Weekend Mathematics問題/問題35

35.3角の問題


図のように、正方形を3つ並べ、三角形を3つかきます。
そのとき、∠p+∠q+∠r を求めてください。
(一部改題)





問題の出典


数学パスル

沖田 浩

中経出版






答えと解説












答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:第30985号)







解答・その2

(ペンネ−ム:マサボ−)







解答・その3

(ペンネ−ム:小春)


四角形ABCDを∠ACB=∠rとなるようにおく。
線分CDの中点をEとおくと、平行線の錯角より∠q=∠DAEとなるから、 以下で∠p=∠EACを示す。







解答・その4

(ペンネ−ム:sambaGREEN)



黒点の角はqと同じ。赤い三角形は直角2等辺三角形。
したがって,p+q+r=45°+45°=90°



解答・その5

(ペンネ−ム:少年H)



上図において△ABCは直角二等辺三角形である。
よって∠p+∠q=45度、また∠r=45度であるから、 答えは90度



解答・その6

(ペンネ−ム:水の流れ)



HEに対するAの対称点をKとする。
△BDE≡△KAB(明らか)
△ADE≡△EHK(明らか)
∠KBE=180°−∠EBD−∠KBA
=180°−∠BKA−∠KBA
=∠KAB
=90°

よって、△KBEは直角二等辺三角形。
故に、45°=∠BEK=∠KEH+∠HEB
=p+q

一方、明らかに r=45°
   したがって、p+q+r=90°



解答・その7

(ペンネ−ム:ふじけん)


上の図のように、正方形のそれぞれの点を A B C D E F G H とします。
ここで平行線の錯角より∠p=∠ADE
三辺の比が等しいことより△DFG∽△EDG
よって∠q=∠EDG
また、△DGHは直角二等辺三角形なので∠r=∠GDH(=45°)
∴∠p+∠q+∠r=∠ADE+∠EDG+∠GDH=90°



解答・その8

(ペンネ−ム:ケイン)


右図のように問題の図形にA,B,C,D,E,Fとうつと、 四角形ABEFは長方形なので
 ∠AFB=∠FBE=p(錯角)
△EDFは二等辺三角形なので
 ∠EFD=∠EDF=r
あとは∠BFD=qが言えたら
∠p+∠q+∠r=90゜  が成立するので ∠BFD=q を証明します。

図のように正方形を下に並べて点Gを作り、△FCEと△BFGについて考えると
 CE:FG=2:2 =1:…@
 FE:BG=1:       …A
 ∠CEF=∠FGB=90°     …B
@、A、Bより二辺の比とその間の角がそれぞれ等しいので
 △FCE∽△BFG
∴∠FCE=∠BFD=q
∴∠p+∠q+∠r=90°





解答・その9

(ペンネ−ム:ふ〜)

まず問題の各頂点に記号を付ける


すると、それぞれの角は次の三角形の角として見ることができ、
さらに、∠D(=∠R)を挟む辺の長さを比で表すと
∠p → △OAD → 3:1
∠q → △OBD → 2:1
∠r → △OCD → 1:1


直角を挟む辺の比
△EDC→1:1
△ECB→2:1
△EAB→3:1

したがって、∠p+∠q+∠r=90゜となる。



解答・その10

(ペンネ−ム:月の光)

図より、∠p+∠q+∠r=90度







解答・その11

(ペンネ−ム:第30985号)

図による解答。







解答・その12

(ペンネ−ム:小春)


△AECの外接円の中心をOとし、Oから辺ECに下ろした垂線の 足を、Iとする。
また、GをEGが外接円の直径となるようにおき、EGとABの交点をHとす る。
さらに、∠pを持つ三角形を△pとおく。
円周角より∠EAC=∠EGC
より、ここでは、∠p=∠EACを示すために△EGCと △pが相似であることを示す。
Iは辺ECの中点である(OIはECの垂直二等分線)。
また、△DIOと△DCBは相似から、 DI:IC = DO:OB = 3:1 
つぎに、△DEOと△BHOから、 DO : OB = DE : BH = 3 : 1
DE = EC から EC : BH = 3 :1
△ECGと△HBGは相似から、 EC : HB = CG : BG = 3 :1
CG = 3BG ,CB = 2ECから
3EC = CG
2EC = DC つまり、正方形の一辺である。
△ECGは斜辺ではない残りの二辺の比が3:1で、その挟む角が直角で ある。
ところで、△pをながめてみると、斜辺ではない残りの二辺の比が3:1 で、その挟む角が直角である。
よって、△ECGと△pは相似である。
つまり、∠p=∠EACであるので、
p + q + r = 90 とわかった。

Q(Junko):
DOBが一直線上に並ぶのは、自明ではないので説明が必要だと思いますが・・・

A(小春):
DOBが一直線上にあることは、 三角形ACEの外接円の中心がOで三角形と外接円の関係から、ACの垂直二等 分線上にOがあります。
また、ACは正方形ADCBの対角線ですので、ACとBDは互いの中点で垂直 にまじわります。
よって、DOBは一直線上にあります。




解答・その13

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)

∠p、∠q、∠rを図の頂点Hに集める。

∠q=∠EHB(平行線の錯角)
∠r=∠CHD(△CDHは直角二等辺三角形)
∠p=∠IHC
なぜなら、BHとGCの交点IからCHへの垂線をIJとすると
     △ADH ∽ △HJI
なぜなら、正方形の1辺の長さを1とすると、 △JICは直角二等辺三角形なので
HJ:JI=(CH−CJ):JI
=(/4) :/4
=3/4:/4
=3:1
=AD:DH

従って、 ∠p+∠q+∠r=90゜




解答・その14

(ペンネ−ム:月の光)






解答・その15

(ペンネ−ム:月の光)



r=π/4

p=arg z1
q=arg z2

p+q=arg(z1・z2)
=arg 5(1+i)
=π/4
従って、p+q+r=π




正解者

kiyoch3coohふじけん
sambaGREENかに少年H
Idaho Potato小春toki
水の流れマサボー第30985号
ふ〜ケイン月の光
ちゃめ夜ふかしのつらいおじさん





まとめ

私自身、こんなにたくさんの解法があるとは思いませんでした。 驚いています。まだまだあるかもしれませんね・・・?
おひとりで3つも4つも解法を寄せていただいた方もいらっしゃいます。
代表的なところをひととおり紹介してあります。

ある問題を解くのにたくさんの解法があって、 それらを見比べるのが私は大好きです。 1つの山をいろいろな角度から眺め、それを登るように思います。 それらをみているうちに問題の答え(山の頂上)が当然あるべきものに見えてくるの です。

解答・その1のように持っていくと、 tangentの加法定理の演習問題として最適!と思いました。
一方、解答・その4解答・その5のように 直角二等辺三角形を作る解法も私自身としては気に入っています。
むずかしい知識を持ち出さなくても、ぴたっと出るところが美しい!  と思ってしまいます。 これなら小学生でも理解できます。
この直角二等辺三角形も眺めれば眺めるほど、 「必然」に思えてくる(?)から不思議です。

これについて「Idaho Potato」さんから次のような投稿をいただきました。

この問題の「類題」が作れないものかと考えてみました。
要するに、tan(p), tan(q) が簡単な分数で、かつ、 tan( p + q ) = 1 を満たす ような角 p, q の組を見つけよう、ということです。



となります。ここで (m,n) = (1,2) とすると、今月の問題になります。
もっとも、この関係式は、 (n+m)×n の格子に直角二等辺三角形が はまっている図を描いてみれば明らかですね。
そこで、 m, n に小さな自然数を順に代入していくと、



というように、いくらでも機械的に解の組を生成できることになります。
でも、 のように「美しい」問題になるものは、残念ながら、 ほかには見つかりそうにありません。

tangent ではなく、逆数をとって cotangent で考えると、



となりますが、ちょうど、 ( cot(p), cot(q) ) = ( 2, 3 ) が、 この方程式の(対称性を除いて)唯一の自然数解になっています。

そういう意味で、結局、 を用いて作った問題が「最良」ということになるようです。


いただいた解法の中で私が一番感動したのは、 解答・その10解答・その11です。
どちらも、一部拡大+回転させることで視覚的に答えを示しています。
説明はいらない、図を見てもらえれば充分、という感じです。

皆さんから寄せられた解答を見せていただいて、一番楽しかったのは私かもしれません。
この山を登るのにいろいろ寄り道をしたり、小道に入ったりしながら楽しませていただきました。

画像や図、TeX fileなど、時間をかけて解答していただき感謝しております。




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