Weekend Mathematics/問題/問題93
93.おうぎ形の面積
下の図のような、半径が20cm、中心角が144°のおうぎ形があります。 点エ、オ、カ、キ、ク、ケ、コは、おうぎ形の弧イウ(曲線の部分イウ)を 8等分する点です。このとき、斜線部分の面積の和を求めなさい。 ただし、円周率は3.14とします。
算数オリンピックに挑戦
'00〜'03年度版
算数オリンピック委員会編
2001年第10回算数オリンピックトライアル問題
解答・その1
(ペンネ−ム:teki)
答え 251.2cm2 (半円の面積の2/5)
解法 勘です(^^;;
解答・その2
(ペンネ−ム:Mr.X)
ドーム(イ、キ、ウ)−ドーム(エ、キ、コ)+ドーム(オ、キ、ケ)
−ドーム(カ、キ、ク)= 400π(144/360-108/360+78/360-36/360)
−200(sin144°-sin108°+sin72°-sin36°)= 80π = 251.2cm2
解答・その3
(ペンネ−ム:yokodon)
[解法1]高校以上の範囲の知識を用いるやり方
半径 r 、中心角θの弓形(扇形から、その円弧部分の両端と半径2つを結んで出 来る2等辺三角形を除いた図形)の面積は
1/2・r2・(θ - sinθ)
で与えられます(導出は容易だと思うので、省略します)。これを用いると、求める図形の面積 S は、以下のように表現できます(単位:cm2)。
S = {1/2・202・(2π/5 - sin(2π/5)) - 1/2・202・(π/5 - sin(π/5))} + {1/2・202・(4π/5 - sin(4π/5)) - 1/2・202・(3π/5 - sin(3π/5))}
いずれも、大きな弓形の面積から小さい弓形の面積を引いたものです。ところで、
sin(2π/5) = sin(3π/5) 、sin(π/5) = sin(4π/5)
ですから、これを用いて
S = 1/2・202・{(2π/5 - π/5) + (4π/5 - 3π/5)} = 202・π/5 = 80π (cm2) ・・・(答)
・・・となります。数値計算すると S ≒ 251.2 (cm2) です。
[解法2]小学生でもできるやり方
とはいえ、解法1の方法で出来る小学生は、kirkland さんのところのA君を含め?ごく少数でしょう。
僕みたいなアタマの平凡な大人は、使える知識を制限されると、困ってしまいます。(w
しかし、上で三角関数を用いて三角形の面積を出している(弓形の面積を出すとき に、この考え方を用いている)ことに着目すると、何だかうまくいきそうです。実際 、点アと点キを結ぶ線分と線分カク、線分オケ、線分エコ、線分イウとの交点を順に サ、シ、ス、セとすると、実は△アカサ≡△アイセ、△アオシ≡△アエスなどが成り 立っています(これが、解法1の sin(2π/5) = sin(3π/5) 、sin(π/5) = sin(4 π/5) と対応している様に見えます)。
以上を用いて、改めて題意の面積 S を求める式を書いてみると、三角形アカサの 面積を△アカサと書くことにして、
S = {(1/2・202・2π/5 - △アオケ) - (1/2・202・π/5 - △アカク)} + {(1/2・202・4π/5 - △アイウ) - (1/2・202・3π/5 - △アエコ)}
・・・ですが、
△アオケ=△アエコ= 2 ×△アオシ
△アカク=△アイウ= 2 ×△アカサ
・・・を用いて整理すると、
S = 1/2・202・{(2π/5 - π/5) + (4π/5 - 3π/5)}
・・・となり、以下解法1に同じです。
解答・その4
(ペンネ−ム:anik)
144度=4π/5
144度/8=18度=π/10
扇形アカク=(1/2)*202*(π/5)=40π
三角形アカク=(1/2)*202*sin(π/5)=200sin(π/5)
扇形アオケ=(1/2)*202*(2π/5)=80π
三角形アオケ=(1/2)*202*sin(2π/5)=200sin(2π/5)
カオケク = (扇形アオケ−三角形アオケ)−(扇形アカク−三角形アカク) = (200sin(2π/5)−80π)−(200sin(π/5)−40π) = 40π−200(sin(2π/5)−sin(π/5))
扇形アエコ=(1/2)*202*(3π/5)=120π
三角形アエコ=(1/2)*202*sin(3π/5)=200sin(3π/5)
扇形アイウ=(1/2)*202*(4π/5)=160π
三角形アイウ=(1/2)*202*sin(4π/5)=200sin(4π/5)
エイウコ = (扇形アイウ−三角形アイウ)−(扇形アエコ−三角形アエコ) = (200sin(6π/5)−160π)−(200sin(3π/5)−120π) = 40π−200(sin(4π/5)−sin(3π/5))
よって求めたい面積=カオケク+エイウコ = 40π−200(sin(2π/5)−sin(π/5))+40π−200(sin(4π/5)−sin(3π/5)) = 80π−200(sin(2π/5)−sin(π/5))−200(sin(4π/5)−sin(3π/5))
sin(π/5)=sin(4π/5)、sin(2π/5)=sin(3π/5)から
= 80π−200(sin(2π/5)−sin(π/5))−200(sin(π/5)−sin(2π/5)) = 80π=80*3.14=251.2
A.251.2cm2
解答・その5
(ペンネ−ム: 浜田 明巳)
座標系を導入する.
とすると,求める面積Sは,
S=2{∫(2π/5,3π/10)20sinθ(−20sinθ)dθ−∫(π/5,π/10)20sinθ(−20sinθ)dθ}
=800{∫(3π/10,2π/5)sin2θdθ−∫(π/10,π/5)sin2θdθ}
=400{∫(3π/10,2π/5)(1−cos2θ)dθ−∫(π/10,π/5)(1−cos2θ)dθ}
=200{[2θ−sin2θ](3π/10,2π/5)−[2θ−sin2θ](π/10,π/5)}
=200<[2(2π/5−3π/10)−{sin(4π/5)−sin(3π/5)}]+[2(π/5−π/10)−{sin(2π/5)−sin(π/5)}]>
=200[{2・π/10−2cos(7π/10)sin(π/10)}+{2・π/10−2cos(3π/10)sin(π/10)}]
=400{π/5−cos(7π/10)sin(π/10)−cos(3π/10)sin(π/10)}
=400[π/5−{cos(7π/10)+cos(3π/10)}sin(π/10)]
=400[π/5−{−cos(3π/10)+cos(3π/10)}sin(π/10)]
=80π(cm2)
PS.算数の問題に積分を使ってはだめですね.
解答・その6
(ペンネ−ム:巷の夢)
左右対称なので左半分で考える。
まず垂直線アキと4本の水平線イウ、エコ、オケ、カクとの交点を各々A,B,C,Dとする。
すると図形アイカD−△アイA−図形BエオC=斜線部分の面積
ところで△アイA≡△カアD
図形BエオC=図形アエオC−△アエB
ところで△アエB≡△オアCであるから
図形BエオC=扇形アエオ
因って求める扇形アイオ=(1/2)×20×20×(π/5)となる。
この値より求める斜線部の面積は2倍して80π、即ち、251.2となる。
解答・その7
(ペンネ−ム:杖のおじさん)
図1を参照
△ カサアと△アイセは合同なので同じ面積です。
合同の証明
△カアサについて
∠カサア=90° ∠サアカ=18° ∠サカア=72°カアの長さ=20cm
△アイセについて
∠アセイ=90° ∠セイア=18° ∠セアイ=72 アイの長さ=20cm
△アセソの面積(赤の部分 図1を参照)をxとすると、同じ面積の三角形から同じ面積のxを引くので △アイソと台形カサソセは同じ面積であることが分かります。
また、△オシアと△エスアは合同なので同じ面積です。
合同の証明
△オシアについて
∠オシア=90° ∠オアシ=36° ∠シオア=54°アオの長さ=20cm
△エスアについて
∠エスア=90° ∠アエス=36° ∠エアス=54° アエの長さ=20cm
△タスアの面積(赤の部分+黄色の部分 図1を参照)をyとすると、同じ面積の三角形から同じ面積のyを引くので △アエオと台形オタスシは同じ面積であることが分かります。
◎ 求める面積は
図2の面積(緑の部分)はおうぎ形アイカの2倍の面積(面積イカクウ、緑の部分+黄色の部分) からおうぎ形アエオの2倍の面積(面積オエコケ、黄色の部分)を引いたものになります。
@ 図2のイカクウの面積(緑色の部分+黄色の部分)を求めます
面積=20×20×3.14×54/360×2=376.79998=376.8
A 同じ方法で斜線の面積オエコケを求めます
面積=20×20×3.14×18/360×2=125.59999=125.6
求める部分の面積は次の通りです
@―A=376.8−125.6=251.2 cm2
エクセルのユーザーフォームでも作りました。次のフォームです。
このフォームの作り方は私のホームぺージで解説いたします。
答え 251.2 cm2
解答・その8
(ペンネ−ム:Toru)
キとアを直線で結んで直線カク、オケ、エコ、イウとの交点を順に、サ、シ、ス、 セとする。
斜線のうちの(カオケク)の面積は(カオシサ)の2倍で
(カオシサ)=扇形(アオカ)+Δ(カアサ)―Δ(オアシ)
斜線のうちの(エイウコ)の面積は(エイセス)の2倍で
(エイセス)=扇形(アイエ)+Δ(エアス)―Δ(イアセ)
扇形(アオカ)≡扇形(アイエ)
∠イアセ=∠アカサ=72°などからΔ(カアサ)≡Δ(アイセ)
∠オアシ=∠アエス=36°などからΔ(オアシ)≡Δ(アエス)
よって求める面積は
2x((カオシサ)+(エイセス))=4x扇形(アイエ)
=4x20x20x3.14x18/360=251.2
答え 251.2 cm2
解答・その9
(ペンネ−ム:蜘蛛の巣城)
三角形アイウと三角形アカクの面積は等しく、三角形アエコと三角形アオケの面積も等しい。 なぜならθ=18°とすれば(5θ=90°)それぞれ斜辺の長さが等しく内角が θ、4θ、5θと2θ、3θ,5θの直角三角形を接合した形だから。
以下、面積の関係を確認。(三日月形と言えばいいのでしょうか。でも形は違いますよね。)
浮島形カキク=扇形アカキク−三角形アカク・・・@
浮島形オキケ=扇形アオキケ−三角形アオケ・・・A
浮島形エキコ=扇形アエキコ−三角形アエコ・・・B
浮島形イキウ=扇形アイキウ−三角形アイウ・・・C
求める面積SはC−B+A−@であるから
S=扇形アイキウ−扇形アエキコ+扇形アオキケ−扇形アカキク
−三角形アイウ+三角形アエコ−三角形アオケ+三角形アカク
冒頭に述べた理由から三角形の面積は消滅し、 また扇形の面積は結局のところ中心角θのものが4つ分。 即ち中心角72°の扇形の面積に等しい。
解答・その10
(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)
この問題は「円周率を3.14とする」というのがヒントになっています。
144度を8等分すると、1つの角が18度になります。 θ=18°とすると、5×18°=90°なので、90°−2θ=3θです。 そこで、
sin(90°−2θ)=sin(3θ)
cos(2θ)=sin(3θ)
1−2sin2θ=3sinθ−4sin3θ
4sin3θ−2sin3θ −3sinθ+1=0
(sinθ−1)(4sin2θ+2sinθ−1)=0
これを解いて、sinθ=(−1+√5)/4
などとしたのでは、√5の扱いが、πと比べてうまくありません。
結果に√5が現れないのだと見当がつきます。
さて、半円の中心アに集まっている角は、すべて18度です。(図1)
図1
次の図の色を付けた部分の面積をそれそれ、S1、S2、S3、S4とします。
図2 図3
図4
図5
それぞれの面積は、扇形から中心アを頂点とする二等辺三角形を引いて求めます。
二等辺三角形は、直角三角形の2倍です。
縦線アキの右側にある4つの直角三角形には次のような合同の関係があります。
△アクサ ≡ △ウアセ、
△アケシ ≡ △コアス
クサ=アセ=a、アサ=ウセ=b、ケシ=アス=c、アシ=コス=dとおき、
中心角の18度の扇形の面積をAとおくと、
図6 図7
S1=2A−△アカク=2A−2△アクサ=2A−ab
S2=4A−△アオケ=4A−2△アケシ=4A−cd
S3=6A−△アエコ=6A−2△アコス=6A−cd
S4=8A−△アイウ=8A−2△アウセ=8A−ab
求める面積をSとすると、
S =(S2−S1)+(S4−S3) =((4A−cd)−(2A−ab))+((8A−ab)−(6A−cd)) =(2A−cd+ab)+(2A−ab+cd) =4A
つまり、中心角 4×18度=72度 の扇形の面積と一致します。
S =(πr2)×(4/20) =(1/5)×(πr2) (π=3.14、r=20を代入) =251.2(cm2)
解答・その11
(ペンネ−ム:三角定規)
勝手ですが,右図で考察します。
B,C,D,Eは,4分円周AFの5等分点です。
図のように色分けした部分の面積をS1,〜,S5,中心 角18°の扇形の面積をTとすると,
与えられた原題が求める面積はこれの2倍で
20×20×3.14×4/20=251.2 [cm2] …[答]
解答・その12
(ペンネ−ム:kirkland)
A君 「一気にいきまぁす!
扇形アオカ+△アカク+扇形アクケ−△アオケ+扇形アイエ+△アエコ+扇形アウコ−△アイウ
なのですが、△アカク=△アイウ、△アエコ=△アオケなので、
結局、扇形アオカ+扇形アクケ+扇形アイエ+扇形アウコ
ということで、全体の半分ですっと、うりゃ〜!以上!」
先生 「えらく雑だね。そんなんじゃ、解答として認められんぞ。」 A君 「まぁ、こんな普通の解答は、ウォーミングアップということで。 実はね、もう一つの解き方がカッコいいんですよ!」 先生 「意味もなく強気だね〜」 A君 「せっかくの算数オリンピックなんだから、頑張ってみましたよ。 4年後は、僕は高校生なので、出場できませんからね。」 先生 「算数オリンピックっていうのは、毎年あるんじゃないの。 それに残念ながら、4年後も君は小学6年生のままだと思うが。」 A君 「……。」 先生 「さて、カッコいいのを始めてみなさいよ。」 A君 「うっしゃー!図を描くのが面倒なので、左半分だけで考えますね。まず、赤の三角形を青の三角形の部分に移動させ ます。(下図)何故、移動できるかって?どちらも90°、36°、54°の直角三角形だし、斜辺の長さがどちらも 扇形の半径だからで〜す!」
先生 「ほうほう」 A君 「次にまた、赤の三角形を青の三角形の部分に移動させます。(下図)このとき、黄色の部分は2回重なっていることに注意しましょう!」
先生 「ほうほう」 A君 「それでもって、またまた、赤い三角形を青い三角形の部分に移すと、ほ〜ら、うまくいったでしょう!」
先生 「何故、移動できるの?」 A君 「1回目の移動から考えると、ピンクの部分の長さはどちらも同じなんですね〜。 だから、赤と青の三角形は合同なんですよ。」 先生 「ふ〜ん、なるほど。ところで、今月はボケまくる予定じゃなかったの?」 A君 「そのつもりだったんですけどね、図を描くのに疲れちゃって、ギャグを考える暇がなかったんですよ〜。 TVを観なきゃいけないので、とっとと帰りまーす。では、さようなら〜」 先生 「お〜い!お〜い! あ〜行っちゃった。相変わらずおっちょこちょいな奴だね〜。肝心の答えを出さずに帰っちゃったよ。」
正解者
Mr.X Toru 浜田 明巳 teki 夜ふかしのつらいおじさん 杖のおじさん yokodon 三角定規 巷の夢 蜘蛛の巣城 anik kirkland
このような図形の問題に解答するのは、大変ですよね。イラストを添えて解答をいただいた方も 多く、どうもありがとうございました、感謝いたします。
この問題を考えるとき、中心角18°の扇形が絶妙だと私は感じました。 円周上の点と中心とを結んでいくと、18°の扇形が現れ、それと同時に合同な三角形が何組か姿を現します。 これをうまく使うと答えはすっきりした形になります。 三角定規さんの解答は、更に座標を導入することで、 更にすっきりわかりやすいものになっていると思います、感心いたしました。