Colloquium

NO.210
Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.210

NO.1619  約数の個数  2006.10.23.  水の流れ

第181回数学的な応募問題

皆さん、今年度の香川大学の入試問題を参考して出題します。是非チャレンジください。

数列{a}を次のように定める。
   nの正の約数の個数が偶数ならば、a=0
   nの正の約数の個数が奇数ならば、a=n

問題1:初項aから第8項aまでの値を求めよ。

問題2:a=nとなるようなnはどのような数か理由をつけて答えよ。

問題3:初項aから第2006項a2006までの和を求めよ。

問題4:初項aから第n項aまでの和が2006以下となるようなnの最大整数を求めよ。

注:この記事に関する投稿の掲載は、11月13日以降とします。

NO.1618  第n次導関数(3)  2006.10.23.  K.F.

対数関数の微分法と積の微分公式を用いると、f1(x)〜f7(x)について、 それぞれ下記の導関数が求まる。

f1からf7までの導関数

よって、問1の解は、関数fの導関数。 問2の解は、関数fの第2次導関数。 問3の解は、関数fの第3次導関数

問4の解

fn(x)=g(n)/x とすると、下表のようになる。

n1234 567
g(n)1126 24120720

表から、g(n+1)/g(n)=n が成り立つように見えるから、g(n)=(n-1)! すなわち、 関数fの第n次導関数が類推できる。

問5の解(数学的帰納法による証明)
(i) n=1のとき、明らかに成り立つ。
(ii) n=kのとき、成り立つと仮定すると、 (式1)
ところで、fk+1(x)=xklog x、fk(x)=xk-1log x なので、 fk+1(x)=xfk(x)となり、積xfk(x)にLeibnizの法則を用いて微分すると、

 (式2)

となる。式1、2より、



が成り立つ。故に、(i)、(ii)より、



である。               (証明終わり)

NO.1617  第n次導関数(2)  2006.10.23.  蜘蛛の巣城

後の簡単のために、補助定理を示し証明しておきます。

補助定理:関数f、gがn階まで微分可能であるとき

   

証明  積の微分法を利用して

   

いずれも補助定理の形に収まります。
もし補助定理の形を仮定すれば微分して

   

再び補助定理の形に収まります。          以上

本論です。

   

について

   

補助定理を使って次の事実を得ます。第1式右辺第2項は定数であることにご注意あれ。

   

同様に

   

以上から次の形が推定されます。

     推定形

先ず、nの値1から4まで推定形に収まることは当然です、推定のもとですから。
また、推定形の成立を仮定して次の証明を得ます。
補助定理と仮定を使用して

   

再び推定形に収まります。第1式右辺の第2項は仮定により定数です。
以上によって、推定形の成立が保証されました。

NO.1616  半整数四角形の問題  2006.10.1.  水の流れ

第180回数学的な応募問題

皆さん、「中尾さん」から頂いた問題にチャレンジください。
<中尾さんからのコメント: 最近、教えて!gooで、 「ラングレー問題(角度の問題の難問)を補助線なしで解きたい」 を見かけたので、類似の問題を考えてみました。

問題  半整角四角形の問題

四角形ABCDにおいて、∠ABD=(5/2)°,∠DBC=(125/2)°,∠ACB=(165/2)°,∠ACD=5°のとき、 ∠ADBを求めよ。

注:この記事に関する投稿の掲載は、11月1日以降とします。

NO.1615  第n次導関数(1)  2006.10.1.  水の流れ

第179回数学的な応募問題

(x)=xn―1log x のとき、次の問に答えよ。 ただし、log x は自然対数とする。

問1:n=1のとき、第1次導関数 f'(x)を求めよ。

問2:n=2のとき、第2次導関数 f''(x)を求めよ。

問3:n=3のとき、第3次導関数 f'''(x)を求めよ。

問4:関数f(x)の第n次導関数 f(n)(x)を類推して、nを用いて求めよ。

問5:関数f(x)の第n次導関数 f(n)(x)の類推が正しいことを、数学的帰納法で証明せよ。

注:この記事に関する投稿の掲載は、10月23日以降とします。

NO.1614  完全順列(5)  2006.10.1.  蜘蛛の巣城

問1.
       

初項から第3項まではすぐわかります。第4項を導いた方法だけを書いておきます。 箱の番号は左から順につけます。数字は球の番号です。 図1は「3個の順列」をすべて示してあります。赤数字は箱と球の番号が一致しています。

図1
(1)
(2)
(3)
(1)
(3)
(2)
(2)
(1)
(3)
(2)
(3)
(1)
(3)
(1)
(2)
(3)
(2)
(1)

図2は図1のすべての順列に箱4を足して球(4)を入れてつくります。 「4個の順列」の一部です。当然すべての順列は「失格」です。

図2
(1)
(2)
(3)
(4)
(1)
(3)
(2)
(4)
(2)
(1)
(3)
(4)
(2)
(3)
(1)
(4)
(3)
(1)
(2)
(4)
(3)
(2)
(1)
(4)

図2の球(4)と球(1)を入れ替えて図3をつくります。 箱と球の番号が一致するもの同士を入れ替える点で、 1段2段は3段目以下と区別できます。

図3
(4)
(2)
(3)
(1)
(4)
(3)
(2)
(1)
(2)
(4)
(3)
(1)
(2)
(3)
(4)
(1)
(3)
(4)
(2)
(1)
(3)
(2)
(4)
(1)

図3で1段2段の合格数は、箱2箱3と球2球3でつくる「2個の順列」の合格数と同じです。 また、図1をみればわかるとおり3段目以下に「3個の順列」の合格の場合がすべて含まれていて、 且つ入れ替えの影響を受けませんから、3段目以下の合格数は「3個の順列」の合格数に等しいわけです。 ところで、「4個の順列」のすべては図2図3に加えて、 (4)と(2)また(4)と(3)の入れ替えをすれば得られますから次の式を得ます。

   

問2.
           

前問の解答文を一般化して書き表せばそのまま解答になります。略。

問3.前問の一般式を展開して

   

を得ます。公比 、初項 の等比数列の一般項は

   

です。

問4.前問の結果を n! で割ると

   

簡単のために

   

としていいでしょう。階差数列の和を利用して次の式を得ます。

   

ところで

   

を借用すると

   

したがって

   

この事例からは「自然対数の底」がいかに自然な数であるかが感じられます。 彼の立場からみれば、整数などは醜悪な理解しがたい数に見えるのかも。

NO.1613  完全順列(4)  2006.10.1.  松井 満

NO.1612  完全順列(3)  2006.10.1.  meira

題意の完全順列{an}の漸化式を求める。
1番目の箱にi(2≦i≦n)番目の球を入れて,j(2≦j≦n)番目の箱に1番目の球を入れる とすると
i=jの場合,i番目の球と1番目の球を除く1からn-2までの完全順列でan-2通 り。……(1)
i≠jの場合,i番目の球を除く1からn-1までの完全順列でan-1通り。……(2)
(1),(2)の最初の球の選び方は1番目の球を除くn-1通りの選び方があるので,漸化式 an

   an=(n-1)(anー1+an-2)……(1)

問1
(1)のnに1から4まで当てはめると

n1234
an0129

問2
(1)

問3
(1)を変形して an-nanー1=(-1)(anー1-(n-1)an-2) 数列{an-nanー1}は初項{a2-21}=1,公比-1の等比数列であるので数列 {an-nanー1}は

   an-nanー1=(-1)n-2=(-1)n……(2)

問4
1からnまでの並べ方はn!通りあるので,題意の確率Pn

   Pn=an/n!……(3)

(2)から数列{an}を求める。 (2)の両辺をn!で割ると

   (an/n!)-(anー1/(n-1)!)=((-1)n)/n!

階差数列の求め方から

  

ここで,1!{((-1)0/0!)-(-1)(1)/1!}=1(1-1)=0を利用して

  ・・・(4)

これで数列{an}の一般項が求められた。
(4)を(3)に代入して

  

自然対数の底をeとして,exを級数展開して

  

これにx=-1を代入し,nまで展開すると,

   となる。

よってn→∞のとき,Pnの極限値は(1/e)。

NO.1611  完全順列(2)  2006.10.1.  夜ふかしのつらいおじさん

問1 a=0、a=1、a=2、a=9

問2 a=(n−1)(an−1+an−2)

問3 a −nan−1=(−1)

問4 

問1は具体的に調べます。a=0は明らかです。

表1
No1 21 2 31 2 3 4
2 12 3 12 1 4 3
 3 1 22 4 1 3
  2 4 1 3 
  3 1 4 2
  3 4 1 2 
  3 4 2 1
  4 1 2 3
  4 3 1 2
  4 3 2 1

さて、この球の入れ方を次ぎのように表すことにします。 aの場合を例にします。

表2
No1 2 3 4表現
2 1 4 3(12)(34)
2 4 1 3(1234)
2 4 1 3(1243) 
3 1 4 2(1342)
3 4 1 2(13)(24) 
3 4 2 1(1324)
4 1 2 3(1432)
4 3 1 2(1423)
4 3 2 1(14)(23)

(12)と(21)とは、同じものですが、括弧( )の中は最小の数を先頭に書くことにします。 aの場合は、(oooo)、(oo)(oo)(注:ooは何か数字)の2つのパターンがあり、 括弧( )の中で閉じています。 aの場合は、(ooo)の1つのパターンしかありません。
さて、問2は次のように考えます。aからaに拡大する場合で 説明します。aの場合球の入れ方は次の2通りです。

   (123),(132)

これをもとに{4}をつけたすことを考えます。
次のaからcの場合があり順に表2のNo:8,3,2(左のとき),7,4,6(右のとき)になります。 (a ×  ・・・★)

   (1), (1)

しかし、この方法ではつけたす{4}と他の数の2つで閉じる(2)のパターンが出てきません。
そこで、4と組み合わせる数を{1,2,3}から選び残る2つの並べ方を考えます。 ( × a・・・ ★★) この2つの場合(★と★★)を合計すれば良いので、一般的に表現すれば、

   an−1(an−1+an−2) ・・・ ▲

問3は難しいので具体的にやってみます。
まず、nが偶数のときは、
  n=2のとき、a−2a=1−2×0=1
  n=4のとき、a−4a=9−4×2=1
次に、nが奇数のときは、
  n=3のとき、a−3a=2−3×1=−1
まとめて、



となりそうです。良い説明を思いつかないのでこじつけます。
nが小さいときは具体的に調べて確認できているので、 n以下のときに▲▲の式が成立すると仮定します。 ▲の式は正しいものとしてとしてn+1のときは、



問4は強引にやってみます。



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