Weekend Mathematics/コロキウム室/1999.4〜6/NO.53
NO.446 '99 4/21 水の流れ ビュッフォンの針の実験(2)
p=2k/πdとなることを証明しましょう。
<考え方>
1本の針を任意に床に落としたときの図1を見てください。
針が平行線と交わるとしたら、針の中点Pから最も近い平行線の1本と交わる。
針の中点Pと平行線のうちの一番近い直線との距離をxとし、
針とその平行線のなす角をθとおく。(図2参照)
このとき、変数x、θの変域は、0≦θ<π、0≦x≦d/2…(*) である。
座標平面上に、変域(*)を図示し、また、針が直線と交わるθとxに関する条件を
求め、それを座標平面に図示し、両者の面積比を求める。
なお、針の端点が平行線上にある場合は「交わっている」ものとして扱っても
「交わっていない」として扱っても結果は同じである。
ここでは、「交わっている」ものとして扱うことにする。
【解答】ただし、d≧kの場合を考えます。
針が平行線の1つと交わる条件とは、針の中点から一番近い平行線と交わることである。
図2を見て下さい。
針が一番近い平行線と交わる方の端点をA、中点をP、点Pから一番近い平行線に垂線PHを引く。
また、Aを通り平行線を引き、垂線PHとの交点をBとおく。
さらに、∠PAB=θ とおく。
すると、PA=k/2,PB=(k/2)×sinθ
したがって、xとPBの関係より、交わる条件は x≦(k/2)×sinθ
交わらない条件は x>(k/2)×sinθ である。<図3を参照>
よって、交わる条件を座標平面で書くと、図4になります。
したがって、求める確率pは
NO.447 '99 4/21 水の流れ オイラーの「無限解析入門(1)」(3)
オイラーの「無限解析入門(1)」第2夜の始まり、始まり。
先日、ゼーター関数ζ(2)物語で書きましたが、オイラーは1735年に、
ζ(2),ζ(4),・・・を求めました。
その後、研究は当然続いて、1749年に、ζ(0),ζ(−1),ζ(−2),・・・,
ζ(s)とζ(1−s)の関係を発見しています。
もう一度この素晴らしい公式を書きます。
ゼーター関数ζ(s)の素晴らしいのはsにどんな複素数を代入しても、
意味を持つという点です。
<数学的には「解析接続可能」と言います>
オイラーの見つけた形(1749年)で言いますと、
s≦0のとき、月夜の世界
0≦s≦1のとき、たそがれとき<夕焼け・朝焼け>
1≦sのとき、昼間太陽の世界
とユニークな月のマークと太陽のマークを書いています。
特に、月夜の世界での計算が不思議な結果になります。
一例を挙げますと、
ζ(0)=1+1+1+・・・=−1/2
ζ(−1)=1+2+3+4+・・・=−1/12
ζ(−2)=1+4+9+16+・・・=0
ζ(−3)=1+8+27+64+・・・=1/120
これらは一体何を意味しているのでしょうか?
もちろん普通にはこれらは無限大になっているはずです。
この計算は計算の達人であるオイラーが
250年前にやった計算です。
次回、この計算をオイラーになり代わって
コロキウム室のco-workerさんとご一緒に行ってみましょう。
そこで、今夜の宿題です。
とおいて、ψ(s)とζ(s)の関係を発見してください。
NO.448 '99 4/23 浜田 明巳 三角形の確率(2)
QBASICのプログラムを作成し求めました.内容は次の通りです.
円の半径を1とします.乱数により,0から2πまでの角tを3個求め,
三角形の3頂点の座標(x(j),y(j))を求めます.
次に3辺の長さd(j)を求め,最大辺dmaxを求めます.
最大辺に対する角が最大角ですから,この角のコサインを求め,
その符号を求めます.
これにより直角,鋭角,鈍角三角形のいずれになるかが分かります.
この試行を1000000(max)回繰り返し,それぞれの確率を求めます.
このプログラムにより,確率は
'sankaku.qb pi = 3.14159 RANDOMIZE TIMER DIM x(2), y(2), d(2), kaisuu(2) FOR j = 0 TO 2 kaisuu(j) = 0 NEXT shikoukaisuu = 0 max = 1000000 CLS WHILE INKEY$ = "" AND shikoukaisuu < max shikoukaisuu = shikoukaisuu + 1 FOR j = 0 TO 2 t = 2 * pi * RND x(j) = COS(t) y(j) = SIN(t) NEXT FOR j = 0 TO 2 j1 = (j + 1) MOD 3 j2 = (j1 + 1) MOD 3 d(j) = SQR((x(j2) - x(j1)) * (x(j2) - x(j1)) + (y(j2) - y(j1)) * (y(j2) - y(j1))) NEXT dmax = d(0) jmax = 0 FOR j = 1 TO 2 IF d(j) > dmax THEN dmax = d(j) jmax = j END IF NEXT j1 = (jmax + 1) MOD 3 j2 = (j1 + 1) MOD 3 cosine = (d(j1) * d(j1) + d(j2) * d(j2) - d(jmax) * d(jmax)) / (2 * d(j1) * d(j2)) bangou = -(cosine > 0) - 2 * (cosine < 0) kaisuu(bangou) = kaisuu(bangou) + 1 LOCATE 1, 1 FOR j = 0 TO 2 PRINT USING "####### ####### / ####### =##.######"; j + 1; kaisuu(j); shikoukaisuu; kaisuu(j) / shikoukaisuu NEXT WEND WHILE INKEY$ <> "" WEND END
NO.449 '99 4/24 Junko 三角形の確率(3)
単位円周上に3点ABCをとって三角形を作ります。
点A(1,0)とします。
OB、OCの偏角をそれぞれα、βとし、α<βとします。
鈍角三角形の場合を次の3つのケ−スに分けて調べます。
1.∠Bが鈍角のとき、
∠B=π−(1/2)β>(1/2)π
従って、π>β
2.∠Cが鈍角のとき、
∠C=(1/2)α>(1/2)π
従って、α>π
3.∠Aが鈍角のとき、
∠A=(1/2)(β−α)>(1/2)π
従って、β>π+α
以上を総合すると、鈍角三角形になるのは左図の黄緑の部分になります。
全事象(起こりうるすべてのケ−ス)は、直線α=0、β=2π、β=α
で囲まれた三角形になります。境界線は含みません。
従って、鈍角三角形になる確率は、面積比で3/4となります。
直角三角形になるのは、α=π、β=π、β=π+αのときなので、
左図の黄緑と黄色の境界線になります。面積は0ですので、確率0
残りの黄色の部分が鋭角三角形ということになり、面積比により1/4となります。
NO.450 '99 4/25 水の流れ 三角形可能な確率(1)
太郎さんのお子さんは工作が大好きです。
細長い棒が1本あります。
それを2カ所で折って、3本に分けます。
このとき、出来た3本で三角形を作れる確率を求めてください。
ただし、棒を折る位置はどの点でも同じとする。
太郎さんも童心にかえって、いろいろと折って考えることにしました。
皆さんも、考えてください。
<問題の出典:算数はアタマのよくなるパズルだ:みくに出版>
NO.451 '99 4/26 水の流れ オイラーなら?
オイラーの業績を調べていて、次の不定積分や微分をオイラーなら どんな解法でしただろうね。
オイラーの立場になってユニークな解法をお寄せ下さい。
NO.452 '99 4/28 Junko オイラーの「無限解析入門(1)」(4)
NO.453 '99 4/29 水の流れ オイラーの「無限解析入門(1)」(5)
皆さん!ゼーター関数物語の続編で、オイラーの『無限解析入門(1)』
の第3夜の始まり、始まり。
前夜の宿題も、上手に解けていますね。
これからも、この調子でよろしくね。
さて、ψ(s)とζ(s)の関係は
ψ(s)=(1−2(1−s))ζ(s) より
ψ(0)=−ζ(0)
ψ(−1)=−3ζ(−1)
ψ(−2)=−7ζ(−2)
ψ(−3)=−15ζ(−3)・・・・・・
となります。したがって、
1+1+1+・・・=ζ(0)=−ψ(0)
1+2+3+4+・・・=ζ(−1)=−1/3・ψ(−1)
1+4+9+16+・・・=ζ(−2)=−1/7・ψ(−2)
1+8+27+64+・・・=ζ(−3)=−1/15・ψ(−3)
・・・・・・が得られます。
そこで、今夜はψ(0),ψ(−1),ψ(−1),ψ(−3),・・・
を計算します。
その前に、次の等式を思いだしてください。
1+x+x2+x3+x4+・・・=1/(1−x)・・・@
ちょっと、危ない計算ですが、ここで、x=−1を代入してください。
当然、収束条件にあっていません!
でも、ここのところを解析接続という手法で意味づけたのが
オイラーの100年後のリーマンでした。
皆さん、このように考えてください。すると、
ψ(0)=1−1+1−1+・・・=1/2と求まり、
ζ(0)=1+1+1+1+・・・=−1/2がでてきます。
ここで、今夜の宿題です。
等式@の両辺を2乗して、ψ(−1)から、
ζ(−1)=1+2+3+4+・・・を求めてください。
また、時間的に余力のある人は、
ψ(−2)、ψ(−3)にもチャレンジしても良いですよ。
読者の皆さんに、もう一度言っておきます。
ここでの計算はオイラーが発見したζ(s)とζ(1−s)の「双対性」
の理解を目的にしていることを!
それでは、第3夜の幕を下ろします。
また、明日の夜お会いしましょう。