NO.1610 完全順列 2006.9.11. 水の流れ
第178回数学的な応募問題
皆さん、日常生活の出来事で完全順列という考え方はよくあります。
1からnまでの番号のついている箱と球があって、1つの箱に1個の球を入れていきます。
箱の番号と球の番号がすべて異なるような場合の数を数列{an}とするとき、次の問に答えよ。
問1:数列{an}の初項から第4項まで求めてください。
問2:anをn ,an−1,an−2を用いて関係式を求めてください。
問3:数列{an―nan−1}の一般項をnで求めてください。
問4:箱の番号と球の番号がすべて異なる確率をPnとする。
n→∞のとき、Pnの極限値求めてください。
注:この記事に関する投稿の掲載は、10月1日以降とします。
NO.1608 二等辺三角形?(3) 2006.9.11. DDT
二等辺三角形の左右対称性を利用すれば、計算抜きでできそうな気がしたので、やってみました。
右図の線分BD,CEの長さは、辺BCの長さが一定とすれば、角BとCで決まります。
そこで例えば、BDの長さを関数f(B,C)で表します。
f(C,B)は明らかに、CEの長さです。証明すべきことは、
f(B,C)=f(C,B)→B=C
です。
[証明]
f(B,C)=f(C,B)=rとします。
f(B,C)を3次元空間内の2次元の曲面グラフと考えて、
rの等高線に注目します。それがどんな形かは知りませんが、
それが、図-1の太実線のようだったとします。
一方、f(C,B)=rの等高線は、図-2のB軸とC軸を入れ換えたものなので、
図-2の太実線を、原点を通る45°の直線B=Cで折り返した形になります(図-3)。
ところでいずれの等高線も、少なくともBまたはCの関数です。
従って、図-3の曲線を、図-2の同じ位置に重ねた場合(図-2の太破線)、
太実線と太破線は、互いに互いの逆関数になります。太実線と太破線の交点は、
B=C上にしかないことを示します。
そのために、太実線の概形を描きます。図-4では、図-1の二等辺三角形の状態から、
CEの長さを変えずに角B,Cを変化させたらどうなるか、やってみました。
ケースは図-4-1と4-2の二つに大別できます。
まず図-4-1の場合ですが、図-1の△BCEが潰れた状態α点から始め、
β,γ,δの順番で、△BCEを膨らませていきます。δ点では、角C=πとなり、
そこで終わりです。このとき(B,C)の挙動は以下となります。
α点 : B=C=0
α→β: B単調増加,C単調増加
β点 : このとき△ABCは二等辺三角形で、B=C
β→γ: B単調増加,C単調増加
γ点 : B最大
γ→δ: B単調減少,C単調増加
δ点 : C=πで最大
以上の挙動を図示すると、図-5となります。
図-5-1は、図-4-1そのままの状態です。図-5-2は、図-4-1にようにr<BCであっても、
β点とγ点の順序が前後するケースもあるので考慮しましたが、本質的な差はありません。
△BCEが潰れた状態(B,C)=(0,0)を除けば、B=C以外で、
f(B,C)=f(C,B)=rを満たす点はありません。次に図-4-2の場合ですが、
こっちはもっと簡単で、BとCはいつでも単調増加か単調減少です。ただし、
r>BC: B=π から単調減少,C=0から単調増加
r=BC: B=π/2から単調減少,C=0から単調増加
という2つのケースに分かれます。これらを図-6に示しますが、やはり本質的な差はありません。
図-5-1,図-5-2,図-6より、△BCEが潰れた状態(B,C)=(0,0)を除けば、
f(B,C)=f(C,B)=rは、B=Cのみで満たされる。
[証明終]
ところで、以上の証明は、大幅な簡略化が可能です。
それは図-4-1と4-2が書けた時点で、Cは単調増加とわかるので、
この一言で、(0,0)を除けば、互いに互いの逆関数であるf(B,C)=rとf(C,B)=rの交点は、
B=C以外にないことがいえます。つまりrの等高線は巻かないので、自分やその対称図形とぶつかる事はないわけです(図を書いてみて、やっと気づきました)。
ところがそうすると、今度はf(B,C)=rの等高線の存在をいう必要がありますが、
rとしてr=f(B,B)をとり、rを変えないように左右対称にr=f(B,C)=f(C,B)を
作図できる事は明らかですから、これで終わりです。