Weekend Mathematics/コロキウム室/テーマ別
/16.宇宙空間での最短経路問題
NO.313 '99 1/29 水の流れ 宇宙空間での最短経路問題(1) 太郎さんは、このたび、宇宙空間における8つの研究施設を
結ぶ最短経路の設計図を依頼されました。
この施設は、1辺が10mの立方体の 各頂点にあります。
これらすべての施設をつなぐ最短の長さと設計図を作ってください。
もちろん設計図ですので、施設は点で、最短経路は線として、考えてください。
依頼を受けた太郎さんはどの経路が最短になるか分かりませんので、
数種類の設計図を作って、もっていくつもりです。
あなたは、どんな設計図を作りますか、考えてください。
NO.353 '99 2/22 Junko 宇宙空間での最短経路問題(2)
NO.313で、
立方体の8つの頂点を最短で結ぶにはどうしたらよいかという問題が
提示されています。
実験してみました。
ストロ−の中に糸を通して立方体(正六面体)を作り、
それをシャボン液にひたします。
そして静かに引き上げると、写真のような状態になります。
中央に、シャボン液による立方体ができています。
不思議ですよね?
ついでなので、正四面体も作ってみました。
写真だとわかりづらいのですが、
中心に向かって二等辺三角形の膜が6枚張られます。
結構きれいにできるので、感動します。
正八面体もやってみました。中に菱形のような膜ができて、
これもまたきれいです。
なかなかうまく写真に撮れないので、これは是非実験してみてください。
用意するものは、ストロ−と糸とシャボン液。
すぐにできますから、是非やってみてください。
楽しいです。
NO.372 '99 3/1 Weadore 宇宙空間での最短経路問題(3)
NO.353で求められた
ネットワークが最小でないことを示す。
まず、最小のネットワークはある任意の点からたの全ての点に
行ければ良いので、閉じた回路をもっていない。
これは、かりにA→Bに行くとしよう。その時に、A→B
に直接行く方法が二つ以上はないのです。
なぜなら、一つあれば十分なので、他をなくしても
問題ないからです。
また、ここで[No.353]のネットワークは閉じた回路を
明らかに含んでいます。よって、ネットワークは
最短ではない。
例を挙げてみますと、あの中央の立方体の
手前の四辺を取ってみましょう。
このとき、任意の点が他のすべての点へ
行けることを確かめましょう。
ね?行けるでしょう?遠回りだけれど。
また、その取ったネットワークは明らかに
ネットワークの重みが釣り合ってない。
よって、そのネットワークも最短ではない。
多分あの実験では、二次元のネットワークしかできないでしょう。
事実、あの実験でやったのは、二次元のシュタイナーのネットワーク
を釣り合わせただけですしね。
でも、ちなみに、正四面体はあのネットワークが最小です。
それは、これから証明します。お楽しみに。
NO.382 '99 3/4 Weadore 宇宙空間での最短経路問題(4)
NO.353
の正四面体のネットワークが最短であることを示す。
まず、正四面体ABCDの内部にある点Oをつないでできる。
AO+BO+CO+DOの最短のネットワークについて議論をする。
AB,CDと平行でO点を通る平面と、ABの中点とCDの中点
を結んでできる線分との交点をO'とする。
ここで、点Aの上記で定義した平面と対象な点をA'とすると、
A'とBを結んだ線分とその平面との交点がO'になる。
よって、AO + BO = A'O + BO≧A'O' + BO' =AO' + BO'
∴AO + BO ≧ AO' + BO'
同様に、CO + DO ≧ CO' + DO'
よって、OはABとCDとの中点同士を結んだ線分上
に存在する。また同様に、ADとBCの中点同士を結んだ
線分上にも存在することになる。
よって、この条件を満たす点Oは正四面体ABCDを内接する
球の中心となります。
また、正四面体の内部に2点、点が存在したときは、
ネットワークの重みが明らかに釣り合わない。
また、三点以上存在しても、今度は閉じた回路を持ってしまう。
よって、[No.353]でできたネットワークが最短であることが示された。
次回は、本題である正六面体について議論をします。お楽しみに。
NO.388 '99 3/8 Weadore 宇宙空間での最短経路問題(5)
NO.313の答の予想です。
前回の正四面体のネットワークより、次のような
正多面体の予想を立てました。
☆予想
正多面体の最短のネットワークは、
正多面体の一面を真正面から見たときに見える輪郭の
平面図形、又はその一面自身の図形の平面図形の
最短のネットワークが成り立っているものがあり、
また、その成り立っている面の数は正n面体の場合、
n以下のnに一番近い又は同じである2のべき乗個ある。
ちなみになぜ2のべき乗を考えたかというと、
正多面体の公式、pを面数、qを角数、rを辺数とすると、
p+q−r=2が成り立つことから来ています。
これは正四面体では成り立っています。
ここで、その予想を正六面体に当てはめる。
つまり、一面を真正面に見たときにできた図形、
正方形の最短のネットワークが4個できるはずである。
ここで、正方形の最短のネットワークはシュタイナーのネットワークであり、
また、立方体の四面から見てこのシュタイナーのネットワーク
ができるのは4つが最大である事もわかる。
よって、僕の考えた予想が正しければ、正六面体の
最短のネットワークは上の条件を満たしているはずである。
このネットワークを作り、その値も計算しておくと、
一辺の長さが1の正六面体であれば、
(17-√3)/3となります。(複雑なので途中計算略)
予想の反例は歓迎です。
あと、計算もあまり自信はありません。
数学なのに字ばっかりですいませんでした。m(__)m
NO.393 '99 3/10 水の流れ 宇宙空間での最短経路問題(6)
<1> 本題に入る前に平面上で、長方形PQRSを考えます。
短い辺の長さをPQ=x、長い辺の長さをQR=yとします。
ここで、図をみてください。
∠PXQ=∠PXY=∠QXY=120゜
∠RYS=∠RYX=∠SYX=120゜
となる点X、Yをみつけます。これがシュタイナー点です。
このとき、PX=a,XY=b として、a,bをx、yで表すと、
a=(x/2)÷cos30゜=x/√3,
b=y−x/√3
よって、4点P、Q、S、Tを結ぶ最短ネットワークは
4a+b=y+√3x
この場合 x=1,y=1 より
2(4a+b)+1=3+2√3≒6.464 となります。
勿論、これが求める最短経路ではありません。
この続きは明日にします。
NO.395 '99 3/11 水の流れ 宇宙空間での最短経路問題(7)
空間における最短経路<2>を送ります。
昨日、上面・底面ともシュタイナーのネットワークで結ばれて、
上面から底面までの高さ1を加えて、
(3+2√3)≒6.464 を求めました。
ところで、図のように長方形ABGHとCDEFにおいて、
4点のシュタイナーのネットワークを考えてみると、
前回の2(4a+b)=y+√3xに、x=1,y=√2を代入して =2(√2+√3) ≒6.292 となります。このとき、2つのネットワークは立方体のど真ん中で交わっています。
NO.399 '99 3/13 水の流れ 宇宙空間での最短経路問題(8)
<3>前回は2つの平面AHGBとCDEFは45度で交わっています。
だから、この2つの平面の4点を結ぶシュタイナー点は立方体のど真ん中で
交わる2直線のなす角が90度になります。
あくまでも3点を結ぶ最短ネットワークはなす角が120度になっていなけれ
ばなりません。
だから、NO.393
<1>での上面ADCBと底面EHGFのネットワークにお
いて、上下の中央線の中点M、Nをすべて120度の角度を保ったまま立方体の
中心に引っ張っていきます。
これを横の面AEHDでみます。
平面ABXMは真横からみると、線AM上に重なっています。
そこで、横の面AEHDを結ぶ最短ネットワークも当然、
点M、Nは下がりながらシュタイナー点になります。
すると、図を見てください。
∠DAM=30°になります。
後は計算すれば求める結果になります。
ここからはコロキウム室の愛好者の皆さんに求めてもらいます。
お願いします。
なお、この最短ネットワークを発見したのはロウフボロフ大学の
ジョン・カストロ氏です。
それでは問題です。
「1辺1の正5角形の最短ネットワークの設計図とその長
さを求めてください。」
<参考文献:BLUE BACKSの数学パズル・パンドラの箱;講談社>