Weekend Mathematics問題/問題40



40.鳩の巣の問題

  1. 鳩の巣が100個あります。 いま、最低何羽の鳩がいれば、どこかの巣に必ず10羽以上の鳩が入っていることになるでしょうか?


  2. 1〜100までの数があります。 いま、これから51個の数を適当に選びます。 すると、この中には最大公約数を1とする数2個が必ず含まれています。 これを証明してください。


問題の出典


頭のよくなる本

ピ−タ−・フランクル

WAVE出版





答えと解説












答えと解説

問題1


解答・その1

(ペンネ−ム:MINIMINI32)

最初、ひとつの巣に鳩が10羽いて、残りの99個の巣に鳩が0羽でOK!と 思いましたが、考えなおし一番アンラッキーな場合を考えてみました。

どこかの巣に”必ず”ということは、鳩が100個の巣に9羽ずつ入って いて、もう1羽鳩がどこかの巣に入ろうとするとどこの巣に入っても必ず 10羽以上になる巣ができることになります。
よって、100×9+1=901
ANSWER=901羽だと思います。



解答・その2

(ペンネ−ム:たけ)

901羽
全ての巣に9羽の鴨がいるとする。
新たに鴨を1羽、100個の巣の前に連れてくる。
この1羽をどの巣にいれても、その鴨の入った巣には10羽の鴨がいることになる。



解答・その3

(ペンネ−ム:浜田 明巳)

まずn個の巣の中にそれぞれ(p−1)羽ずつの鳩を入れる.
これは,すべての巣の中にp羽未満の鳩を入れることが出来る場合が存在するときの鳩の数の最大値は, n(p−1)羽であることを意味する.
したがって,これにあと1羽でも増えれば,つまりn(p−1)+1羽以上鳩がいれば, どこかの巣に必ずp羽以上の鳩が入っていることになる.
この問題の場合,n=100,p=10であるから,答は901羽である.



問題2


解答・その4

(ペンネ−ム:kiyo)

nを100未満の素数とする。
nの倍数で最大個あるのは2の倍数で50個である。
したがって51個選べば少なくとも1組(2個)の最大公約数は1となる。

これだと「鳩の巣箱の原理」というより背理法になるのでしょうか。 



解答・その5

(ペンネ−ム:マサボー)

問題を以下の命題に変更します。

「1〜100までの数のうち、最大公約数を1とする数2個(互いに素)がないよう に、51個を選ぶことができる」

ただ、実際は1は選べないので2〜100のうち51個を選ぶことになります。
素数どうしは選べませんから、1〜100のうちの素数の倍数の数を考えます。
2の倍数 50個、3の倍数 33個、5の倍数 20個、7の倍数 14個、 11の倍数 9個、13の倍数 7個、17、19の倍数 5個、
20から25までの素数の倍数 4個
26から33までの素数の倍数 3個
34から50までの素数の倍数 2個
51以上の素数の倍数 1個

以上より、最大の倍数数を持つのは2ですが、2の倍数は50個しかないため、51個目は 他の数(奇数)を選ばなくてはなりません。
2と奇数は互いに素(最大公約数は1)で すので、上記の命題は間違いであることが分かります。
よって、「1〜100までの 数のうち、適当に51個の数を選ぶと、この中には最大公約数を1とする 数2個が 必ず含まれている」。



解答・その6

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)

1から順にkつめごとに数をとるとkの倍数が集められます。
K={k, 2k, 3k,・・・・・・・・}
このグループ内のどの2数も公約数としてkをもちます。
1から100までの数で考えたとき、

kの値10・・・
グループの要素の個数n(K) 503325201614121110・・・


kが素数でないときはその因数の最小の数の場合まで1以外に公約数をもつ要素を 増やせます。
例えば、k=10とすると、グループの要素の個数は10個しかありませんが、 10=2×5なので 2の場合の50個まで2を公約数とする要素の個数を増やせます。
さて、kが素数の場合、kの倍数のグループKにkの倍数以外の数pを入れてみま しょう。
するとpはkと必ず互いに素になります。 なぜなら、pはkを因数にもたないからです。
1から100までについては、n(K)=50個までは公約数をもつ数を集められ ます。 (k=2の場合)
しかし、それ以上は集めることができません。
51個になるとどうしても1以外に公約数のない2数ができてしまします。



解答・その7

(ペンネ−ム:かつ)

「一般の自然数では隣り合う自然数は公約数が1になる」と言うことです。 これは、容易にわかると思います。
一つの自然数は次のように表すことができます。
n=aαβ・・・dγ とできる。
つまりその隣り合う自然数はこれに1をたす(ひく)ことで表される。
n+1=aαβ・・・dγ+1 となる。
よってこの二つの自然数には共通する約数は無い。 つまり公約数は1である。

と言うことで、実際の問題に行きましょう。
1〜100までの自然数から51個の数を取り出します。
上のものから隣り合ってしまうと公約数が1になってしまうので一つおきにとります。
すると50個しか取れません。つまり1個数字を取らなければならないので、必ずどこかと隣り合うわけです。
よって上の話から、1〜100までの自然数から51個取り出すと、 最低でも一つは公約数が1となるものが現れるわけです。
これは100個の中から51個取るところにこの問題の本質があるようです。



解答・その8

(ペンネ−ム:安里歩安彼)

1〜100までを、次のような50個に分ける。

(1)…1,2 (2)…3,4 (3)…5,6 … (50)…99,100

このとき、すくなくともひとつのグループに関して,そのグループに含まれる二つと もが,選ばれた51個に含まれる。
(鳩ノ巣原理より)また、nとn+1の公約数は、1の約数となるので1.
よって、その二つは互いに素となり、示された。

*:かの数学者,ポール・エルデシュはこの問題がお気に入りだったらしいです。



解答・その9

(ペンネ−ム:浜田 明巳)

1からn(n≧2)までの自然数からm個の数を適当に選ぶ.
するとこの中には最大公約数を1とする2数が必ず含まれることを証明する.
ただしm=[(n+1)/2]+1([ ]はガウス記号)である.
m個の数をa(1),a(2),・・・,a(m)
  (1≦a(1)<a(2)<・・・<a(m)≦n)とする.
a(i+1)−a(i)(1≦i≦m−1)の最小値が2以上であるとすると,
a(i+1)≧a(i)+2(1≦i≦m−1)
∴a(m)≧a(m−1)+2×1
≧a(m−2)+2×2
≧・・・
≧a(1)+2(m−1)
>2(m−1)


ここでnが偶数のときm=n/2+1であり,nが奇数のときm=(n+1)/2+1であるので,
2(m−1)=n or 2(m−1)=n+1
  ∴2(m−1)≧n
  ∴a(m)>2(m−1)≧n
  ∴a(m)>n
これはa(m)≦nであることに矛盾する.
故にa(i+1)−a(i)(1≦i≦m−1)の最小値は1である.
あるk(1≦k≦m−1)を選び,a(k+1)−a(k)=1であるとする.
a(k+1)=a(k)+1とa(k)の最大公約数をgとする.
g>1とし,a(k)+1=bg,a(k)=cg(b,cの最大公約数は1)とする.
  ∴a(k)=bg−1=cg
  ∴(b−c)g=1
 これはb−cが整数であり,g>1であることに矛盾する.
  ∴g=1
 これで証明された.
 この問題は,n=100の場合である.




正解者

kiyoMINIMINI32浜田 明巳
安里歩安彼マサボーかつ
夜ふかしのつらいおじさんたけ





まとめ

鳩の巣が5つあって、鳩が6羽いたとする。 そうすると必ずどこかの巣には2羽以上の鳩がいることになる、これが「鳩の巣原理」と呼ばれるものです。

問題1については、解答・その1でMINIMINI32さんがおっしゃっているように、 最もアンラッキ−なケ−スを考えなければなりません。(誰にとってアンラッキ−か、ですって?)
解答・その3で浜田 明巳 さんが一般形を示してくださいました。

問題2について、解答・その4のkiyoさんの解答を私なりにもう少しかみくだくと、 一番倍数の数の多い2の倍数でも50個しかとれない、従って51個目は2の倍数とはならない。 そうなると、その51番目の数は、他の50個すべてと1以外の公約数をもつのは不可能である、ということでしょうか。 解答・その5のマサボーさんの解答もそういう意味だと思います。

解答・その7のかつさんや解答・その8の安里歩安彼さん がおっしゃっている、 「隣り合う自然数の最大公約数は1である」を自明としている件はいいですかね?
任意の2数a,b(a>b)の公約数をpとすれば、a-bもpでわれるはずです。 隣り合った2数では、a-b=1ですからp=1以外にはありえません。
解答・その9の浜田 明巳さんの解答は、お二方と似ているようで微妙に異なりますね。
100個の整数の中から51個の整数を選ぶと、間隔が1(つまり互いに素)になるところが必ずできてしまう、 ということを一般形で示してくださいました。







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