Weekend Mathematics問題/問題51



51.牧草の問題

2エーカーの牧場に9頭の牛を放牧すると、16日で牧草を食べ尽くします。 また、3エーカーの牧場に18頭の牛を放牧すると、10日で牧草を食べ尽くします。
では、5エーカーの牧場に35頭の牛を放牧すると、何日で牧草を食べ尽くすでしょうか?
ただし、単位面積について、放牧前の牧草の量、1日に伸びる牧草の量は同じで、また、 どの牛も1日に同じ量の牧草を食べるものとします。







問題の出典


数学パズル/沖田浩/中経出版






答えと解説





答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:海坊主)

牧草の長さ:X、1日の伸び:Y、食べる量:Z

2(X+16Y)−9×16×Z=0 @    2X+32Y−144Z=0
3(X+10Y)−18×10×Z=0 A   3X+30Y−180Z=0

X+16Y−72Z=0  @’
X+10Y−60Z=0  A’

@’、A’より  X=20Y  Z=(1/2)Yとなる

5(X+αY)−35×α×Z=0 上記の答えを代入する

40Y+2αY−7αY=0

Yは共通で消去する。

5α=40
α=8

よって8日で食べ尽くす。



解答・その2

(ペンネ−ム:阿津志)

条件1:2エーカーに牛9頭…16日
条件2:3エーカーに牛18頭…10日

1エーカー当たりで考えると、
 初めの量を  a
 1日の伸びを b
 牛1頭当たり1日で食べる量を c
として、条件1から
   a+16(日)×b = 4.5(頭/エーカー)×16(日)×c
条件2から
   a+10(日)×b =   6(頭/エーカー)×10(日)×c

  a+16b=72c …式1
  a+10b=60c …式2

式1,2より
  a=40c …式3
  b= 2c …式4

問題は 5エーカーに牛35頭で食べ尽くす日数だから 食べ尽くす日数をDとすると、

   a×5(エーカー)+D(日)×b×5(エーカー)=35(頭)×D(日)×c
   5a+5bD=35cD …式5

を満足するDが求める日数になる。ここで、式5に、式3,4を代入すると

  5×40c+5×2c×D=35cD
  200c+10cD=35cD …式6

ここで、c≠0は題意より自明であるため、式6の両辺をcで割る

  200+10D=35D
  D=8

以上より、「8日で、食べ尽くす」 …答





解答・その3

(ペンネ−ム:judas)

1エーカーあたりに一日で生えてくる量をa、 牛1頭が1日で食べる量をb、 放牧する前に1エーカーあたりに生えている牧草の量をcとします。 すると、

2×16×a+2×c=16×9×b ・・・@
3×10×a+3×c=18×10×b ・・・A

が得られます。@の式を3/2倍してAを引きます。(2×@-A) すると、

18a=36b  ∴a=2b

これを@に代入して

64a+2c=144b  ∴c=40b

問題の日数をdとすると、

5×d×a+5×c=d×35×b

これに代入すると

5×d×2b+5×40b=d×35×b 10bd+200b=35bd 25bd=200b ∴d=8

したがって、8日で牛は牧草を食べ尽くします。



解答・その4

(ペンネ−ム:ねこ)

日数をdとすると、牧草の量(G(d))は 面積(S)に比例して増え(比例定数P[牧草の量/ac・day])、 牛の頭数(C)に比例して減る(比例定数Q[牧草の量/頭・day])。 最初の牧草の量(G(0))は面積(S)に比例する(比例定数R[牧草の量/ac])。
上の条件より立式すると

G(d)=RS+PSd−QCd

問題より、

0=2R+32P−144Q
0=3R+30P−180Q

上の式より

P=2Q
R=20P=40Q

と分かる。最初の式を書き直して、

G(d) =40QS+2QSd−QCd
=Q(40S+2Sd−Cd)

となる。この式を用いて、

G(d)=Q(200+10d−35d)=0

d=200/25=8[日]




解答・その5

(ペンネ−ム:水の流れ )

* 1エーカー当たり最初に、牧草が c の量 だけ生えていたとする。
* 1エーカー当たり毎日、牧草が hの量 だけ伸びてくるとします。
* 牛1頭が毎日、牧草を vの量 だけ食べるとします。
ここで、求める日数を x日 として、方程式を作ると、

2c+2×16h=9×16v ……@
3c+3×10h=18×10v ……A
5c+5×xh=35×xv ……B

@,A から h=2v 、c=40v 
これをBに代入して x=8   よって、 8日(答)



解答・その6

(ペンネ−ム:temutin)

放牧時の、牧草の収穫可能量X(kg/ac)
一日当たりの牧草増加量△X(kg/ac/d)
1頭の牛が消費する牧草の量Y(kg/h/d)  h=頭(牛1頭のこと)
求める日数Z(d)

題意から、放牧された牛が食べ尽くした牧草の量は、
2・X+2・△X・16=9・Y・16・・・(1)
3・X+3・△X・10=18・Y・10・・・(2)
5・X+5・△X・Z=35・Y・Z・・・(3)

(1)式と(2)式からXを消去すると、△X=2Y・・・(4)

また(1)式と(3)式からXを消去すると
(160−10Z)△X=(720−70Z)Y・・・(5)

ここで△X=2Yであるから
(5)式は、(160−10Z)2Y=(720−70Z)Y となる。
これを解くと Z=8

従って、5acの土地に35頭放牧すると8日間で食べ尽くすことになる。

考察

専門家ではないので、憶測のお話です。
北海道では、チモシーが多く、収穫量は7(t/ha/45d)位。(もう少し多いかも)
換算すると約63(kg/ac/d)となる。すなわち△X=63
(4)式から、1頭あたりの牧草消費量は31.5(kg/h/d)
乳牛ですと、乳量を多くするため牧草は8(kg/h/d)に押さえ、 他は濃厚飼料を給餌するようです。
従って、放牧されている牛はホルスタインではないようですね!
勿論、気象条件等で、憶測が正しいとは思えませんのでどなたか、酪農または畜産関係の方が おられましたら、感想を!
”酪農王国北海道”ならではの考察?でした。




解答・その7

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん )

 答えは、8日です。
 放牧前の牧草の量と伸びる牧草の量の和が、牛が食べる牧草の量と等しい考えます。 放牧前の単位面積当たりの牧草の量をa、1日に伸びる単位面積当たりの牧草の量をb、 1日当たりに牛が食べる牧草の量をc、問題の日数をdとすると、次の式ができます。

  2×a+2×16×b= 9×16×c ・・・・・・(1)
  3×a+3×10×b=18×10×c ・・・・・・(2)
  5×a+5× d×b=35× d×c ・・・・・・(3).

(3)よりd=a/(7c−b) となるので、(1)・(2)を連立させてbとcについて解いた
  b=a/20、c=a/40
を代入するとd=8(日)となります。

未知数が4つある方程式ですが解が出ます。 これは定数項がないことと、dが1つの式にしかないためです。逆にa、b、cは決定できません。
(1)・(2)からaとbについてcで表してみると、a=40c、b=2cとなります。
これは、a+b=42cなので、1日なら1エーカーで42頭の牛が飼えることを意味します。 また、1エーカーで2頭までなら牧草が減らないことを意味します。

 さて、上の方程式を整理すると、

  a+16b=72c ・・・・・・(1)’
  a+10b=60c ・・・・・・(2)’
  a+ db=7dc ・・・・・・(3)’.

ここで、(2)’−(1)’を整理して、b=2cとなります。 (3)’のbとcの係数の比は、1:7です。(2)’のbとcの係数の比が、1:6なので ((1)’の場合は2:9)、 2b=4cを(2)’から引くと、
  a+8b=56cとなり、bとcの係数の比を1:7にできます。これを5倍すると

  5a+40b=280c
  5×a+5×8×b=35×8×c.

これを(3)と比較して8日と考えることもできます。



解答・その8

(ペンネ−ム:柿本 浩)

※1頭の牛が1日に食べる牧草の量を 1頭・日 と表現します。
2エーカーに9頭の牛 → 1エーカーあたり4.5頭
3エーカーに18頭の牛 → 1エーカーあたり6頭
5エーカーに35頭の牛 → 1エーカーあたり7頭
まず、このように1エーカーあたりに換算して考えると 面積の差による影響を考慮する必要がなくなります。 (もともと生えていた牧草の量も同じで、単純に牛の数だけで考えればよい、と)

注:4.5頭のうちの0.5頭の牛は、産まれつき胃袋が2つしかなく少食であり、 1日に食べる牧草の量は他の牛の半分とします(笑)

4.5頭の牛が16日間に食べる牧草の量は  → 4.5×16=72頭・日
6頭の牛が10日間に食べる牧草の量は  → 6×10=60頭・日

もともと生えていた牧草の量は同じだったはずなので この差の 72−60=12頭・日 分は 10日〜16日の6日間に伸びた牧草の量という事になります。
つまり、1日に伸びる牧草の量は 12÷6 で 1エーカーあたり 2頭・日 である事が分かります。 これより
16日間で伸びる牧草の量 → 2×16=32頭・日
10日間で伸びる牧草の量 → 2×10=20頭・日
72−32=60−20=40頭・日 の牧草が 最初に生えていたという事になります。
さて、7頭の場合になりますが 1日に食べる牧草の量は当然 7頭・日、 そして1日に伸びる牧草の量が 2頭・日 なので
正味1日に 5頭・日 分ずつ牧草は減っていくとみなす事ができ 最初に生えている牧草は 40頭・日 なので 全部なくなるまで 40÷5=8日間 である事が分かります。
結論として、1エーカーの土地に7頭の牛を放とうと 5エーカーの土地に35頭の牛を放とうと 8日間で牧草は食い尽くされてしまう事となる訳です。



解答・その9

(ペンネ−ム:高橋 道広 )

2エーカーの...を3倍すると、6エーカーを27頭では16日かかります
3エーカーの...を2倍すると、6エーカーを36頭では10日かかります 日数は2倍 3倍にはなりませんね。
で、1頭で1日に食べる量を1とすると、前者は24×16=432 後者は36×10=360で、差の72が、6日間で、伸びた牧草の量になります。 1日間では72/6×10=120伸びていますから、放牧前は360-120=240ありました。 1エーカーでは、240/6=40あり、1日に72/6日=12 12/6エーカー=2伸びます。 よって、5エーカーでは、はじめに40×5=200あり、一日に2×5=10伸びるものを 1日に35づつ消費していくので、1日に35-10=25消費していきます。 そこで、200/25=8日で食べ尽くす事になります。
連立方程式を使わないと、変化の状況が見えるので、結構好きになりました。



解答・その10

(ペンネ−ム:少年H)

答え8日

2エーカー、9頭の牛、16日
3エーカー、18頭の牛、10日
5エーカー、35頭の牛、?日 という与えられた条件を

1エーカー、4.5頭の牛、16日
1エーカー、6頭の牛、10日
1エーカー、7頭の牛、?日 と変えます。

それぞれの場合の、牛が食べた総量は、4.5:6:7の割合になり、 グラフにすると以下のようになります。
また、育った牧草の量は、育つ量は一定なので、条件より、点P、Qを通る直線になります。 従って、求める答えは、点Rの日数 8日となります。





解答・その11

(ペンネ−ム:中数の基本)

(第一印象)
 単位面積について,放牧前の牧草の量をx,1日に伸びる牧草の量をyとおく.また,1頭の牛が1日に食べる牧草の量をzとおくと,
2(x+16y)=16・9z・・・(1)
3(x+10y)=10・18z・・・(2)
より
5(x+ny)=n・35z・・・(3)
となるnを求めます.

(1)より,x+16y=72z・・・(4)
(2)よりx+10y=60z・・・(5)
(3)よりx+ny=7nz・・・(6)
x/z=s,y/z=tとおくと
s+16t=72・・・(7)
s+10t=60・・・(8)
及びs+nt=7n・・・(9)
(7)(8)よりs=40,t=2
これらを(9)に代入して,
40+2n=7n
ゆえにn=8(日)・・・(暫定的な答)
-----------------------------------------------------------------------------
(よく読めば・・・)
n日で食べ尽くすとは,「n-1日では食べ切れないが,n日あれば食べきれる」と解するのが通常
(9日目の夕方に新芽が3本残っているような場合は,食べ尽くすのに10日かかる)
15・9z<2(x+16y)≦16・9z・・・(1)
9・18z<3(x+10y)≦10・18z・・・(2)
より
5(x+ny)=n・35z・・・(3)
となるnの値の範囲を求めることとなります.
x/z=s,y/z=tとおくと
15・9/2<s+16t≦72・・・(7)
54<s+10t≦60・・・(8)
(3)よりs+nt=7n・・・(9)
だから
(7)(8)を満たす領域内での(9)を満たすnの値の範囲を求めることとなります.
ここで1エーカー当たり9/2頭で16日,6頭で10日だから,7頭なら10日以下のはずです.
つまり1≦n≦10なので(9)式の傾きは(7)(8)よりも急な右下がりです.

図の赤丸からn=6,8.○△□
ゆえに7≦n≦9・・・(答)



正解者

高橋 道広柿本 浩阿津志
夜ふかしのつらいおじさんjudas少年H
ねこ中数の基本海坊主
水の流れtemutin





まとめ

これはニュートン(1642〜1727)が考えたパズルだそうです。
ニュートンの時代の牛と、北海道で育つ牛と・・・と考えると何だかおもしろいですね。

今回の問題を方程式にすると、未知数4つの3本ということになります。 この状態だと一般的には解を求めることができませんですが、 NO.7 夜ふかしのつらいおじさんの解答にあるように、 定数項がないことと、dが1つの式にしかないために、これを解くことができます。

さて方程式をたてることの意味は、それが客観的に扱える、機械的に解くことができるということだと思います。 しかしながら、あえて客観的にせずに、あくまでも牧草にこだわって考えるのもいいもんですね。 (方程式を知らない小学生に説明するにはこうせざるをえない!  逆に、方程式に頼らないで解くというのも大事かもしれません。)

NO.10 少年Hさんの解答は鮮やか!  グラフを使った素晴らしい解答ですね。

私も含めてみなさん等式で解く中で、NO.11 中数の基本さんは不等式で解いてくださいました。 実際には、牧草の成長は連続的に起きるでしょうから、厳密にいえばこう考えるべきなのでしょう。






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