数えました。