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問題144 正多角形の問題
Weekend Mathematics問題/問題144 正多角形の問題

144.正多角形の問題

右図のように、1辺の長さが1の正6角形の各辺の外側に、 1辺の長さが1の正6角形を1つずつくっつけると、くっつけた正6角形の となりあう2つの1辺は共有する。

1辺の長さが1の正m角形の各辺の外側に1辺の長さが1の正n角形を1ずつくっつけたとき、 くっつけた正n角形のとなりあう2つが1辺を共有するようなm,nの組として考えられる ものをすべて求めなさい。ただし、例としてあげた(m,n)=(6,6)を除きます。


問題の出典

広中杯ハイレベル中学数学に挑戦
算数オリンピック委員会監修
講談社ブルーバックス
2003年ファイナル問題

答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:のっこん)

m=3 の場合について考える
内角は60度だから
180°-30°=150°より
内角が150度の正多角形が存在すればよい
180(n-2)/n=150 を解いてn=12
よって(m,n)=(3,12)は解の1つである
360=30・12=36・10=40・9=45・8=60・6=72・5=90・4
内角が72度、80度、180度の正多角形は存在しないから
(m,n)=(3,12)、(4,8)、(10,5)


解答・その2

(ペンネ−ム:巷の夢)

題意より表にまとめると、以下の様になる。

m角形頂点の角度(°)外角(°)外角/2 (°)n角形
36030015012
4902701358
5108252126 
61202401206
7900/71620/7  
8135225112.5 
9140220110 
101442161085
111620/11   
12150 210105  

n角形を四角形とするには外角が180°でなければならず、その様な図形は存在しない。
因って上記表より、求めるものは(3,12)、(4,8)および(10,5)の3種類である。


解答・その3

(ペンネ−ム:転位反応)

正m角形の内角をαとすると 360=m(180−α)・・・(1)
正n角形の内角をβとすると 360=n(180−β)・・・(2)
また、題意から α+2β=360・・・(3)
(1)(2)(3)から、m、nについて整理すると
  n=4m/(m−2)・・・(4)
  m=2n/(n−4)・・・(5)
ここで、m、nは整数であることから、m≧3、n≧5
さて、題意を満たすには、@式から、mは360の約数であり、かつ そのmに対してC式から求められるnも整数であることが必要十分条件である。
360=2×2×2×3×3×5から考えられるmを書き出し、それぞれに対して nを求めn≧5について整理すると下表の通り。 但し、少数の場合、小数点以下3桁まで表示。
よって、求める(m,n)=(3,12)、(4,8)、(10,5)である。

312
48
56.667
66
85.333
95.143
105



解答・その4

(ペンネ−ム:バルタン星人)

答え(3,12)、(4,8)、(10,5)

元の図形の一つの角の角度をAとすると
(360−A)/2の角度の正多角形を作れるかどうかの問題。
中心と一辺でできる三角形を考えるとその中心角は A/2になるのでこれが360の約数になれば成立

3角形60度→30度 12角形
4角形90度→45度 8角形
5角形108度→54度 ×
6角形120度→60度 6角形
7,8,9→×
10角形144度→72度 5角形
相手が4角形以下になると90×2=180度
となるのでありえないので、上記組が全て。


解答・その5

(ペンネ−ム:SOU)

正多角形の1つの内角の外側を2つに分けたものが外接正多角形の1つの内角なので、それは

で与えられる。これを1つの内角として正多角形を構成できるかどうかは、

を満たすような正の整数nが存在するかどうかで判断する。変形すると、

となるが、これに対応するm,nの組みは、

の4組。同時に、正の整数の範囲ではこれ以外には存在しないことが云える。
最終的に、例のものを除いた

が答え。


解答・その6

(ペンネ−ム:スーパーやまちゃん)

正m角形の外側に正n角形が敷き詰められるので、正m角形の内角の外側の角が、 正n角形の内角の2倍に等しくなる。
ゆえに、正m角形の内角 = なので、
   正n角形の内角 =
   よって、
   mn+2n = 2mn-4m
   mn-4m-2n = 0
   n(m-2) = 4m
   
したがって、整数nはmの分数関数である。正m角形なのでm>2、mは整数。
nが整数となるのはm−2が8の約数のときである。
∴ m-2 = 1,2,4,8 のとき、つまり m = 3,4,6,10 のときである。
題意より、m ≠ 6 なので、求める(m,n)の組は次のとおりである。
(m,n) = (3,12),(4,8),(10,5)・・・答え


解答・その7

(ペンネ−ム:T_Tatekawa)

m=3:残り300度
300/2=150
一つの角が150度の正多角形は
360/(180-150)=12
なので正十二角形。n=12。

m=4:残り270度
270/2=135
一つの角が135度の正多角形は
360/(180-135)=8
なので正八角形。n=8。

m=5:残り262度 これは出来ない。

m=6:残り240度 これは例題なのでパス。

逆に 6 以下の n を考えると、 n=6 の場合は2つとなりあわせると頂点の角度が 240度になり、残りは120度。例題の通りになる。
同様に n=5 の場合は頂点の残り角度は
360-108*2=144度
144 度は正十角形です.
m=10, n=5 のとき、成り立ちます.
n=4 の場合は頂点の残り角度は
360-90*2=180度
これに該当する正多角形は存在しない。
n=3 の場合は頂点の残り角度は
360-60*2=240度
これに該当する正多角形は存在しない。

以上より
(m, n)=(3, 12), (4, 8), (10, 5)
が残りの答えである。






解答・その8

(ペンネ−ム:teki)

(m、n)=(3,12) (4,8) (10,5)

最初は図形の問題かと思いましたが、解いてみると整数方程式ですね。
正k角形の1つの内角は、π-2π/k です。(正k角形をその中心を通る 線でk個の二等辺三角形に分割すれば明らかです。)
条件より、 π-2π/m+2*(π-2π/n)=2π
故に 2/m+4/n=1 → (m-2)(n-4)=8 が成立します。
m,nはともに3以上の整数ですので、(m-2,n-4)=(1,8) (2,4) (4,2) (8,1)
よって
(m、n)=(3,12) (4,8) (10,5)

実際に、正三角形の周りに正12角形、正方形の周りに正8角形、正 10角形の周りに正5角形を敷き詰めると、条件にあった図形ができ ますね。


解答・その9

(ペンネ−ム:迷子の雄猫)

題意を満たす正n角形の内角2つ分の角度が、正m角形の(外角+180度)に一致す る。 ...(1)
(1)より、正m角形の(外角+180度)m個の合計が、正n角形の(内角)2m個 の合計と一致する。
正多角形の外角の合計が360度であることより、m,nの間には以下の関係が成り立 つ。
   180m + 360 = ((n−2)*180÷n)×2m
   m +   2 = ((n−2)÷n)×2m
(1)より、n=4以下だと正m角形の内角が180度以上になってしまうため題意を 満たさない。
また、m<6の範囲では、正多角形は正3角形、正4角形、正5角形しかない。
よって、題意を満たす可能性のある(m,n)の組は(3,n),(4,n),(5, n),(6,6),(m,5)の5組だけである。
  (3,n)の場合、n=12
  (4,n)の場合、n=8
  (5,n)の場合、n=6.66...となるので、題意を満たす正n角形は存在しない。
  (m,5)の場合、m=10
よって、題意を満たす(m,n)の組は、例としてあげた(m,n)=(6,6)を除 くと(3,12),(4,8),(10,5)の3組だけである。


解答・その10

(ペンネ−ム:テレスとアリス)

くっつけた正n角形のとなりあう2つが1辺を共有するとき、 正m角形の一つの角と、正n角形の二つの角の和は360度です。
   (180 - (360 / m)) + 2(180 - (360 / n)) = 360
このことから
   4m = mn - 2n
の関係が成り立ちます。 mの値を 3から順次当てはめてみます。
(m、n)=(3、12)
(m、n)=(4、8)
(m、n)=(6、6)
(m、n)=(10、5)
これ以外には無さそうですが、証明できません。


解答・その11

(ペンネ−ム:オヤジ)

多角形の外角の和は、2πより正m角形の一つの内角の外側の角は、
この角が、正n角形の内角2個分となっているので、 従って、一個の正n角形の内角は、
よって正n角形の外角の一つは、
また、多角形の外角の和は、2πより nは、自然数・・・(1)であり、次の式を満たす
  ・・・(2)
(1),(2)を満たす 自然数m,nは、
∴ (m,n)=(3,12),(4,8),{(6,6)},(10,5) 


解答・その12

(ペンネ−ム:杖のおじさん)

答えは(3,12)(4,8)(10,5)です。

多角形の内角は次の計算式で求めます。
X角形とすると180°―(360°÷X)となります。
そこで問題の条件を式にすると
(180°―((360°÷m))+2(180°―((360°÷n))=360°
となります。
180°―(360°÷m)+360°―(720°÷n)=360°
360°÷m+760°÷n=180°
360°n+760°m=180m
両辺を180°で割ると
2n+4m=m・n
これを展開すると
m・n−2nー4m=0
両辺に8を加算して
mnー4m−2n+8=8
(m−2)(n−4)=8
そうすると(m−2)及び(n−4)は8の約数でともにその積が8となります。
m−2、n−4=(1,8)(2,4)(4,2)(8,1)である。
m―2=1→m=3 n−4=8→n=12 の場合 (3,12)
m―2=2→m=4 n−4=4→n=8 の場合 (4,8)
m―2=4→m=6 n−4=2→n=6 の場合 (6,6)
m―2=8→m=10 n−4=1→n=5 の場合 (10,5)
(m、n)=(3,12)(4,8)(6,6)(10,5)である。
例題の(6,6)を除くので
答えは(m、n)=(3,12)(4,8)(10,5)である。



解答・その13

(ペンネ−ム:スモークマン)

正m角形の一つの内角=(180*m-360)/m=180-360/m
残りの 360-(180-360/m)=2(180-360/n)を満たす整数 m,n を求めればよい。
360/m-180+720/n=0
2/m+4/n=1
2n+4m=mn
m(n-4)-2(n-4)=(m-2)(n-4)=8
8=1*8=2*4
・m-2=1, n-4=8 のとき、
  m=3, n=12
・m-2=8, n-4=1 のとき、
  m=10,n=5
・m-2=2, n-4=4 のとき、
  m=4, n=8
・m-2=4, n-4=2 のとき、
  m=6, n=6

以上から・・・
(m,n)=(3,12), (4,8), (6,6), (10,5)


解答・その14

(ペンネ−ム:三角定規)

題意が成り立つとき,<図1> のように正m角形の内角(α)と正n角形の内角(β)2つ の和は 2πに等しい。


∴ (m−2)π/m+2(n−2)π/n=2π
整理して mn−4m−2n=0  ∴ (m−2)(n−4)=8
m,n は自然数だから,(m−2,n−4)=(1,8),(2,4),(4,2),(8,1)
∴ (m,n)=(3,10),(4,8),(6,6),(10,5)
(6,6) を除き,  (m,n)=(3,12),(4,8),(10,5) …[答]

これらを図示すると <図2> のようになります。





解答・その15

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)

正n角形の1つの内角は、度の単位で表すと 

これらが1つの頂点の周りに集まっているので次の等式が成り立っています。

整理して

これをnについて解き直すと、

このグラフを書くと、



このグラフ上の点で、自然数の(m,n)の組を読むと、 (1):(3,12)、 (2):(4,8)、 (3):(6,6)、 (4):(10,5)  (漸近線をみるとこれ以外にないことが納得できます。)

(1) 

(2) 

(3)の例は蜂の巣を連想すればよいので省略します。(問題の要求にはありません)

(4) 

正解者

teki SOU 夜ふかしのつらいおじさん
のっこん T_Tatekawa 転位反応
杖のおじさん 迷子の雄猫 巷の夢
スモークマン オヤジ スーパーやまちゃん
三角定規 テレスとアリス バルタン星人

コメント

今回の問題は、正多角形を正多角形で囲むという問題でしたが、tekiさんがおっしゃっているように、図形の 問題が整数方程式の問題になるところがおもしろいなあと思います。

三角定規さんから、おもしろいお話をいただきました。
今回問題の正3-正12角形,正方-正8角形は, それらをうまく繰り返すことによって平面を埋め尽くすことができます。 正10-正5角形の場合は,それらのみで隙間なく埋め尽くすことはできませんが,一部をうまく重ね一部に隙間を作ることで添付のような美しい繰り返し模様を作ることができます。これなどは,歩道を敷き詰めるレンガブロックなどにあってもよさそうに思います。複雑すぎるでしょうか?



街中で探してみるとおもしろいかもしれませんね。

ところで、正多角形を正多角形で囲むといえば、思い起こすのは、サッカーボールですね。 サッカーボールは、正六角形が20個、正五角形が12個でできています。
下の図は、正五角形のまわりに正六角形を描いたものです。 (正確に描くのにちょっと苦労しました。)
正六角形の脇に隙間ができていますが、 もちろんこれは平面を敷き詰めるわけではなく、球面を作るために必要な隙間ですね。
それにしても、正五角形と正六角形を組み合わせて球面(に近い形)を作るのですから、 不思議といえば不思議です。


ぐりまさんより
サッカーボールは、正20面体の頂点の「面取り」をすることで構成できます。 正20面体は、1つの頂点に正三角形が5枚集まっていますので、面取りした結果の断面は五角形、 もともとの正三角形は3隅を切られて六角形になるわけです。 もとの頂点は12個なので、五角形12枚、六角形20枚の立体になります。


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