Weekend Mathematics/コロキウム室/テーマ別
/1.平方の問題
コロキウム室(問題)
NO.88 4/14 水の流れ 平方の問題(1)
1桁の整数1,5,6を平方すると、
1,25,36となって下1桁は変わりません。
そこで、問題です。
- 2桁の整数Nを平方しても下2桁が同じNとなる
数字Nを見つけましょう。
- 3桁の整数Nを平方しても下3桁が同じNとなる
数字Nを見つけましょう。
- 4桁の整数Nを平方しても下4桁が同じNとなる
数字Nを見つけましょう。
★次ぎに、整数Nの桁数を5桁、6桁、・・・ とした場合、
このような整数は果たしてあるのでしょうか?
誰か考えて、教えてください。
NO.92 4/17 Junko 平方の問題(2)
まず、合同式の書き方を確認しましょう。
たとえば、7≡17(mod 10)つまり、
10の剰余類で同じグル−プに属するということ、
もう少し平たく言うと10で割ったあまりが同じということ、
つまり1の位が同じということ。
4月1日≡4月8日(mod7) つまり、同じ曜日だということ。
0および下の桁に0が並ぶものは除外して考えました。
- 1桁
- 12=1≡1(mod 10)
- 22=4≡4(mod 10)
- 32=9≡9(mod 10)
- 42=16≡6(mod 10)
- 52=25≡5(mod 10)
- 62=36≡6(mod 10)
- 72=49≡9(mod 10)
- 82=64≡4(mod 10)
- 92=81≡1(mod 10)
ということで、1桁の数で条件に合うのは、1と5と6の3つ。
- 2桁
x=abと2桁で表記されていたとします。
つまりx=10a+b
x2=(10a+b)2
=100a2+20ab+b2
=(10a2+2ab)×10+b2
まずこれの1の位とxの1の位が一致している必要があるので、
b2≡b(mod 10)
つまり、2桁の数を2乗して下2桁が同じになるためには、
下1桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
従って前段の結果からb=1,5,6です。
ですから、a=1,2,・・・,9として、
次の3つのタイプを調べればよいということがわかります。
- a1と2桁で表記できるもの
x=10a+1
x2=(10a+1)2
=100a2+20a+1
=(10a2+2a)×10+1
これの10の位とxの10の位が一致しているためには、
10a2+2a≡a(mod 10)
2a≡a(mod 10)
a≡0(mod 10)
a=1,2,・・・,9の中にはこの条件を満たすものは存在しない。
- a5と2桁で表記できるもの
x=10a+5
x2=(10a+5)2
=100a2+100a+25
=(10a2+10a+2)×10+5
これの10の位とxの10の位が一致しているためには、
10a2+10a+2≡a(mod 10)
2≡a(mod 10)
a=2
確認 25×25=625
- a6と2桁で表記できるもの
x=10a+6
x2=(10a+6)2
=100a2+120a+36
=(10a2+12a+3)×10+6
これの10の位とxの10の位が一致しているためには、
10a2+12a+3≡a(mod 10)
2a+3≡a(mod 10)
a≡−3(mod 10)
a≡7(mod 10)
a=7
確認 76×76=5776
以上により、2桁の数で条件に合うのは、25と76の2つ。
- 3桁
前と同様に、
3桁の数を2乗して下3桁が同じになるためには、
下2桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
従って、a=1,2,・・・,9として、
次の2つのタイプを調べればよいということがわかります。
- a25と3桁で表記できるもの
x=100a+25
x2=(100a+25)2
=10000a2+5000a+625
=(100a2+50a+6)×100+25
これの100の位とxの100の位が一致しているためには、
100a2+50a+6≡a(mod 10)
6≡a(mod 10)
a=6
確認 625×625=390625
- a76と3桁で表記できるもの
x=100a+76
x2=(100a+76)2
=10000a2+15200a+5776
=(100a2+152a+57)×100+76
これの100の位とxの100の位が一致しているためには、
100a2+152a+57≡a(mod 10)
2a+7≡a(mod 10)
a≡−7(mod 10)
a≡3(mod 10)
a=3
確認 376×376=141376
以上により、3桁の数で条件に合うのは、625と376の2つ。
- 4桁
前と同様に、
4桁の数を2乗して下4桁が同じになるためには、
下3桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
従って、a=1,2,・・・,9として、
次の2つのタイプを調べればよいということがわかります。
- a625と4桁で表記できるもの
x=1000a+625
x2=(1000a+625)2
=1000000a2+1250000a+390625
=(1000a2+1250a+390)×1000+625
これの1000の位とxの1000の位が一致しているためには、
1000a2+1250a+390≡a(mod 10)
0≡a(mod 10)
a=1,2,・・・,9の中にはこの条件を満たすものは存在しない。
- a376と4桁で表記できるもの
x=1000a+376
x2=(1000a+376)2
=1000000a2+752000a+141376
=(1000a2+752a+141)×1000+376
これの1000の位とxの1000の位が一致しているためには、
1000a2+752a+141≡a(mod 10)
2a+1≡a(mod 10)
a≡−1(mod 10)
a≡9(mod 10)
a=9
確認 9376×9376=87909376
以上により、4桁の数で条件に合うのは、9376の1つ。
- 5桁
前と同様に、
5桁の数を2乗して下5桁が同じになるためには、
下4桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
従って、a=1,2,・・・,9として、
次のタイプを調べればよいということがわかります。
a9376と5桁で表記できるもの
x=10000a+9376
x2=(10000a+9376)2
=100000000a2+187520000a+87909376
=(10000a2+18752a+8790)×10000+376
これの10000の位とxの10000の位が一致しているためには、
10000a2+18752a+8790≡a(mod 10)
2a≡a(mod 10)
a≡0(mod 10)
a=1,2,・・・,9の中にはこの条件を満たすものは存在しない。
以上により、5桁の数で条件に合うのは存在しない。
- 6桁以上
前と同様に、
6桁の数を2乗して下6桁が同じになるためには、
下5桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
しかしながら、5桁の数で条件に合うのは存在しないのですから、
6桁以上についても存在しないということが言えます。
NO.107 6/1 Junko 平方の問題(3)
石川県立高岡中学校
数学の部屋「2乗すると・・Part2」
を読んで
NO.92
の証明が完全ではないことが、わかりました。
1の位が5から始まる5、25、625、・・・という系列と
1の位が6から始まる6、76、376、・・・という系列があります。
私は一番上の位をa(a=1、2・・・9)として、
mod10(10で割った時の剰余類)を使って探していきました。
a=0を除外したのは、例えば「0625」などという数は、
実際には意味がないと判断したからです。
それ自体はいいと思うのですが、
その段階で5の系列には先がないと判断してしまったことは誤りでした。
次の段階で「a0625」と5桁で表記されるものを吟味するべきでした。
改めてここでやり直してみます。
- 5桁
5桁の数を2乗して下5桁が同じになるためには、
下4桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
従って、a=1,2,・・・,9として、
またa=0(0については次につなげるステップとして)
次のタイプを調べればよいということがわかります。
- a0625と5桁で表記できるもの
x=10000a+0625
x2=(10000a+625)2
=100002a2+1350×10000a+390625
=(10000a2+1350a+39)×10000+625
これの10000の位とxの10000の位が一致しているためには、
10000a2+1350a+39≡a(mod 10)
9≡a(mod 10)
a=9
確認 90625×90625=9212890625
従って、5桁の数で条件に合うものとして、
90625が存在することになります。
- a9376と5桁で表記できるもの
a=0という結論がでていますから、
5桁のものはないにしても、
6桁以上のものについては
可能性が残されます。
- 6桁
6桁の数を2乗して下6桁が同じになるためには、
下5桁の部分だけ考えた時に同じ条件を満たしていることが
必要条件であるということがいえます。
従って、a=1,2,・・・,9として、
またa=0(0については次につなげるステップとして)
次のタイプを調べればよいということがわかります。
- a90625と6桁で表記できるもの
x=100000a+90625
x=105a+90625
x2=(105a+90625)2
=1010a2+181250×105a+8212890625
=(105a2+181250a+82128)×105+90625
これの100000の位とxの100000の位が一致しているためには、
105a2+181250a+82128≡a(mod 10)
8≡a(mod 10)
a=8
確認 890625×890625=793212890625
- a09376と6桁で表記できるもの
x=100000a+09376
x=105a+9376
x2=(105a+9376)2
=1010a2+18752×105a+87909376
=(105a2+18752a+879)×105+9376
これの100000の位とxの100000の位が一致しているためには、
105a2+18752a+879≡a(mod 10)
2a+9≡a(mod 10)
a≡−9(mod 10)
a≡1(mod 10)
a=1
確認 109376×109376=11963109376
以上により、6桁の数で条件に合うものは、
890625と109376の2つ。
-
以下同様の操作をしていくと、
- 5の系列は必ず最後は
a≡k(mod 10)
(k=0,1・・・9のいずれか)という形になりますから
必ずそれを満たすaは存在します。
a=0については、次につなぐステップとして・・・
- また6の系列については、必ず最後に
2a+l≡a(mod 10)
a≡−l(mod 10)
a≡10−l(mod 10)
(l=0,1・・・9のいずれか)という形になりますから
必ずそれを満たすaは存在します。
もちろんa=0については、次につなぐステップとして・・・
以上により、条件を満たす数は5の系列と6の系列に無限にあるという
結論を得ることができると思います。
ところで、石川県立高岡中学校の
数学の部屋「2乗すると・・Part2」の中で、
広島県の清川育男さんが
5の系統について
52=25.....................25
252=625...................625
6252=390625..............90625
906252=8212890625.........890625
8906252=793212890625......2890625
28906252=8355712890625....12890625
128906252=166168212890625.212890625
2128906252=桁あふれ。
次に、6の系統について、
62=36...............10−3=7
762=5776。............10−7=3
3762=141376...........10−1=9
93762=87909376.........10−0=10
1093762=11963109376......10−3=7
71093762=50543227109376...10−2=8
871093762=7588043387109376.10−3=7
7871093762=桁あふれ。
という風に規則性を指摘なさっています。
5の系統については、NO.92で、
625を探し出した時のことを考えてみます。
a25と3桁で表記できるもの
x=100a+25
x2=(100a+25)2
=10000a2+5000a+625
=(100a2+50a+6)×100+25
これの100の位とxの100の位が一致しているためには、
100a2+50a+6≡a(mod 10)
6≡a(mod 10)
a=6=6
従って、625
6の系統については、NO.92で、
376を探し出した時のことを考えてみます。
a76と3桁で表記できるもの
x=100a+76
x2=(100a+76)2
=10000a2+15200a+5776
=(100a2+152a+57)×100+76
これの100の位とxの100の位が一致しているためには、
100a2+152a+57≡a(mod 10)
2a+7≡a(mod 10)
a≡−7(mod 10)
a≡10−7(mod 10)
a≡3(mod 10)
a=3
従って、376
という訳でこの規則性が説明できると思います。
さらに、
1の位の数が5のときをFnとする。
1の位の数が6のときをSnとする。
Fn+Sn=10n+1+1の関係がみられます。
という結果を示していらっしゃいますが、
これには感動しますね。
本当に不思議です。
詳しくは、石川県立高岡中学校の
数学の部屋「2乗すると・・Part2」をご覧ください。
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