Weekend Mathematics/コロキウム室/NO.200
NO.1567 2006.1.1 Junko 新年あけましておめでとうございます。 2006年、あけましておめでとうございます。
昨年は、つくばでの1ヶ月に渡る研修、2冊目の本の出版など、 多くの人に支えられて様々なことに取り組むことができたと心から感謝しております。 今年も自分の置かれた場で、全力を尽くしていけるよう健康に留意してがんばりたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
NO.1568 2006.1.10. 夜ふかしのつらいおじさん 西暦2006年(2) 問題1:小町算
挑戦しませんでした。
問題2:Four Fourth 問題
挑戦しませんでした。
問題3:1連続する幾つかの自然数の和
2006が(k+1)個の自然数の和とします。
最初の数をnとすると、順にn,(n+1),(n+2),・・・,(n+k)の和になります。
1+2+3+・・・+k=k(k+1)/2 なので
(2006−k(k+1)/2)/(k+1)=n
これを整理すると、
4012=(k+1)(k+2n)
また、4012=2×2×17×59なので(k+1)として4012の約数を当てはめてみると、
(1) 1個のとき、 2006 (2) 4個のとき、 500+501+502+503 (3) 17個のとき、 110+111+112+・・・+126 (4) 59個のとき、 5+6+7+・・・+63
問題4:3個の三角数の和
これはたくさんの解があります。(16個)
n(n+1)/2のnの組み合わせを書くと、
(1) 1,30,55 (9) 14,40,46 (2) 1,39,49 (10) 16,34,50 (3) 4,14,61 (11) 19,23,55 (4) 4,40,48 (12) 22,32,49 (5) 7,25,57 (13) 25,28,50 (6) 7,37,50 (14) 25,40,41 (7) 12,37,49 (15) 28,39,40 (8) 14,19,58 (16) 30,34,43
問題5:4個の四角数の和
これは問題4よりもっとたくさんの組み合わせがあります。
n2のnの組み合わせを書くと、
(1) 1,4,15,42 (7) 1,23,24,30 (2) 1,4,30,33 (8) 2,3,12,43 (3) 1,9,18,40 (9) 2,9,20,39 (4) 1,9,30,32 (10) 2,9,25,36 (5) 1,12,30,31 (11) 2,15,16,39 (6) 1,15,22,36 ・・・
組み合わせはこの数倍はありますが、時間の都合で全部は調べませんでした。
※ 問題4、5はエクセルを使ってインチキで解きました。 例えば問題5は縦横に平方数を並べ、縦横のクロスするところに2つの平方数の 和を計算させます。2006からその数を引いた数が表の中にあればマークを付 けるようなシートを作り観察をしてみました。
問題6:単位分数の和
これは、2006=2×17×59がヒントです。
NO.1569 2006.1.10. 水の流れ 平面幾何 問1の青字部分(内心→重心)の訂正(2006.1.26.)
問1の赤字部分(内心→重心)の訂正(2006.1.29.)
皆さん、今月の21日22日大学入試センター試験が全国各地で行われ、新課程の最初の生徒が受験生します。 その中で数学T・Aの科目に「平面幾何」があります。 前日、次のような問題を「上様」から受け取りました。解いてみてください。
問1:三角形ABCの重心をDとしてできる三角形ABD 、三角形DBCの重心をそれぞれP,Qとし、 AB=4 BC=8 角B=90としたときPQの長さを 解き方を添えて答えよ。
問2:三角形ABCの内心をIとし、角A=60゜、直線CIの延長とABの交点をE、直線BIの延長とACの交点をDとした時 EI=IDを証明せよ。
問3(難):三角形ABCの内心をI 外心をO 外接円の半径をR 内接円の半径をrとした時
2Rr=R2―OI2
になることを証明せよ。
問4(有名:円に内接する正三角形ABCがあり弧BC(とりあえず短いほうと設定します)上に 勝手な点Pを取るとき、
PA=PB+PC
であることを二通りの証明をせよ。
問5:半径2の円周上に4点ABCDを弧AB:弧BC:弧CD:弧DA=4:4:3:1となるようにとるとき、ADの長さを答えよ。
NO.1570 2006.1.12. teki 西暦2006年(3) 問題1の小町算を考えて見ました。
2006=(1+(2×3+4)×5+67)×(8+9)
こんなので、いいのでしょうか?
NO.1571 2006.1.14. teki 西暦2006年(4) 問題2のFour Fourthですが、四則演算記号と括弧、小数点、循環小数、べき乗 だけでは苦しいようです。 拡張記号として、ガウス記号か萩L号が使えれば何とかなりそうですが・・・。 例えば、萩L号を使った場合、ちょっと作り方はまずいんですが
で作れます。 ただし、Σk=k+(k−1)+(k−2)+・・・+2+1
NO.1572 2006.1.15. teki 西暦2006年(5) 問題2のFour Fourthでガウス記号を使ったもの、一応できますが、かなり苦しいです。
2006=[4÷...4×√4×√√√√√√√√√√(4!)]
NO.1573 2006.1.19. teki 西暦2006年(6) あれから、何とか狽窿Kウス記号なしでできないか考えていたんですが、 できますね。
2006=4÷√(......4)+4+√4
4が2つで2000が作れたんですね。
NO.1574 2006.1.24. まこぴ〜 4444の問題(11) さて、件名の「100」に関する解ですが、44などの多位数 を認めるならば、
100=44÷.44
という式も有ります。 参考までに、遊戯室 PXN(Precedence of eXpression of Numbers)というページをご覧ください。
また、PXN corporation というサイトもありますので、のぞいてみてください。
NO.1575 2006.1.24. ohkubo 「算数と数学のだいごみ」(3) 一口に「数学」と言っても、その中身はいくつかあります。大きく分類すると、@学問としての数学、A道具としての数学、B人間社会のルールとしての数学(これは算数かな)、C受験数学といったところでしょうか。細分化すればもっとあるでしょうし、また、それらを厳密に定義すると言うか、明確な境界を設けることはなかなか難しいようです。だからこそ「数学」と一括りにされているわけですが、そうは言っても、やはり一つ一つはその性質や存在意義は違うもので、それらを「数学」と単純化することには無理があります。人にも色々なタイプの人がいるのと同じです。さて、この中で、日本の数学教育では、Cの受験数学が大きなウエイトを占めています。受験数学は「数学」として非常に歪な模様をしており、そのため、いい意味で捉えられることはまずなく、先生によっては、受験数学でない数学も語ろうと奮闘している方もいらっしゃるようですが、少なくとも高校までの段階で「数学」と呼ばれているものの実態は先生によって程度の差こそあれ受験数学です(そうならざるを得ない部分もある)。受験数学がどういう性質のものであるかは既に色々な方の見解が示されているので詳しく触れませんが、その歪さゆえに多くの人を数学嫌いに陥れている一要因であることは間違いないことでしょう。
このたび淳子先生が著された本のタイトルには「教科書とはひと味違う」と記されています。数学教育の現状が受験数学に傾斜していることからすると、大袈裟かもしれませんが、これは今の数学の主流をなしている受験数学への挑戦状と解釈してもいいでしょう。学校時代、受験数学が好きになれなかった私には、このフレーズがたいへんラジカルに映り、またそこが気に入りました。特に、数学の先生自身がそうしたフレーズを掲げたことに大きな意味を感じるというか、何か胸のすく思いがするのです。たぶん、一部の数学の先生方が唱えるテンプレート化された数学を学ぶ意義の主張にはもう聞き飽きたからでしょう。
繰り返しになりますが、日本の数学教育の実態は受験数学です。教科書も受験参考書ほどではないにしてもその範疇です。ただ、そうなるのは出版社の責任と単純化することはできません。なぜなら、入試傾向から逸脱した内容では採択してもらえないからです。受験参考書についても事情は似ているでしょう。ですが、一般書はそれと同じではダメだと思います。一般の数学書籍は受験数学では感じることのできない“本当の数学”のおもしろさのようなものを伝える内容であってこそ初めて出版された値打ちがあるのです。受験数学で“本当の数学”のおもしろさを見失っている人たちに、「数学って、本当はそういうものだけじゃないよ!」と自信を持って訴えることのできるような内容でないと…。このたび淳子先生の書かれた本は、タイトルの通り教科書の数学(受験数学)とは違うものであり、今の数学教育で数学嫌いになってしまった人たちにも親しめる内容です。と言うより、そういう人たちにこそ読んでほしいと思います。
この本の具体的な長所を一つ挙げると、記述が対話形式となっていることです。堅苦しい文体で一方的に「こうなるんだ」「こうすればいいんだ」「こうしなさい」などと言いたげな内容では嫌になってしまいます。時には、読んでいてむかついてくることもありますよね。「偉そうに…」ってね。淳子先生の本にはそういう所がありません。人柄抜群のJunko先生が生徒(いさお君)と対話する中で、生徒(いさお君)の疑問に一つ一つ丁寧に平易な言葉で答えていくというかたちになっており、数学嫌いの人たちにもきっと馴染めるものです。散々受験数学を悪く言ってる私ですが、むかし、内容は受験数学でもいい本がありました。長年、予備校講師をされていた渡辺次男さんのという方の書かれた参考書です。その参考書も記述が対話形式だったんです。その参考書のおかげで、それまで退屈でしょうがなかった数学の勉強(あくまで受験数学ですけど)が苦痛でなくなったのですが、淳子先生の本を読んでいると、その時の記憶が蘇ります。私は、先生と生徒の対話で話を進めていくという、少なくとも当時の数学参考書としては異例の内容に、著者の「数学をわからせたい」という熱い思いと、そのための創意工夫、そして何より、「数学(受験数学であっても)をできるようになりたい」と願う学生への終始一貫した優しさを感じたものです。休憩コーナーには少しばかり哲学的な話題も載っていましたし、あとがきには、受験数学と“本当の数学”の違いを意識してか、「受験が終わったらこの本の内容は忘れてもらいたい」ということまで書かれてあり、「とことん学生思いの人だなあ」という印象が残りました。たかが受験数学の専門家なのかもしれませんが、その著書から伝わってくる渡辺先生の人柄の良さは、数学を意識することのない日常を送っている今でも忘れることができません。私は、このたび淳子先生の書かれた本にも、何か渡辺先生の本と似たような雰囲気を感じるのです。
“人柄”という言葉が出てきたので最後にちょっと触れますが、数学が嫌いになる主な理由に、数学教師の人柄(人格)も挙げられます。数学に限った話ではありませんが、嫌な人柄(人格)の教師に当たってしまったら、教わっていること自体が嫌いなるのは無理もないことです。これはとても残念なことですが、数学者を含め、数学教師の中には一部人柄(人格)に問題のある人が存在します。その人たちは「自分は特殊な才能を持っている」とでも自己主張したいのか、むやみに難解な言葉を使い、人を見下ろすような態度をとります。ですが、そんな背伸びするようなことは当人の自己満足以外の何物でもなく、学ぶ側が求めていることではありませんし、そもそも数学とは縁もゆかりもないものです。そんなことに夢中になっている教師に当たってしまったら最悪です。教師の人柄(人格)も数学の好き嫌いに大きな影響を及ぼします。しかもそれは先に記した@〜Cのような数学の内容以前の問題ですから、そういうことよりもっともっと重要なことなのかもしれません。数学を好きになってもらうには、教師自身が謙虚になってそれを学ぶ側と同じ目線で考えていくという姿勢が必要です。数学を好きになってもらう前に自分を好きになってもらうことが大切なのでしょう。渡辺先生と同じく、Junko先生にもそんな姿勢が感じられ好感が持てます。偉ぶっている嫌な教師に当たってしまったおかげで数学が嫌いになった人たちも少なくないでしょう。私はそういう人たちにも、気さくな人柄のJunko先生と対話している生徒(いさお君)になったつもりでこの本を読んでもらえたらと思うのです。数学に対するイメージが変わります。いや、「今まで自分が嫌っていたのは実は数学ではなく、学校時代の嫌な数学教師だったのだ」と気づくと言ったほうが正確でしょうか。とにもかくにも、ダメなのは“嫌な数学教師”であって数学そのものではありません。数学の魅力は実は否定されていないのです。
私は、すばらしい先生に出会えれば、数学の魅力がきっと見えてくるはずだと思っています。ですから、繰り返しになりますが、何らかの理由で数学の魅力を見失っている人たちにこそ、この本を読んでもらえたらと思います。
NO.1576 2006.1.29. 水の流れ ペル方程式 赤字部分の訂正(2006.2.8.)
皆さん、1998年のお茶の水大学入試問題から作問しました。チャレンジください。
問1:等式(x2−Ny2)(s2−Nt2) =(xs+Nyt)2―N(xt+ys)2 を証明せよ。
(注:この等式をブラーマグプタの恒等式という)
ペル方程式とはNを平方式でない自然数、mを0でない整数とするとき、 x2−Ny2=m という型の不定方程式をいいます。ここで、方程式x2−Ny2=m をPm と書くことにします。 (x,y)はPm の自然数解で、(s,t)はPn の自然数解であるとすると、 問1の右辺はペル方程式の形をしています。左辺はmnですから、(xs+Nyt,xt+ys)はペル方程式Pmn の自然数解です。
例えば、x2−2y2=―2の自然数解と s2−2t2=nの自然数解から、P―2n の自然数解(xs+2yt,xt+ys)を作り出すことができます。 ここで、P―2の自然数解(xk,yk)とP1の自然数解(s,t)から P―2の自然数解 (xk+1,yk+1) =(xks+2ykt,xkt+yks)が出てきます。 ここから問題にします。
問2:P1の最小自然数解(s,t)を求めよ。
問3:P―2の最小自然数解(x1,y1)を求めよ。
問4:これらを利用して、P―2の自然数解(x2,y2)、 (x3,y3) 、(x4,y4)を求めよ。
問5:次に、P―2の一般解(xk,yk)を、kを用いて表せ。
問6:また、x2−2y2=1の一般解(xk,yk)を、kを用いて表せ。