Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.112

コロキウム室



NO.943 2001.4.1.小泉 重夫「情報世紀」の主役たち

対数のログLogの語源をご存じでしょうか?
「ロゴス」論理+「アリスム」計算=「ロガリスムス」対数だそうです。
「情報世紀」の主役たち。という展示会の中に書いてありました。

国立科学博物館の展示の元になったネーピアの本のページ(金沢工業大学所蔵)

国立科学博物館 (上野公園、大人830円、高校生250円。6/3まで)
常設展の巨竜の骨などを見るだけでも価値があると思いますが、 この特別展をちょっとのぞいてみる価値はあると思います。 コンピューターの話だけではなく、パスカルの手回し計算機や、ネーピアの対数表、初めて のテレビ放送の様子なども展示してあります。



NO.944 2001.4.2.水の流れ2段に並べる(1)

第72回数学的な応募問題

太郎さんは、授業の中で、縦が2個、横が2n個の升目のそれぞれに赤か白のマグネットを並べるときがあります。 縦にも横にも白のマグネットを連続して並べない方法は何通りあるか、知りたくなりました。


縦に2個、横に2n個の升目
       
       

ここで、問題です。

問題1:n=1のとき、このような並び方は何通りあるか。

問題2:n=2のとき、このような並び方は何通りあるか。

問題3:n=3のとき、このような並び方は何通りあるか。

問題4:このような2段に並べる場合の数をaとするとき、 規則性を発見して、漸化式を作ってください。

問題5:この数列{a}の一般項をnで表してください。 




 
NO.945 2001.4.3.Junko2段に並べる(2)

2×2nなのか、2×n なのか混乱しましたけれど、ここでは2×nとして考えてみます。

問題1:3通り





問題2:7通り









問題3:17通り



















混乱のさなか、2×4も書き出してみましたので載せます。41通り。











































問題4:
=b+cとする。
(ただしbは、右端がタテに赤白、または白赤で終わるもの、 cは、右端がタテに赤赤で終わるもの)

そうしますと、次の漸化式が成り立ちます。

=bn−1+2cn−1
=bn−1+cn−1

なぜなら、右端がタテに赤白または白赤で終わるためには、前段で赤白または白赤だった場合はその逆、 前段で赤赤だった場合は赤白または白赤の2通りが考えられます。
(b=bn−1+2cn−1

また、右端がタテに赤赤で終わるたまには、前段が何であってもかまわないのです。
(c=bn−1+cn−1

ここまでのところを確認します。

=2、c=1、a=2+1=3
=2+2・1=4、c=2+1=3、a=4+3=7
=4+2・3=10、c=4+3=7、a=10+7=17
=10+2・7=24、c=10+7=17、a=24+17=41

問題5
漸化式から一般解を求めてみます。

行列を使って求める方法、


代入することで、3項間の漸化式に帰着させる方法、
n+1−2C−Cn−1=0 等々・・・
ここでは途中を省略させていただきます。結果のみ。


各項は当然自然数なのに、一般項がこれだけ複雑というのも不思議といえば不思議・・・。

もし、2×2nで考えるのならば、上記のnを2nで置き直せばいいわけで、そうすると以下のようになります。






NO.946 2001.4.4.水の流れ

第73回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の優勝戦があり、 常総学院(茨城)が仙台育英(宮城)を7対6で破り初優勝を果たした。 1994年に準優勝するなど強豪で、5回目のセンバツ出場で、悲願を達成し、 21世紀初の紫紺の優勝旗は常総学院(木内監督)に渡りました。おめでとうございます。
今回、21世紀枠があって、沖縄県の宜野座高校と福島県の安積高校の2校増えています。
太郎さんは、前回の4回と同様な調査結果を報告します。
さて、高校野球は先取点の入ったテームが勝つとよく言われます。 2001年センバツを例にして、分析しました。
また、ファンにとって、逆転につぐ逆転の試合は忘れられない感動を与えます。

(1)先取点が入って、同点にされてもそのまま終わった試合を@
(2)先取点が入って、逆転して(同点になっても)終わった試合をA
(3)先取点が入って、逆転されても再逆転して終わった試合をB

以下、この逆転の回数で、C、D、Eと分類していきます。
だから、丸数字が奇数の場合は先取点の入ったチームが勝ち。 丸数字が偶数の場合は先取点の入ったテームの負け。となります。 当然、丸数字の多い方が面白い試合で楽しむことができたことになります。 決勝戦までの33試合をこのように分析しました。 その結果、@は21試合、Aは9試合、Bは3試合、あとの回数は起きませんでした。
そこで、丸数字の奇数は 21+3=24 、丸数字の偶数は 9 だけです。
これを33で割ると24/33=0.727 で高い確率で勝っています。 これで、ジンクスは確かだ言えます。 また、この丸数字の決まったイニングは1回から3回で15試合このうち@のチームが 14チームあります。 4回から6回で9試合、7回から9回で6試合、延長戦の場合が4試合で、 サヨナラ勝ちは3試合でした。
また、このセンバツ大会は、先攻をとって勝った試合が15試合、 後攻が勝った試合が18試合ありました。 さて、ここで、いつも同じように、野球の試合を行ったとき 「9回裏(延長)までのあいだに逆転または勝ち越しが何回起こるか」と言う頻度が、 ”まれにしか起こらないこと”の1例です。 先制点を挙げたチームがそのまま逃げ切ってしまえば、 1回も逆転、勝ち越しがなかったことになる。 そこで、例として、大会初日の福井商業高校と桜美林との得点経過でみます。

得点掲示
福井商業11
桜美林


1回の表の1点は先制点だから、勝ち越しとは言わない。1回の裏の1点は同点だからカウントしない。
2回の表の1点は勝ち越しだから、カウントは1とします。
2回の裏の1点は同点だからカウントしない
3回の表の2点は勝ち越しだから、カウントは2とします。
6回の裏の4点は勝ち越しだからカウント3します
9回の表の5点は再逆転ですので、カウント4します

以上、逆転または勝ち越しが回数として4回をカウントします。 この試合が動きの激しい試合であったことを意味しています。
同じようにカウント4の試合は、姫路工業高校と日大三高との試合も5対8で、 逆転・再逆転・再々逆転の好試合でした。

逆転・勝ち越しが起った回数

回数2001年春のセンバツ2001年夏の大会
0回14試合 
1回13試合 
2回 4試合 
3回 0試合 
4回 2試合 


上の表がポアソン分布をしているかをみてみます。
ちょっと、数学の専門的な式になりますが、ポアソン分布の確率密度関数は

  です。

ここで、xは逆転または勝ち越しの回数を代入、mはデータの平均値で、この場合は

m=(1×13+2×4+3×0+4×2)/33=29/33=0.8787…

これは、この年のセンバツでは、逆転または勝ち越しが1試合平均0.8787回 起こったことを意味しています。意外に少ないと感じました。調査していると同じような結果になり、 夏の大会より、これでも多い方です。

逆転・勝ち越しが起こる確率理論値実際の試合数
0回 0.4153×3313.70414
1回 0.3649×3312.04313
2回 0.1604×33 5.292 4
3回 0.0470×33 1.550 0
4回 0.0103×33 0.341 2


以上、5回目の調査報告でした。



NO.947 2001.4.5.kiyo2段に並べる(3)

2nの場合は以下のようになると思います。






NO.948 2001.4.5.Junko2段に並べる(4)

わぁー、本当だ、計算間違いしていますね。ご指摘、ありがとうございます。



NO.949 2001.4.15.水の流れ最大数の確保

第73回数学的な応募問題

太郎さんは、ときどき大学入試問題を見ています。 過去の早稲田大学の入試問題を参考にして作問します。

「nを2以上の自然数とし、次の操作を考える。

『操作1』:1からnまでの自然数を1枚ずつ書いたn枚の札を無作為に1列に並べる。
『操作2』:1枚目の札を手元に取る。
『操作3』:2枚目以降、n枚目の札まで順に見ていき、 手にしている札よりもそれが大きい数値の札であるならば、そのたびに手の札と入れ換える。

このとき、『操作3』で入れ換えがk回起きる並び方の数をF(n、k)とする。 ただし、最初に手にした1枚の札は操作の回数としては、0回とします。 また、F(1、0)=1とします。」

例えば、5枚の札が2,1,3,5、4と1列に並んだとします。 最初に2を手元に入れます。次の1は2より大きくありませんから、 入れ替えの操作はしない。次の3は手にしている2の札と比べて大きい数ですから、 1回目の入れ換え操作をします。 そして、5の札が並んでいますから、2回目の入れ換え操作をします。 この場合は、k=2の並び方の1例です。ここから、問題です。

問題1:F(2、0)、F(2、1)の値を求めてください。

問題2:F(3、0)、F(3、1)、F(3、2)の値を求めてください。

問題3:F(4、0)、F(4、1)、F(4、2)、F(4、3)の値を求めてください。

問題4:F(5、0)、F(5、1)、F(5、2)、F(5、3)、F(5、4)の値を求めてください。

問題5:規則性を発見して、漸化式を求めてください。

問題6:入れ換えの回数の期待値をE(n)としたとき、 E(n)とE(n―1)の間に成り立つ関係式をみつけて、E(n)をnで表してください。




NO.950 2001.4.24.Junko最大数の確保(2)

例によってまずは数え上げ・・・

問題1:
F(2、0)=1  なぜなら、[2,1]
F(2、1)=1  なぜなら、[1,2]

問題2:
F(3、0)=2  なぜなら、[3,*,*]・・・*は残りの任意の数
F(3、1)=3  なぜなら、[1,3,2]、[2,3,1]、[2,1,3]
F(3、2)=1  なぜなら、[1,2,3]

問題3:
F(4、0)=6  なぜなら、[4,*,*,*]・・・*は残りの任意の数
F(4、1)=11 なぜなら、[1,4,2,3]、[1,4,3,2]、[2,4,1,3]、[2,4,3,1]
                [3,4,1,2]、[3,4,2,1]
                [2,1,4,3]、[3,1,4,2]、[3,2,4,1]
                [3,1,2,4]、[3,2,1,4]
F(4、1)=6  なぜなら、[1,2,4,3]、[1,3,4,2]、[2,3,4,1]
                [1,3,2,4]、[2,3,1,4]、[2,1,3,4]
F(4、1)=1  なぜなら、[4,2,3,4]

問題4:
F(5、0)=24 なぜなら、[5,*,*,*,*]・・・*は残りの任意の数
F(5、1)=50
このあたりで数え上げは挫折・・・。

漸化式を考えた方がよさそうです。

ここまででわかった性質は、

F(n,1)=(n-1)!・・・なぜなら先頭にnがきて残りは任意の数でいいから

F(n,n-1)=1・・・小さい順に並べておく以外にはないから

F(n,0)+F(n,1)+・・・+F(n,n-1)=n!・・・すべての和は、nこの数字の順列だから




NO.951 2001.4.26.神戸大学のS.N和集合の要素の個数(2)

n個の和集合の要素の個数を求めることができる一般公式を教えてください。 2個、3個の場合[n(A∨B)=n(A)+n(B)-n(A∧B)等]から頭の中では推測できるのですが、 式が大変な量になったり、 シグマ記号が複雑に重なり合ったりと上手にまとめることが出来ませんでした。
「この一般公式を推測して、数学的帰納法で証明せよ。」というのが問題なのですが、 ぜひ一般公式だけ教えてください。よろしくお願いします。  



NO.952 2001.4.27.Kernighan和集合の要素の個数(2)

私は最近知りました。

包除原理

X⊃{Pi}  i=1,2,3...,n に対して


ただしI={i1,...,ik}

例えばn=2の場合は
|X-(P1∪P2)|=|X|-(|P1|+|P2|)+|P1∩P2|

n=3の場合は
|X-(P1∪P2∪P3<)|=|X|-(|P1|+|P2|+|P3|)+ (|P1∩P2|+|P2∩P3|+|P3∩P1|)-|P1∩P2∩P3|

これを使ってオイラー関数や、双子素数のブルンの篩を構成できます。







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