131.マス目の問題
問題1
下右図のマス目を、下左図の1×2の長方形で敷きつめることができないことを示せ。
ただし、長方形は回転させて使ってもよいが、互いに重なったり、マス目から
はみ出したりしてはいけないものとする。
問題2
10×10のマス目を下のT字型の図形Sで敷きつめることができないことを示せ。
ただし、図形Sは回転させて使ってもよいが、互いに重なったり、正方形からはみ出したり
してはいけないものとする。
問題の出典
ジュニア数学オリンピック
数学オリンピック財団編
亀書房発行
答えと解説
解答・その1
(ペンネ−ム:スモークマン)
問題1
市松模様にわけると、黒白同数でないと無理ですが、与えられた図は、奇数のため無
理。
解答・その2
(ペンネ−ム:SOU)
問題1
マス目に色を白黒の色をつけ、
とする。□が16個、■が18個となる。
1x2の図形で埋めることを考えると、必ず□と■が一個ずつ減っていくことになるが、
最終的に必ず■が2つあまることになり、互いに隣接していない2マスが残ることになる。
したがって、不可能といえます。
解答・その3
(ペンネ−ム:オヤジ)
(1)
行列の様に成分に分けて考える
分かりやすい様に次の様に色分けする。例えば i行j列を
Aij =i+j= 偶数:白
Aij =i+j= 奇数:黒
とする。1×2 は、白1個と黒1個となる。 図の 34個 の色分けを考えると
6×6−A16−A61
=(白18個 と 黒18個)−黒2個
=(白18個)と(黒16個)
となり(白黒同数が 1×2 で敷きつめられる必要条件であるが)
白の色と黒の色が同数でないために、1×2=白1個と黒1個 の自然数倍とならず、
1×2 で敷きつめられない。
(2)
(1)と同様に考え 10×10は、白50個 と 黒50個 の同数とならなければならない。
4個のT字型では、色分けは2種類考えられる。
T種目は、白1個と黒3個のT字型
U種目は、白3個と黒1個のT字型
が考えられる。T字型で敷きつめる為には、T種目とU種目が同数となる事が必要条件、
よってT種目とU種目が対の 8個の自然数倍となる事が必要だが、
10×10÷8=12.5
となり、自然数倍とならない。
よって、T字型で敷きつめられない。
解答・その4
(ペンネ−ム:のっこん)
問題1
この17畳の部屋を畳で敷きつめることができないことを示せばよい
畳は2マス分の長方形だから
部屋を市松模様に塗り分けると
1つの畳は必ず白1マスと黒1マスの組を占める
よって塗り分けた時、白マスと黒マスの数は同じでなければならない
ところがこの34区画を市松模様に塗り分けると
白18マス黒16マス(あるいはその逆)となる
白マスと黒マスの数が異なるから、敷きつめることはできない
問題2
この25畳の部屋をSの形をした畳で敷きつめることができないことを示せばよい
100区画を市松模様に塗り分けると白50マス黒50マスとなる
Sの形をした畳は必ず白3マス黒1マス、あるいは白1マス黒3マスの組を占める
よって白3マス黒1マスの組を占める畳の数をx とすると
白マスは全部で 3x+(25-x)=25+2x
黒マスは全部で 3(25-x)+x=75-2x となる
両方とも奇数となり、
白50マス黒50マスとなることはないから、敷きつめることはできない
解答・その5
(ペンネ−ム:teki)
1 白黒の市松模様に塗り分ければすぐにわかりますが、図の図形は白と黒の個数が違う
(パリティが違う)ので、白黒1個ずつの図形で埋め込むことができません。
2 ちょっと複雑ですが、10×10の正方形は、4×25個の与えられた図形で埋める
必要があります。ところが、10×10の正方形は1と同様に白黒の市松模様に塗り分けると、
白50個、黒50個に塗り分けられるので、与えられた図形(白黒の差が±2)で塗りわけるに
はどうしても偶数個の図形が必要となります。よって、埋め込みは不可能です。
解答・その6
(ペンネ−ム:信三)
どちらの問題も黒と白のマスをチェッカー模様に組み合わせたチェス盤
をベースにして考えます。チェス盤が手許にないので分かりませんが、
左上隅を白とします。
問題1
2個のマスが繋がって出来ている問題の単位片は、どこに、どの向きに置いても
白と黒のマスを1個ずつ占めます。
問題の領域は6X6マスの正方形から、右上隅と,左下隅の、2個のマスを
取り除いたもので,左上隅を白マスとすれば、取り除かれたものはどちらも黒で、
領域の総計で、白マス18個、黒マス16個となり、個数が異なるので、
この単位片だけを組み合わせて埋めることが出来ません。
問題2
この問題の単位片は、チェス盤の、どこへどの向きに置いても、
白マス3個と黒マス1個か、逆に,黒マス3個と白マス1個を占めます。
白3黒1の単位片「x」個と、黒3白1の単位片「y」個で、
領域を埋めることが出来るとすれば、領域には白黒同数の50個ずつあるので、
3x+y=50、x+3y=50 で、これらを引き算して、x=yとなります。
そこで、4x=4y=50 となり、整数の個数でこれを満たすことはできません。
解答・その7
(ペンネ−ム:Toru)
問題1
(下右図)のマス目を、例えば左上を白として、白と白、黒と黒が隣り合わないよ
うに、白黒の市松模様に塗る。右上、左下の角は本来、黒のところになるので、白の
ほうが2つ多くなる。1x2の長方形は白が1つ、黒が1つなので、これをならべても
白黒の数は同じはずで、敷きつめることはできない。
問題2
同様に考えると、図形Sは(白3黒1)あるいは(白1黒3)であるが、10x10
のマス目は白50黒50であるから、これらは同数でなければならない。したがって
(白3黒1)と(白1黒3)をペアにして考えると、マス目の数は8の倍数であるこ
とが必要で、10x10=100は8の倍数でないのでの敷きつめることはできない。
解答・その8
(ペンネ−ム:Nと〜)
1番は有名ですね。チェス盤のように6×6ー2のますを白黒市松模様
に塗り分けると、白のますと黒のますの数が揃わないけれど、置いていく
(ドミノのコマのような)長方形は一方の正方形が黒を埋め、他方が白を
埋めていくので、埋め尽くすには盤の白ますと黒ますの数が同じでなくて
はならないから埋め尽くせない。
2番も同様に10×10のますを白黒市松模様にすると、白ますも黒ま
すも50になる。ところが、T型のものは白3黒1か白1黒3。このT型
のものは正方形が4つあるので、盤をちょうど埋め尽くせるとしたらT型
の図形Sを25個使うことになる。S25個を白3黒1と白1黒3に何個
ずつ割り振ろうとも、不幸なことに25は奇数なので白黒同数にはできな
い。よって、ちょうど埋め尽くすことはできない。
おまけ。問題図を見ると、T型というよりは、凸型といった方がしっく
りくるような……。
解答・その9
(ペンネ−ム:迷子の雄猫)
問題1
図形を下記のように市松模様に塗り分ける。黒マスが2個多くなる。
1×2の長方形をどのように置いても、黒白1つづつのマスを占めるので、
最後には黒マスが2個余る。黒マス同士は隣接していないので、1×2の長方形で覆う
ことは不可能。
問題2
問題1と同様に、10X10のマス目を市松模様に塗り分けると、黒マスが50個、白
マスが50個になる。
もし、10×10のマス目をT字型の図形Sで敷きつめることができたと仮定すると、
図形Sは25個使用することになる。
T字型の図形Sをどのように置いても、黒1つと白3つまたは黒3つと白1つのマスを
占める。
図形Sに必ず含まれる黒1つと白1つのマスを除くと、25個の黒マスと白マスが残る
。
残りのマス目から、図形S1つに付き、黒マス2つまたは白マス2つを取り除かれるが
、
2個づつ取り除いて、25個の黒マスを取り除くことはできない。
よって、図形Sで敷きつめることができたという仮定が誤っているので、
10×10のマス目をT字型の図形Sで敷きつめることができない。
解答・その10
(ペンネ−ム:転位反応)
問題1.
与えられたマス目を下図のように市松模様として色分けする。
さて、与えられた長方形にも同様に色を付け、この長方形で敷き詰めることができると仮定すると、
マス目の面積から計算して17個の長方形が必要となり、
長方形を構成する正方形の数も、それぞれ17個となる。
しかし、これらの正方形の数では、上記の市松模様に色分けできない。
よって、与えられた長方形で、上記マス目を敷き詰めることはできない。
問題2.
同様に、10×10のマス目を下図のように市松模様として色分けする。
さて、与えられた図形Sに下記の二通りの色を付け、マス目を敷き詰める事
ができると仮定すると、マス目の面積から計算して25個の図形Sが必要と
なるが、25は奇数なので、構成するそれぞれの正方形の数を50個にすることはできない。
例えば、
解答・その11
(ペンネ−ム:杖のおじさん)
問題1.答え
敷き詰める事は出来ません。
マス目の片方に●他方に○マークをつけて並べると片方が2つ多くなっています。
従って敷きつめることは出来ません。下図を参照
問題2.答え
10×10のマス目をT字型で敷き詰める事は出来ません。
敷きつめるマス目のT字型に図のように黒、白マークをつけてみます。
10×10のマスめに黒、白のマークをつけてみますと黒50で白50で同数になります。
黒と白を同数にするにはT字型を偶数個使用しなければなりません。
100÷4=25
で偶数ではありません。従って敷きつめることは出来ません。下図を参照
解答・その12
(ペンネ−ム:バルタン星人)
1)は解き方を知っていました。2)はその応用で考えました。
答え1)下にように市松模様に塗り分ける。
1×2は必ず白黒のピースとなるが、
この模様は黒18、白16なのではめ込みは不可能。
答え2)
同様に白黒の市松模様に塗り分ける。
ピースは次のいずれか。
白50、黒50あるのでこの2個のピースは同数必要。
ところが、全ピースは25個と奇数なので同数にはなれない。
(すなわち、黒50、白50を作ることができない)
故にはめこみは不可能。
解答・その13
(ペンネ−ム:三角定規)
1.《図1》のようにドミノを敷き詰める領域を市松模様に塗り分けると,
青が18,白が16。
ドミノを敷き詰めることができる場合には,青と白は必ず同数となるから,
《図1》の領域を,ドミノを敷き詰めることはできない。
2.図のようなA,B2種類のテトラミノを組み合わせることによって,
《図2》のように青白交互に敷き並べることができる。
この方法で 10×10 の正方形領域を敷き詰めることができたとする。
この領域を 1.同様市松模様に塗り分けると,青白50。
A を m個,B を n個(m,n は整数)用いたとすると,
テトラミノの総数から m+n=25 …(1)
青色部分の数から 3m+n=50 …(2)
(2)−(1) より 2m=25 ……(3)
(3)は,m が整数であることに反する。
よって,10×10 の正方形領域を,テトラミノで敷き詰めることはできない。
解答・その14
(ペンネ−ム:kohji)
問題1
図のようには配色すると、1*2の長方形を敷き詰めた時、1*2の長方形一つにつき
白と黒のマスがそれぞれ一つずつ含まれるので、白と黒のマスは同数ある。しかし、実際には白18マス
、黒16マスで矛盾。よって1*2の長方形で敷き詰めることは出来ない。
問題2
図のようには配色すると、Sを配置した時、図の2通りがあり
うる。敷き詰めた時に図の左、右のSがそれぞれl,r個あったとすると、白、黒マスの総数についてそれ
ぞれ、
l+3r=50
3l+r=50
が成り立つ。
2式より
l=r=12.5
これはl,rが整数であることに矛盾。よってSで敷き詰めることは出来ない。
解答・その15
(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)
問題1
面積が4になる図形で場合を考えます。
(1)敷きつめることができる例
(2)敷きつめることができない例
1×2の面積の長方形の半分を塗ってみます。
するとこの長方形が敷きつめられる場合には着色された部分と色のない部分が同じ個数になります。
マス目に下のように色をつけてみます。
敷きつめられない場合にはAのように着色された部分と色のない部分の個数が違います。
個数を数えると
着色された部分と色のない部分の個数が異なります。
だから敷きつめられません。
問題2
マス目に着色してみます。
すると図のように着色された部分と色のない部分が同じ個数あります。
図形Sを2種類用意します。
図形Sの面積は4です。
S1とS2を交互に使って敷きつめていくとすると全部で25個必要です。
奇数の場合には着色された部分と色のない部分の個数が2個違います。
この問題の場合には同数なので敷きつめられる必要条件を満たしません。
だから敷きつめられません。
解答・その16
(ペンネ−ム:T_Tatekawa)
問題1
まず,1x2の長方形を □■ というように白黒に塗ります.
下右図のマス目を市松模様に塗ります.
この塗り分けで,白は18個,黒は16個です.
1x2の長方形では白と黒を1個ずつ埋めていくので,最後に
白が2個残ってしまいます.だから敷き詰めが出来ません.
問題2
10x10 のマス目を市松模様に塗ると,白と黒が50個になります.
また,100マスを4マスの図形で敷き詰める事を考えると,
25個必要です.
T字型の図形も市松模様に塗ると,
の2パターンになります.
白と黒が同じ数だけ減って行くように2パターンを選ぶと,
12対(24個)選んだところで,10x10 のマス目の残りは
白と黒が2つずつになります.
上の2パターンは単独では白と黒を同数埋める事ができない
ので,結局は 10x10 のマス目を T 字型の図形で敷き詰める
ことはできません.
***
類題として,
「4x7 の長方形を,7種類のテトリスのブロックで敷き詰められるか」
というのを,ピーター・フランクルから聞いた事があります.
正解者
バルタン星人 | オヤジ | teki |
夜ふかしのつらいおじさん | T_Tatekawa | のっこん |
転位反応 | Toru | kohji |
三角定規 | 迷子の雄猫 | Nと〜 |
杖のおじさん | SOU | 信三 |
スモークマン |
まとめ
皆さんの解答にあるように、マス目をたとえば白黒で塗り分けて、
その偶奇性(パリティ)を考えるといいという問題ですね。
敷きつめられることを示すにはその例を具体的にあげればいいわけですが、
敷きつめられないことを示すには、どんなことをしても絶対に不可能であるということを
示さなければなりません。
さて、T_Tatekawaさんの解答にある
「4x7 の長方形を,7種類のテトリスのブロックで敷き詰められるか」という問題についても、
是非、考えてみてください。