問題173 マス目上の四角形
一辺1の正方形9つからなる、3行3列のマス目を考えます。
各マス目には、下図のように番号をつけます。
A,B,C,Dはそれぞれ正方形 (1),(3),(5),(7) の内部(境界は含まない)の点とします。
四角形ABCDと正方形 (1),(3),(5),(7) との共通部分の面積の和をXとおき、
四角形ABCDと正方形 (2),(4),(6),(8) との共通部分の面積の和をYとおくとき、
X<Yが成り立つことを証明してください。
問題の出典
ジュニア数学オリンピック 2003-2008
数学オリンピック財団 編
解答
解答・その1
(ペンネ−ム:スモークマン)
添付図見れば明らかなのですが...
ようは、角の部分より、常に中間の部分の面積が大きいからってことになるからですよね。
角の部分は隣同士の部分と底辺が同じ三角形に分解でき、中間部分の△は高さが小正
方形の1辺分なので、常に角の部分の△は大きくなれないので !!
解答・その2
(ペンネ−ム:ちょろんは太太)
四角形ABCDと、(1)、(2)、・・・、(8)の重なったところにできた四角形のそれぞれを図のように
対角線で二つの三角形にわけ、それぞれの三角形の面積をS1、T1、S2、T2、・・・、S8、T8とする。
S1とS2を比較すると、底辺は共通。S2の高さは、小正方形の一辺の長さであるが、
S1の高さは正方形の一辺より短い。 ∴ S1<S2
同様に考えて、 T3<T2、S3<S4、T5<T4、S5<S6、T7<T6、S7<S8、T1<T8
ゆえに、S1+T3+S3+T5+S5+T7+S7+T1<S2+T2+S4+T4+S6+T6+S8+T8
上式の左辺は X、右辺は Yであるから、X<Y ・・・ (終)
解答・その3
(ペンネ−ム:マシャ)
9つの正方形のうち番号が付けられていない正方形の点をそれぞれ、a,b,c,dとおく。
さらにABを結んだときに正方形の辺との交点をa',b'とおく。
このとき三角形Aaa' と三角形Bbb' の和が四角形 aa'b'bより小さいことが証明できれば
同様に他の三角形と四角形の関係が示せるのでX<Yが示せる。
三角形Aaa'と三角形aa'bに注目する。
このときaa'を底辺と見なせば、面積の大小は高さで決まる。
点Aは(1)の内部の点であるので、三角形Aaa'の高さは1未満である。
一方三角形aa'bの高さは辺abなので1である。
ゆえに三角形Aaa'<三角形aa'bである。
同様にして三角形Bbb''<三角形bb'a'である。
以上から三角形Aaa' と三角形Bbb' の和が四角形 aa'b'bより小さいことが証明された。
同様に他の三角形と四角形の関係が示せるのでX<Yが証明された。
解答・その4
(ペンネ−ム:Ryu1128)
Aの領域に属する面積のうちAの原点とA及び四角形と(1)(2)の境界の交点が作
る三角形の面積は a・Ax/2 (線を引けなかったのでくどくなりました)
同様にB領域の同じ三角形の面積はb・Bx/2
(2)に属する台形の面積は(a+b)・1/2 上記(1)と(3)に属する三角形の面積の和と比較すると
a・Ax/2 + b・Bx/2 <a・1/2 + b・1/2 (Ax<1、Bx<1から)同様に
c・By/2 + d・Cy/2 <c・1/2 + d・1/2
e・Cx/2 + f・Dx/2 <e・1/2 + f・1/2
g・Dy/2 + h・Ay/2 <g・1/2 + h・1/2
不等式の片々足すと左辺は(1)(3)(5)(7)に属する面責=Xとなり
右辺は(2)(4)(6)(8)=Yとなるので
X<Yが成り立ちます。
解答・その5
(ペンネ−ム:のっこん)
正方形(7)の下の辺をx軸、正方形(7)の左の辺をy軸とする
直線ABとx=1との交点をP、直線ABとx=2との交点をQ、点(1,2)をE、点(2,2)をFとする
PE=a,QF=b,AとPEとの距離をc,BとQFとの距離をdとすると
(a,b,c,dはいずれも0より大きく1より小さい)
(台形PEFQ)・2=a+b
(△AEP+△BQF)・2=ac+bd
a+b-(ac+bd)=a(1-c)+b(1-d)>0
よって
(△AEP+△BQF)<(台形PEFQ)・・・・・・(1)
直線BCとy=2との交点をR、直線BCとy=1との交点をS、点(2,1)をGとすると同様にして
(△BFR+△CSG)<(台形FGSR)・・・・・・(2)
直線CDとx=2との交点をT、直線CDとx=1との交点をU、点(1,1)をHとすると同様にして
(△CGT+△DUH)<(台形HUTG)・・・・・・(3)
直線DAとy=1との交点をV、直線DAとy=2との交点をWとすると同様にして
(△DHV+△AWE)<(台形WVHE)・・・・・・(4)
(1)、(2)、(3)、(4)を辺々加えて X<Y
解答・その6
(ペンネ−ム:haya)
四角形ABCDと正方形 (1),(3),(5),(7) との共通部分の面積の和をXとおき、
四角形ABCDと正方形 (2),(4),(6),(8) との共通部分の面積の和をYとおくとき、X<Yが成り立つ
【解き方】
中心の小正方形の頂点から補助線を引くことにより問題の領域を下の図の如く4分割する。
その内、(1)-(2)-(3)に関わる上側の部分、つまり四辺形 A-B-S-R について検討する。
Xに属する面積は黄色、 Yに属する面積は赤、小正方形の一辺の長さをHとした。
X = (a*h1)/2 + (b*h2)/2
Y = (a+b)H/2
A,Bは小正方形の内部の点であるから明らかに、
h1 < H
h2 < H
より、
X < Y
他の3つの領域についても同じことが言える、よって題意の如し。
解答・その7
(ペンネ−ム:杖のおじさん)
下図を参照
X=SX1+・・・・・・+SX8
Y=SY1+・・・・・・+SY8
△SX1と△SY1の面積は△SY1の方が大きい証明
△SX1の高さ辺ABはマス目の幅未満、△SY1の高さ辺BCはマス目の幅です。
底辺BFは共通です。
従って、(底辺×高さ)÷2の公式に基づいて計算するとSX1<SY1となります。
△SX2と△SY2の面積は△SY2の方が大きい証明
△SX2の高さCDはマス目の幅未満、△SY2の高さ辺BCはマス目の幅です。
底辺BGは共通です。
従って、(底辺×高さ)÷2の公式に基づいて計算するとSX2<SY2となります。
このようにSX1からSX8まで考えていくと、
SX1+・・・・・・+SX8=X<Y=SY1+・・・・・・+SY8
であることが証明出来ます。
解答・その8
(ペンネ−ム:迷子の雄猫)
図の通り各点に名前をつける。
四角形ABCDの各頂点と中央のマス目とを結ぶ。
三角形AEGと三角形EFGは底辺が同じなので、高さの低い三角形AEGのほうが面積は狭い。
三角形BFHと三角形FGHは底辺が同じなので、高さの低い三角形BFHのほうが面積は狭い。
なぜなら点A,Bはマス目の内部にあるから。
よって図の黄色の三角形の面積の和は、図の水色の四角形の面積より狭い。
青色の四角形の全ての辺について同様の証明が成り立つので、図と上記の証明から、正方形 (1),(3),(5),(7) との共通部分は正方形 (2),(4),(6),(8) との共通部分よりも面積は狭い。
よってX<Yが成り立つ。
解答・その9
(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)
図のように補助線を引き、XとYの領域にある四角形を三角形に分割します。
濃い色と濃い色、薄い色と薄い色の三角形の面積を比較します。
Xの領域にある三角形は高さが1より小さく、Yの領域にある三角形は高さが1にできます。
例えば、△AEMと△MEFとで、底辺を共通にEMとします。
△AEMの高さは点Aが境界上にないことから1より小さいです。
△MEFの高さは点Fが境界上なので1です。
よって、△AEM<△MEFです。
このように考えて、
X=□AEML+□BGNF+□CIOH+□DKPJ
=△ALM+△AEM+△BFN+△BGN+△CHO+△CIO+△DJP+△DKP
<△PLM+△MEF+△MFN+△NGH+△NHO+△OIJ+△OJP+△PKL
=△MEF+△MFN+△NGH+△NHO+△OIJ+△OJP+△PKL+△PLM
=□EFNM+□GHON+□IJPO+□KLMN
=Y
解答・その10
(ペンネ−ム:もげぴ)
図のようにX1ないしX8,Y1ないしY8の三角形に分割する。
XaとYa(aは1ないし8の任意の整数)の境界線を底辺とすると,
Xaの高さは1未満,Yaの高さは1なので,(Xaの面積)<(Yaの面積)となる。
∴ (X1ないしX8の面積合計)<(Y1ないしY8の面積合計)
∴ X<Y
解答・その11
(ペンネ−ム:三角定規)
題意を示すには,<図1>の 「黄色の面積<緑色の面積」 … (*) を示せばよい。
拡大図<図2>のように,各点を定める。このとき,
△A'CE=△CDE,△B'DF=△DEF
であるから,
△A'CE+△B'DF=△CDE+△DEF=台形CDFE …(1)
明らかに △ACE<△A'CE,△BDF<△B'DF …(2)
だから,(1)(2)より
△ACE+△BDF<台形CDFE
以上で (*) が示され,よって題意は証明された。[了]
解答・その12
(ペンネ−ム:MVH)
与えられた3行3列のマス目を, マス目(7)の左下の頂点が原点Oに, (1)(8)
(7)の左側の各辺がy軸上に, (7)(6)(5)の下側の各辺がx軸上にそれぞれ
くるように, 座標平面に置きます.
このとき, 四角形ABCDの辺ABがx=1, x=2と交わる点をそれぞれE, F, 辺BCがy=
2, y=1と交わる点をそれぞれG, H, 辺CDがx=2, x=1と交わる点をそれぞれI, J,
辺DAがy=1, y=2と交わる点をそれぞれK, Lとします. また, 点(1,2), 点(2,
2), 点(2,1), 点(1,1)をそれぞれM, N, P, Qとします.
また, △AMEと△BNFの面積の和, △BNGと△CPHの面積の和, △CPIと△DQJの面積の
和, △DQKと△AMLの面積の和をそれぞれA_1, A_2, A_3, A_4とおきます. また, 台形
MNFE, 台形NPHG, 台形PQJI, 台形QMLKの面積をそれぞれB_1, B_2, B_3, B_4とおきま
す. これらの台形の高さは, MN=NP=PQ=QM=1です.
さて, △AMEにおいて, 底辺をME=xと見たときの高さをaとします. また, △BNFにお
いて, 底辺をNF=yと見たときの高さをbとします.このとき,
A_1=(ax+by)/2, B_1=(x+y)/2
ですから,
B_1−A_1=(x+y−ax−by)/2=((1−a)x+(1−b)y)/2.
ここで, 題意により, 0<a<1, 0<b<1ですから,
B_1−A_1>0, すなわち, A_1< B_1.
全く同様にして, i=2, 3, 4に対しても,
A_i < B_i
が言えます.従って,
A_1+A_2+A_3+A_4 < B_1+B_2+B_3+B_4,
すなわち,
X<Y
が示されました.
解答・その13
(ペンネ−ム:teki)
a1の面積は、底辺が赤色の部分で高さが1未満(正方形の線上に点を取れないため)、
一方、b1の面積は、底辺が赤色の部分で高さは1です。
よって、b1>a1。
同様に、a2の面積は、底辺が緑色の部分で高さが1未満、b2の面積は、底辺が緑色の部分で高さは1。
よって、b2>a2。
残りの3つの部分についても、同じことが言えるので、
A、C、E、Gとの共通部分の和=Y>@、B、D、Fとの共通部分の和=X が言えます。
<証明終>
解答・その14
(ペンネ−ム:T_Tatekawa)
図のように補助線(赤線)を8本引く.
次に辺ABと中心の小正方形の頂点からなる四角形を考える.
この四角形は三角形 p, q, r, s から成り立つ.
三角形 p, q は共通する辺を持つ.
三角形 q は直角三角形で,面積は
(共通する辺の長さ)×(小正方形の1辺の長さ)÷2
である.三角形 p の面積は,三角形の『高さ』が小正方形の1辺の長さより短いので,
(三角形pの面積)<(三角形qの面積)
である.同じ事が三角形 r, s にもいえるので,
(三角形sの面積)<(三角形rの面積)
となる.両辺を足しあわせると,
(三角形pの面積)+(三角形sの面積)<(三角形qの面積)+(三角形rの面積)
である.辺BC,CD,DAを含む四角形について同様に考えて不等式の両辺を足しあわせると,
X < Y
が成り立つ.
解答・その15
(ペンネ−ム:転位反応)
題意の四角形ABCDを描き、頂点A、Bから中央の正方形のマス目の
頂点H、Gへ直線を引いて、四角形ABGHとする。
更に、辺ABと正方形のマス目との交点をE、Fとする。
さて、X<Yが成り立つことを証明するには、
四角形ABGHにおいて、
三角形AEHの面積+三角形BGFの面積<台形EFGHの面積
を示せば良い。
(∵四角形ABCDの残りの部分についても同じ証明を展開できる)
三角形AEHにおいて、底辺をEH、その長さをYa、高さをαとする。
同様に、三角形BGFにおいて、底辺をFG、その長さをYb、高さをβとする。
台形EFGHの面積−(三角形AEHの面積+三角形BGFの面積)
=(Ya+Yb)/2−Ya・α/2−Yb・β/2
={Ya(1-α)+Yb(1−β)}/2 >0
(∵題意より、0<α<1、0<β<1)
∴ Y-X>0
∴ X<Y
正解者
夜ふかしのつらいおじさん | マシャ | 転位反応 |
ちょろんは太太 | haya | のっこん |
teki | 迷子の雄猫 | T_Tatekawa |
MVH | 杖のおじさん | Ryu1128 |
もげぴ | スモークマン | 三角定規 |
コメント
皆さんからお寄せいただいた解答にあるように、図形を三角形に分割して考えるといいですね。
多くの方が作図もしていただき、感謝いたします。