Weekend Mathematics問題/問題7

7.卵の問題

卵が6個入るパックと、 このパックが6パック入る箱があり、 この箱が6箱入る段ボ−ル箱があります。
それぞれいっぱいになるごとに、 パックから箱に、箱から段ボ−ルに、と入れていきます。
今、この方法でいくつかの卵を詰めるとき、 いっぱいに入っている段ボ−ル箱、箱、パックの数と余りの卵の数を [ ][ ][ ][ ]に左から順に書き入れる事にします。
箱などが空の場合や余りの卵がない場合には0と書きます。
例えば、48個の卵を詰めるとすると、 段ボ−ル箱0、箱1、パック2、余りの卵0となり、 [0][1][2][0]です。
次の問に答えなさい。

(1)239個の卵を詰めると、[ ][ ][ ][ ]とかけます。

(2)[1][3][0][2]と書ける卵の個数はいくつでしょう。

(3)[0][5][0][5]とかける卵の個数と、 [1][5][1][5]と書ける卵の個数との和は[ ][ ][ ][ ]とかけます。

(4)段ボ−ル箱6つの入るコンテナを持ってきて、 卵の数をいっぱいに入っているコンテナ、段ボ−ル箱、箱、パックの 数と余りの卵の数を左から並べて[ ][ ][ ][ ][ ] としましょう。
この時、[0][0][1][3][1]と書ける卵の個数と、 [0][0][1][2][3]と書ける卵の個数との積の個数を、 またこれらの容器に詰め直すと、[ ][ ][ ][ ][ ]となります。



問題の出典


(2)を除く

慶應義塾中等部'93

パズルより面白い中学入試の算数

ピ−タ−・フランクル

講談社



答えと解説












答えと解説

(1)回答・その1

(ペンネ−ム:ミネラル WATER)

卵6個=1パック

卵36個=6パック=1箱

卵216個=36パック=6箱=1ダンボ−ル

ダンボ−ルの方から考える。
239個−ダンボ−ル1箱(216個)=23個
23個−3パック(18個)=5個
[1][0][3][5]

(1)回答・その2

(ペンネ−ム:BABY MINNIE)

パックは卵が6個入る。
箱は卵が36個入る。
段ボ−ルは卵が216個入る。

まず、239個は216個を越えているので段ボ−ル箱が1つできる。
239−216=23
23個では箱をいっぱいにできないのでパックにつめると
23÷6=3・・・5
よって、[1][0][3][5]とかける。

(2)回答

(ペンネ−ム:es)

段ボ−ルは216×1=216
箱は    36×3=108
パックは   6×0=  0
あまりは         2
よって、216+108+2=326個

           

(3)回答・その1

(ペンネ−ム:ドロシ−)

[0][5][0][5]+[1][5][1][5]
=(0×216+5×36+0×6+5)+(1×216+5×36+1×6+5)
=(180+5)+(216+180+6+5)
=185+407
=592個

  • 段ボ−ル 592÷216=2・・・160より2個
  • 箱    160÷36=4・・・16より4個
  • パック  16÷6=2・・・4より2個
  • 余り   4個  
    従って、[2][4][2][4]

    (3)回答・その2

    (ペンネ−ム:未定)

    [0][5][0][5]+[1][5][1][5]
    =[1][10][1][10]
    =[2][4][2][4]



    (4)回答

    (ペンネ−ム:S.I.)

    (4)[0][0][1][3][1]X[0][0][1][2][3]
    =(62×1 +6×3+1)×(62×1+6×2+3)
    =64×1+63×2+62×3+63×3+62×2×3+6×3×3+62×1+6×2+3
    (整理すると)
    =64×1+63×5+62×10+6×11+3
    (6×11=6×6+6×5=62×1+6×5だから)
    =64×1+63×5+62×10+62×1+6×5+3
    =64×1+63×5+62×11+6×5+3
    (62×11=62×6+62×5
     =63×+62×5だから)
    =64×1+63×6+62×5+6×5+3
    (63×6=64×だから)
    =64×2+62×5+6×5+3
    =[2][0][5][5][3]

    正解者(ペンネ−ム)

    S.I.

    matheman

    BRAINMANIA

    ミネラル Water

    BABY MINNIE

    FLASH!

    みなみのしゅういち

    コレクトコ−ルは106番!

    凡人。

    匿名希望

    es

    ドロシ−

    !?

    まとめ

    今回は6進法の問題でした。

    (1)まず、10進数を6進数に直すには、 次のように6で割っていくといいのです。



    (2)逆に6進数を10進数に直します。
    6進数は下から、1の位、6の位、6の位、6の位 ですから、
    1×6+3×6+0×6+2×1=326
       とすればいいわけです。

    (3)ドロシ−さんのように、一端10進数に直して演算し、 それをまた6進数に直すというのも1つの手ではあります。
    でも、できれば直接やりたいですよね。普通の縦書きの足し算と同様にできます。 ただ、表記する時に6進数にすればいいのです。



    (4)次はかけ算です。これも、縦書きでやってみましょう。 足し算と同様に、表記はあくまで6進数です。



    参考のために6進数の五五(九九をもじって)を示しておきましょう。

    6進法の五五

    101214
    10132023
    12202432
    14233241


    私たちが普段使っている数体系はもちろん10進法ですけれども、 これは人間の指が10本であることと無縁ではありません。 もし、人間の指が6本だったら、6進法の世界になっていたと思います。 人間の指が8本だったら、コンピュ−タ−の進化はもっと早かっただろうという人もいます。 コンピュ−タ−では、ある(1)、ない(0)を 組み合わせて数値を表現する2進法が使われています。 2進法を3桁ごとに区切ると8進法だから、というわけです。

    さて、身のまわりには10以外の基数が使われている例があります。
    時刻を計る時の60進法です。1時間が60分に、1分が60秒に分割されています。 これは、紀元前2000年ごろのバビロニア人の方式です。 バビロニア人は、まず大きな単位を決め、それを分割して小さい単位を決めていったようです。 しかし、基数に柔軟性がなくてはこういう分割はできません。 10という数は2と5しか約数に持たないのに対して、 60は、2、3、4、5、6、10、12、15、20、30と10個もの約数を持ちます。 10進数では、3で割るといことが厳密にはできませんけれども、60進法ではできるわけです。 確かに、1時間に3つの問題を解かなければならないような試験で、 1題20分だなとすぐ計算できるのは60進法のおかげかもしれません。

    円を360等分するというのもバビロニアに起源を発するものだそうです。 1本のロ−プを3等分し、それで三角形を作ります。(正三角形) この三角形の角度を単位として、それを60等分したものを1度としたわけです。 さらに60等分したものを「分」、さらに60等分したものを「秒」としたわけです。
    円が360度というのは、円の中に正三角形がぴったり6個入るという事実からきているわけです。

    さて、もう1つ12進法というのがあります。 (ついビ−ル1ダ−スを連想してしまうのですが・・・。)
    1年を12ヶ月に分けているのは、地球をまわる月の運行と関係ありですね。 1年というのは地球が太陽をまわる公転周期です。 これが、ほぼ12ヶ月というわけです。 だから、太陽の軌道も12宮に分けられているわけです。 1日が12時間の2倍になっているのも同様に12という数を好んだからでしょうか。

    ところで、中国には古くから十干十二支というのがあります。略して干支(えと)。
    十干とは、甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸。
    日を数える数詞として使われていたとのことです。 まさしく、指折り数える10進数。

    十二支とは、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥。
    こちらは、月を数える数詞だったようです。
    この十二支をのちに「十二獣」に配当したのは、中国の戦国時代(紀元前403〜前221) ともいわれています。抽象的な文字になじまない庶民に分かりやすいように、 身近な動物を選んでそれぞれに配当したのでしょう。
    十二獣の名称
    子(鼠)、丑(牛)、寅(虎)、卯(兎)、辰(龍)、巳(蛇)、 午(馬)、未(羊)、申(猿)、酉(鶏)、戌(犬)、亥(猪)。
    十二獣の中に最も身近な猫が入っていない理由について面白い説話があります。 天帝が動物たちを呼び集め、 期日を定めて到着順に十二支を与えるという布告を出した。 猫はその布告が出たとき眠っていて知らなかった。 猫が仲の良い鼠に日時を聞くと、 鼠は期日の翌日を猫に教えた。 いよいよ当日、動物たちはねぐらを出て天帝の館へ急ぎ馳せ、 鼠、牛、虎・・・の順に到着してそれぞれ十二支が与えられた。 それとも知らず猫は翌朝早く目を覚まして天帝の前に出たが、 勝負は昨日終わったことを知らされ、十二支が与えられなかった。 鼠にだまされたことを知った猫は、 以来鼠を恨んで捕らえるようになったといいます。

    十二支はまた、方位にも配当されました。



    さらに、十二支は時刻にも配当されています。



    午の刻の真ん中の時刻が「正午」で、 正午を境にしてその前を「午前」、 その後を「午後」というわけです。

    十干と十二支を組み合わせると、 10と12の最小公倍数60の組み合わせができます。 これを「六十干支」といいます。 干支を年月日に割り当て、暦に取り入れたのは、 漢の武帝紀元前104年「太初歴」が最初、 日本では、西暦602年推古天皇のとき、 百済より暦本が輸入され、 その2年後の604年に暦日が採用されて「甲子の年」と定められたとのことです。 この時以来今日まで、年の干支は連綿と続いています。
    高校野球で知られる甲子園が、甲子(きのえね)の年(1924年)に完成したことから 命名されたというのは有名な話ですね。
    壬申の乱(672年)や、戊申戦争(1868年)など 歴史的事柄の名前にも六十干支が使われています。
    今年は「丁丑(ひのとうし)」に当たります。
    そして、「還暦」というのは、生まれの干支に還るという意味で、 60年たつともとの干支に戻る60才をお祝いするものですね。

    洋の東西を問わず、どうやら10、12、60がkey number のようです。

    参考
    C.ランツォス著「数とはなにか」講談社ブル−バックス
    永田久著 NHK市民大学「時と暦の科学」


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