NO.1677 勝敗の差 2007.6.11 水の流れ
第192回数学的な応募問題
皆さん、プロ野球はセパ交流戦の後半に入り、勝敗が気になります。6月9日現在次の成績です。
順位 | 球団名 | 試合数 | 勝数 | 負け数 | 引分け数 | 勝敗の差
|
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1 | 日本ハム | 13 | 12
| 1 | 0 | 11
|
2 | ロッテ | 13
| 10 | 3 | 0 | 7
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3 | オリックス | 14
| 9 | 4 | 1 | 5
|
4 | 巨人 | 13
| 8 | 5 | 0 | 3
|
5 | 楽天 | 13
| 7 | 6 | 0 | 1
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6 | 中日 | 14
| 7 | 7 | 0 | 0
|
6 | ヤクルト | 14
| 7 | 7 | 0 | 0
|
8 | ソフトバンク | 14
| 6 | 8 | 0 | 2
|
9 | 阪神 | 14
| 5 | 9 | 0 | 4
|
10 | 横浜 | 12
| 4 | 8 | 0 | 4
|
11 | 広島 | 14
| 3 | 10 | 1 | 7
|
12 | 西武 | 14
| 2 | 12 | 0 | 10
|
どのチームも最初は勝ち数と負け数の差がなく、
いわゆる貯金が0です。1試合ごとに勝つと貯金が1つ増え、
負けると借金が1つ増えます。ここで、勝ち数と負け数の差を考えました。
例えば上の成績の場合はロッテも広島も勝敗の差は同じ7のことをいいます。
さて、次のような問題を作成しました。皆さん!考えてください。
あるチームがn(n≧1)試合、野球を行ったとき、勝敗の差の期待値をEnとして、
E2n についてです。
ただし、勝敗の起こる確率は5分5分とし、引き分けはないものとします。
問題1:E2n=E2n−1となることを説明しなさい。
問題2:問題1から、偶数試合終了だけを考えて2、4、6試合終了したときの期待値E2nを求めよ。
問題3:2n試合終了したときの期待値E2nをnで表せ。
ただし、組み合わせの記号Cを用いても良い。
問題4:1年間に144試合行いますから、一体どのくらいの貯金または借金が妥当か、
ウォーリスの公式を利用して、E144の近似値を求めてください。
注:この記事に関する投稿の掲載は、2007年7月2日以降とします。
NO.1676 連勝連敗の平均(2) 2007.6.11 夜ふかしのつらいおじさん
問題1:
n=1のときは、勝つにしても負けるにしても連続数の平均の期待値は1です。
n=2のときは、
「○○、××」の連続数の平均は2/1=2
「○×、×○」の連続数の平均は2/2=1
だから期待値は、(2×2+1×2)/4=3/2
n=3のときは、
「○○○、×××」の連続数の平均は3/1=3
「○○×、○××、××○、×○○」の連続数の平均は3/2
「○×○、×○×」の連続数の平均は3/3=1
だから期待値は、(3×2+3/2×4+1×2)/8=7/4
n=4のときは、
「○○○○、××××」の連続数の平均は4/1=4
「○○○×、○○××、○×××、×××○、××○○、×○○○」の連続数の平均は4/2=2
「○○×○、○×○○、○××○、××○×、×○××、×○○×」の連続数の平均は4/3
「○×○×、×○×○」の連続数の平均は4/4=1
だから期待値は、(4×2+2×6+4/3×6+1×2)/16=15/8
問題2:
「勝ち○」と「負け×」のパターンが正反対のものがペアであります。
だから「勝ち○」で始まるものだけで考えても十分です。
nのとき勝ち負けの変化は、0回からn−1回の場合があります。
n個の○や×を並べるとき、間がn−1個あります。
勝ち負けの変化がk−1回起こるとすると、n−1個の間があるので、n-1Ck-1通りの場合の数があります。
このときの連続数の平均は、
n/k×n-1Ck-1 =n/k×(n−1)!/{(n−k)!×(k−1)!}=n!/{(n−k)!×k!}=nCk
勝ち○から始まるとすると、残りn−1個の並び方は、全部で 2n-1 通りあります。
だから期待値は次の計算で求まります。
[n/1×nー1C0+n/2×nー1C1+n/3×nー1C2+・・・・・・+n/(n−1)×n-1Cn-2+n/n×n-1Cn-1]/2n-1
=(nC1+nC2+nC3+・・・・・・+nCn-1+nCn)/2n-1
=(nC0+nC1+nC2+nC3+・・・・・・+nCn-1+nCn−nC0)/2n-1
=(2n−1)/2n-1