Weekend Mathematicsコロキウム室1997/NO.6


コロキウム室


NO.39   10/1      Junko

この春からゴルフを始めました。 今日は、箱根湯ノ花ゴルフ場に行ってきました。 コ−スに出るのはこれで3回目です。 スコア? はきかないでください。 でも、おもしろいなあと感じ始めています。 もっと練習して上手になりたいな。
今日のコ−スは箱根駒ヶ岳のふもとの相模湾が一望できるところです。 もっとも、私には景色を楽しむ余裕は ほとんどなかったですけれど・・・。




NO.40   10/2      みかん

1年は1月1日より始まるのに、年度は4月から始まる、 学校(日本の)も4月から始まる。 外国では学校は9月から始まるようになっているようです。 何故、一年の始まる日が幾つかに別れているのでしょう? そこにはどのような意味があるのですか?  




NO.41   10/6      山漁師の六太夫

さて、また難問が出されたのでお教え願えませんか?
これは、仕事上で使うのですが、若い子から質問されても、 可能かどうか即答できなかったのでご相談します。

Xの1.8乗を、四則演算と平方根だけで 式に出きるのでしょうか?
1.8は固定の数字です。

ご存じかどうか解りませんが、 シーケンサー(PLC プログ ラマブル コントローラー)で、 機械の制御に使うのですが、演算機能が限定されているらしく、 どれほど長い式になっても大丈夫なのですが、 いかんせん 上記の四則演算と平方根しか 使用できないらしく (今時の1,000円以下で売っている電卓レベル)、 可能なら式を、 不可能ならその理由が知りたいと思っています。




NO.42   10/11      わたあめ

X の 1.8 乗 が 四則演算とroot計算で出来るかとの事ですが、 一般的には出来ない事は明らかですね。
1.8 の時だけ出来るかというのですが、 root は 2分の1乗 、1.8 は 5分の9乗ですから 5を2でを用いて表すことが必要になりますが、 5と2は素数なので 乗除演算 (分母であるから加減算は出来ない) のみで表す事は出来ないので「不可能」というのが 答えではないでしょうか?
ただし、 近似計算ならば可能であり、 実業的にはさしつかえありません。 というより、実務面で必要な実数は普通誤差 1 から 0.1%、 特殊な時でも 0.01%です。
実用上は十分なので近似計算値を使うのがあたりまえです。 特殊な現場では場合に応じてその範囲を決めています。




NO.43   10/12    Junko  

xの1.8乗について詳しく説明しましょう。
これを有理数表示しますと、1.8=9/5となります。
x>0に対して、指数が有理数の場合m>0ととり、 次のように定義します。

指数
従って、xの1.8乗、つまり9/5乗は、 xを9乗して、5乗根をとればいいわけです。
ところが、ル−ト計算(2乗根)しかできない電卓では、 5乗根は計算できません。
できるのはmが2の何乗かの形にかける時のみということになります。

わたあめさんのご指摘通り、近似計算ならば話は別です。

私はテイラ−展開を利用して近似することを考えました。

テイラ−(Taylor)の定理
f(x)はある区間Iでn回微分可能な関数であるとする。 aはIに属する1つの点とする。 このとき、Iに属する任意のxに対して、xとaとの間にある 適当なξを選べば(ξはギリシア文字でクシ−と読みます。)

f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+f''(a)/2!・(x-a)2+f'''(a)/3!・(x-a)3+
         ・・・+f(n-1)(a)/(n-1)!・(x-a)n-1+Rn  @
が成り立つ。
ただし、Rn=f(n)(ξ)/n!・(x-a)n   A
これを剰余類といい、n→∞とした時にRn→0になるならば、
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+f''(a)/2!・(x-a)2+f'''(a)/3!・(x-a)3+
         ・・・+f(n-1)(a)/(n-1)!・(x-a)n-1+・・・   B
という無限級数表示が得られます。
f(x)のこの無限級数表示のことを、テイラ−展開といいます。
これは条件を満たす関数については、 必ず整式で近似できるということを示しており、 整式で表すことができれば、加減乗除で事足りるわけです。

そこで0<x<2の時、f(x)=x1.8=x9/5がa=1として、 テイラ−展開できることを示します。

f(x)=x9/5、f(1)=1
f'(x)=9/5・x4/5、f'(1)=9/5
f''(x)=9/5・4/5・x-1/5、f''(1)=9/5・4/5
f'''(x)=9/5・4/5・(-1/5)・x-6/5、f'''(1)=9/5・4/5・(-1/5)
・・・
ですから、

f(x)=1
     +9/5・(x-1)
     +9/5・4/5・1/2!・(x-1)2 
   +9/5・4/5・(-1/5)・1/3!・(x-1)3
   +9/5・4/5・(-1/5)・(-6/5)・1/4!・(x-1)4
   +・・・
   +9/5・4/5・(-1/5)・・・((19-5n)/5)・1/(n-1)!・(x-1)n-1
     +Rn
となります。

この場合、n回微分
f(n)(x)=9/5・4/5・(-1/5)・・・((14-5n)/5)x(9-5n)/5なので、
n=f(n)(ξ)/n!・(x-1)n
   =9/5・4/5・(-1/5)・・・((14-5n)/5)ξ(9-5n)/5/n!・(x-1)n
 =9/5・4/5・(-1/5)・・・((14-5n)/5)/n!・ξ9/5・ξ-n・(x-1)n
 =((14-5・1)/(5・1))・((14-5・2)/(5・2))・((14-5・3)/(5・3))・・・((14-5・n)/(5・n))・ξ9/5・ξ-n・(x-1)n
 =(14/5-1)・(14/(5・2)-1)・(14/(5・3)-1)・・・・(14/(5・n)-1)・ξ9/5・(1/ξ)n・(x-1)n

    

n→∞とした時にRn→0を示します。

  1. 1<x<2のとき

    まず、0<x-1<1、

    ξはxとa(=1)との間の値ですから、
    1<ξ<x
    0<1/ξ<1

    |Rn|
     =|14/5-1|・|14/(5・2)-1|・|14/(5・3)-1|・・・・|14/(5・n)-1|・|ξ|9/5・|1/ξ|n・|x-1|n

       =C・|14/(5・2)-1|・|14/(5・3)-1|・・・・|14/(5・n)-1|・|1/ξ|n・|x-1|n

           (ただし、C=|14/5-1|・|ξ|9/5で定数。)

     <C・|1/ξ|n・|x-1|n→0 (n→∞)

            (n≧2のとき、|14/(5・n)-1|<1なので)
  2. 1/2<x<1のとき

    ξはxとa(=1)との間ですから、
    x<ξ<1
    1/2<xより、1/2<ξ
    1+<x+ξ
    -ξ<x-1
    -1<(x-1)/ξ

    一方 x-1<0、ξ>0より、(x-1)/ξ<0
    つまり、-1<(x-1)/ξ<0
    |(x-1)/ξ|<1

    先程と同様に、
    |Rn|
     =|14/5-1|・|14/(5・2)-1|・|14/(5・3)-1|・・・・|14/(5・n)-1|・|ξ|9/5・|1/ξ|n・|x-1|n

       =C・|14/(5・2)-1|・|14/(5・3)-1|・・・・|14/(5・n)-1|・|1/ξ|n・|x-1|n

       <C・|(x-1)/ξ|n→0 (n→∞)

      
  3. 0<x<1/2のとき

    この部分については実は未解決(?)なのです。
    0<x<1/2のときは、ξの取り方によっては必ずしも
    -1<(x-1)/ξとはなりません。
    従って、上記のようなやり方では証明できません。

    |14/5-1|・|14/(5・2)-1|・|14/(5・3)-1|・・・・|14/(5・n)-1|
    
    の部分を抱き込んでいかなければならないのだと思います。 どなたかアドバイス願います。




不完全ながら 0<x<2の時(1/2<x<2についてはいいですよね。)
f(x)=x1.8=x9/5がa=1として、 テイラ−展開できたとして、

f(x)=1
     +9/5・(x-1)
     +9/5・4/5・1/2!・(x-1)2 
   +9/5・4/5・(-1/5)・1/3!・(x-1)3
   +9/5・4/5・(-1/5)・(-6/5)・1/4!・(x-1)4
   +・・・
   +9/5・4/5・(-1/5)・・・((19-5n)/5)・1/(n-1)!・(x-1)n-1
     +・・・
を計算(加減乗除だけ)することで近似できるわけです。

また、2以上のxについては、次のような工夫をします。
x<m5を満たす自然数mを探してきます。

x9/5=(m5・x/m5)9/5
   =m9・(x/m5)9/5
ここで、x/m5<1なので、 m9を別に計算してかけることでできるわけです。

ただし、このテイラ−展開による近似はx=1の近くでは、 かなり正確な値を求めることができますが、 遠くになると(0や2の近く)誤差が大きいようです。





NO.44   10/13    Junko  

xの1.8乗を、四則演算と平方根だけで近似できるかという話です。

root計算ができるということは、 x1/mのmが 2の何乗かの形にかける時だけです。
そこで、1.8を2進数表示すればよいわけです。

1.8を2進数表示する具体的な方法を示します。

1の位は1です。1.8-1=0.8を次に考えます。
少数第1位は、0.8を2倍すると1.6となり、1を越えるので1です。
1.6-1=0.6を次に考えます。
少数第2位は、0.6を2倍すると1.2となり、1を越えるので1です。
1.2-1=0.2を次に考えます。
少数第3位は、0.2を2倍すると0.4となり、1を越えないので0です。
0.4を次に考えます。
少数第4位は、0.4を2倍すると0.8となり、1を越えないので0です。
0.8を次に考えます。
以下同じ様に続けます。

1.8=1.11001100・・・(二)と表示する事ができます。

これは、1.8=1+(1/2)+(1/4)+(1/32)+(1/64)+・・・を意味します。
従って、

1.8=x1+(1/2)+(1/4)+(1/32)+(1/64)+・・・
  =x1・x(1/2)・x(1/4)・x(1/32)・x(1/64)・・・ 
というわけで、これはroot計算とかけ算のみで近似できることになります。
また、1.8以外の数値についても同様です。




NO.45   10/16    影法師  

NO40について

南半球のオーストラリアやニュージーランドでは、 新学期は2月に始まります。 夏休みは12月と1月です。
そうすると、地球上の始まりは、 1月、2月、4月、9月の4通りがあることになります。 本当にどうしてでしょう?




NO.46   10/17    God

私は、愛知県名古屋市に住んでいまして サラリーマンをしております。

面積を求める問題ですが、 なかなか難しく私の手には負えません。

問題:半径Aの円が4つあり、 それが図のように重なっています。 その時、すべての円が重なる (色が着けてある)部分の面積の求め方は?
円の面積の問題






 

NO.47   10/17    Junko 

円の半径、つまり中央にある正方形の1辺の長さを rとします。
下の図のように、それぞれの部分の面積を x、y、zと設定します。 xを求めればよいわけです。
円の面積の問題1

まず、正方形に注目すると、
=x+4y+4z・・・@

また、下の図のオレンジの部分に注目すると、
正方形から1/4円を差し引けばいいわけですから
−πr/4=y+2z・・・A
円の面積の問題2

また、下の図のオレンジの部分に注目すると、
1/4円2つから正方形を差し引けばいいわけですから
(πr/4)×2−r=x+2y・・・B
ただし、これは@Aから導くこともできます。
円の面積の問題3

さて、次に下の図のオレンジの部分の面積を具体的に求めてみます。 これは、x+2y+zにあたりますので、これがわかればBとあわせて、 zの値が求まることになります。
円の面積の問題4

下の図のように補助線を2本ひくと、 緑の正三角形(各辺は円の半径ですから長さはすべてr)と、 青の部分が2つに分けられます。
まず緑の正三角形の面積ですが、 底辺r、高さ(SQR(3)/2)rですから、 (SQR(3)/4)rとなります。
一方、青の部分は1/6の扇形(60゜ですから)の面積から 正三角形の面積をひくことで求められます。
つまり、πr/6−(SQR(3)/4)rです。
円の面積の問題5

従って、

x+2y+z=(πr/6−(SQR(3)/4)r)×2+(SQR(3)/4)r
x+2y+z=πr/3−(SQR(3)/4)r・・・C

先程書いたように、BCよりzの値を求めることができます。
z=(1−π/6−(SQR(3)/4))r
これを、Aに代入することにより、
y=(−1+π/12−(SQR(3)/2))r
更にこれを@に代入して、
x=(1+π/3−SQR(3))r
もっと、すっきりした解答があれば、とも思うのですが・・・。




NO.48   10/22    God

早速の回答ありがとうございました。 なるほど・・・って感じですね。
ところで、ついでにどうですか? 黒塗りの角度を求める問題です。 解いてみてください。 どこかの中学入試問題らしいです。

角度の問題




戻る